県民ネットワーク会派代表質問
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12月3日(月)に開会された12月県議会定例会で田中章五議員(長浜市選挙区)が会派を代表して12月6日(木)会派代表質問を行いました。その内容を以下報告します。

平成20年度当初予算編成及び滋賀県基本構想案について

 まず始めに、平成20年度当初予算編成及び滋賀県基本構想案について知事にお伺いいたします。今定例会において本県の基本構想案が提出されました。その作業と並行し、行財政の改革の指針となる「新しい行政改革の方針」と「財政構造改革プログラム」の策定作業が行われ、また、その作業に伴う来年度予算編成作業も進められております。
 嘉田県政にとって、県政の方向を決めていく極めて大きな作業が一気に進んでいるといえましょう。
 時代の大きな曲がり角を曲がりきる役割を持った嘉田県政の方向を示す上で、基本構想の持つ意味は小さくありません。
 そこで、まず、来年度予算編成の前提になる基本構想についてお尋ねします。
 県税収入の伸びを上回る地方交付税の落ち込みなどにより、来年度は400億円の財源不足が生じるなど、県の財政状況の厳しさはすでに何度も説明されているところです。
 しかし、財政が厳しいからというだけの理由で、削減できるところは遮二無二削減を行うという帳尻あわせの予算編成を行うだけでは確実な未来を切り拓いていくことにはなりません。来年度予算の編成に向けては、二つのことを踏まえておくことが必要だと思います。
 一つには、このような厳しい財政状況を迎えている原因を分析し、その対応策を講じることです。過去何度にもわたる財政構造改革を実施しながら、その努力にもかかわらず、私たちが同じ状態を脱しきれていない理由がどこにあるのかを真剣に反省しなければなりません。そして、努力すること、我慢することの効果が着実に見えるような対応策を立てることが重要であります。
 もうひとつは、削減すべきところと、苦しくても将来の滋賀を見据えたときに歯を食いしばってでも残すべきところ、場合によっては、何としても予算をつける、あるいは、これまで以上に伸ばしていくところのメリハリをしっかりとつけることです。
 何もかも切り捨てて、収支の均衡をとることが目的であるかのような予算編成を行うことは、未来に向けての明かりが見いだせない予算となり、県民の希望や職員の士気を低下させてしまう危険性があると思います。
 こうしたことを考えたとき、基本構想の役割は非常に重要です。
 滋賀県がもつ人・モノ・カネ・情報といった地域資源を有効に活用し、この閉塞感を打ち破っていくことが、嘉田県政の最大の役割です。
 「もったいない」を掲げた嘉田マニフェストに集まった県民の期待を県政の方向として具体化させる基本構想は、美辞麗句の羅列に終わることなく、来年度予算編成作業をはじめる市町にとっても希望の持てる羅針盤であるべきだと考えます。
 そこで、知事の認識として、知事の任期として残されているこの3年間に克服すべき課題のうち、もっとも重要なものを3つ上げるとすれば、それは何だと認識しておられますか。
 また、その課題克服に向けた戦略として何をすべきだと考えておられますか。
 そして、今回提案されているこの基本構想は、それらの課題を克服するための選択と集中が反映された構想になっているとお考えでしょうか。
 11月の臨時議会における総務政策常任委員会の委員長報告で、「県財政が非常に厳しいという側面が強調されているが、そのためにどのような施策を重点に行うのか、反対にどのような施策は行わないのか、選別されているように感じにくい」という意見が出されたという報告がありました。
 この指摘に対して、どのような対応がなされたのでしょうか。
 知事は提案説明で、「何を残し、何をやめるか、また何に新しく取り組むのか、という厳しい選択をしながら、滋賀県の未来を支える次世代育成型の予算に取り組んでまいりたい」と述べられましたが、「残すべきもの」「やめるべきもの」「新しく取り組むもの」は何だとお考えなのかをお伺い致します。
 次に第3章の戦略に関わる質問を致します。
 第3章では3つの戦略が示されていますが、重点的な施策が浮き彫りにされていないため、「人の力を活かす」「自然の力を活かす」「地と知の力を活かす」という戦略を前に進めるための原動力が見えてきません。
 3つの戦略に掲げられた14の中項目、32の小項目、さらに125の施策項目は、類似のものを3つの戦略の中に並べ替えただけの印象です。
 戦略を進めるためには、こうした施策の羅列ではなく、それぞれの戦略を力強く実現していくための骨太の「戦略プロジェクト」を掲げるべきではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。
 また、いずれ「戦略プログラム」を策定し、それには成果指標的なものを掲げると聞き及んでいますが、構想本文の第4章「施策の展開」には成果指標を記載しながら、戦略の成果指標を構想本文に入れていない理由をお聞かせ下さい。
 次に、第4章についてお伺いします。
 第4章では施策が117項目掲げられているにもかかわらず、指標として示されているのは、58項目です。
 施策と成果指標の関係を明確にすべきだと思いますが、この成果指標はどのような基準で選択されたのでしょうか。
 その結果、「自殺者の数」とか「通学路の歩道整備」など重要と思われる指標が設定されていません。成果指標を掲げていない理由もお聞かせ下さい。
 また、成果指標は平成22年度の目標数値が示されていますが、この設定基準の根拠としておられるのは何でしょうか。
 目標数値設定の根拠の一つには、財源との整合性もあると思われますが、これらの目標達成のための財政シミュレーションはなされていますか。財源の面から各施策の達成見通しは立っているのか、お尋ね致します。
 次に、「基本構想実現に向けた県政運営の考え方」に関連する質問を致します。
 基本構想では基本理念として「未来を拓く共生社会」を掲げておられます。この共生社会を実現していくための県政運営の考え方として、嘉田知事が標榜されている「対話と共感」は賛同できるものでありますが、これまでの嘉田知事の県政運営を振り返ると、「対話と共感」の姿が分かりにくい印象です。
 県政運営上の重要項目については、県民との対話を重ねながらも、リーダーとしての知事の意思表示もまた明確に行うことも必要と思います。知事の「対話と共感」の意味を再度お聞かせ下さい。
 次に、「市町との連携」については、市町村合併が大きな山場を越し、県と市町の新たな関係づくりが求められている中で、これからの県と市町の関係はいかにあるべきと考えておられるのか、お尋ね致します。
 そして、その方向にむけて、市町との連携、協力関係構築をどのように進めていこうとしておられるのかお聞かせ下さい。
 また、行財政の改革を通じて、「組織としての力が最大限発揮できる経営体づくりを進める」とされていますが、その際の職員の士気高揚をいかに図っていこうとされておられるのでしょうか。人が経営資源の大きな部分を占める行政体において、職員が意欲を持って仕事に従事する環境をつくることは非常に重要です。慢性化している給与独自カットの状況などは、職員士気にも関わる問題と考えますが、そのデメリットをどう考えているのか、また、人件費抑制をどう考えているのか、知事のお考えをお聞かせ下さい。
 とりわけ「新しい行政改革の方針」の中には「効果的な経営のための県庁力の最大化」という項目があり、「ガバナンス機能の強化」「事業執行方法等の効率化、適正化」そして「人事管理の見直し」が掲げられていますが、組織が最大限の力を発揮するのは明確な獲得目標の設定と、それに向けたインテグレーション、政策統合が必要だと考えます。
 知事のいう「県庁力の最大化」の意味とそのためのお考えをお伺い致します。
 この質問項目の最後に、財政の自立に向けての知事のお考えをお伺いします。
 知事は11月30日に近畿ブロック知事会長として、安定した地方税体系の構築を求める緊急提言を総務省、財務省、内閣府に提出されました。地方財源をめぐっては、様々な議論がありますが、歳出削減の取り組みと従来の歳入確保対策だけでは限界があり、地方政府を支える財政の自立に向けた明かりは見えてこないように思います。県の単独事業を削減することを続けていれば、滋賀県らしい魅力がなくなる平凡な県となり、何の存在感も持ち得ないまま、財政的事情から、なし崩し的に都道府県合併に追い込まれてしまう危険すら感じます。
 そうならないよう、「凛とした地方政府滋賀」でありつづけるために、知事は、財政の自立化に向けて、どのように対応していこうとされているのかお伺い致します。

   
  

[知事答弁] 
この3年間に克服すべき課題のうち、もっとも重要なものを3つとおたずねいただきました。
  私は、滋賀の地に移り住んできて以来30年、一人の県民として、また、一研究者として、あるいは県職員として琵琶湖と暮らしの環境変化を見てまいりました。
  そうした中で、皆さんの暮らしの現場の声に耳を傾けさせていただき、克服すべき課題を3つ挙げるとすれば、一つ目は、社会の存続に不可欠な「子育て問題」でございます。二つ目は、地球規模で深刻化し琵琶湖をはじめとする私たちの身近に迫っている「環境問題」、三つ目は、知事に就任して改めて直面しております「財政再建問題」でございます。
その課題克服に向けて戦略として何をすべきかとの2点目のご質問でございます。 この戦略でございますが、子育て問題への対応として、まずは、子どもを安心して生み、喜びを感じながら育てられる社会づくりが必要と考えます。そのためには、働き方の見直しや地域が子育てに関わる、社会で子育てを支える施策が必要と考えております。
 また、これからの未来を担う子どもたちが確かな学力や豊かな人間性、社会性を備え、本来の力を発揮していけるようもっていくことが重要であり、ここが基本構想の戦略1「人の力を活かす」でございます。
  「環境問題」に関しましては、産・学・民・官の協働による地球温暖化への対応や琵琶湖の水環境、生態系の保全・再生への施策、そして、「財政再建問題」に関しては、滋賀の特性を活かし産業の競争力を高めていくとともに、現在策定中の新たな行革方針や財政構造改革プログラムにそった持続可能な行財政基盤づくりが重要と考えております。
 3点目ですが、この課題克服のための選択と集中が反映された構想になっているかということですが、いずれの課題につきましても、基本構想案で方向付けたとおり、滋賀県が持つ「人」、「自然」、「地と知」の本来の力を活かすことが、また、活かすことで道筋が開けるものと考えており、より具体化するための戦略プログラムを重点的、効果的に進めてまいります。
 また、新たに行政改革の方針や財政構造改革プログラムを今後策定していくこととしております。
4点目のご質問ですが、県財政が厳しい中で、重点施策をどのように行うのか、あるいはどの施策は行わないのか、選別されているように感じにくいとのご指摘でございます。
 基本構想の第3章に掲げた戦略は、基本理念や将来の姿を実現する上で、また、滋賀県の魅力を高めていく上でいずれも重要な施策であると考えております。これを全体として具体的・積極的に進めていくため、戦略プログラムの中で、どのようなところに重点をおくかを明らかにし、主要な事業やその目標を今後示してまいりたいと考えております。
 また、どのような施策を行わないかにつきましては、県の果たすべき役割を判断しながら、基本構想の方向性と異なるもの、あるいは優先度が低い、将来性が低いと思われるものなどは、行財政改革を進める中で一定示していきたいと考えております。
 次に、全体としての2項目でございますが、未来を支える次世代育成型の予算に当たって、「残すべきもの」、「やめるべきもの」、「新しく取り組むもの」は何と考えるかということでございます。
 平成20年度の予算編成に当たりましては、財政の健全化に取り組む中でも「安心できるくらし」が確保されることを基本とし、「県民の命とくらしを守る」ことを最優先にしていきたいと考えております。
 そして、基本構想に掲げる、「人」、「自然」、「地と知」といった地域の潜在的な力が活きる施策の方向に向けて、しっかりと取組を実施していくという考えのもと、県民の皆さんのニーズ、事業の効果、将来性、県としての役割などの視点を取り入れながら優先度を付け、「残すべきもの」、「やめるべきもの」、「新しく取り組むもの」を判断し、予算編成に反映していきたいと考えております。
大きな3点目でございますが、戦略を進めるための「戦略プロジェクト」を掲げるべきとのご指摘でございます。
 議員ご指摘のように、戦略プロジェクトを掲げるという手法も選択肢としてありますが、これまでの県の長期構想を進める中では、そうした方法を採用したこともございました。
 しかし今、県民ニーズが多様化・複雑高度化する中で、また、成熟社会の中で、より大きな広がりと深まりをもった構想を目指すと判断をしたものであり、特定のテーマに焦点を絞るのではなく、滋賀県が本来持っている素材に磨きをかけ、その持つ力を引き出す、いわば地域の潜在力をいかに全体として引き出すかという視点で、暮らしの場面ごとに重点的な施策展開をしていく、そのような中で、基本構想の3つの大きな総合的な戦略をまとめさせていただいたところでございます。
 今後、この戦略を具体的に推進する中で、個々に実施する個別のプロジェクトについては、具体的な実施プログラムをつくり示させていただきたいと考えております。
全体の3点目の2でございますが、成果指標についてでございます。
 戦略の成果指標を構想本文に入れていない理由は何かということですが、第4章の行政各分野の推進に当たっては、施策の方向をわかりやすく示す代表的な指標を選び、これをもって成果目標管理型の行政を進めていこうとしているところです。従来、ベンチマークや施策評価、組織目標といったツールを取り入れてきましたが、今回の構想の評価に当たりましては、新しい行政改革の方針に沿って、効率的で県民の皆さんからもわかりやすい評価システムの導入を検討しているところであります。
 第3章の戦略につきましては、第4章に掲げた施策のうち、重点的・戦略的に行う施策の方向を示したものであることから、本文に成果指標を掲げるのではなく、より具体的な施策展開を示す戦略プログラムを、予算編成プロセスと並行して策定し、その中で主要な事業やその事業で達成しようとする目標を掲げることといたしました。
次に4点目の、第4章の成果指標はどのような基準で選択されたのか、また、その成果指標の目標数値が示されているが、設定基準の根拠は何かとのご質問でございます。
 指標選定に当たりましては、県民の皆さんに施策の方向を理解していただきやすく身近なものかどうかということを基本に、施策の成果としてつながるもの、また、数値の把握のしやすさなどを加味し、施策の括りを代表する成果指標として設定しております。具体的には、「しがベンチマーク」、各種部門計画で設定している指標など、県民の皆さんの間に既に一定程度浸透していると思われるものを中心としております。
 議員ご指摘のような指標も重要なものと思いますが、それぞれの部門計画の中に位置づけ、着実に推進を図っていきたいと考えております。
 平成22年度の目標数値の設定基準の根拠につきましては、各部門計画で設定した目標数値や全国水準にもっていこうとするもの、あるいは過去のトレンド等に今後の努力を加味したもの、あるいはあるべき姿として望ましい値を設定したものでございます。
全体の4点目の3番目、目標達成のための財政シミュレーションの実施、あるいは財源面からの施策の達成見通しの質問でございます。
 財政シミュレーションの実施と施策の達成見通しにつきましては、財政構造改革プログラム策定に向けた施策・事務事業の見直しの中で、それぞれの施策の方向に沿ってどの程度取組が可能か点検を行った上で、目標として設定したところでございます。
 限られた財源の中ではありますが、来年度からの事業の具体的な推進に当たりましては、最小の費用で最大の効果が得られるよう、県として知恵と工夫を凝らし精一杯努力していくことはもちろん、県民の皆さんや市町、各種団体と力を合わせる協働の取組を通じて、目標達成を目指していきたいと考えております。
 5項目目でございますが、県民との対話を重ねながら、リーダーとしての意思表示を明確に行う必要性、また、対話と共感の意味というご質問でございます。 私は、「対話」とは、「演説」のように一方的に相手をねじふせるものではなく、また、「指導」のように決まった方向があるわけではなく、異なった立場やずれをもつ当事者同士が合意点を求めるその相互の働きかけ、理解のプロセスであり、コミュニケーションの基本的な態度であると思っております。そして、その対話の前提が生活者の視点、生活現場からの発想でなければならないと考えております。
 この対話を生活現場の思い、願いを汲み取り、県民本位の県政を進めていくための方法として、私も含め職員が直接現場に出向き、現場で起こっている問題に触れ、そこに暮らす人々の声に耳を傾けるとともに、県の状況を県民の皆さんに知ってもらうため、情報を積極的に公開・提供し、また、その意味を共有していただきながら県の考え方をきちんとお伝えすることが大切であると考えております。
 そこから生み出される共感を基本とした県政を進める中で、地域経営に責任を持つ知事としての判断が必要となることもあると考えております。
 特に昨今の大変厳しい財政状況の中で、やれないこと、その見解も踏まえながら、県民の皆さんの思いを踏まえた上で将来を見通し、行政として最善と思われる判断をさせていただきたいと考えております。
6点目のご質問でございますが、県と市町の関係あるいは連携はどうあるべきかとのご質問でございます。
 県と市町はともに地域経営を担うパートナーでありまして、県の施策・事業を推進していくに当たっては、互いに連携、協力を図っていくことが重要と認識しております。
 平成16年度に、市町と県がともに取りまとめました「滋賀県・市町パートナーシップのあり方」の報告において、市町は基礎自治体として、県は市町を包括する広域自治体として、それぞれの性格に応じた役割分担を明確にし、相互に競合しないようにしながらも、対等のパートナーとして連携、協力し、地域における行政を実施するとしたところでございます。
 このような考えに基づきまして、今後、市町と県の行政サービスが、住民に身近な市町において自主・自立の判断のもとに、迅速かつ効率的に完結して行えるよう、自主的な意思に基づく権限移譲を推進するとともに、県と市町の対話システムであります自治創造会議などを活用することにより、より適切な連携、協力関係を構築していきたいと考えております。
次に7点目の慢性化している独自給与カットの状況の中で、職員士気にも関わる、そのデメリットをどう考えるか、人件費抑制をどう考えるかとのご質問でございます。
 また、8点目の私の言う「県庁力の最大化」の意味についてでございます。
 給与独自カットや人件費抑制が職員の士気に影響を及ぼしているかというご質問につきましては、公務員の給与につきましては、基本的には、地方公務員法に基づき、人事委員会勧告を尊重する中で決定していくことが原則でございます。そのような中で、今回、特に給与の削減措置について人事委員会報告があり、私としてもたいへん重く受け止めております。
 こうした中で、給与を削減しなければならない状況にあるのは、職員の皆さんに対してもたいへん申し訳なく思うと同時に、全ての職員に対し、現在の本県が置かれている、厳しい財政状況についての理解を得るべく取り組んでいるところでございます。
 給与の削減措置に伴う、職員の士気への影響については、人事委員会報告でも言及されており、私としても非常に心配しておりますが、削減の内容については、若手に配慮すること、あるいは新給与体系への早期の移行を図るといった方法、さらに、厳しい中にも、少しでも見通しが持てるようにと考えながら、今後3年間の給与削減に関する条例案を今回、本日追加提案させていただいたところでございます。
 職員においても、現下の厳しい財政状況にあっても、公務員の給与が税金によりまかなわれていることを十分に自覚し、県民の皆さんの厳しい目の中で、また、期待の目の中で、職務に邁進していただきまして、全庁一丸となって、この非常事態を乗り切っていきたいと考えております。
 次に、「県庁力の最大化」の意味とそのための考え方です。
 職員の創意工夫、現場における行動力など人の力、人的活力、情報力等が結びついて発揮される県の組織体としての力を「県庁力」と言っております。これを最大限に発揮させることが「県庁力の最大化」であると考えております。
 公務員としてのミッションを持ったやりがい、人間としての生き甲斐、そして、組織としての支え合い、このような仕組みの中で、具体的には、まず、職員一人ひとりが県を取り巻く諸課題を自らの問題として認識し、その上で職員のコミュニケーション能力を高め、県民の皆さんとの対話を進めることを通じて、くらし感覚を持ちながら、常に新たな発想や創意工夫を活かすこと、さらに、そうした職員が組織の目標を共有して互いに支え合って大きな力を発揮することが必要であり、そのような組織づくりに取り組んでいきたいと覚悟しているところでございます。

1.現在のように人々の価値観が多様化し、量的にも質的にも行政が抱える課題が増える中で、現場のことは現場で決めるという「地方分権」が時代の要請となり、地方自治体は自主的・主体的に「何をするか」を決定し、取り組んでいかなければならなくなっております。

2.このような中で、今年度に入り、政府の地方分権改革推進委員会が、地方分権改革推進に当たっての「基本的考え方」を示しました。その5つの目指すべき方向は大変大切であると思っております。
 1つは、分権型社会への転換
 2つ目は、地方の活力を高め、強い地方を創出すること
 3つ目は、地方の税財政基盤の確立
 4つ目は、簡素で効率的な筋肉質の行財政システム
 5つ目が、自己決定・自己責任、受益と負担の明確化により地方を主役に

という5点でございます。
 さらに、自治行政権、自治財政権、自治立法権を十分に具備した「地方政府」を確立する必要があるとして、税源配分の見直しをはじめとする地方税財政の抜本的改革、さらには条例による法令の上書き権を含めた条例制定権の拡大なども示されております。

3.この「基本的考え方」を基に、さらに一層の分権改革が実現するよう期待しているところでありまして、また、現下の地方自治体を預かる知事として、あらゆる機会を通して政策や制度の意見、提言をしているところでございます。
 特に税財源の確保につきましては、地方が担うべき事務と責任に見合うよう、責任は6割、税源は4割というこのアンバランスを克服するため、まずは国税と地方税の税源配分が5:5となるよう税源移譲を行う、また、地方交付税については、財源保障と財源調整機能が適切に発揮され、その必要額が確保されるよう国に対し強く意見を申し上げているところでございます。

4.一方、県の中にありましても、経営体として自立的で持続可能な財政基盤を確立していくため、行財政改革に全力で取り組み、今まで以上に限られた財源や人的資源、いわゆる経営資源の配分と最適な組み合わせをどうするかを判断し、県政経営にあたらなければならないと認識しております。

5.真に住民にとって意味のある満足度の高い行政施策を、住民にできるだけ近い自治体において実現することができるよう精一杯取り組む所存でございます。
 議員の指摘される「凛とした地方政府滋賀」、「凛とした」ということを私なりのイメージで描かせていただきました。


新幹線新駅設置事業中止後の県の対応について

次に新幹線新駅設置事業中止後の県の対応について、知事に以下3点についてお尋ねします。
本件については、新駅設置工事にかかる協定類の内容どおりの履行について、滋賀県と関係各市との合意が成立せず、去る10月31日をもって、本年4月24日にJR東海と締結しました覚書に基づき、協定類が終了、実質上の中止が決定されました。
その後、約1ヵ月余りが経過した現在でも、地元栗東市では地権者の皆様を中心に、新駅設置を前提とした土地区画整理事業への対応や、先行取得用地への対応問題をはじめ多くの課題が山積したままの状態です。
滋賀県が栗東市ともども推進した新駅プロジェクトが中止となった以上、後処理問題についても一定、県にも責任と覚悟があるはずです。知事は10月28日の促進協議会総会における会長報告事項でも述べられましたが、「栗東新都心土地区画整理事業」に対する県の支援に関する栗東市との協議について、現在までどの様な状況なのかお伺い致します。
二点目に、10月28日の総会における同会長報告事項にもありました、栗東市及び関係5市が支出した工事費負担金等についての県としての今後の対応スケジュールについて、県民への説明責任の意味あいも含めてお伺い致します。
三点目に、10月28日の総会における同会長報告事項で提示されました県、栗東市、関係5市等で構成される (仮称)南部地域振興会議の設置時期はいつ頃でしょうか。県としての立場上、中止後の積極的且つ包括的なビジョン策定が必要不可欠であり、湖南全域にわたる広域的な振興策等を検討するべき時期だと思いますが、現段階で県としてどのように考えておられるのかお伺い致します。
先般、基本的な方針を示された以上3点について、遅くとも年内には知事自身が栗東市長と直接対話を行い、基本的な意思の一致を図るべきではないかと思います。県民の皆様共々、我が会派としてもそのことを強く願いつつ、次の質問に移らせていただきます。

   
  

[知事答弁]
新幹線新駅設置事業中止後の県の対応について3点、お答えさせていただきます。
 先ず1点目ですが、「栗東新都心土地区画整理事業」に対する県の支援、また、栗東市との協議、現在までの状況でございます。
 この土地区画整理事業は、栗東市の「まちづくり」そのものでございますが、一方で新駅と手を取り合って進められてきたというこれまでの経過を踏まえ、市との適切な役割分担のなかで相互に連携・協力しながら、この問題を解決する必要があると認識しております。
 こうしたことから、栗東市とは、協定類の終了後、速やかに事務レベルでの協議の場を設けており、これまで数回の協議を具体的に行ってまいりました。
 この中では、仮換地指定に伴う土地利用の制限など地権者の皆さんが直面しておられる当面の課題について協議するとともに、今後の土地区画整理事業の方向性などについて、栗東市とともに検討を始めているところでございます。
 県としては、できるだけ早期に最善の方策を見出し、適切な支援を講じることができるよう、今後とも精力的に協議を重ねてまいる所存でございます。
2点目の、工事費負担金についての今後の対応スケジュールでございます。
 先ず、栗東市を除く関係5市が支出した工事費負担金および大津市が支出した観光振興事業協力金につきましては、ご質問のとおり去る10月28日に開催しました東海道新幹線(仮称)南びわ湖駅設置促進協議会総会で、関係各市が負担した工事費負担金などをJR東海との本清算後に県が負担することを基本的な方針として報告したところでございます。
現在、JR東海から、最終の清算報告書が栗東市に提出されており、JR東海が仮清算後も留保した約9千8百万円のうち、一定額がさらに返還されるものと承知しております。
今後、JR東海に対し栗東市と県により工事の施行にかかる実績確認を行った上、返還額の配分について促進協議会幹事会で確認の上、関係5市の工事費負担金などを県が負担することについて、県議会でご審議いただきたいと考えております。
一方、栗東市の工事費負担金の清算につきましては、栗東市として事業への関わりが深く、工事費負担金以外にもこれに類する経費を負担されていること、また、この区画整理事業に対する県としての支援などの課題もあることから、これらのことと併せて清算について栗東市と個別に協議を進める所存でございます。
3点目の南部地域振興会議の設置時期、また、現段階、県としてどのように考えているかのご質問でございます。
 去る10月12日に開催されました正・副会長会議において、「県南部地域における地域振興の方向性に関する県の考え方(案)」を県からお示しし、そのなかで、県と関係市等で構成する「(仮称)南部地域振興会議」を設置し、「地域産業の振興」、「広域観光の振興」、「交通基盤の整備」といった3つの柱に沿った「(仮称)県南部地域振興プラン」を策定することを提案させていただきました。
この提案については、正・副会長会議では具体的に議論するには至らず、10月28日に開催された促進協議会総会において、今後の諸課題に対する県の基本的な方針の一つとして県から報告したところでございます。
議員ご質問の「南部地域振興会議」については、こうした経過を受けて、今後、正・副会長会議において、関係市等の賛同を得て、できるだけ速やかに設置してまいりたいと考えております。
さらに、具体的な振興策につきましては、「県の考え方(案)」をたたき台として、この会議の場で関係市等とともに、地域が抱える課題をもとに検討し、また、役割分担を明らかにしながら、関係市等との協働により、県南部地域の振興プランの策定に向け取り組んでまいりたいと考えております。

医療制度改革について

次に、医療制度改革について、知事及び健康福祉部長にお伺いします。
平成20年3月の改定に向けて取り組みが進められている「滋賀県保健医療計画(案)」「滋賀県地域ケア体制の整備に関する方針(案)」「滋賀県医療費適正化計画(案)」「健康いきいき21」等についてお伺いします。
 従来は、主に「保健医療計画」や「健康いきいき21」に重点がおかれ、「医療費適正化計画」は各医療保険者において計画・適用されていたのもので、別々に取り組まれていたものが、今回、表裏一体のものとして取り組まれることになったものと理解しています。
 国民医療費は、人口の高齢化とともに増加の一途をたどり、いまや30数兆円という膨大な額に達し、さらに年々1兆円近い状態で増加しています。
 これらの医療費は、加入者や事業主が負担する保険料・税からの負担などで対応されておりますが、負担には限度があります。医療費による亡国をさけるためにも実効あるものにする必要があります。
このことに関し、まず知事にお伺いします。
 今回の計画は、端的にいえば「健康な県民をつくり、活力のある社会を作り、同時に、無駄な医療費を少なくしていく」まさに知事が日頃からいわれている「もったいない」を実現する計画であります。私は、これは非常に大事な計画であり、必ず実効性あるものにしていかなくてはと思っていますが、知事は、この計画の位置づけをどのように考えておられるのか、お伺いします。
計画策定にあたっては、福祉同様に「滋賀県は医療が充実している・健康づくりも日本一」といわれるような取り組みを期待したのですが、残念ながら、この計画案を見る限り、「本気度」が伝わってきません。たとえば、すべての計画は、「努めます。図ります。検討します。必要があります。推進します。促進します。取り組んでいきます。目指します。」となっており、どのようにでも意味がとれ、結果、責任を追求されない計画となり、県民の理解は難しいものとなります。「本気でやるのだ。結果を出すのだ」という意気込み、熱意があれば、もっと具体的にみんなにわかりやすく、共通の目的として理解できるようになるのではないでしょうか。知事のお考えをお伺いします。
 また、県の保健医療行政は、7つの保健医療圏を堅持しつつ各保健医療圏域の水準を確保していくことを基本として推し進められていますが、いま医師の確保、病院経営、病院を支える診療所等の問題を抱え、保健医療圏域ごとの格差が出てきています。特に、本県にあっては医療提供が、これらの圏域の公立・公的医療機関にゆだねられており、今後もこの保健医療圏体制を維持していくのであれば、県自身が体力の弱い圏域の充実を図っていく必要があると考えます。
 知事は現状をどのように認識され、今後どのように整備されるのかをお伺いします。
 次に健康福祉部長にお伺いします。
今回の改正は、医療の世界の仕組みを大きく変える構造改革・財政改革であると認識しております。現在の状況に比べてかなり県民に制限や負担を強いるものになります。法律に基づき運用すべき部分もありますが、弱者をさらに追いつめることのないように県の実態に併せた運用が強く求められています。スムーズな実施についてどのように考えておられるのでしょうかお伺いします。
 さらに、今回の計画において、県・市町・関係団体・県民などの役割分担が示されていますが、「行政と民間の垣根を低くしてキャッチボールをしやすくすること」が今、求められ、そのためには「県自体が前に出て汗をかき、その姿勢をみせること」が必要であると考えますが、お考えをお伺いします。

 

[知事答弁]
医療制度改革につきまして、3点のご質問にお答えさせていただきます。
 まず1点目ですが、計画の位置づけでございます。
 国におきましては、高齢化の急速な進展による医療費の増大、これに伴う医療保 険財政の負担の問題などに対応するため、医療構造を改革し、国民皆保険制度を維 持しつつ、国民が求める安心・安全な医療を実現しようとするための医療制度改革 を開始しております。
 国は、この医療制度改革をすすめるために都道府県に対して医療計画をはじめと する4計画を策定することを求めております。
 県としては、これらの計画の策定にあたり、国の基本理念を受けつつ、県の実状 を十分に反映しながら、生活習慣病の予防、急性期から慢性期を経て在宅療養まで の切れ目のない医療提供体制の整備、療養病床の再編による医療の効率化を図る医 療費適正化、療養病床の再編による受け皿となる老人保健施設等の整備の4つを、 総合的にすすめるための計画として位置付けているところでございます。
2点目の、計画策定にあたって、意気込みと熱意があればもっと具体的に皆にわかりやすく、共通の目標として理解できるようになるのではないか、とのご指摘で ございます。
 計画策定にあたりましては、県の実情を反映するとともに、県民の皆さんに対して県が目指す医療政策の方向をできるだけわかりやすく伝えることに心がけ、基準 病床数、療養病床数と平均在院日数の目標数、特定健康診査や特定保健指導の実施 率等の数値目標を設定したり、あるいは医療機能を明らかにするため具体的な医療 機関名の明示などを行いました。
 さらに、本計画では、国の求める項目に加え、本県の特性を踏まえ、次のような項目を追加いたしました。まず1点目は、子供人口の比率の高い本県の特徴をもとにした周産期医療や小児救急医療などの充実を目指して次世代育成型の保健医療体制の整備を図ることです。
 また、2点目は最近特に課題となっております、海外との行き来が活発となることにより、これまで国内ではあまり知られていなかった感染症の発生が危惧され、さらには輸入食品、医薬品などによる県民の生命、健康の安全を脅かす様々な危機に対応するための健康危機管理体制の充実でございます。
 3点目は、県民の皆さんによる医療資源の有効な活用を図ることやインフォームドコンセントなどを通じ県民と医師等専門家との間のより丁寧なコミュニケーション回路の推進を図ることでございます。
 このような3点を盛り込みまして県としての本気度を示させていただいているところでございます。
3点目のご質問でございますが、二次保健医療圏の医療提供体制の現状についての認識と今後の対策でございます。
 医療圏の現状につきましては、医師の地域偏在、診療科偏在の傾向によりまして、救急医療、小児救急医療、周産期医療に厳しい状況にあると認識しております。
 また、病院と診療所の連携が十分でないという課題があることも指摘されております。
 県としましては、この計画を作るにあたりまして、医師の確保につきましては、全県的なものでありますので「地域医療対策協議会」で協議・検討を行い、その提案に基づいた事業を展開することとしました。
 また、医師確保以外の課題については、地域ごとの現状を見極め、限りある医療資源を有効に活用するため、保健医療圏毎に関係者にお集まりいただき、各医療機関の役割分担や連携について議論いただき、切れ目のない医療提供体制の構築を目指す計画としました。
 具体的には、今後、医療機関の役割分担をすすめるため、医療機関同士をつなぐ診療計画書、いわゆる地域連携クリティカルパスの作成を各保健医療圏で関係者を集めて行うこととしております。
 今後とも、地域や家庭での健康づくりや生活習慣病の予防を図るとともに、医療・保健・福祉・介護の連携によりまして、医療や介護が必要になっても人と人とが支え合い、人生80年時代を誰もが生涯を通じて住み慣れた自宅や地域で自立して心安らかに暮らせる健康福祉の社会づくりを目指し、計画の実現に向けて精一杯取り組んで参りたいと考えております。

[健康福祉部長答弁]
医療制度改革についてのご質問にお答えいたします。
 まず、保健医療計画の策定に当たりましては、本県の状況をもとにいたしまして、県民生活への影響に配慮することに努めているところでございます。
 特に療養病床の再編につきましては、国から示されております全国的基準に加えまして、本県における後期高齢者人口の伸び率、また、病床数の実情を反映させることによりまして、全国標準の約1.5倍、1,733床を療養病床の目標として設定するなど、医療の必要な人が医療を受けられますように、可能な限り本県の実態を配慮したところでございます。
 また、医療の必要度の低い患者の方々が、その人の状態に相応しいサービスを受けられますよう、地域ケア体制の整備に関する方針を定めまして、老人保健施設等への円滑な転換を図りますとともに、保健医療や福祉サービスの提供体制の整備を推進して参ります。
 さらに、現在、療養病床に入院しておられる患者やその家族の方が抱かれる不安に対応いたしますため、医療機関において窓口体制を整え、適切な対応がされますよう、指導・助言や情報提供などを行いますとともに、住民の身近な地域で対応いたしますために、市町やケアマネージャーなどと連携いたしまして、相談体制の構築、確立を図ることとしているところでございます。
 次に、改革の推進に当たっての対応でございますが、この計画は、県民の皆さんの生活にかかるものでありますことから、計画の策定段階から、各地域の保健所が、市町や関係機関と協議をしてまいりました。
 また、全体のまとめに当たりましては、医療関係者のみならず、医療を受ける立場の機関や県民にも参加いただく、医療審議会や高齢化対策審議会などでご意見をいただき、また、現在県民の皆さんのご意見の募集をおこなっているところでございまして、多くの皆さんの理解のもとに進めさせていただいているところでございます。
 実施に当たりましても、医療機関等に国において新たに講じられます療養病床の転換にかかる支援や施設基準等についての情報を提供いたしますとともに、協議や助言を行いますほか、県民の皆さんに計画の周知を図ることにより、円滑な推進に努めてまいりたいと考えております。

医師確保対策について

次に、医師確保対策について、知事及び健康福祉部長にお尋ねします。
6月議会において、医師確保対策予算が成立しました。医師の確保は、相当の時間を必要とするものであることは十分理解しておりますが、県民にとっては一番身近な安全安心にかかる緊急の課題であります。この取り組みが始まって半年ほど経過しましたところで、健康福祉部長に以下3点お伺いいたします。
「医師確保システムの構築」「魅力ある病院づくり」「女性医師の働きやすい環境づくり」「積極的な医師の養成」「働く意欲を引き出す職場環境整備」などの事業に取り組んでいただいているところですが、現在までの各事業の進捗状況をお伺いします。
この医師の確保については、大変難しく、また、長い時間を要しますが、この問題は「一生懸命取り組んだが出来なかった」では済む問題ではありません。結果を出すことによって初めて県民の安心が得られるものであります。その意味で、今後の見込みについてお伺いいたします。
また、現在、彦根市立病院、近江八幡市立総合医療センターにおいて分娩制限が発生していますが、この地域の妊婦の方に対し、県はどのように対処されているのでしょうか。また、産科医師不足からくる妊婦の方の救急搬送の問題は発生していないのかお伺いいたします。
次に、知事にお伺いします。
医師確保は、県民の安全安心に直結する課題であります。医師不足が言われております地域にとっては切実な問題であり、あと3年も4年もという長い時間をこのままの状態で待っているわけにはいきません。県の医師確保対策は各府県で行っている対策とほぼ同じであり、横並びの対策といえます。そのような条件下での期待は難しいと思います。これらの対応策をすすめるのと同時に、むしろ、地元「滋賀医科大学」、従来から関係の深い「京都大学・京都府立大学」あるいは「その他の大学」に対して、知事自らの「トップセールス」が非常に大事ではないかと思います。青森県では知事が先頭に立ち、地元はもちろんのこと、遠く東京や大阪まで少しでも情報があれば駆けつけていき、成果を挙げておられると聞いております。青森県に比べ地理的にも有利な当県においては期待できる手段だと思いますが、お考えをお伺いします。
また、先ほども申し上げましたように、この問題は一朝一夕にして解決できる問題ではなく、非常に長い時間での取り組みになると思います。その間、情勢の変化、担当者の交代などが起こりうると思いますが、その長い時間をしっかりと継続していかなければならないと思います。それも従来どおりの取り組み方ではなく、常に新しい目標設定と評価ができる取り組みが大事であると考えますが、知事のお考えをお伺いします。

 
[健康福祉部長答弁]
次に、医師確保の対策についての3点のご質問にお答えいたします。
 1点目の、現在までの各事業の進捗状況についてでございますが、医師確保総合対策の一つ目の施策であります医師確保システムの構築では、4月に、医師確保支援センターを設置し、病院等からの情報収集や県の事業についての情報発信を行っております。
 また、滋賀医科大学をはじめとする関係大学との連携強化を図る中で、医師の派遣などについて、積極的に協議を進めておりまして、これまでに、産科、小児科など3人の医師を派遣していただいたところでございます。
 二つ目の「魅力ある病院づくり」におきましては、9月から、滋賀医科大学に「地域医療システム学」の寄附講座を開設いたしております。
 この講座では、本県の周産期医療の実態をもとに、産科・小児科医師への支援のあり方や養成方法などについて研究され、公開講座などを通して、若手医師の養成を図っていただくこととなっております。
 また、臨床研修医1年目、2年目の方々を対象といたしました合同研修会をそれぞれ開催し、本県への定着を図っておりまして、115人の参加を得ておりますほか、臨床研修病院を紹介いたしますパンフレットを作成し、配布をしたところでございます。
 三つ目の「女性医師の働きやすい環境づくり」におきましては、病院での、女性医師用の当直室の環境改善などに支援することといたしておりまして、3病院で具体的な取り組みがなされる状況となってきております。
 四つ目の「積極的な医師の養成」におきましては、修学資金貸与制度のもと、本県での就業を約束する修学生を募集し、当初の募集枠を超えます5名からの応募を受けたところでございます。応募のございました全員に貸付することといたしまして、将来、県内に定着する医師の確保を行っているところでございます。
 五つ目の「働く意欲を引き出す職場環境整備」におきましては、勤務医の負担軽減を図りますため、救急当直を専門とする非常勤医師の雇用、事務負担軽減のためのプログラムソフトの導入などについて、補助を行うこととしております。15病院で具体的な事業に着手され、医師の確保や離職防止に役立てていただいている状況でございます。
 次に、2点目の医師確保の今後についてでございますが、医師不足は全国的な課題でございます。また、今後も厳しい状況が続くと予想されますことから、県といたしましては、短期的な対策と中長期的な対策を組み合わせながら、医療機関など関係の皆さんとともに、結果につなげることができますように引き続き全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、3点目の妊婦の方への対応についてでございます。
地域の中核的病院において、産科の分娩制限が行われるという現状を受け、まず、その影響の把握に努めますために、今年の4月から、県内50カ所の産婦人科医療機関の協力を得ながら、新規の妊婦健診及び分娩の受入れ状況について毎月、調査をすることといたしております。
 また、この調査結果をもとに市町や保健所におきましては、妊婦の方に健診や分娩場所等について相談や助言する体制を整えているところでございます。
 最近の調査結果から、状況を申し上げますと、いずれの圏域も新規の分娩の受入れが可能となっておりますが、湖東地域では、1診療所に、東近江圏域においては1病院と3診療所になっておりまして、こうした圏域では、特に、受入れ医療機関が限定される状況となっておりますことから、産科医師確保が喫緊の課題であると認識をいたしております。
 こうした中、彦根市立病院においては、来年2月に院内助産所の開設が予定されており、近江八幡市立総合医療センターでは産科医師の待遇改善に努められる等、医師の確保につながる努力をしていただいております。県といたしましても、先ほど申し上げました県の施策を活用いただくよう協議しながら、各地域の取り組みが成果につながりますよう努めてまいりたいと考えております。
 なお、妊婦の救急搬送につきましては、9月に救命救急センター、各消防本部、医師会、病院協会等が参加されます滋賀県メディカルコントロール協議会において各関係機関のより一層の連携強化について要請を行っております。
 消防を含めた医療機関の努力によりまして、ご質問の地域におきまして、大きな問題は生じていないと聞いております。
 今後とも情報交換を行う等、連携のもとに救急搬送が行われますよう、努めてまいりたいと考えております。

[知事答弁]
次に、医師確保対策についてでございます。医師確保にあたって知事自らのトップセールスをするべきとのご指摘でございます。
 私自身が直接医療機関に出向き、要請することは、大変有効な手段であると考えております。
 既に、例えば、この6月には、滋賀県医師会主催で、県が補助して開催しました、臨床研修1年目の研修医の方々に対する研修会に出向きまして、80名ほどの研修医でございましたけれども、参加者一人ひとりにそれぞれの状況をお伺いしながら、このまま県内に定着し、活躍していただきたいと個別に呼びかけさせていただきました。
 また、各医学大学の学長様、滋賀医科大学、京都大学の医学部長、京都府立医科大学の学長のほか、京都府知事にも直接お会いしまして、現状のおかれている状況などをこちらも説明させていただきながら、それぞれの医師現場の状況もお伺いし、要請を行って参りました。
 また、滋賀医科大学には寄附講座の設置も行いまして、強くお願いしているところでございます。
 さらに、近々、滋賀医科大学では、医学生の講義に出向くことになっており、直接、呼びかけさせていただきます。
 国に対しての要請も、率先して行っておりまして、県としての提案活動のほか、近畿ブロック知事会、中部圏知事会や全国知事会としても要請活動を行っております。
 また先日は、県内の周産期医療の現場を把握するため、大津赤十字病院に伺いました。
 このような現場訪問、あるいは議員のおっしゃるトップセールスでしょうか、お伺いしながら、私自身が留意していることは、何よりもそれぞれの皆さんのニーズを聞かせていただくことでございます。
 それぞれの機関の抱えている課題、そして医師の皆さんそれぞれが抱えているニーズなどお伺いさせていただいております。
 例えば、医師が勤務地を決定する場合、世代によって違う、若い人たちはキャリアアップを狙う、そして中高年の人たちはどちらかといえば待遇改善などを求める、あるいは女性医師の場合には離職防止あるいは再就職の可能性など、それぞれの個人個人のニーズも異なっております。また、組織のニーズも異なっております。
 このような中で、的確なニーズを把握させていただくためにも、直接トップセールスをさせていただくことは大切であると考えております。
そういう中から、県としての具体の施策を充実させ、きめの細やかな医師確保政 策に取り組ませていただきたいと考えているところでございます。

災害時の危機管理について

次に、災害時の危機管理について関係各部長にお伺いいたします。
 去る11月1日、国の中央防災会議の専門調査会は、直下型の花折断層帯の地震がマグニチュード7.4で、南に続く桃山断層なども同時に動いた場合の県内の想定被害を公表しました。その内容は、県内で死者数が最大となる冬の午前5時で1,200人、建物被害は冬の正午で全壊、焼失37,000棟でありました。また、京都府などを含む近畿での想定被害は、平成7年に起きた阪神淡路大震災の規模を遥かに超える死者11,000人、全壊、焼失38万棟との数値が示されました。
 また、さらに花折断層帯は比良山系を挟んで琵琶湖西岸断層帯と並行しており、連動する可能性も含んでおります。一方、その琵琶湖西岸断層帯の今後30年以内の地震の発生率は、0.09〜9%、その地震の規模はマグニチュード7.8と予測されており、被害想定は花折断層帯と並ぶ死者数1,274人、建物は46,000棟が全壊するとされております。今回の想定を踏まえて改めてさらなる防災、減災意識の高まりにつなげることが求められていると言えます。
 そこで県民文化生活部長にお伺いします。
 阪神淡路大震災での犠牲者の83.9%は、建物の倒壊、家具や家電品の下敷きになり、15.4%が火災等で尊い生命を亡くされました。
 これらの教訓からも建物の一刻も早い耐震化対策が必要と考えますが、本県の県有施設、病院、社会福祉施設、学校・幼稚園・保育園、個人木造住宅、その他公共施設の耐震診断と耐震化の進捗状況はどうでしょうか。
 また、世界で起きる地震の20%以上は日本で発生しているといわれています。大地震はいつどこでも発生する可能性があり、小さな地震に備えるのではなく、自分たちの地域が震度7に襲われても揺るがない「災害に強い街づくり」が大切であると考えますが、今回の震度予測による被害想定の情報をどのように検証されたのでしょうか。そして防災、減災に向けて、今後の地震防災プログラムへの取り組みをどのようにされようとしているのでしょうか。
 万一、被災した場合の迅速なる自衛隊への要請や、警察、消防との連携、医療体制をどう確保していくのかも併せてお伺いします。
 また、被災時の橋を含む幹線道路のアクセス確保も必要と考えます。特に本県は、四方を囲む山より琵琶湖に流れ込む数多くの河川があり、それに架かる橋によって地域がつながっております。日本国内には長さが15メートル以上の橋が約14万6100本に上るなかで最も多いのは、今から40年前、高度成長期に造られたものが39800本あるといわれ、本県にも30年、40年経つ幹線道路に架かる橋があると考えられます。それらの橋の設計は地震に耐えられる設計であるといわれていても、幹線道路ゆえの交通環境は苛酷ななかに置かれています。これらの橋を安全に保つための定期点検、補強などの維持管理の現状を土木交通部長にお伺いします。
 防災対策は、「悲観的に準備をし、楽観的に行動する」のがセオリーです。最悪を想定してこそ本当の防災対策であり、自分たちの地域は自分たちで守るための対応策を予め準備をすることが急務であるとの思いを申し上げ、次の質問に移ります。
 
[県民文化生活部長答弁]
災害時の危機管理についての4点のご質問にお答えいたします。
 1点目の県有施設、病院、社会福祉施設などの耐震診断および耐震化の状況についてでございますが、平成18年度末での実績が、県立学校や多くの県民が利用する「防災上特に重要な県有施設」につきましては、耐震診断棟数は、目標294棟に対しまして、225棟が完了しておりますが、耐震化率につきましては、目標71.9%に対して、実績は65.2%であり、目標より6.7ポイント下回っております。
国立病院を除く病院につきましては、耐震化率の目標58.1%に対し、実績は69.8%、民間社会福祉施設では、目標97.0%に対し、実績は98.8%、民間保育所は、目標77.3%に対し、実績は79.4%となっておりまして、それぞれ概ね目標を達成しているところでございます。
 一方、個人木造住宅の耐震診断につきましては、平成18年度末の計画数13,200戸に対しまして、実績は、4,448戸で、進捗率は33.7%でありました。
 また、耐震改修につきましては、平成18年度末の計画数700戸に対し、実績は36戸で、進捗率は5.1%であり、計画数とは大きな隔たりがございます。
 その他市町の公共施設につきましては、目標は定めておりませんが、18年度末では、耐震化率は防災拠点につきましては、65.3%、市町立学校につきましては70.4%となっているのが実態でございまして、市町におきましても努力を重ねられているところでございます。
 2点目の花折断層帯の被害想定をどのように検証したかについてでありますが、花折断層帯は、大きく分けて北部、中部、南部に分かれておりまして、国は、中央防災会議の専門調査会において、断層が動く範囲を中部、南部として設定をし、建物分布、時間帯別屋内滞留人口などを勘案して、高度な専門家の知見に基づきまして、信頼が確保できる被害想定を算出されたものと認識しております。
 その内容は、県が平成17年に公表したそれを上回っておりまして、その要因はいくつかございます。
 具体的には、断層モデルの位置につきまして、県は、県域内の北部、中部といたしましたが、国では中部と、さらには京都市から宇治市を通る周辺人口の多い南部に設定をしていることがあげられます。
 また、地震エネルギーにつきましては、国の方が大きいことや地盤の増幅度(地面の揺れやすさでございますが)につきましても、国の方が大きく設定されていることなどがございます。
 その他、県の被害想定では考慮しておりませんでした風速15メートルのときの焼失家屋も要素に加えられている点もございます。
 なお、大津市南部など一部の地域においては、琵琶湖西岸断層帯の地震を上回る震度6強の想定が示されたことから、県では、速やかに庁内関係部局による連絡会議を開催し、周知を図るとともに、市町との情報共有、ホームページによります県民の皆さまへの情報提供を行ったところでございます。
 3点目の、今後の地震防災プログラムへの取り組みについてでございます。地震防災プログラムは、個別の地震に対応するものではなく、大規模な地震の発生が危惧されるなかで、地震の被害を軽減するために県が取り組むべきアクションプランとして、平成15年度に10箇年計画として策定したものでございまして、「耐震化等の必要な基盤整備」や「地震に備え対応する体制づくり」などハード・ソフト両面にわたっております。
 従いまして、この地震防災プログラムは今回の花折断層の地震による被害想定に対しましても有効な備えであると考えております。
 いずれにいたしましても、地震対策はゆるがせにもできない課題でありますことから、厳しい財政状況ではありますが、それぞれの施策で目標を達成できるよう、各部局とも共通認識をもって精一杯取り組んでまいりたいと考えております。
 4点目の災害時における自衛隊への要請や、警察、消防等との連携、医療体制をどう確保していくかについてでございます。
 自衛隊に対する災害派遣要請は、人命および財産の救援のため必要があり、かつ、その事態がやむを得ないと認められるもので、他に要員を確保する組織等がない場合に行うものでありまして、知事から、県内に部隊を配置しております今津駐屯地司令に要請することといたしております。
 また、警察では、県地域防災計画に定めます災害警備計画に基づきまして、緊密な連携の下に災害警備対策を推進することといたしておりまして、地震が発生し、または被害が発生するおそれがある場合には、早期に警備体制を確立して、県民の生命および身体を保護するための災害警備活動を展開されることとなっております。
 消防では、県地域防災計画に定める消防計画に基づきまして、市町が出火防止、初期消火等の消防活動を、市町の責任において展開されることとなっております。
 また、災害時の医療につきましては、地震などの大規模な災害や事故が起きた場合、災害発生から概ね48時間に重傷者の救命治療を行います「災害医療チーム(DMAT)」でございますが初期活動をされることになっているほか、重篤救急患者の受け入れは、災害拠点病院が行うこととなっております。
 県といたしましては、これら関係機関が、実際の災害発生時に迅速かつ的確に機能できるよう、県の地域防災計画においてきめ細やかに規定をしておりますし、毎年関係機関の参加のもと総合防災訓練等を実施しておりますほか、日常的にも情報交換・情報伝達などを密にしまして、連携を深めているところでございます。

[土木交通部長答弁]
災害時の危機管理についてのご質問の内、橋を安全に保つための定期点検、補強などの維持管理の現状についてお答えをいたします。
 県で管理しております15m以上の橋梁は、全体で約720橋ございます。従来の維持管理は、橋梁が比較的新しいこともありまして、道路パトロールなどにより損傷が発見されてから修繕を行っておりました。
 しかし、今後は、老朽化する橋梁の数が増加していきますことから、その補修に必要な費用の大幅な増嵩や補修時期の集中化といったことが予想されます。そのため、平成17年度よりアセットマネジメントの考え方を取り入れ、まずは、全ての橋梁について職員の目視によります一次点検を行い、その内、補修・補強・修繕工事の情報を得る必要があるというふうに判断される橋梁については、各部の損傷状況・要因・診断・対策区分の判定等々の二次点検を実施しております。これら全ての点検を概ね5年周期で行うこととして、今進めているところでございます。
 この調査結果を踏まえたデータ管理による予防保全を行い、橋梁の長寿命化を図りまして、効率的な維持管理に努めてまいります。
 なお、災害時の幹線となる緊急輸送道路におきましては、昭和55年以前に架設された 99橋の内、耐震対策の必要な86橋について、橋脚や桁の補強を行うなどの対策を実施しており、平成24年度には完了する予定であります。

持続可能な滋賀社会ビジョンについて

次に、持続可能な滋賀社会ビジョンについて、知事にお伺い致します。
 今月3日に、オーストラリアのラッド首相は京都議定書の批准文書に署名致しました。これは、先般行われたオーストラリアの総選挙において、京都議定書の批准を公約に掲げ、野党労働党が圧勝し、政権交代した結果であります。また近年「日本、CO2排出枠購入」「ヒマラヤ細る氷河」など、地球温暖化問題やごみ問題など、環境の話題が出ない日がないほど、環境に対する意識が向上しております。一方、企業においても、環境性能をPRしたり、環境・社会貢献を積極的に行ったりしています。それだけ、環境問題は非常に差し迫った状況にあり、持続可能な社会の実現に向けて、世界が胎動しているといえるのではないでしょうか。
 このたび、滋賀県においても、2030年を目途とし、「持続可能な滋賀社会ビジョン」の作成にむけて、準備を進めてますが、そもそも持続可能な滋賀社会とはどういった社会を考えているのでしょうか、ビジョンの必要性も含め、お伺い致します。また、2030年の滋賀の姿がどのようになっているのか、琵琶湖の姿、県民の生活、経済活動、それぞれのイメージをお聞かせください。
 次に2030年の目標を、低炭素社会の実現、琵琶湖環境の再生とそれぞれ掲げています。
 まず、「低炭素社会の実現」に向けた取り組みに関してお伺い致します。
2030年の目標を1990年比50%削減とされていますが、実現可能性は本当にあるといえるのでしょうか。また一方で、国連会議では、日米欧の先進国に対し、2050年に温暖化ガスを60〜80%の削減を提案されようとしています。そういった世界的な潮流のなかで、滋賀県として、2050年に向けて、さらなる20年をどのように導いていかれるのかお伺い致します。
 次に、琵琶湖環境の再生に関してお伺い致します。
知事は2月議会においても、「今年の冬のような状態、雪がなく、周辺の流入する水の水温が高い、また湖の上層の温度が下がらないというようなところで、湖底の低酸素化が一層推進されるのではないか」と、琵琶湖の深呼吸の問題を心配され、また10月22日の調査結果では、溶存酸素濃度は過年度平均よりも低くなっており、地球温暖化の影響が琵琶湖の水質にも及ぶ恐れがあります。これら琵琶湖環境の影響が今後、どのようになると認識されますでしょうか。
今後、琵琶湖に対する様々な問題が起こりうる状況の中で、先般11月27日の定例会見で、琵琶湖研究部門の組織的な再編を述べられましたが、統合・再編により、調査研究活動に対し、影響がでないのかお伺い致します。
 一方で、2030年の目標では、滋賀県持続可能社会研究会のシナリオにおいては「循環システムの構築」がありましたが、産業と環境を考えていく上で、廃棄物問題・循環型社会の構築には欠かせない課題であると考えますが、循環システムの構築、その中の廃棄物最終処分量75%減がなくなった理由をお聞かせください。
 次にビジョンの目標達成に向けて、さまざまなる対策・施策を行われることになりますが、9月の代表質問においても、温室効果ガス排出量は産業部門の削減は進んでいるが、運輸部門、家庭部門はむしろ増加していると述べましたが、具体的に示されている対策・施策をどのようなプロジェクトとして推進されるのでしょうか、その際の財源はどのように確保されようと考えているのかお伺い致します。
 持続可能な社会を実現していくためには、何よりも環境と経済の調和が必要不可欠であります。これまでに高度経済成長時代に公害による環境破壊が起こった際には、規制の強化がなされましたが、各企業の努力により、環境技術が向上し、結果とし国際競争力において、優位に立つこととなりました。また昨今、社会のニーズにより、各企業が環境をビジネスの一環として取り組みを行っております。先般も、滋賀エコ・エコノミープロジェクトが立ち上がり、滋賀県の経済界も自然環境への負荷を低減しながら、県内に新たな雇用創出と事業活動における革新をもたらすべく、環境成長経済の実現に向けた「新しい発展モデル」の創出にむけて動き始めております。
 環境負荷の低減に向けたインセンティブの道筋をどのように考えておられるのでしょうか。規制や環境税、補助金をはじめとした経済的誘因等、さまざまな手法がありますが、考えている具体例があれば、お伺い致します。
 最後に、琵琶湖の富栄養化の際には、せっけん運動が県民運動として巻き起こり、滋賀モデルが日本のスタンダードとなりました。「悠久の歴史をつづりながらさまざまな人間活動をささえてくれたびわ湖を」次の世代に引き継ぐ、また県民一人ひとりが地球環境への思いやりをもって行動できる、新たなる滋賀モデルの創出に向けて、どのようにこの「持続可能な滋賀社会ビジョン」を作成され、結果をだしていかれるのか、意気込みをお伺いし、次の質問に移ります。
 
[知事答弁]
持続可能な滋賀社会ビジョンについて9点のご質問にお答えさせていただきます。
 まず1点目はビジョンの必要性でございます。
 改めていうまでもなく今日、私たちは大量生産、大量消費、大量廃棄を基調とする社会システムによりまして、地球に過度の環境負荷を与え、その結果、「地球温暖化の危機」、「資源浪費による危機」、「生態系の危機」に直面しております。
 こうした危機を回避して、この地球環境を健全な姿で将来世代に引き継ぐために、社会経済活動を環境容量内に納めながらも、豊かさを確保できる持続可能な社会へと転換を図っていかなければなりません。
 この地球規模の課題の解決に向けた取組のフィールドは地域、それぞれでございます。滋賀においても固有の風土や地域資源などを活かした持続可能な社会を構築していく必要であります。
 ビジョンでは、持続可能な滋賀社会を、「琵琶湖をはじめとする滋賀の環境と生態系が健全に保たれ、バランスのとれた経済発展を通じて、県民すべての生活の質の向上が図られている豊かで安全な社会」としております。
 持続可能な滋賀社会への転換を進めていくためには、県民、事業者、行政が目指すべき将来像をまず共有し、目標に向かって責任を分担し、協調して取り組むことが大切でございます。そのために各主体が共有する指針としてこのビジョンの策定したところでございます。
 2点目の2030年の滋賀の姿でございます。
 ビジョンで描いている2030年の滋賀の姿は、同じ時期を目標としております滋賀県基本構想における将来像を、環境の視点からより具体的に描いたものでございます。
 例えば、琵琶湖では「琵琶湖や流域河川では在来の魚貝類でにぎわい、生物多様性が確保され、さらに、人々が琵琶湖で憩い、人と琵琶湖の関係が近くなっている」とその望ましい姿をイメージしております。
 また、県民の皆さんの生活の様子としては、「人々が家族や地域、世代間のつながりを大切にし、支え合いながら暮らし、生活の中では環境への負荷が少ない暮らしぶりが定着している」姿として描いております。
 さらに、経済活動の面で、「あらゆる産業の現場で低炭素型の施設や設備が導入されており、環境に関わる試験研究、技術開発が展開されており、伝統的なしくみや技術も再評価され、新しい技術として活用されている」ことをベースとしながら、「県内ニーズの高まりから地産地消が進み、農業が魅力ある産業になっている」あるいは、「活発な知的財産の創造が行われ、産業が活性化され、省エネ技術や環境汚染対策技術などを扱う企業が多く立地している」など、それぞれの産業の望ましい発展のあり方を描いています。
 次に3点目の2050年、先進国は60から80%削減という潮流の中にあるが、さらなる20年をどのように導くかとのご質問でございます。
 IPPC(気候変動に関する政府間パネル)の科学的な知見に基づきまして、ヨーロッパの先進国や米国カリフォルニア州では、1990年比で2050年には60%から80%の削減という大幅な削減目標を掲げております。また、我が国でも今年6月に発表されました「21世紀環境立国戦略」では、2050年までに現状比で半減することを世界共通の目標とするよう提唱しております。
 こうした世界の潮流を踏まえ、先進国に求められる責任も考慮すると、1990年を基準年として2030年に半減するという滋賀のビジョンの目標は、持続可能な社会を実現するためには達成しなければならないものと考えております。できるかどうかではなく、達成するためにどうしていくかを考え、実践していかなければならないものと認識しております。
 もとよりこの半減という目標ですが、県だけの取組で達成されるものではございません。国、産業界、そして家庭など、すべての主体の取組を合算して達成できる目標値でございます。
 2030年から2050年までの過程は、このビジョンでは想定しておりませんが、2030年を目標年に据えたこのビジョンの実現は、わが国が提唱している2050年に向けての目標達成を後押しするもの、あるいは先取りするものとも考えているところでございます。
次に、4点目の温暖化の影響が琵琶湖の水質に及ぶおそれ、それをどのように認識しているかでございます。議員ご指摘のように、琵琶湖の北湖の深層部の溶存酸素濃度につきましては、昭和54年以来、今津沖の中央部の定点で定期的に観測しておりますが、この10月には1.7mg/lを観測しました。この値は過年度の最低値0.9mg/lより高い値であるものの、過年度の平均値より低いものでした。また、今年から調査を開始した竹生島の南西約6kmに広がる第1湖盆の中央部では0.3mg/lという低い値を観測しました。周辺6地点の観測結果から、このような状態は狭い区域内に限られており、その後の観測でも溶存酸素がさらに低下する傾向は見られていません。
今津沖の定点において最も低い溶存酸素濃度を観測した昭和62年や平成14年においてもその後溶存酸素濃度は回復しており、今年の場合も現在のところさらに低下する傾向は見えませんが、今後は、地球温暖化の影響という視点も視野に入れながら、調査頻度や調査地点を密にして慎重に調査を行って行きたいと考えております。
なお、このように湖心部の底層の酸素濃度が低い値を示した原因は、直接的には、暖冬により上下の循環が遅れたことによるものと考えておりますが、地球温暖化との関係につきましては、現在のところ、専門家の間でも定説が固まった状況にはありません。
低酸素化による影響については、底泥からのりんの溶出や底生の生物の減少などが考えられますが、現在の状況から直ちにこのような状態に至るとは考えにくいですが、水温や水流との関係の解析、底生生物の調査、海外の湖沼の先行事例の研究など知見を収集し、基礎的な調査から、研究を積み上げていなかければならないと考えております。
 次に5点目の琵琶湖研究部門の組織再編は調査研究活動に影響が出ないかとのご質問でございます。
 定例会見で申し上げましたことは、琵琶湖研究のよりよい進展につながればとの思いで申し上げたものでございます。
 琵琶湖の環境保全をより一層推進するために、琵琶湖環境科学研究センターをはじめ県の試験研究機関では、他の研究機関との共同研究等を推進しているとともに、琵琶湖総合保全の取組の持続的な改善を図るために設置しております「琵琶湖総合保全学術委員会」においても、多くの大学等の専門家や国の関係省庁のご参画をいただいているところです。
 さらに、研究の効率化を進めるとともに、新たな課題に対応しながら戦略的な研究を進めるためにも、特にこれまでの県内の各研究機関が長い時間をかけて蓄積してきた研究成果、また人的資源を有機的に活用し、より緊密な連携を図っていくことが重要であると考えており、そのためには、いろいろな可能性を含めて議論を始める時期ではないかと認識しております。
 次に6点目の滋賀県持続可能社会研究会の発表した「持続可能社会の実現に向けた滋賀シナリオ」に掲載されている循環システム構築の目標「廃棄物最終処分量75%減」がビジョンに掲載されていない理由でございます。
 温暖化対策が、地球環境問題の最重要事項の一つとして位置づけられる中で、「温室効果ガスの削減率」が国際社会共通の指標となっておりまして、今後もさらに象徴的なまた重要な尺度となることが予想されます。
 しかも、温暖化対策は省エネ・省資源に寄与し、結果的には循環社会の構築にもつながる指標となります。
 このような点を考慮して、ビジョンの目標としては、「温室効果ガスの削減」と「琵琶湖環境の再生」の2つに絞ることとしたところでございます。
 次に7点目の運輸部門、家庭部門の温室効果ガス削減対策についてどのようなプロジェクトとして推進するのか。財源の確保はどうするのかでございます。
 運輸部門における対策としては、公共交通機関や自転車の利用促進、自動車に頼らない物輸送の推進、さらには農産物や木材の地産地消を確立して輸送距離を短くし輸送に係る排出量を低減させる取組などが考えられます。
 また家庭部門では、クールビズやウォームビズなどの環境配慮行動や環境家計簿などによる自主的な省エネの取組を暮らしの中に根付かせることをはじめとしまして、高断熱・省エネルギー仕様やIT技術を活用したエネルギー管理システムを導入した住宅の普及促進、さらには環境意識を高めるための環境学習の充実などがあります。
 いずれも県が単独で推進を図るものではなく、県民や事業者、市町、国などがそれぞれに相乗効果を発揮して、大きな成果が生じるものであります。
 県の行う取組につきましては、国等の補助や支援を積極的に取り込んで展開するほか、環境配慮行動を促進する仕組みづくりや情報提供、さらには事業者に対して排出量の削減を誘導する制度づくりなど、様々な政策手法を効果的に組み合わせていく必要があると考えております。
 特に、滋賀県におきましては環境政策また研究の蓄積がございます。この滋賀県、琵琶湖の相対的な有利性を戦略的に発信することによりまして、国、文部科学省、さまざまな機関等からの財源確保も精力的に図って参りたいと考えております。
 8点目の環境負荷の低減に向けたインセンティブの道筋でございます。
 県民や事業者の環境配慮行動を広めていくためには、その努力が経済的あるいは社会的に評価され、効果が実感できるなど、インセンティブで人々を導く仕組みが求められております。
 ともすれば環境政策は、北風と太陽の比較の中で、北風路線も多かったわけでございますが、このインセンティブをうみ出すと言う意味では太陽路線が必要であろうと考えるわけでございます。
 そのような下、ビジョンでは、具体例として、家庭での省エネ行動の実践によるCO2削減結果に応じて経済的メリットを得られるような仕組みを提案しております。これは各家庭が省エネルギー活動に取り組み、その成果をウェブ上に登録することで、協賛企業から商品やサービスを受けることができるというような楽しみを含んだ仕組みでございますし、また家庭でのインセンティブになると共に、企業のCSR活動、社会貢献活動や広告宣伝にもつながるものと考えております。
 この仕組みを実現するためには、協賛する企業の確保、各家庭の取組が継続していくための魅力ある商品・サービスの開発などの課題はありますが、家庭における自主的な環境配慮の活動を後押しする仕組みとして有効であり、実現に向けて検討していきたいと考えております。
 また9点目のご質問でございますが、ビジョンの策定と実現に向けての意気込みでございます。
 「地球温暖化の危機」「資源浪費の危機」「生態系の危機」。この3つの危機に直面している現状を乗り越えて、必要な対策を講じ、滋賀の豊かさを子や孫の世代に引き継いで行かなくてはなりません。
 そのためには、このビジョンを県民、事業者のみなさんと共有し、行政と共に各々の役割を自覚しながら、次世代のための共通の責任として力を合わせ、持続可能な滋賀を実現していきたいと考えております。
 その実現に向けた取組といたしまして、県民、事業者の創意工夫、活力を最大限に引き出し、県民生活の質の向上や新たなビジネスチャンスの拡大など滋賀県全体の発展につなげて参りたいと考えております。
 ともすれば、経済と環境は相対立するものと考えられて参りましたが、今や環境保全、経済成長、共に求めること、これが社会的にも実現できる状況になっております。
 ビジョンでは、重点プロジェクト例といたしまして、いくつかの具体的施策も提示しておりますが、この滋賀県の将来像、その実現のための対策・施策の基本方向は、次年度に予定しております「滋賀県環境総合計画」の改定や関係する諸計画に基本指針として活かし、具体的な環境政策、地域の活性化策につなげていくことといたします。
 30年前、まさにせっけん運動、琵琶湖の赤潮という危機を内面化しながら、はじまり広がったせっけん運動でございます。「わたくし」という一人称の台所、洗濯機から始まった二人称、三人称に広がる活動。まさに今、次の新たなステップが求められているところでございます。危機を正しく共有しながら、問題を内面化、自分化し、そして人と人のつながり、制度の工夫の中で、「もの」と「こと」と「こころ」がつながる滋賀ビジョンづくりに努めて参りたいと考えております。
最後に、琵琶湖の富栄養化の際には、せっけん運動が県民運動として巻き起こり、滋賀モデルが日本のスタンダードとなりました。「悠久の歴史をつづりながらさまざまな人間活動をささえてくれたびわ湖を」次の世代に引き継ぐ、また県民一人ひとりが地球環境への思いやりをもって行動できる、新たなる滋賀モデルの創出に向けて、どのようにこの「持続可能な滋賀社会ビジョン」を作成され、結果をだしていかれるのか、意気込みをお伺いし、次の質問に移ります。

環境こだわり農産物の滋賀ブランド化と地産地消についてについて

次に、環境こだわり農産物の滋賀ブランド化と地産地消について、農政水産部長にお伺いいたします。
 本県では、平成15年に湖国の農業の健全な発展と琵琶湖等の環境を保全することを目指し、化学的に合成された農薬や肥料の使用を削減することなど、環境への負荷を低減し、農業の有する自然循環機能を高める取り組みとして、環境こだわり農業を県民が一体となって推進することを決意し、滋賀県環境こだわり農業推進条例を制定しました。
 この条例に基づき滋賀県環境こだわり農業推進基本計画が策定され、平成19年には必要な見直しのもと、計画期間を平成22年度として施策の方向などが定められてきました。
 一方、平成18年度からそれまでの「しがの農林水産ビジョン」を全面的に改定し、計画期間を平成22年度として施策の展開方向を示す計画として、「しがの農業・水産業新戦略プラン」が策定されています。
 このどちらの計画やプランにも環境こだわり農産物のブランドの確立が基本方針に掲げられているところであります。今日まで生産の拡大、生産情報の発信、販路の拡大等の施策を進めてこられたことと考えますが、今日までの取り組み並びにその成果についてお伺いします。
平成18年度末の「しがの農業・水産業新戦略プラン」進行管理結果の中で、地産池消の推進と滋賀ブランドの確立の施策において、課題および今後の取り組みが記載されています。この中で、野菜全体の作付け面積が減少していることを受け、県域および地域において地産地消の取り組みを推進できる体制強化に努めるとともに、地場農産物を求める県民ニーズに応えるため、引き続き野菜の生産拡大を図る。新鮮で安全・安心な県産野菜の年間供給システムの構築を促進としておりますが、具体的にはどのような取り組みをしようとされているのか伺います。
 また、現在、県内でも道の駅やJA等が農産物や加工品の直売を行っています。実態をどのように把握されておられるのか併せてお伺いします。
 今日、市場調査に基づいて生産や販売方法を改善しながら産地活動を進めている産地が元気だと言われています。元気な産地は、消費者のニーズを的確に捉え、「売れるもの」を作り、「売るための戦略」を立てているわけであります。
 今まで「出荷規格を厳しくして、いいものを作ればきっと売れる」、「市場に出荷すれば、後は市場が売ってくれる」というように、長い間、産地にとっては販売とは卸売市場に出荷のことであり、作れば売れる時代は、市場に出荷するだけでも産地として経営が成り立っていました。
 ところが、今や販売先は多種多様となり、最終的に買ってくれる消費者ニーズに対応できない多くの産地が存亡の危機に陥っているといわれています。
 今こそ産地の武器になる農産物を滋賀ブランドに育てて、力強い産地形成を目指すべきと考えます。本県におきましては、一部にはこのような動きがあるものの、まだまだと言うのが現状と考えます。県としての現状の認識と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 今後、農産物や加工品を生産者が販路開拓や販売を担っていくことが考えられます。こうなると単に生産者としてではなく、企業家として育っていくことも期待されるものと考えます。地域の商工業者として自立していくことも視野に入れていく必要があります。県の組織では農政水産部所管を超え商工観光労働部の所管に入ってくる農業者も出現し、農政と商工が連携しなければならない事も想定されます。今後は、こうしたことも視野に入れ、関係各部局と連携した政策展開を図れるよう提言し、次の質問に移ります。
 
[農政水産部長答弁]
環境こだわり農産物の滋賀ブランド化と地産地消についての4点のご質問にお答えをいたします。
 まず1点目の、環境こだわり農産物のブランド化についての取組ならびにその成果についてお答えいたします。
 生産の拡大につきましては、平成13年度の認証制度創設以来「環境農業直接支払制度」や「世代をつなぐ農村まるごと保全向上対策」が強い後押しとなりまして、本年度の栽培面積は約10,200haになっております。このうち水稲は約8,800haとなり、作付面積全体の4分の1を占めるまで拡大しておりますが、野菜等は約400haにとどまっております。
 情報の発信につきましては、平成17年1月に「環境こだわり農産物」という名称を商標登録いたしまして、各種メディアやイベントでの情報発信に加え、びわ湖大橋米プラザをアンテナショップとして活用するなどPRを行ってまいりました。その結果、平成18年度に実施した県民意識調査におきましては、環境こだわり農産物を「知っている」と答えていただいた方は44%となり、県民の理解も徐々に進んでいると認識をしております。
 販路の拡大につきましては、大手量販店等において「専用コーナー」の設置を進めてまいりましたところ、平成18年度には38店舗で設置されるなど、次第に取り扱いが広がってまいりました。また、県内大手ホテルで環境こだわり農産物を用いた料理プランが継続して実施されますなど、外食産業等におきましても利用され始めているところでございます。なお、環境こだわり認証マークを表示できる加工品につきましても、現在ペットボトル茶、餅、酒など22品目にまで拡大をしてきております。
 2点目の「しがの農業・水産業新戦略プラン」進行管理結果における地産地消の推進等についての具体的な取組についてであります。
 まず、体制強化につきましては、地域の直売所を核とした地産地消を進めるため、平成19年度から21年度までに順次、地域振興局や県事務所ごとに地産地消推進会議を設置することとしております。
 今年度は県内3つの地区で設置し直売所や食品加工業者へ地場農産物の供給を促進するなど、生産と消費を結びつける方策の検討を進めております。
 また、野菜の生産拡大につきましては、本県における野菜の自給率は重量ベースで全国平均83%でございますが、本県45%と低く、県内の消費を賄える生産量には至っていない状況でございます。
 このため、地域ごとに生産者や農協などが主体となって野菜の産地づくり計画の策定を進め、その計画の実現に向けては、普及指導員による生産組織の育成や生産技術の指導を行うこととしております。ハード面では、パイプハウスや機械の導入に対する支援を行うことによりまして、一層の生産拡大を図ってまいりたいと考えております。
 さらに、県産野菜の年間供給システムの構築につきましては、量販店などでは年間を通しての販売がなされておりませんことから、卸売市場の機能を活かし、消費者が県産野菜をいつでも入手できるよう、本年度から、県内量販店に「近江の野菜」年間販売コーナーを設ける事業に取り組んでおります。これは、県内で生産される多様な野菜を各産地がリレーし、年間を通して供給できる体制を作ることにより、県域での地産地消を推進しようとするものでございます。
 3点目の農産物や加工品の直売の実態についてでございますが、平成18年9月に実施した実態調査によりますと、県内のほぼ全域にわたって139箇所の直売所がございます。この内訳は道の駅14箇所、農協38箇所、生産者組織50箇所、その他37箇所で、全体の55%にあたる77箇所は週3日以上の営業をしております。
 これら直売所の中には、道の駅で年間約4億円の売上をあげているところもありまして、地域内流通の拠点として、また、生産者と消費者との交流の場として、大きな役割を担っているものと考えております。
 4点目の農産物のブランド化と産地形成に対する現状認識と今後の取組についてであります。 県産農産物につきましては、野菜や果樹等の生産量が少なく年間を通した出荷が困難であり、また、消費者にとってイメージが薄いのが現状であるほか、施策の面では、流通・販売対策よりも技術対策や生産対策を中心に取り組んできたところであり、こうしたことが、ブランド化や産地形成を図る上での課題でございます。
 ご指摘のように、食の多様化が進み、産地間競争が激化する中で、県産農産物の優位性を発揮させるためには、生産者だけでなく県や関係団体等も含めて、消費者視点に立って、「作ってから売る」から「売るために作る」に意識改革し、農産物の流通・販売戦略に取り組むことが必要となっています。
 このため、県におきましては、昨年度から部内関係課でチームを編成し、農水産物のマーケティング戦略を検討しているところでございます。併せて、具体的な取組として下田なすや彦根梨、伊吹大根など県内で受け継がれている伝統野菜や特産物が、県の顔となる地域ブランドに育つよう支援するほか、県産農産物の輸出など、新たな市場開拓の可能性の検討などを行っているところでございます。
 今後、環境こだわり農産物をシンボルとし、安全で安心な滋賀の農産物全体のイメージの確立に取り組みますとともに、近江米や近江茶、近江の野菜など品目に応じたターゲットとなる市場を絞り込み、ブランドの確立を図っていくことが必要と考えております。
 また、農産物の生産から流通に関わる関係者が、共通の意識を持って行動することが何よりも大切ですので、これら関係者により県産農産物のマーケティング推進会議を設置し、滋賀ブランドの確立に向けて、総合的、一体的に取り組んでまいりたいと考えております。

子育て支援について

次に「子育て支援について」知事並びに副知事にお伺いいたします。
滋賀の合計特殊出生率が1.41となり、本格的な少子化社会を向かえ、次世代育成支援対策推進法に基づいて、平成17年度から5年間の前期計画として滋賀県次世代育成支援行動計画「子どもの世紀しがプラン」が策定されました。
 本年は、滋賀として「もったいない」を活かす「次世代育成型」県政の方針に沿い、「子育て三方よし」政策の企画検討、立案、具体化に向けた全庁的・横断的な取り組みを進めています。そして、従来の少子化対策推進本部と青少年・子ども育成推進本部の役割を発展的に継承し、「滋賀県子ども・青少年施策推進本部」が本年5月5日こどもの日に設置されました。また、子ども青少年の政策の一元化として子ども・青少年局も設置されました。副知事を本部長とした全庁的な体制で、こども・青少年育成および少子化対策を総合的かつ有機的に推進されることを期待するものです。
まず、滋賀県として、これからの子ども・青少年の政策の方針を本部長である副知事にお伺いいたします。
 一方で、滋賀県基本構想素案が提示され、厳しい財政状況の中、平成20年度から22年度の3年間の新たな財政改革プログラム案を提案しておられます。
そのような中で、子育て・青少年施策推進本部の会議は、6月と11月に2回開催されただけです。11月14日開催の第2回本部会議では、平成20年度子ども・青少年施策の取組方針が決定されております。
全庁的な取組として、体系的に重点化し、連携することが重要だと思いますが、基本構想素案・財政改革プログラム案へ具体的にどのように反映されたのでしょうか、副知事にお伺いいたします。
 平成20年度当初予算編成要領の基本方針では「県民の生命とくらしを守る、次世代を育成する」ということを柱にしておられます。見積基準の中でも5つのテーマとして第一に挙げておられる「社会で子育てを支える」は、滋賀県基本構想素案でも重点的な施策の方向に位置づけています。その構想の第4章の具体的な施策展開では、子育て支援サービスの推進や子育てに伴う経済的負担の軽減など、子どもを安心して育てる環境づくりが示されております。
次世代育成支援対策推進法に基づく「子どもの世紀 しがプラン」には、『平成16年県政世論調査によると、既婚者の理想の子どもの数の平均は2.55人となっていますが、実際に、もつつもりの子どもの数の平均は2.08人となっております。理想の子どもの数より少ない理由は「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」を理由にあげる人が53.1%で最も高いとされています。その中で、基本目標と具体的施策の推進では、子育てや教育に伴う経済的負担の軽減として、「乳幼児医療費の負担軽減を図るため、公費負担を行うとともに、通院の支給対象年齢を就学前まで引き上げることなどを含めて、乳幼児医療費助成制度のあり方について検討を行います。」』と明記されています。通院については平成18年10月から就学前まで1レセプト500円以上の負担の軽減という施策などに取り組んでこられました。
しかしながら、財政改革プログラム案では、「通院については1500円以上の負担軽減」と乳幼児医療費助成の後退とも言える内容が挙げられております。嘉田知事は、「子どもや若者の育ちを支援する政策にお金をいれる事も必要です。」と次世代育成型の政治を目指し、マニフェストの中に『小学校就学前までの乳幼児医療の全額無料』を掲げておられます。
滋賀県として、従来の縦割りの中での枠配分の一律カットを考えるのではなく、部局をこえ、子育て家庭を支える施策として、せめて現在の乳幼児医療費助成の施策は堅持すべきと考えます。
この冬もインフルエンザの流行が危惧されております。子どもの病気は兄弟姉妹にも移りますし、怪我をしたり、熱を出したり、負担は1500円になるだけでは済まないのです。庶民の負担が様々増え、格差はさらに拡大していくと言われる中、負担の重圧と不安がさらに子育て家庭へと重くのしかかります。
子ども・青少年施策推進本部で決定された平成20年度取組方針では、「第2次ベビーブーム世代が30歳代であるのも、あと数年程度であることを踏まえると、実行可能な施策が有効に機能するよう速やかな対応を図る必要がある。」と述べられております。今、少子化対策にとって重要な時期に、乳幼児医療費助成制度など安心して産み育てられる社会のための施策を後退させるべきではありません。嘉田知事のご見解をお伺いいたします。
 
[副知事答弁]
子育て支援につきましての2点の御質問にお答えをいたします。
 まず、これからの政策の方針についてでございます。
 今年度新たに、子ども・青少年施策推進本部を設けまして、子ども施策から青少年施策までを一体的に推進することといたしております。
 これまで、関係所属間で子育てを巡る現状や課題の共有を行い、そして、今後の施策の在り方を全庁横断的な形で検討をしてまいりました。
 この検討に当たりましては、県施策の現状把握を、子育ての現場にかかわるNPOや保育施設の職員の方、市町の職員の方等とも意見交換を行い進めてまいりました。
 その意見の中では、例えば、「行政サービスは整っているけれども、利用の仕方を知らない人、どこに相談すればよいか分からない人がいる。サービスが必要な人に行き届く工夫が必要」という御意見、あるいは「支援のタイミングが重要。妊娠から生まれて半年ぐらいまでの間がとても大事であり、その時期の孤独をどうするのか」といった声を、子育てにかかわる方から伺っておるところでございます。
 こうしたことも踏まえながら検討をする中で、核家族化や地域のつながりの希薄化の中にあっても、必要な人、必要な時に、必要なサービスが行き届くようにし、子育て家庭の不安感や負担感を緩和するような仕組みを導入することが重要であるといった方向性が浮かび上がってまいりました。
 こうしたことも踏まえまして、推進本部におきましては、去る11月14日の本部員会議におきまして、「社会で子育てを支える」という施策の方向に沿いまして、子育てに対する県民の理解と共感を広げていくとともに、地域の人材・資源による、いわゆる「地域力」を活用しながら子育てを支える仕組みづくりを進めていくことなどを、今後の重点的な政策の方向といたしたところでございます。
 2点目の、基本構想・財政構造改革プログラムへの反映についてのお尋ねでございます。
 推進本部設置以降、情報・課題の共有と併せまして、本部に置きましたプロジェクトチームの横断的な政策立案の過程を通じまして、その意見を基本構想に反映するなど、整合を図りながら進めてまいったところでございます。
 基本構想におきましては、戦略の一つに「社会で子育てを支える」を掲げまして、働き方の見直しや再チャレンジを可能とする柔軟な社会環境づくりを進めるとともに、仕事と家庭の両立が可能な職場環境の整備、そして保育サービスの充実、地域の様々な人々がかかわって子育てを支援する仕組みづくりなどを進めることといたしております。推進本部における議論を位置付けたものといたしておるところでございます。
 財政構造改革プログラムの策定につきましても、次世代にツケを残さない行財政基盤を確立をするという大きな課題の中で、推進本部での議論や政策方針を踏まえ、残すべきものや、制度の維持のためにも見直しすべきものなど、子ども・青少年施策を持続可能な形で進めていくための一定の判断をさせていただいたところでございます。
 予算編成におきましても、「社会で子育てを支える」を重要テーマの一つとするとともに、本部といたしまして、「ワーク・ライフ・バランスに配慮した仕事と家庭の両立支援」や「子どもと子育てに対する社会的理解の推進」、「地域がかかわる子育て・子育ち環境づくり」といった取組方針を各部局に示し、平成20年度施策の構築に当たることといたしております。
 この取組方針などの下に、本部長の立場からも予算化に向けて最大限努力いたしますとともに、施策のフォローアップ、事業実施に当たっての連絡調整など、全庁的な連絡に努めながら、基本構想に掲げるところの「社会で子育てを支える」仕組みづくりの実現を図ってまいりたいと考えております。

[知事答弁]
子育て支援につきましての2点の御質問にお答えをいたします。
 まず、これからの政策の方針についてでございます。
 今年度新たに、子ども・青少年施策推進本部を設けまして、子ども施策から青少年施策までを一体的に推進することといたしております。
 これまで、関係所属間で子育てを巡る現状や課題の共有を行い、そして、今後の施策の在り方を全庁横断的な形で検討をしてまいりました。
 この検討に当たりましては、県施策の現状把握を、子育ての現場にかかわるNPOや保育施設の職員の方、市町の職員の方等とも意見交換を行い進めてまいりました。
 その意見の中では、例えば、「行政サービスは整っているけれども、利用の仕方を知らない人、どこに相談すればよいか分からない人がいる。サービスが必要な人に行き届く工夫が必要」という御意見、あるいは「支援のタイミングが重要。妊娠から生まれて半年ぐらいまでの間がとても大事であり、その時期の孤独をどうするのか」といった声を、子育てにかかわる方から伺っておるところでございます。
 こうしたことも踏まえながら検討をする中で、核家族化や地域のつながりの希薄化の中にあっても、必要な人、必要な時に、必要なサービスが行き届くようにし、子育て家庭の不安感や負担感を緩和するような仕組みを導入することが重要であるといった方向性が浮かび上がってまいりました。
 こうしたことも踏まえまして、推進本部におきましては、去る11月14日の本部員会議におきまして、「社会で子育てを支える」という施策の方向に沿いまして、子育てに対する県民の理解と共感を広げていくとともに、地域の人材・資源による、いわゆる「地域力」を活用しながら子育てを支える仕組みづくりを進めていくことなどを、今後の重点的な政策の方向といたしたところでございます。
2点目の、基本構想・財政構造改革プログラムへの反映についてのお尋ねでございます。
 推進本部設置以降、情報・課題の共有と併せまして、本部に置きましたプロジェクトチームの横断的な政策立案の過程を通じまして、その意見を基本構想に反映するなど、整合を図りながら進めてまいったところでございます。
 基本構想におきましては、戦略の一つに「社会で子育てを支える」を掲げまして、働き方の見直しや再チャレンジを可能とする柔軟な社会環境づくりを進めるとともに、仕事と家庭の両立が可能な職場環境の整備、そして保育サービスの充実、地域の様々な人々がかかわって子育てを支援する仕組みづくりなどを進めることといたしております。推進本部における議論を位置付けたものといたしておるところでございます。
 財政構造改革プログラムの策定につきましても、次世代にツケを残さない行財政基盤を確立をするという大きな課題の中で、推進本部での議論や政策方針を踏まえ、残すべきものや、制度の維持のためにも見直しすべきものなど、子ども・青少年施策を持続可能な形で進めていくための一定の判断をさせていただいたところでございます。
 予算編成におきましても、「社会で子育てを支える」を重要テーマの一つとするとともに、本部といたしまして、「ワーク・ライフ・バランスに配慮した仕事と家庭の両立支援」や「子どもと子育てに対する社会的理解の推進」、「地域がかかわる子育て・子育ち環境づくり」といった取組方針を各部局に示し、平成20年度施策の構築に当たることといたしております。
 この取組方針などの下に、本部長の立場からも予算化に向けて最大限努力いたしますとともに、施策のフォローアップ、事業実施に当たっての連絡調整など、全庁的な連絡に努めながら、基本構想に掲げるところの「社会で子育てを支える」仕組みづくりの実現を図ってまいりたいと考えております。

いじめ対策について

次に、先般公表されました「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」の中からいじめ対策について教育長にお伺いします。
 いじめは命と人権にかかわる重要かつ深刻な問題であります。昨年度大きな社会問題となり、本県でも児童会・生徒会を中心とした「いじめをしない、させない取組み」の支援やいじめ緊急特別指導員の派遣など新たな対策も講じられているところであります。
 しかしながら、神戸の私立高校のいじめ自殺に代表されるように、近年はインターネットや携帯電話を使ったいじめが発生し大きな社会問題となっております。
 いじめの認知件数についての調査結果を全国的にみると前年度の6倍にふくれあがっており、県内でも約4倍になっています。これはいじめの定義がこれまで「一方的、継続的な攻撃を受け、深刻な苦痛を感じているケース」としていたものを、生徒が「いじめと感じたケース」を認定することになったことやアンケート・面接などですべてのこどもの声を聞くことを促したためであると分析されているようです。しかし、こうした報告はともすると学校現場に任せきりになり、また、件数を減らすことが目標になることから学校側がいじめを報告しなくなるのではないかと懸念もされるところであります。
 しかし、いうまでもなく、このようないじめによる被害を防ぐには早期発見、早期対応がもっとも重要であります。
 学校現場はもとより教育委員会としても実態を把握することに全力を注がねばなりませんが、この点についてどのような対応をされているのか、また、今回の調査結果は本県の実態を正確に把握した数字であると認識されているのか、お伺いいたします。
 次に、これらいじめの認知件数もさることながらパソコンや携帯電話によるネットいじめが全国規模で4000をはるかに超える件数が報告されていることに大変危惧しているところであります。
 情報メディア学の権威でもある群馬大学の下田博次教授は「インターネット機能付きの携帯電話を子どもたちに持たせているのは世界で日本だけ」と述べておられます。携帯電話からのネット利用は大人の目が届きにくいのに、フィルタリングをかけるということも知らずに子どもに携帯を持たせている保護者も少なくないようです。
  また、先日の教育再生会議においてもインターネットの有害サイト規制などについて論議されたところであります。
 平成19年7月に内閣府が実施した調査結果によると携帯電話の使用状況は小学生が31.3%中学生が57.6%、高校生は96%と極めて高い数字になっており、有害サイトや子ども間の誹謗や中傷の温床となっている学校裏サイトなどにアクセスする機会も増加しています。
 このままではどんどんネットいじめが増えていくことが懸念されるところでありますが、本県ではこのネットいじめについてどのような状況になっているのでしょうか、また、その対策として「ストップいじめアクションプラン」を策定されておられますが、その対応状況についてお伺いいたします。
 次に、いじめによる児童生徒の自殺についてでありますが、将来のある若者が自らの命を絶つといった報道を目にするたびにやり切れない思いで胸が痛くなります。
 児童生徒の自殺の状況については、いじめを苦にした自殺、連鎖的な自殺の問題、ネット自殺の問題など教育上も重要な課題となっています。
 また、先月、県内で開催された「生命のメッセージ展イン滋賀2007」においてもいじめにより自殺した子どもさんのパネルが展示されるなど「理不尽に奪われた命」をキーワードに「命を尊ぶ心」を取り戻そうという悲痛な訴えがなされました。
 国全体としても毎年三万人を超える自殺者が報告されている中、昨年6月には自殺対策基本法が成立し、これに基づき今年の6月には国をあげて自殺対策を総合的に推進するため、自殺総合対策大綱が策定されたところであります。
 この大綱では、思春期は精神的な安定を損ないやすく、また、青少年期に受けた心の傷は生涯にわたって影響するとし、学校現場においては青少年の心の健康の保持・増進や人格形成への支援を行うことが適切な自殺予防につながると謳われております。

 そこで学校現場に求められている心の健康づくりと相談体制の整備について、県としてどのような対策を講じられているのかお伺いし、次の質問に移ります。
 
[教育長答弁]
いじめ対策についてお答えいたします。
 まず、いじめの実態把握についての対応と、調査結果に対する認識についてでありますが、いじめ問題への対応は、何よりもまず、正確な実態把握が重要でありますことから、昨年11月、本県独自によります、いじめ問題実態調査を実施し、その際には、指導主事等が直接、学校や市町教育委員会を訪問するなどにより、「いじめの可能性が伺える」というものや「いじめが心配される」というものも含めて総ざらい的に実態把握してきたところでございます。
 今回公表されましたいじめの認知件数は、これまでの本県独自の調査を踏まえながら、きめ細かく調査を実施しておりますことから、実態を反映しているものと認識しております。
 次に、ネットいじめの状況とその対応についてでありますが、これまで実施されてまいりました文部科学省の全国調査におきましては、平成18年度から新たに、
 「パソコンや携帯電話で誹謗中傷や嫌なことをされる」というような項目が加えられ、平成18年度調査結果によれば、全国で4,883件であり、その内本県では、小学校で3件、中学校で13件、県立学校で19件の計35件のネットいじめが認知されております。
 一方、議員ご指摘のとおり、子ども達の携帯電話の所持率が、年々増加することに伴いまして、ネットいじめが増加傾向にあるものと危惧しているところであります。
 このため県教育委員会といたしましては、昨年度設置いたしました「いじめ対策チーム」で様々な角度から議論を重ねて策定いたしました「ストップいじめアクションプラン」の中に「ネットいじめへの対応」もとりあげたところでございます。
 具体的な対応策といたしましては、「プロバイダへの削除依頼の方法」等の具体例を示すとともに、ネットいじめ対策には、子ども達はもちろんでありますが、何よりも保護者の理解と協力が欠かせないことから、保護者の対応策を例示するなどの啓発を行っているところであります。
 次に、学校現場における心の健康づくりと相談体制の整備についてでありますが、全ての子ども達が、それぞれの学校で多くの友達とのふれ合いや、体験的な学習などを通じ、子ども達一人ひとりが自分自身のよさや自分の存在の意味に気づけるよう、積極的な働きかけを行い、教科の学習はもちろんのこと特別活動など様々な教育活動を通じて、各学校がそれぞれ工夫して学習活動に取り組んでいるところであります。
 また、相談体制についてでありますが、まずは、何よりも大切なことは、それぞれの教職員が、全ての子ども達としっかり向き合い、どのような些細な変化も見逃さずに、悩みや相談に早期に対応できることであります。
 そのうえでさらに、スクールカウンセラーを全ての公立中学校と県立高校に配置し、小学校には「オアシス相談員」を30の小学校に派遣するなど、学校におけるカウンセリング機能の充実を図ると、そうしたこととともに、昨年12月24日からは、夜間の相談にも対応できるよう「こどもナイトだいやる」を開設し、従来の「こころんダイヤル」とあわせまして24時間体制の「電話相談」を実施しているところであります。

スポーツ振興について

次に、スポーツ振興について教育長に伺います。
県の基本構想(案)には暮らしの将来の姿として「身近にスポーツを楽しんだり、運動できる環境が整っていること」があげられ、その具体的な施策の展開として体力づくりや健康の保持増進のための「健康スポーツの振興」や誰もが、いつでも、どこでも、いつまでも生涯を通じてスポーツする環境をめざして「スポーツの総合的な振興」を図ることがあげられています。
  スポーツというものは個人の体力増強にとどまらず、人生をより豊かに、そして充実したものにするなど、人間が本来持つ身体的・精神的な欲求に応えることができる、いわば世界共通の文化の一つではないかと考えております。
  本県においては今年度もその自然に恵まれた環境を活用して、多くのスポーツ大会が開催されました。
  特に、高円宮妃殿下をお招きして9月に開催された「日本スポーツマスターズびわこ大会」では、1万5千人を超える選手役員をはじめ関係者がこの滋賀の地に集まり、シニア世代のスポーツの祭典として大きな成果をあげられたことはまだ私たちの記憶に新しいところであります。
  そして、11月には晩秋の湖国路で「びわ湖一周駅伝大会」が開催され、全国から多くの市民ランナーや学生ランナーが滋賀県を訪れました。
  また、毎年3月には日本3大マラソンのひとつであり、オリンピック、世界選手権の日本代表選考レースとして知られる「びわ湖毎日マラソン」が開催される予定となっています。
  そこで、こうした本県が主催している各種スポーツ大会が、本県のスポーツ振興に対してどのように寄与し、他の分野に対しどのような波及効果があると考えておられるか、また,開催地である地元滋賀県にさらなる効果を生み出すための仕掛けづくりが考えられないか、お伺いします。
  次に、今秋開催された「秋田わか杉国体」についてでありますが、滋賀県が目標とされていた男女総合得点900点台、天皇杯順位26位という成績を残されたことは大変喜ばしいことであります。
  今後もこのような成績を維持していくことは、県民のスポーツに対する情熱の高まりや競技力の向上につながるものと考えます。
  このような国体の成績などを踏まえ、全国レベルやさらに世界でも活躍できる競技者を養成していくために、本県の競技力の向上に向けた取り組みについてどのように考えておられるのかお伺いいたします。
  また、国民体育大会近畿ブロック大会が平成20年度に本県で開催されます。 二巡目の国民体育大会についても近畿では未実施で、開催年が決定していない奈良、そして本県が、近い将来開催地となることが予想されますが、その時期はいつごろと予想されているのか、また、そのための計画的な施設整備も必要と思われますが、現時点でのお考えをお尋ねします。
  最後になりますが、2008年に本県で開催される全国スポレク祭についてお伺いいたします。
  この祭典をぜひとも成功させて、生涯スポーツを県民に定着させ、健康で豊かな人生をスポーツを通して実現させていかねばならないと考えるが、現在どのような準備をされているのか、また、どのような祭典にしようとしているのか、大きな期待を込めてお伺いし、質問を終わります。

   

[教育長答弁]
 次に本県のスポーツ振興についてのご質問のうち、まず、1点目の、本県が開催している各種スポーツ大会が、本県スポーツ振興にどのように寄与しているのかについてでございますが、本県におきましては、これまでから各種競技団体はもとより、民間企業等の協賛をいただく中で、県民のみなさんの誰もが参加できる生涯スポーツから、国内外の一流選手も参加する国際大会など、各種のスポーツ大会を開催してまいったところであります。
  このような大会の開催を契機と致しまして、多くの県民の皆様にそうした各種スポーツ大会への参加や、あるいは観戦をいただくことによりまして、スポーツへの関心を高めることが健康や豊かな生活の実現につながり、さらには生き甲斐づくりに寄与していると考えております。
  次に、各種スポーツ大会が、他の分野に対して、どのような波及効果があるのかについてでございますが、来年3月に63回目を迎えます「びわ湖毎日マラソン」をはじめ、全国規模の大会の放映を通じまして、本県の豊かな自然環境に恵まれた様子や、歴史と文化が息づく町並みなどのすばらしさを、国内はもとより、海外へも発信されるといった情報発信によりまして、観光や経済面など様々な分野で計り知れない効果があるものと考えております。
  次に、本県にさらなる効果を生み出すための仕掛け作りが考えられないかについてでございますが、今後、既存のスポーツ大会の中に、市民参加型や体験型スタイルを取り入れるなど、各種大会の運営に工夫を凝らし、本県にとりまして、より一層、有益な効果を生み出せるような仕掛け作りを検討してまいりたいと考えております。
  2点目の本県の競技力向上に向けた取り組みについてでございますが、本県では、平成14年に策定いたしました滋賀県生涯スポーツ振興計画に基づく強化対策事業によりまして、総合的な競技力の向上に取り組んでまいったところであります。これまでから国内大会はもとより、オリンピックや各競技の世界選手権大会等に多くの選手を輩出してきたところであります。
  今後とも、体育協会をはじめ、中・高体育連盟や各競技団体等との連携を図るとともに、ジュニアから成年までの体系的な指導システムを充実させ、本県競技力の継続的な向上を図っていきたいと考えております。
  3点目の、二巡目の国民体育大会の開催はいつごろと予想されているのかについてでありますが、本県では、昭和56年にびわこ国体を開催したことは、未だ記憶に新しいところでありますが、その後、昭和63年の京都国体から二巡目がスタートし、本県の国体開催といたしましては、平成36年ごろの開催が予想されております。
  次に、計画的な施設整備についてでありますが、本県の社会体育施設につきましては、ご承知のとおり、その大半の施設がびわこ国体を契機に建設され、既に相当の年月が経過し、老朽化への対応や、競技規則改正による改修等、必要に応じて整備を図ってきたところでございます。
  なお、今後の施設整備につきましては、財政構造改革との整合を図りますと共に、一方で現在、日本体育協会と文部科学省が中心となり国民体育大会の「充実・活性化」と「大会運営の簡素化・効率化」など、様々な観点からの国体改革議論、また他府県の施設を有効に活用する方式による分散型の開催議論等の動向を十分見極めながら、引き続き検討して参りたいと考えております。
  最後に、議員より来年開催されます、全国スポーツ・レクリエーション祭につきまして、「頑張って」という励ましの言葉をいただきました。その励ましを県民の皆様からの大きな期待と受け止めまして、キャッフィーとともに、関係者一同頑張って取り組んで参りまして、ぜひとも、滋賀県らしい滋賀県ならではの大会となるよう頑張ってまいりますので、皆様方のご支援をよろしくお願い申し上げます。





 9月18日から始まった県議会9月定例会(10月12日までの24日間)において会派代表質問が9月21日に行われました。当日、3会派から質問がされましたが、民主党・県民ネットワークは山田実議員(東近江市選出)が会派を代表して9項目にわたって質問を行いました。その内容について以下報告を行います。

[はじめに]
民主党・県民ネットワークを代表して、知事ならびに関係部長に質問いたします。
  知事は、18日の提案説明で、県の財政状況について「非常事態ともいうべき危機的な状況」との見解を示され、「何も手だてを講じない場合、財政再建団体への転落は現実となる」と述べておられます。
  こうした厳しい状況の中での代表質問でありますので、できる限り提案型の質問としていきたいと思います。
  知事をはじめ関係各部長の、率直な答弁を期待いたします。

行財問題について

はじめに、県の財政問題について、質問いたします。
(財政不足の背景)
 本県においては、県税収入は平成15年度以降着実に増加してきているものの、地方交付税が毎年大幅に削減されるなど、財政を取り巻く環境はこの数年間大変厳しいものになってきています。
 県債残高の増加に歯止めをかけることが出来ず、基金も底をつくといった財政運営を余儀なくされている状態です。
 このため平成16年度に「財政危機回避のための改革プログラム」を策定し、以降、事務事業の点検や見直しを徹底して行い、子や孫にツケを残さない財政の健全化に向けた努力が行われてきたところであります。
 嘉田知事になってからも、さらに厳しい姿勢で、この財政状況を突破する努力が行われてきたものと考えております。
 しかし、平成20年、21年、22年度の財政収支の見通しにおいては、400億円を超す大幅な財源不足が今後とも生じるとの試算が行われております。
 (財政構造改革プログラム)
 そこでまず、新たな財政構造改革プログラムについて、お伺い致します。
 本県では、厳しい財政事情を踏まえ、平成10年度からこれまで4度にわたる財政構造改革が行われてきました。しかし、来年度以降も多額の歳入不足が引き続き発生するとの見込みから、現在、「新たな財政構造改革プログラム」の策定作業が行われております。
 現在、平成16年度に策定した「財政危機回避のための改革プログラム」に沿って、経費節減等を含む事業費の削減、人件費の削減、公債費の平準化などの取り組みが進められておりますが、この改革プログラムが予定していた目標達成の見込みについて総務部長にお尋ね致します。
 また、財政危機回避を掲げて取り組んだこの3ヶ年の成果をどう認識されているのでしょうか。特に、歳出の削減に積極的に取り組み、事業見直し等が取り組まれてきましたが、本県の財政危機回避の改革はどの程度進んできたと考えておられるのでしょうか。
 その結果、県民の暮らしや地域社会にとって、どのような変化があったと認識されておられますか、併せて嘉田知事にお伺い致します。
 この財政構造改革プログラムに沿って、厳しい歳出削減等が進められてきましたが、歳出面では、団塊の世代の大量退職や社会保障関係をはじめとする裁量の余地のない義務的経費が増加し、他方、歳入面では、県税収入は回復傾向にあるものの、地方交付税は地方債への振り替えや三位一体の改革による大幅な削減などを背景に、年々減少傾向にあります。この結果、本県では財政危機ともいうべき状況が続いています。
 このような厳しい財政事情に陥った原因を総合的にしっかりと把握しないまま新たな財政構造改革プログラムを策定しても、財政危機回避にはつながらないと思われますが、知事の基本的な認識をお伺い致します。
 さて、こうした状況を踏まえ、去る8月3日に総務部長名で「新たな財政構造改革プログラムの策定について」という通知が出され、その策定作業が始まっているとお伺いしております。
 この新たな財政構造改革プログラムは、持続可能な財政基盤の確立を目指すために、平成20年度から概ね3年を取り組み期間とするとされ、その見直しに当たっては、昨年度実施した「施策・事業の仕分け」を職員の気づきに生かすと共に、聖域を設けずに、ゼロベースで徹底した見直しに取り組むこととされております。
 そこで、この策定作業の今日までの作業状況とこれからの策定作業の日程、財政構造改革の見通しについて総務部長にお尋ね致します。
 これまでの本県における財政構造改革の取り組みを踏まえると、新しい財政構造改革プログラムは、従来のように、歳出削減だけが突出するような「帳尻合わせ」には限界があるように思います。まさに、財政構造の改革を伴ったものにしていく必要があると考えます。
 財政の健全化には、歳入増加策と歳出削減の努力が必要ですが、すでに様々な取り組みを行ってきたことを踏まえると、これまでと同様の取り組みでは限界があり、相当思い切った取り組みもプログラム化していく必要もあろうかと思います。
 その際、知事は、新たな財政構造改革にむけての方針をどう考えておられるのでしょうか。知事のお考えをお伺い致します。
 財政健全化を進めるにあたっては、県民福祉の後退を最小限度にとどめる努力も必要であると考えます。
 そのためには、関係する人たちに十分な情報を公開し、説明し、理解してもらう努力が必要だと思います。
 この難局をのりきるために、「財政危機宣言」を行うなどにより、県の財政状況を市・町・県民に広く広報し、何よりも分かりやすく的確に情報提供を行うこと、また、この事態を克服するため、広く叡智を集めることも必要だと思われますが、知事のご所見をお伺い致します。
 現在の財源不足の原因のひとつは、国の補助金削減と税源移譲、そして交付税改革という、いわゆる「三位一体の改革」にあります。そしてその改革が十分な成果を上げない中で、都道府県・市町村は財政危機の中に置かれています。国自体が巨額の借金を抱え、省庁の縦割りの壁が地方の自立化を阻んでいます。それが地域の元気を奪い、国民、県民の大きな不安を生み出していると思います。
 そうした中にあって、国と市・町のあいだにある「県の役割」として、また、そのトップにいる「知事として」、今後どのようなアクションを起こしていくべきとお考えなのかも併せてお伺い致します。
 さまざまな県政の課題の中で、財政の健全化は極めて優先順位の高い課題です。知事に就任されて15ヶ月になりますが、知事としてあれもしたいこれもしたいという気持ちはあると思いますが、財政再建に向けての知事の決意をお聞かせいただきたいと思います。
(基本構想)
 次に、県の基本構想についてお尋ね致します。
 本県では、平成15年度から平成19年度までの5年間の施策展開の方向を示す「滋賀県中期計画」が最終年度を迎えているところから、今日までその改訂作業が進められてきました。すでに6回の基本構想審議会が開催され、今年7月には審議会の答申と、それを受けて、県民政策コメントも行われたところであります。
 しかし、財政状況の見通しが不透明な中で、この9月議会で予定されていた説明が延期されました。財政との整合性を図るために、財政構想改革プログラムの策定作業を踏まえたいというのがその理由でありました。
 しかし、基本構想の策定に当たっては、財政状況の厳しさはある程度予測できたことであると思います。
 そこで、今回の基本構想策定スケジュールの変更について、基本構想と財源見通しは、どうリンクさせるべきとお考えなのか、政策調整部長にお伺い致します。
 このことは、新しい時代における基本構想の役割をどう考えるかという問題になると思います。
 これまでの基本計画は、もっぱら経済成長と人口増加を前提にして、その上で何を県政が目指すのかを考えてきたものでありました。しかし、「財政が厳しい時代」「人口が減少する時代」「高齢化が進む時代」においては、基本構想の役割は変わらざるを得ません。
 知事は、これからの時代における基本構想の役割とは何だとお考えでしょうか。
 ご所見をお伺い致します。
 以下、基本構想が取り上げるべきテーマを3つほど提案してみたいと思います。
 一つ目は、基本計画の中心に「若者が夢のもてる社会をどう築くのか」を念頭に置くべきではないかということです。
 ある調査によれば、中高生を対象に「21世紀は人類にとって希望に満ちたい社会になるか」という質問に、アメリカでは8割、韓国では7割、フランスでは6割が「そう思う」と答えたのに対し、日本では6割が「そう思わない」と答えたということです。
 未来に夢が持てないことほど不幸なことはありません。経済成長が夢を実現してくれた時代が過ぎた中で、知事がいう「もったいない」を形にして、若者が夢を持てる社会の構築に私たちは知恵を出すべきだと思います。
 二つ目は、これからの自治のあり方を考えたとき、目指すべき方向として、知事がよく言われる「自助」「公助」「共助」がうまく機能する社会であると考えます。とりわけ、公共サービスの担い手が多様化し、効率的な行政運営に向けて公的サービスのアウトソーシングが進む中では、「共助」の受け皿を育てることが極めて重要です。
 これまでのようなハードな社会資本形成中心の投資を、地域の自治組織強化やNPOの育成、元気なリタイヤ層の活躍の場の創造、企業の社会貢献の促進といったソフトな社会資本の形成に力を入れるべきであろうと思います。
 それが、行政を身軽にして、財政負担を軽くしながら公共サービスの質を維持していく方向ではないかと思います。
 三つ目は、何といっても地球温暖化の防止です。
 これについては、項をあたらためてご質問したいと思いますが、琵琶湖を抱え、環境問題に積極的に関わってきた本県としては、他の県にさきがけた取り組みにチャレンジするべきだと思います。
 地球温暖化防止は、山や田んぼの活用、生活の見直し、産業の振興、学術研究、交通、教育などあらゆる知恵と力の結集を必要とします。そのためには、私たちが目指すべき明確な未来像を描き、その未来から現在を見通しながら、いま協働して取り組むべき行動目標を設定し、行動計画を設定することが大事だと思います。
 何を選択し、何に集中して取り組むかの見識を示すのが基本構想であるべきだと考えますが、こうした提案に対する知事のご意見をお聞かせいただきながら、新たな基本構想への所信をお聞かせ下さい。
(平成20年度予算編成)
 次に、平成20年度予算編成について知事にお伺い致します。
 従来であれば10月の中旬ごろ「予算編成の方針」が示され、それに基づいて滋賀県の来年度予算の編成作業がスタート致します。
 今年は、新たな財政構造改革プログラムの策定作業の結果を受けての予算編成作業になるのかと考えておりますが、県の予算編成は県内各市町の予算編成作業にも大きな影響を与えます。それはとりもなおさず、県民の生活にも直結しております。
 情報の提供、公開を速やかに行い、市町の予算編成や今後の施策展開に影響を最小限度にすることが大事と思われます。知事のお考えをお伺い致します。
(職員の士気低下防止)
 財政再建の問題に関連して、最近、「県職員に元気がない」ということをよく耳に致します。
 「貧すれば鈍する」という言葉がありますが、「お金がない」という現実の前で、優秀なはずの県職員の士気が低下し、その実力が存分に発揮されていないことは、実に忸怩(じくじ)たる思いを致します。
 しかし、財政が厳しいときであるからこそ、お金だけに頼らない県政の展開を切りひらくことに知恵を出し、県民に希望を与える役割が県職員にはあると思います。
 その中では、行政のトップとしての知事の役割は非常に大きなものがあり、常に県職員が、意欲を持って仕事に取り組める環境形成に取り組んでいただきたいと願うものであります。
 ところで、これまで、財政危機を乗り切るために、すでに5年間、職員の皆さんにも給与の独自カットのお願いをしてきています。しかし、人件費を抑えるためにとっている独自カットは一時的措置であり、いつまでも続けることがいいとは思えません。構造改革の観点からすれば、例えば、個々の職員の賃金抑制という一時的な手法ではなく、人件費の抑制に着目した持続的な取り組みが求められていると考えます。
  こうした事も含め、知事は、この厳しい財政状況下で、職員の士気をいかにして高めようとしておられるのか、そして、県職員と一丸となって事にあたるために、何を行うべきと考えておられるのか、ご所見をお伺いします。

   
  

[総務部長答弁]
財政問題に係る2点のご質問にお答えいたします。
まず1点目の平成16年度に策定した「財政危機回避のための改革プログラム」の目標達成の見込についてでございます。
3年間の取り組み結果を平成19年度当初予算で見てみますと、プログラム策定時点では、560億円の財源不足を見込んでおりましたが、地方交付税が想定していた以上に落ち込んだことなどにより、財源不足額は611億円に拡大したところでございます。
 事業費の削減につきましては、平成18年度に内部事務経費の10%削減や指定管理者制度への移行による経費節減で5億円程度上回ることができましたし、人件費の削減や公債費の平準化は、ほぼ予定どおりの取り組みを行っております。
また、歳入確保につきましては、大きな財源不足に対処するため、未利用県有地の売却を一層進めることといたしております。
こうした取り組みを着実に実施することにより、一定の成果を上げてきているところであり、平成19年度の下半期におきまして不測の事態が起こらない限り、ほぼ目標通りプログラムが達成できるものと見込んでおります。

[知事答弁]
「財政危機回避のための改革プログラム」の各年度の取り組みを着実に実施することにより、歳出規模を削減するなど一定の成果を上げてまいりました。
 特に事務事業の徹底した見直しや人件費の削減によって、3年間で291億円の縮減を達成するなど、収支改善に大きく寄与したものと認識しております。
 また、改革の取り組み経過において、県民の皆さんには一定のがまんをお願いしてまいりましたが、必要な行政サービスについては、厳しい財政状況の中でも実施してきたところでございます。
  一方、そのような中で、地域の多様な主体との協働に向けた取り組みが一定程度進むとともに、県の役割はこれまで以上に広域的、高度・専門的な分野に特化させるなど、市町との新たな役割分担や協力関係も築くことができたと認識しております。

[知事答弁] 
平成10年度以来、数次にわたる財政構造改革の努力にもかかわらず依然として巨額の財源不足が生じています。
 この要因としては、改革期間中における予期せね景気の落ち込みによる県税収入の減少や平成16年度から始まった三位一体の改革により地方交付税が大幅に減額されたことがあげられます。
 また、予期せぬ景気の落ち込みに対応するため、国の経済対策等に呼応し社会資本整備を進めたことにより県債を増発してきたこと、過去の人口急増時期にその対応を図ってきたこと、比較的余裕があった右肩上がりの時期に、県民サービスの向上のため各種施策を積極的に行ってきたこと、これらのことが結果として、一般財源が減少してきている現在において、公債費や維持管理経費といった形で財政負担となっていると認識しております。
 これまでは財源対策として財政調整基金や県債管理基金などを活用しその対応を図ってまいりましたが、これらの基金も底をつく状況であり、また、財源対策的な県債の発行も限られるなど今まで以上に困難な状況にございます。
 このまま何も手だてを講じない場合には、財政再建団体への転落は現実のものとなる状況であり、是が非でも阻止しなければならないと決意している次第でございます。

[総務部長答弁]
次に2点目の新たな財政構造改革プログラムの策定状況などについてでございますが、本年4月以降、平成19年度をベースに向こう3年間の地方交付税などの収入や歳出予測を精査し、庁内議論を経てきたところであります。
  また現在は、すべての施策や事務事業について、昨年度実施いたしました事業仕分けの結果などを活かし、その必要性・効果性などの面について、各部局において見直しを実施しております。
 今後は、策定を進めております「新しい行政改革の方針」のもとに、平成20年度予算編成と並行して「新たな財政構造改革プログラム」を策定していくこととしております。
 非常に厳しい作業になるかと考えられますが、県の果たすべき役割、本県の将来のあるべき姿を職員一人一人が共有し、全庁挙げて財政構造改革の策定に取り組んで参りたいと考えております。

[知事答弁]
5点目の知事は、新たな財政構造改革に向けて方針をどう考えているかでございます。
  新たな改革にむけての方針は、「県民の暮らしと生命を守る」など、施策の重点化を図りつつ、県として徹底した歳出の見直しを行うこと、同時に税収の確保・拡大、県有資産の有効活用や増収策を講じるなど歳入確保を図ること、さらに、本県の財政需要に応じた一般財源が確保されるよう国などに求める財源確保に努めること、そして、こうした取組によりまして、県財政を、将来にわたって、安定的で持続的な県政経営を可能とするための、弾力的で機動的な行財政体質に構造的に変えていけるものと考えております。

[知事答弁]
1.現在のまさに「非常事態」とも言うべき危機的な財政状況を県民の皆さんにご理解いただき、そうした中でも県の将来や県政を共に考えていくため、広報誌や県のホームページ等あらゆる機会を通じて、県の財政状況や取組方針について、広く情報提供を行うとともに、9月議会終了後、県民の皆さんとの対話集会を県内数カ所で開催し、情報共有をしながら、情報の相互理解に努めさせていただきたいと思っております。
2.また、共に行政サービスを担う市町とは、県の現状についての理解を求めるだけでなく、その対応について情報交換を行うことが必要と考えておりまして、できるだけ速やかにそうした機会を設ける所存でございます。
3.この難局を乗り切るため、まず私を含め職員が一丸となって知恵を絞ることはもとより、広く県民の皆さんの声を聞くとともに、行財政改革に知見をお持ちの専門家の意見も聞きながら進めてまいりたいと考えております。

[知事答弁]
このような厳しい財政状況は、本県および県内の市町だけではなく、全国のどこの自治体も同様の状況であることから、全国知事会をはじめとする地方団体と連携を図りつつ、必要な税財源の確保・充実を国に対して要望してきているところでございます。
  また、本年6月には、東京都において地方六団体合同で開催された「地方自治危機突破総決起大会」と歩調を合わせ、滋賀県地方分権推進自治体代表者会議として地方の財政運営に必要な地方交付税の確保などを求めるため、緊急アピールを発表するなどの取り組みを実施したところでございます。
  今後も引き続き、県内の市町長と歩調を合わせ一丸となって取り組んで参ります。
  さらに、近畿ブロック知事会長としても、地方分権を推進するにあたって国と地方の税源配分の見通しや地方交付税の総額確保など地方財政の安定化に向けて、国に提言するなど、活発な取り組みをしているところでございます。

「知事答弁」
今まで申し上げましたように、数次にわたる財政構造改革の努力にもかかわらず、依然として巨額の財源不足がございます。
  先ほど申しました、このまま何の手だても講じなければ財政再建団体への転落は現実のものとなってしまいます。
  提案説明でも申し上げたように、私としては、本県の「自治と自立」を失ってしまうような財政再建団体への転落は是が非でも阻止しなければならないと強く決意しているところでございます。
  県民の皆さんにも、一定がまんをお願いしなければならないと思っておりますが、そういったなかにおいても、まずは県民の皆さんの身近な生活そのものを守り、滋賀の地に誇りと愛着が感じられ、「心安らかな暮らし」が確保されることを基本に、改革を進めてまいります。

[政策調整部長答弁]
基本構想と財源見通しは、どうリンクさせるべきか、とのご質問にお答えします。
  基本構想の策定にあたりましては、これまでの厳しい財政状況を念頭に置きながら、自律と協調による共生社会という理念のもと、重点的に取り組む戦略的な施策の方向と、行政各分野を体系化した総合計画としての施策を検討してまいりました。
  しかしながら、予想を上回る厳しい財政収支見通しが、明らかになりましたことから、すべての施策・事務事業を、ゼロベースで見直すことが必要となり、また、基本構想の策定スケジュールも変更することとしたところであります。
  400億円という大幅な財源不足のなかで、県行政を進めていくには、県政運営の指針となる基本構想と、財政構造改革プログラムの整合性を図っていくことが、大切であると考えております。
  そこで、どのように整合を図るのかということでありますが、構想の基本理念や県の将来の望ましい姿は、県民の皆さんと共有する指針となるものであり、その考え方は変わることはありませんし、また、今後の県行政の重点的な方向を示すものとして、「人」「自然」「地の利や知識・知恵」の力を活かすという3つの戦略の考え方と施策の方向は、間違いのないものと考えております。
  このことから、財政構造改革プログラムの策定にあたりましては、基本構想の理念や戦略の考え方に沿って、施策・事務事業の見直しを進めているところであります。
  また、基本構想を実現していくために、財政構造改革プログラムによる財源見通しをもとに、戦略を具体化する施策はもちろん、行政各分野の事務事業を、より効果的・効率的でしっかりとしたものにしていくこと、さらに、進むべき方向を見据えた「選択と集中」をより徹底していく必要があると考えております。
  今後、基本構想と行財政構造改革を車の両輪として、戦略的かつ計画的な県行政を進めていけるよう、基本構想の策定作業にあたってまいります。

[知事答弁]
 次に、10点目の、これからの時代における基本構想の役割についてでございます。
  人口が減少するというかつてない時代に入り、少子高齢化も急激に進行する中で、温暖化をはじめ地球規模での環境問題が深刻化するなど様々な制約要素が加わり、これまでの暮らしぶりや社会の仕組みの見直しが迫られております。
  さらには、地方分権が一段と進み、地域主権の確立に向け三位一体の改革や市町村合併などが進められました。しかし、現状は国から地方へ税源移譲等が不十分であることから地方財政は大変厳しい状況にあります。
  そうしたことを背景に、地方自治のあり方自体が変わりつつある中で、自治を担う多様な主体が新たに多数生まれてきており、地方自治体の基本構想や長期構想の役割も、議員ご指摘のように、変化しつつあると考えております。
  かつての長期計画や基本構想は、事業の拡大による生活の質の向上を目指し、あらゆる分野で行政が中心的な役割を担って、施策や事業を積み上げ、その着実な推進を図ることを主眼としてまいりました。
  しかし、これからの基本構想は、様々な制約を受ける中で、これまで滋賀の豊かな自然や歴史の中で培われてきた知恵や文化を活かし、また、これまで整備してきた社会資本を有効に活用することによって、生活の質の向上を大切にし、将来にわたって豊かさや幸せを県民の皆様自身が実感できる社会を目指していくことだと考えております。
  そのためには、県が主体的に取り組む政策や施策を総合的に示す県政の最上位計画としての性格も併せ持ちつつも、これまで以上に県民の皆さんの暮らしの視点に立って、行政が現場に出向き県民の参画を得ながら協働を進め、皆でともにつくり上げ、皆で共有できるような将来の県の姿や理念、取組の方向性を示すとともに、何が大切なのか、何を優先するべきかについての考えを示すことが大切であると考えております。

[知事答弁]
議員には、具体的に3つのご提案をいただきました。 
  11点目基本構想への所信でございますが、「若者が夢を持てる社会の構築」、「共助の受け皿の重要性」、「地球温暖化防止へのチャレンジ」の3つのご提案をいただいたわけでございます。
  今公表している滋賀県基本構想素案では、基本理念を「未来を拓く共生社会へ」とし、私たちの子どもや孫たちが幸せや豊かさを実感できる滋賀の未来を切り開いていこうとする考えを示し、自ら高い規範を持ち主体的に行動する「自律性」を高め、その上で、様々な主体が自らの役割を自覚し「協働」していくことが求められていると掲げておりまます。
  さらに、戦略としては、「人の力を活かす」「自然の力を活かす」「地と知の力を活かす」の3つを掲げております。

[知事答弁]
1.市町の予算編成や施策展開への影響を最小限にするための情報提供等につきましては、先程申し上げましたが、県の現状に十分ご理解いただき、その対応について意見交換を行う機会を9月議会の後、早急に設けるとともに、具体的な考え方については、早期に市町にお示しし、市町の行政運営に支障が生じないよう適切に対処する所存でございます。

[知事答弁]
13点目のこの厳しい財政状況下で職員の士気をいかに高めようとしているのか、県職員と一丸となって事に当たるため、何を行うべきと考えているか、とのご質問でございます。
 このように厳しい財政状況の中でも、職員は、様々な工夫をしながら、県民サービスを確保しつつ、その対応に日夜がんばっており、また、仕事の内容も年々厳しくなっていると認識しております。
 私も、地域での座布団会議などで県民の皆さんから、県職員が県として行うべき役割を理解し、新たな課題に対して前向きに取り組んでいるという具体的な事例をおうかがいすることがあります。大変うれしく、頼もしく思っているところです。
 どちらかというと、現在公務員に対する眼は大変厳しい訳でございますが、そのような中で、職員の成功体験を軸に自信を持ってもらうことが大変大切でございます。
  県民の視点、現場主義に立って、滋賀の未来を描きながら、新しい自治の担い手として、職員一人一人が誠心誠意、仕事に取り組んでほしいと願っております。
 その際、私は、職員がいきいきとして働くには、「公務員としてのやりがい」、「人間としての生き甲斐」、そして「組織としての支え合い」の3つが大切であると考えております。
  私としては、財政が厳しいこの時こそ、職員の仕事に対する創意や工夫を生かすチャンスでもあると考えておりまして、私自身が先頭に立って、職員の意欲と能力を引き出し、県庁の組織力を最大化していくため、積極的に職員に対して語りかけていきたいと考えております。


新幹線新駅について

次に新幹線新駅問題について知事にお尋ねします。
  本件については、我が会派としても本年6月定例議会で「県としての早急なる解決への道筋」について、質問を行い、去る9月3日の東海道新幹線(仮称)南びわ湖駅設置促進協議会正・副会長会議において「新幹線新駅問題の解決に向けた県の方針」について(案)が示されました。
  その中で新駅設置事業に対し、「県として、投資が許される状況にはなく、将来において新たな駅を設置するだけの財政的余裕が生まれた時点で総合的に検討すべきもの」とし、新駅の『凍結』とは「現行協定類の終了」と主張されました。
同時に協定終了時における栗東市や土地区画整理事業の地権者の皆さんが抱える課題に対しても早期に対応する必要性について明記されました。
  県としては「関係者の合意」を得て解決を図っていきたいと再三知事は申されていますが、栗東市長は正・副会長会議の中でも「凍結とは一定期間の凍結なのか、将来にわたっての完全な中止なのかを明確にして欲しい」と、凍結の意味を各当事者が共通理解できるよう求めておられます。
  そこでまず、この「凍結」という言葉は、「現行協定類の終了」という意味とされていますが、その内容について知事としてはどの様なお考えなのかお尋ねいたします。
  また、「新幹線新駅問題の解決に向けた県の方針」(案)の中で示された『栗東新都心土地区画整理事業の継続実施への県としての支援』について、我々は次の様な例が考えられると思います。地元から要望の強かった工事中断に伴う住民の皆さんの税負担等に対する支援、国庫補助事業の継続採択を県として国に働きかけること、県道栗東志那中線拡幅工事の実施等。これらを栗東市と一緒になって取り組んでこそ合意に向けての前進になると考えますが、知事の支援に当たってのお考えをお伺いします。
さらに、東海道新幹線新駅等施設整備促進基金の存置については「当分の間の存置」という表現をしておられますが、この「当分の間」とはどれくらいの期間をさすのか。また、基金を活用する場合、南部地域の都市基盤整備を含めた土地区画整理区域への活用等考えられますが、知事のご所見をお伺いいたします。

   
  

[知事答弁]
次に新幹線新駅問題について3点のご質問にお答えさせていただきます。
 新駅の「凍結」は「現行協定類の終了」という意味とされているが、その内容についてのお尋ねでございます。
 去る9月3日開催の東海道新幹線(仮称)南びわ湖駅設置促進協議会正・副会長会議において「新幹線新駅問題の解決に向けた県の方針(案)」をお示しし、現行協定類を履行しないことに合意いただき、協定類の終了を提案したところであり、このことが「凍結」であると考えております。
  4月24日に締結した覚書による協定類の終了は、「現行協定類に基づく」新駅設置事業が中止となることを意味しております。
 ただし、将来の県民の選択を今縛るものではなく、新しい駅の可能性までを否定するものではありません。

治水対策について

次に、治水対策について知事に質問致します。
  どのような洪水にあっても死者を出さず、壊滅的な被害を防ぐ治水対策はどうあるべきか、そして同時に、自然の生態系や生き物の宝庫、また文化の源泉でもある河川の力を生かしながら、多面的な河川政策をどう組み立てていくべきかを練り直したいとして、県内で建設が計画されているダムについて、いったん凍結を宣言し、対話を通じて見直したいとされ、昨年知事に就任されました。
  そして、就任直後に、ダムだけに頼らない流域治水を推し進めるため、「流域治水政策室」を設置し、各種検討がなされ、ダム計画河川における「ためる」機能が流域としていかに可能であるかを具体的な流域の土地利用などを整理し、数値的な試算を行った結果、本年3月には一定の判断が示され至ったところであります。
  その結果、北川第一ダムについては、「ダム+河道改修」を有力な計画として、今後地域との対話を進める。北川第二ダムについては、治水安全度の優先順位などを総合的に考慮し、当面は実施しない。芹谷ダムは遊水地案、河川改修案の再検討の結果「ダム+河道改修」を有力な計画として、今後の地域との対話を進めていくとされています。
  去る、9月8日に行われた芹谷ダムについての知事と地元住民との意見交換の場で、知事は「計画は容認しているが、建設するかどうか見直しており、決定に至っていない」と発言されたと報道されています。
  しかし、財政的な課題はあるものの、2月議会の場でダム建設を有力な計画と示され、今日まで流域住民と川づくり会議を重ねてこられたなかで、「建設するかどうか見直している」という発言は、県民にはわかりにくいものとなります。言い換えれば、知事の発言が、その都度、ニュアンスが変わっており、知事の真意を測りかねる実態になっているのではとの思いがするところでもあります。
  県のリーダーたる知事は、県民に対して、わかりやすい、ぶれない発言が求められますが、県営治水ダムの知事の考え方を伺います。
  現在、来年度以降も財源不足が見込まれる中、新たな財政構造改革プログラムの策定に取り組んでおられるところであります。この中にダム予算を組み込むのかどうか、いよいよ決断されるべき時期であります。今後のスケジュールを含め県営治水ダム建設事業の知事の考えを伺います。
  国土交通省近畿地方整備局は8月28日に、淀川水系河川整備計画原案を公表しました。
  この中で、大戸川ダムは、京都市内を流れる桂川の河川改修に伴い、下流の流入量が増える淀川の大阪府枚方市で計画水位を超すことが予測されるため、上流部で流出量を抑える必要から、総貯水容量は従来計画の約3分の2にあたる2,200万立方メートルとし、常時貯水する必要がなくなったため「穴あきダム」として復活しました。
  丹生ダムは、琵琶湖への環境影響などを検討した上で、二、三年をめどに総貯水容量を含めて穴あきダムか貯水ダムか判断するという方針であります。
  一方、懸案の瀬田川洗堰の全閉操作は、宇治川の改修や天ヶ瀬ダムの再開発、大戸川ダムの整備後に「原則として行わない」としています。
  今日までの知事の両ダムについての方針を踏まえ、今回公表された河川整備計画原案に対する知事の所見をお伺いいたします。
  また、今回公表された原案を元に、調整が進むものと考えますが、今後の河川整備計画の策定に向けての滋賀県の対応ならびにスケジュールについてお伺いいたします。

   
  

[土木交通部長答弁]
次に、治水対策について、4点のご質問にお答えいたします。
  まず1点目の県民に対して、わかりやすい、ぶれない発言が求められる中で、県営治水ダムの考え方についてというご質問でございます。
  平成19年2月議会で、北川ダムにつきましては、『「北川第一ダム+河道改修」を有力な計画として、今後、地域との対話を進めてまいります。第二ダムについては、財政事情が逼迫する中で、ダム以外の方法、つまり霞堤の活用や、流域治水対策を進め、他の河川で当面目標とする治水安全度の優先順位など総合的に考慮し当面実施しないと考えております。』と答弁させていただき、芹谷ダムにつきましては、『芹谷ダム、河道改修を有力な計画として、今後、地域との対話を進めてまいります』とお答えしたところでございます。
  また、これらの答弁の前段で「今後、この考え方を元に地域住民の皆さんと情報を共有しながら対話を進めさせていただきたいと考えております。そして、そのようなプロセスを経た後で、河川整備計画に位置づけ決定してまいりたいと考えております」とも答弁させて頂いたところでございます。
  なお、地域住民の皆さんと情報を共有するために「河川の治水に対する考え方」を掲載したホームページにおいても、これら県営治水ダムの考え方を同じように説明し、できるだけ詳細な資料も併せて掲載しているところでございます。
  県営治水ダムの基本的な考えについては、基本的に今も変わっておりません。平成9年の新河川法でも規定されているように、住民参加プロセスを大切にするということが基本的方針であり、ぶれているわけではありません。私自身地元で川づくり会議 みなさんからご意見をお伺いしながら、様々な意見が出され、その意見を集約するまでに至っていないことや県の財政状況が大変厳しいことから、これら県営治水ダムについての最終判断には、今しばらく時間が必要であると考えているところでございます。
  このようなことから、9月8日の芹谷ダム建設予定地域住民の皆さんとの話し合いで、「予算の見通しを立てた後で半年、1年の間には判断します。今しばらく時間が頂きたい」と発言したところでございます。
  次に二点目の新たな財政構造改革プログラムの策定に取り組んでいる中でダム予算を組み込むのかどうか、いよいよ決断されるべき時期での、今後のスケジュールを含めた県営治水ダム建設事業の考え方についてでありますが、
  新たな財政構造改革プログラムについては、平成20年度から22年度の3年間の歳出削減と歳入確保の方針を確定するものであります。
  3年間の歳出削減の取り組みの中で、ダム建設事業については、安曇川、芹川の治水対策も十分念頭に置いて、慎重に検討する必要があります。県全体の財政の見直し状況を見た上で、県営治水ダムのスケジュールを含めてダムの予算については検討してまいりたいと考えております。

廃棄物問題について

次に、廃棄物問題について、知事ならびに琵琶湖環境部長にお伺い致します。
 知事はマニフェストで3つの緊急提言をされ、その3つめは廃棄物行政に関してでありました。具体的に、栗原地先に建設予定だった産業廃棄物・一般廃棄物の焼却施設建設計画の凍結でありました。
 凍結の前提として、「ごみゼロ滋賀県行動計画」をつくり、産業廃棄物は排出事業所との協働で、一般廃棄物は生ごみ、紙ごみ、プラスチックごみを分別・資源化する仕組みづくりを支援することでありました。
 凍結から1年以上たつ現在において、栗原地先で処理される予定であった一日当たり一般廃棄物で200t、産業廃棄物で100tの処理を予定されておりました。それらの予定されていた廃棄物は、現在どれだけ分別・資源化で削減され、そして、今後、残りの廃棄物はどのように処理される予定でしょうかお伺いします。
 またマニフェストに具体的に示されていた、建築廃材、汚泥の再利用システムの構築状況、生ごみリサイクルと再利用システムの確立、そして、紙・プラスチックごみの固形燃料化を行うRPF工場の誘致の状況がどのようになっているか、また廃棄物を出さない循環型産業の創出や、ごみは地域内で再利用できるような暮らしの構築などの「ごみゼロ滋賀県行動計画」の作成はどうなっているのかなど、栗原地先処分場建設回避に向けた施策の取り組みの進捗状況を知事にお伺い致します。
 あわせて、当初栗原地先に処理場建設計画にあたって唱えられた産業廃棄物処理における公共関与の必要性は今後どのように考えていかれるのかお伺い致します。
次に、不法投棄の未然防止対策に関して琵琶湖環境部長にお伺い致します。
環境省では数次にわたり廃棄物処理法の改正および不法投棄撲滅アクションプランを策定し、総合的な不法投棄対策を推進してきました。その結果、産業廃棄物の不法投棄件数ならびに投棄量はピーク時の約1100件、約40万トンから半減したものの、依然として約600件、約20万トンの不法投棄がなされています。
 不法投棄に対しては、早期発見・早期着手・早期解決が重要であると言われております。不法投棄に対する監視体制を強化すると、当初は発見率があがり、件数・量ともに増加し、その後、結果として、新規発生の件数・量は減少するといわれております。
 滋賀県においては、地域住民や事業者の協力、また24時間監視可能なカメラ等IT機器を活用して監視により、不法投棄の未然防止を行われていますが、滋賀県の不法投棄の発見件数・量の推移、ならびに動向はどのようになっているのでしょうか、また京都府においては24時間対応・通話料無料の「不法投棄情報ダイヤル」や電子メール等を通じて直接・間接に情報を得ており、また警察官OBによる「不法投棄等監視員」を配置し、監視パトロールを実施し、不法投棄等の早期発見を心がけておられますが、今後、さらなる不法投棄の減少に向け、どのような取り組みを行われるのかお伺い致します。
 最後に、ごみゼロに向けた県民運動の展開について知事にお伺い致します。
  廃棄物の問題において、3Rの取り組みの中でも、何よりも最優先させるべき事柄は、何よりもごみを作らないこと、発生抑制、リデュースであります。現在、マイバックの使用により、レジ袋を断る行動や、マイボトル運動など、一人ひとりのちょっとした心がけを行動に示すことにより、入り口の段階でごみを減ずることができます。そのためには県民への意識づけと事業者への協力は不可欠でありますが、発生抑制に向け、どのように県民・事業者・行政とのパートナーシップを築き、県民運動として展開されますか、お伺いいたします。

   
  

[知事答弁]
次に廃棄物問題の5問の質問のうち4問にお答えさせていただきます。栗原の廃棄物処分場計画の凍結から1年がたち、処理予定であった廃棄物の状態、現在どれだけ分別資源化がなされているか、とのご質問でございますが、現在、凍結中の栗原地先での廃棄物処理施設整備の計画は、大津市や湖南地域で焼却処理されている一般廃棄物と、県南部地域で発生する産業廃棄物を受入れる予定としていたものであり、これらは、現在も各市や排出者責任による既存の処理体制において処理されているものでございます。
 このうち産業廃棄物については、可燃性でありながら熱利用されずに焼却されたり、埋め立てられたりされているものを対象としておりました。想定していた地域での、これら対象物の凍結後1年間での削減量は制度的には把握できないものとなっております。
 把握できる全県でのこの対象量の変化は、産業界における自主的なゼロエミッションの取組により、平成12年度には約10万トンあったものが、17年度においては約7万トンに減少していると承知しております。
 さらに、これら可燃性廃棄物は鉄鋼や製紙業など産業界での石油代替エネルギーとしての需要拡大の動きなど、近年の社会情勢の変化も見られるところであり、施設の必要性は薄らいでいると考えております。
 各市で焼却されている一般廃棄物についても、熱エネルギー利用やスケールメリット等の観点から併せ処理をすることとしておりましたが、産業廃棄物と同様に削減量は制度的に把握できておりません。
 把握できる全県での動向変化については、リサイクル率で平成9年度に約13%であったものが、平成17年度では約19%と上昇しているものの、人口増等による焼却量については大きな変化はなく、今後は、それぞれの市で、資源化の取組などと併せた処理が進められるよう見守っていきたいと考えております。
 二点目の栗原地先処分場建設回避に向けた施策の進捗状況でございます。
 まずは循環型社会を構築していくことが大切であり、県民、事業者、行政が、それぞれの役割を認識し、廃棄物の発生抑制、再使用、再生利用に、連携協力して取り組んでおります。
 今年度、新たな取組として、一般廃棄物に関しては、処理主体である市町とともに「ごみ減量資源化推進検討会」を立ち上げたところでございます。
 ここでは、参加意向のあった20市町とともに、ごみ減量、資源化を進めるうえで共通の大きな課題である、事業系ごみの減量、資源化の推進と、生ごみ資源化の推進の2つの課題について重点的に検討を行っております。
 産業廃棄物については、産業界の取組により資源化が相当進んでいる中で、さらなる資源化が期待できる「廃プラスチック類」と「木くず」の2品目について関係事業者の方々等と意見交換や推進方策の検討を行っております。
 これらの取組成果についてとりまとめ、情報発信することにより、それぞれの役割や実情に応じた自主的な方向を広げていけるよう進めていきたいと考えております。
 マニフェストに示しました具体的な3つの取組につきましては、民間における有機性資源活用施設整備や廃棄物減量化技術研究開発に対する支援、さらにリサイクル製品認定制度の運用等の産業3R推進のための事業、さらに市町の生ごみ資源化に対する支援等によって進めております。
 マニフェストに掲げました「ごみゼロ滋賀県行動計画」については、平成18年6月に策定した「第二次滋賀県廃棄物処理計画」と目指すべき社会の方向性は同じであることから、この計画に基づき、先に述べましたように、市町とのごみ減量資源化、関係事業者との産業ゼロエミッション推進の検討など、循環型社会の構築に向けて、具体的な行動を進めているところでございます。
 さらに、処理場建設計画にあたっての公共関与の必要性についてでございます。
 産業廃棄物の処理については、排出者の責任であることから、適正に処理できる体制を民間において確保されるのが原則でございます。
 産業廃棄物の公共関与については、廃棄物の処理に対して住民の不安感や不信感があること、また、適正処理のための規制強化により、民間での施設確保も困難となっていることから、適正な処理が行われるよう必要に応じて着手するものと考えております。
 しかしながら、焼却施設の計画につきましては、先にも述べましたように、資源化がすでに進んできていることや、産業界での可燃性廃棄物のエネルギー利用拡大の動きがあるなど、近年の社会情勢の変化もあるところから、その必要性については、薄らいでいると考えております。
 5点目のごみの発生抑制に向け、どのように県民・事業者・行政のパートナーシップを築き、県民運動として展開していくのか、とのご質問でございます。
第二次滋賀県廃棄物処理計画に掲げております「もったいない」の意識と行動が徹底される社会を目指す目標として、ごみの発生抑制について現在、取組を進めております。
 県では、平成10年より毎年10月の3R推進月間に、県、市町、活動団体が協働した住民参加による全県的な施策として「環境にやさしい買い物キャンペーン」を、県内の主な大規模小売店を含む23社の連携組織である「滋賀県小売店環境保全連絡会」の協力のもと実施しております。
 このキャンペーンでは、ごみの発生抑制につながる、買い物袋や買い物かごの持参、環境配慮型の商品選択や簡易包装への理解などについて、広く県民に呼びかけております。
 一方、ごみの発生抑制にもつながる、環境への負荷ができるだけ少ないものを購入するという「グリーン購入」の推進と普及も進めております。
 県も会員であります、「滋賀県グリーン購入ネットワーク」には県内の企業、団体、行政等415組織が加入しており、会員の協働作業により運営展開されております。
 また、今までの3R、ごみを減らす(リデュース)・もう一度使う(リユース)・再生利用する(リサイクル)の3R活動だけにとどまらず、もう一歩進め、ごみになるものを断る(レフューズ)、あるいは修理して使う(リペア)などを加え、4Rや5Rの活動へと展開を広げていきたいと考えております。
  さらに、こうした活動や取組が、発生抑制等に向けた県民主体の実践運動として県内に広がっていくよう、県としては情報発信等、努めていきたいと考えております。

[琵琶湖環境部長答弁]
廃棄物問題についての2点のご質問にお答えいたします。
1点目は、滋賀県の不法投棄の発見件数・量の推移、ならびに動向についてであります。
  滋賀県における最近5年間の不法投棄の件数をみますと、やや減少傾向を示しております。新規・継続事案を含め、350件前後で推移しております。
  また、不法投棄の量につきましては、各年度末の残存量でみますと、平成15年度は46,607トン、平成16年度は48,175トン、平成17年度は37,470トンとなっております。
  近年の不法投棄事案の特色としましては、監視等の効果もあって、大規模な事案は少なくなっていますが、比較的小規模で人目につかないところに不法投棄する事案が増えており、悪質、巧妙化しております。
  2点目に、さらなる不法投棄の減少に向け、どのような取り組みをするかについてでありますが、不法投棄や不適正処理が発生しますと、地域社会の生活環境への影響が大きく、また、その発見が遅れるとその是正には長い時間と多額の費用を要しますため、不法投棄の抑止、早期発見・早期解決が何よりも大切と考えております。
  まず、不法投棄を発生させない観点からは、排出事業者自らの廃棄物の動向把握と適正処分の確認を行うことが重要であり、このため、今年度においては、廃棄物の流れを的確に管理し、不正の防止に対しても効果的と言われる電子マニフェストの普及促進を目的に、県内排出事業者や廃棄物処理業者に対しまして講習会の開催などの取り組みを行っております。
 また、早期発見・早期解決、さらには不法投棄の抑止の観点から、警察官OBによる「不法投棄監視指導員」8名を県下に配置し、定期監視パトロールや休日パトロール、警備業者による早朝・夜間のパトロールをはじめ、監視カメラの活用、ヘリコプターによるスカイパトロール等を実施しております。さらには、警察と連携し、近隣府県との共同により広域での路上取締を実施しております。
 こうした行政による監視に加え、県民等からの通報など広く情報を集めるため、通話料無料の「産業廃棄物不法投棄110番」の設置や、地域住民の方々による監視パトロール隊、県内の全郵便局・農業協同組合・森林組合など事業者の方々の協力を得ることにより、監視通報体制の強化を図ってきております。
 こうした取り組みの結果は、新規事案の例年の解決率の向上に現れており、5,6年前には50%前後であったものが、平成18年度には64%になっております。
  なお、大津市内で発生しました硫酸ピッチの不法投棄事案につきましては、本年5月に行政代執行に踏み切り、すでに原状回復をしておりますが、その後、警察の素早い対応により行為者が逮捕されたため、検察庁に手続きを取り、前者に接見を求め、現在、その費用の求償を行っておるところでございます。
  今後とも、このように指導取締を一層強化しまして、関係機関、地域住民、事業者の方々と連携し、不法投棄を発生させない、許さない取り組みを着実に進めて参りたいと考えております。

地球温暖化防止対策ついて

次に、地球温暖化防止対策について、知事ならびに琵琶湖環境部長にお伺い致します。
  今年の夏は大変暑い夏でした。全国的には過去最高の暑さ、埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市において、最高気温40.9℃を記録しました。
  地球温暖化の影響で、ヒマラヤをはじめ、世界各地で氷河が溶けだし、さらに海面水位の上昇により、キリバス共和国では諸島が沈むおそれがあることから、全国民10万人脱出移住計画を明らかにしました。また北極圏においては、海氷に開いた穴から息継ぎのために顔を出すアザラシを捕獲して食べているホッキョクグマも海氷が無くなったことにより絶滅が危惧されているところであります。
  今年のドイツでのG8ハイリゲンダム・サミットにおいて、2050年までの温室効果ガス半減を真剣に検討することで合意され、そして、来年、わが国で開催されるG8北海道洞爺湖サミットにおいても、地球温暖化が重要なテーマとして議論されることが予定されており、今後の地球温暖化施策がますます注目されているところであります。
  このように、地球規模での温暖化に歯止めがかからない一方で、わが国では、全国において1990年度から2005年度までにCO2は7.8%増加し、温暖化効果ガスの排出を1990年度比マイナス6%に抑えるというCOP3でのわが国の目標の達成は、その見込みが立っていません。
  滋賀県においても、CO2は、5万トン、0.4%の増加に抑えられているものの、現在の取り組みでは、昨年12月に出された滋賀県地球温暖化対策推進計画における2010年の温室効果ガスの削減目標であります1990年比マイナス9%を達成できるとは考えられません。
  しかし、一方で、地球温暖化防止対策に成果を上げているところもあります。
  先般、8月31日にドイツのアンゲラ・メルケル首相が来日されましたが、ドイツにおいては、対90年比で21%削減するという目標をほぼ達成しつつあります。これには電力会社に自然エネルギー発電電力を固定価格で20年間買い取り、必要経費を補償する仕組み、つまり太陽光などの再生可能エネルギーを普及させるための法的措置をめぐらせ、経済的にも効果が出るような誘導策を実施したことにあります。
  この仕組みは、ドイツ・アーヘン市における取り組みがモデルとなって、その有効性が国家的政策にまでなったものであります。
  滋賀県では、今後地球温暖化防止に向けて、どのように取り組もうとされているのか、知事のご所見をお伺い致します。
  滋賀県における温室効果ガス排出量のエネルギー起源における部門別の推移を見ますと、産業部門は1990年から2002年の比率において、9.7%減っているものの、運輸部門では27.1%、家庭部門26.1%、業務その他部門21.7%それぞれ増加しています。また将来推計値においてさらに増加傾向であります。
  今後、人口がさらに増え、また新名神の開通に伴い、さらに交通量が増えることが予測される本県において、運輸部門におけるCO2の削減に向けた取り組みをどのように行うかが非常に重要であると思われます。
  物流部門では県内では松下電器産業やクロネコヤマト、たねや、平和堂などがカーボンニュートラルとされるバイオディーゼル燃料を活用したCO2削減への取り組みを行っています。また、ドイツでは、2000年から2003年までに運輸部門においてエネルギー消費量を減らしておりますが、その要因の一つとして、公共交通機関の利用者数が増加したことにあるそうです。こうした公共交通機関の利用促進や物流対策など、運輸部門におけるCO2削減対策をどう展開されようとしているのか、知事のご所見をお伺いいたします。
  また、県民一人ひとりの理解と努力がなければ、家庭部門においてCO2削減目標が達成できません。そのためには、県民に対しての意識啓発や具体的な実践活動などの呼びかけが不可欠と考えますが、その最前線であります「滋賀県地球温暖化防止活動推進センター」の活動状況はどのようになっているのか、さらに、滋賀県地球温暖化対策会議の設置・活動状況も併せて、県民に対していかなるアプローチをされているのか琵琶湖環境部長にお伺い致します。
  またこれまでNPO・市民団体・企業等と協働し、新エネルギーの導入推進のためにさまざまな取り組みが行われています。「湖国菜の花エコ・プロジェクト」や「市民共同発電所」、木質バイオマスのエネルギー利用など、地域の特性を活かした新エネルギーの開発推進がなされてきました。また、行政でも様々な取り組みが進められています。
  しかし、残念ながら、これらの取り組みは大きな戦略のもとに相互連携されているとは思われません。これからさらに大きな県民運動としてうねりを起こしていくために、知事はどのようにこれらの市民の力を活かしていこうとされているのかのお考えをお伺い致します。
  最後に、滋賀県が一事業者として、地球温暖化対策の模範となるべく、先日「滋賀県庁地球温暖化対策実行計画」が発表されましたが、これに対する知事の意気込みをお伺いいたします。

   

[知事答弁]
次に、地球温暖化防止対策の5問のうち、4問についてお答えさせていただきます。県は地球温暖化防止に向けてどのように取り組むのかとのご質問でございます。
  地球温暖化は人類の生存基盤に関わる最も重要な環境問題であると認識しております。議員ご指摘のように、今年の夏の暑さは異常でございましたが、思い起こしていただきますと、この冬の暖冬もやはり異常でごさいまして、しかし、平年より平均気温は1.5度ほどしか高くなかったという結果でございます。この時、琵琶湖の全循環が遅れ、湖底の低酸素化が心配されました。この1.5度をどう考えるかですが、IPCCが今年の4月に予測値を出しましたが、今世紀末には最悪6度以上も気温があがると予測を出しておりまして、もし、そうなった時に、琵琶湖の水質や生態系に何がおきるかわかりません。地球規模の温暖化の影響は、比較的小さな水の塊である琵琶湖には、その予兆として早く現れやすいと推測されることから、温暖化問題はけっして遠い世界の出来事ではなく、琵琶湖そのものに迫る危機でもあると考えております。
  一方、温暖化問題は、どうしても自分の問題としてとらえにくく、また、原因となる人間活動の対象が広いこともあり、実効性のある施策や事業の難しさが指摘されています。石けん運動など、琵琶湖への関心が環境保全活動へ導いた、その経験をもつ滋賀県では、情報を地域で共有し、先駆的な対応の仕組みが生まれる潜在的可能性を秘めていると考えております。またその行動が強く求められております。
  低炭素化社会の構築に向けて、社会構造を変えていくために、滋賀県としても、基本戦略を詰め、前向きに取り組んでいく所存でございます。
  さらに議員ご質問の、昨年12月に策定しました「滋賀県地球温暖化対策推進計画」では、2010年を目標年次として、対1990年比で温室効果ガス排出量の9%削減を掲げたところでございます。具体的にはその削減対策としては、2本の柱がございます。1つは廃棄物処理計画や工場等の大気環境負荷低減計画などの既存計画の推進です。もう一つは、京都議定書目標達成計画に基づく省エネ、省資源行動の徹底や運輸部門における低公害車の導入促進など、県民、事業者および行政の主体別行動でございます。このように、現段階で導入可能な総合的な削減対策を着実に実施していくことが大切です。
  また、これに加えて、本県では全国にさきがけて、省エネ診断に基づく家電製品の買い換えを促進する家庭版エスコ事業の試行に向けて、準備を進めているところでございます。その成果をモデルとして全国展開されることで、遅れている家庭部門での取り組みの進展に貢献できることを期待しております。
  さらに、2030年に温室効果ガス半減を目標とした、持続可能な社会への道筋を描くことを目的として、今、滋賀県環境審議会で議論いただいております。ここでは、二酸化炭素の排出を大幅に削減するための政策の方向性が中心テーマの1つになっております。
  さきほども申し上げましたように、地球温暖化対策は、社会や経済、県民生活の幅広い領域で、さまざまな政策を動員しなければ解決できないテーマでございます。
  県としては、これまで琵琶湖や流域の保全という難題に果敢に県民とともに取り組んできた経験を生かして、9%削減の目標達成に努めるとともに、家庭版エスコ事業にその芽が見られますように、可能な限り滋賀県らしい施策の提案や発信に努めていく所存でございます。
  次に、公共交通機関の利用促進や物流対策など運輸部門におけるCO2削減対策の展開についてでございます。
  運輸部門における地球温暖化対策については、滋賀県温暖化対策推進計画に基づき、公共交通機関の利用促進や物流対策推進など、さまざまな施策を展開しております。
  具体的には、バスや電車など公共交通機関の利用促進、ハイブリッド自動車など低燃費車の導入、アイドリングストップなどエコドライブの促進、貨物自動車の共同輸送など物流の合理化などを柱として展開しております。
  昨年度から実施しております「エコカーマイスター事業」では、自動車販売時に環境情報を提供できる人材を養成し、これまでに320人のマイスターが誕生しており、低燃費車の導入促進を図っております。
  こういった具体的な計画のねらいと結果をしっかりと分析をしながら、その仕組みづくりに向けて様々な行動が広がるよう取り組んで参りたいと考えております。
  4点目の新エネルギー普及に向け、県民の力をどのように活用するかのご質問でございます。
  本県では平成16年に「しが新エネルギー導入推進プラン」を策定し、これに基づき太陽エネルギー、小水力、バイオマスエネルギーの戦略的な導入を目標として取組を進めて参りました。小水力エネルギーは立地条件等の制約、木質バイオマスエネルギーは原材料の収集コスト等の課題があり、残念ながら計画どおりの進捗をみていないという状況でございます。その中で比較的順調に伸び、導入可能性が高いのが太陽光発電施設の設置であると考えています。
  太陽光発電の設置について県は、これまでにも太陽光発電への様々な施策の導入により促進を図ってきており、一定程度の太陽光発電の普及に貢献してきたところでございます。太陽光発電のそのものの有効性と長期的な採算性は証明され、国際的にも認知しておりますが、残念ながら初期投資の負担が高いことから、一段の普及の障害となっており、その意味で県民の力の発揮が妨げられております。今後は、県の施策に加えて、国においても制度的な対応がなされるよう働きかけていきたいと考えております。
  議員のご質問にありますように、本県では、菜の花プロジェクトや市民協働発電のように県民の創意と工夫あふれる地域での取組が育まれて参りました。
  また、本年6月より運行を開始したバイオ燃料「ボディ・ラッピングバス」に参加する大学や企業を結ぶ路線バスに自らが提供する廃食用油によるバイオディーゼル燃料を使用し、バスの走る地域では確実に新エネルギーの関心が高まるものと期待しております。こうした実践は、新エネルギーの大幅な展開を可能とする制度的基盤を求める国民的合意が成り立つ土壌づくりとして、貴重なもと理解しております。
  今後とも、地域の新エネルギー導入活動が進捗するよう、導入を目指す事業者や大学など個々の主体への連携や働きかけ、支援制度等の必要な情報を提供することで、県民の主体的取組の支援に努めて参りたいと考えております。
  5点目に「滋賀県庁地球温暖化対策実行計画」に対する知事の意気込みについてでございます。
  滋賀県庁は大量の温室効果ガスを排出する事業所として、排出削減に率先して取り組むことが必要と認識しております。
  今回策定した新たな計画においては、平成17年度を基準年とし、平成23年度を目標として9%削減することを目標といたしました。
  目標達成のための削減対策としては2つの柱がございます。1つは民間資金活用型ESCO事業の活用です。ESCO事業は顧客に省エネルギーに関するサービスを提供し、省エネに光熱費の節約分の一部を報酬として受け取る仕組みで、新たな財政負担を必要とせずに省エネルギーを推進できるものでございます。
  平成16年に取りまとめた省エネルギー推進マスタープランにおいて、この事業が可能とされた施設、また省エネルギー効果が高いと見込まれた施設を中心にESCO事業を活用し計画的な改善を実施します。
  もう1つは、従来より取り組んでおります「環境にやさしい県庁率先実行計画(グリーンオフィス滋賀)」による省エネルギー化をより一層推進することです。また職員によるアイデア募集を適時行うなど常に新たな取り組みを検討してまいります。
  この計画の確実な達成のために、これまで経験を重ねてきた、ISO14001に基づく「滋賀県庁環境マネジメントシステム」を活用することとしております。私、知事がトップに立って陣頭指揮を取り、職員が一丸となって取り組み、県としての責任を果たしてまいりたいと考えております。
  地球温暖化はいまや待ったなしの状況でありまして、滋賀県庁での取組が県内市町や事業所での展開の模範となるよう努力したいと考えております。

[琵琶湖環境部長]
  次に、地球温暖化防止にかかる「滋賀県地球温暖化防止活動推進センター」の活動状況等についてお答えします。
  温室効果ガスの排出量の推移を見ますと、家庭部門での増加が大きく、その対策が急務となっております。そのため県民の意識とライフスタイルの転換が求められております。
  県では平成12年10月に地球温暖化対策推進法に基づき、財団法人淡海環境保全財団を滋賀県地球温暖化防止活動推進センターとして指定いたしました。
  センターでは、県が委嘱する滋賀県地球温暖化防止活動推進員の活動に関するサポートや、家庭部門を中心とした省エネ実践活動の呼びかけ、情報発信等の活動を行ってまいりました。
  滋賀県地球温暖化防止活動推進員の活動につきましては、現在90名の県民の方々に推進員を委嘱しております。
  主な活動としては、小中学校や公民館などに出向き、講義や実験等による体験プログラムなど、ニーズに合わせた出前講座を行っていただいております。
  またこの他スーパーの店頭や街頭などでの啓発活動も行っていただいております。
  家庭部門での省エネ活動の呼びかけとしては、夏至の日に消灯を呼びかける「ライトダウンキャンペーン」や、家庭での省エネに取り組むグループに対し、削減割合に応じて支援金を支給する「省エネ・お得ポイント事業」等を実施しております。
  また、ホームページ作成に加え、今年からはメールマガジンの発行により、県内の温暖化防止活動に関する情報発信を行っております。
  次に「(仮称)滋賀県地球温暖化対策推進会議」の設置についてでありますが、事業者、各種団体、行政、家庭県民等の各主体が温暖化対策に自主的に取り組むことをめざして、まずはこれまで関係者と組織のあり方や活動・運営等について調整を進めてきたところであります。
  現在事業者による新たな積極的な動きがいくつか見られることから、推進会議の設置の時期などにつきましてはもう少し慎重に対応してまいりたいと考えております。当面は部門ごとの活動の支援やコーディネート等に努力してまいりたいと考えております。

造林社問題について

次に、造林公社について知事にお伺いします。
本県の二つの造林公社問題については、既に10年以上も前から重要課題として何回となく県議会において問題提起がされてきました。また、平成16年度には、包括外部監査が実施され「経営体として存続できる状態ではない」という大変厳しい報告がされています。
  これに対して、県は「経営改善検討会議」や「金融問題検討会」への参加、また公社自身は自助努力等鋭意取り組んでおられますが、結果的に抜本改革には程遠い状態であり、債務は年々増加の一途をたどり、平成18年度末には借入金891億円、利息166億円、合計1,057億円という莫大な債務を抱えるにいたっております。
  また、農林漁業金融公庫の17、18年度分利息支払いにあたっての償還猶予申請に対し、「19年度中に抜本改革の方向性を示すこと。抜本改革へ向けての進展がなければ10月末には一括繰上償還請求を行い、その10ヶ月後に県への損害補償請求を行うことになる」との条件が付けられています。
  こうした中で、本年6月定例会におきまして、知事は「本件について、債務償還スキームを含めた抜本改革の方向性を早急に見出すべく、県と公社及び関係者が真剣に検討しているところである」「出来るか出来ないかではなく、やるかやらないかである」と強い決意が述べられています。
  9月12日の県議会環境・農水常任委員会において、公社の抜本改革案の選択肢として「公社存続を前提とした3案と公社解散を前提とした2案の計5案」を明らかにし、その上で「森林の伐採時期が来る約10年先まで債務の返済猶予をしてもらい、その後は伐採収入をもって返済にあてる案」を最も望ましいとされています。
 今回5案の選択肢が示されたことは従来の考え方から一歩踏み込んだものとして評価できるものでありますが、5案に対する基礎データ等が明らかにされておりません。このままでは、選択肢に対する検討が出来なく、また、「森林の伐採時期が来る約10年先まで債務の返済猶予をしてもらい、以後は伐採収入をもって返済にあてる」との方針が適正であるか否かすら判断できません。
 そこで、次のことについてお伺いします。
 かねてから積算されておりました現在の資産額はいくらでしょうか。現在の簿価及び評価資産額でお示し下さい。
 また、伐採時期がくる今後10年間の利息、事業費、管理費等の支出総額及びその時点における伐採収入額をどのように見込まれているのでしょうか。
 あわせて、公社の経営最終年にあたる平成80年までに返済可能な総額を10月中に算出し、債務者に対して理解を求めていくとの考えですが、関係者の理解を得るためには、その前提となる基礎データを明らかにする必要があります。
 このデータについても公表されるようお願いします。
 次に、今回の事態に陥った背景には、各公社や都道府県の経営努力を超えた国の森林、林業政策の転換という構造的な課題があることは関係者に認識されているところであります。
 そのことを前提にした農林漁業金融公庫や大阪府をはじめとする下流自治体等の協議状況についてお伺いします。
 また、分収割合が公社6、土地所有者4となっておりますが、大分県にあっては9:1に変更されており、他の県におきましても見直しが進められています。造林事業の現状からこの分収割合の見直しも早急に行うべきであると思いますが、どのようにお考えですか。
 民主党・県民ネットワークでは、去る9月13日、高島市にある滋賀県造林公社及びびわこ造林公社の現地調査を行いました。
 現地は急な傾斜地で公社の設立目的である「山間僻地及び離島等の未開発地域」であることをまず実感いたしましたが、このことは逆に木材搬出が大変な地にあることを意味するものであり、公社における造林地が搬出道まで平均700メートルもあるという説明でありました。
 木材搬出作業が大変なものであり同時にコスト高につながるものであることから、まず、買い手があるのか、さらに、木材価格は今が底値と判断されていますが、いままでの経過や人口が今後減少していくこと等を考えますと、先行き需要は決して楽観できるものではなく、むしろ、好不況の波はあっても現在の状況が当分続くものとして考えるのが妥当ではないかと思いますが如何でしょうか。
 次に、この造林公社問題は、県が損失保証をしていることから、県政全体にも大きな影響をもたらすものであり、出来る限りの情報を公開し、広く県民の理解を得ていくことが大切であると考えますが如何でしょうか。
  再建策にあたっては堅調な見通しに立って行うのが常識であります。この種の事業は結果が全てであり、失敗は許されません。その時になって逆に債務が増えていたという状態であれば、もう取り返しはつかないと考えます。この点どのように考えておられるのかお伺いします。

   

[知事答弁]
次に造林公社問題の6点の質問にお答えさせていただきます。
 まず、現在の資産額について、現在の簿価及び評価資産額等いくらになるか。また、今後10年間の見通し、さらに平成80年までの見通し、基礎データについてのご質問でございます。
 現在の森林の資産額としては、簿価では滋賀県公社が約366億円、びわ湖公社が約704億円、合わせて1,070億円となっております。
 現在の評価資産額については、現在公社の方で、約600の事業団地毎に一つ一つの資産査定に取り組んでおり、伐採および搬出コストを積算した上で、木材市場の取引価格からこれらのコストを差し引いて、求めることとしており、この作業が完了すれば、評価資産額について明らかになるものと理解しております。
 伐採が始まるまでの今後10年間の支出経費ですが、まず、利息については、公社抜本改革に必要な要件の一つとして、利子負担の軽減があり、今現在経営改善計画の策定と合わせて、検討協議しているところでございます。
 事業費としては、間伐や枝打、病害虫や獣害防除等といった森林管理のために、現在1年あたり約3億円程度でありますが支出しておりまして、これについては、今後手入れの周期等の見直しにより経費の削減が必要でございます。
 また、管理費につきましては、現在1年あたり約2億6千万円でございますが、人件費が大半を占めており、退職者については現在も正規の職員では補充していないので、今後も経費の削減が必要と認識しております。
 10年後の伐採収入額ですが、現在森林の資産価値を計算しているところであり、それと同様の手法を用いて積算中でございます。
 返済可能総額については、現在試算中である将来の伐採収入に合わせて、補助金や他の収入、支出を合わせて長期収支見通しを作成する作業をしております。
  数値につきましては、現在集約の作業中であり、本日お答えできないものにつきましては、当事者間で検討し、理事会で審議の上で意思決定いただいた後、遅くとも10月中には公表させていただく予定でございます。
 次に、農林漁業金融公庫や大阪府をはじめとする下流自治体等の協議状況についてでございます。
滋賀県造林公社の抜本改革を図るため、今後の山づくりと公社の経営改善を考えた新たな経営改善計画を策定することを目的に、平成17年1月に、理事会決議により、経営改善検討会議を設置し、下流団体とは2年半以上に亘り、協議検討を重ねております。
 下流団体は、琵琶湖の水源かん養林造成に賛同して、社員として参画していただいており、経営改善に必要な協力は惜しまないが、債権保全と滋賀県の財政支援を要望しております。
 現在も精力的に協議を続けており、1日でも早く経営改善計画の策定ができるよう、協議の頻度を高め、議論を加速させております。
 農林漁業金融公庫とは、平成17年度から償還条件の変更等をお願いするための協議を行っております。
平成17年度は、共に金融問題検討会に参画し、政府に政策提言を行うということから、また、平成18年度は、19年度からは正常に償還することを前提に、償還猶予を受けております。
 本年度は、当初予算において償還財源の予算化を見送ったことにより、4月30日から両公社は、公庫に対して、延滞という異常な状態にあります。
 今年度は3年目となることから、公庫からは厳しい対応を迫られており、公社に対する一括償還請求、県に対する損失補償請求について、いつ出されてもおかしくない状況でございます。
 次に、造林公社の現状から分収割合の見直しも早急に行うべきであるいうご意見でございます。
現在の公社の分収契約は、基本的には伐採収入を公社6割、土地所有者4割に分け合うこととなっております。
 分収割合6対4については、昭和33年当時の国の通達に即して適用したものでありまして、全国の林業公社も分収割合を採用する際の根拠としております。
 しかしながら、木材価格の下落・低迷により、森林整備にかかるこれまでの投下経費を公社が回収できない状況の中で、現行の分収割合を維持していくことは、公社の経営改善に大きな足かせとなっております。
 確かに、大分県が9対1に見直しをされたように、分収割合の見直しを実施、あるいは検討しているところもでてきております。
 本県においても、公社の抜本改革の取り組みを進めていく上で、関係機関の負担が必要と認識しており、心苦しいところでございますが、土地所有者の皆さんにも分割割合について一定の見直しをお願いしなければならないこともあると認識しております。
 次に4点目の木材価格は今が底値と判断されているが、今後の状況を当分続くものとして考えることが妥当かどうかというご質問でございます。
  公社では木材の販売方向として、立木のまま落札業者に一括して売るのではなく、公社が伐採・搬出して木材市場に出材することとしております。
このため、林道などの生産基盤の整備や高性能林業機械の導入によって可能な限り生産コストの削減に努め、価格競争力をつける必要があるものと認識しております。
 木材は国際商品として流通しており、産地国の販売戦略や、消費国の木材需給の動向によって、その流通構造が大きく影響を受けるようになっているものと認識しております。
  国の平成19年度森林・林業白書では、平成18年の丸太、製材品、合板の輸入価格は、近年の中国をはじめとする国際的な木材需要の増大に加え、原油価格の高騰に伴う輸送費の上昇、ユーロ高等を背景といたしまして、上昇傾向を見せている、と述べております。
 昭和55年にピークを迎えた木材価格は、バブル期に一時的な上昇を見た以外は、下落・低迷を続けており、スギ製材品の価格が用途が競合する一部の外材製材品を下回るまで落ち込んでおり、現在はほぼ底を打っていると考えております。
 また、統計上、平成17年には木材自給率が7年ぶりに20%台に回復するとともに、国産材供給量も平成14年から17年にかけて連続して増加を示しており、国産品の需給動向に少し明るい兆しが出てきているものと期待をしております。
 しかし、直ちに木材価格が恒常的な上昇基調を描くとは考えにくく、経営改善計画を策定するにあたっては、現在の価格を参考とすることがリスクを抑える観点から妥当であると考えております。
 次に5点目の県政全体に大きな影響をもたらすものであり、出来る限り情報を公開し、広く県民の理解を得ていくことが大切であるとのご意見でございます。
  県としても損失補償をしていることから、その履行を迫られる可能性もあり、県民の皆さんにご負担をおかけすることにもなりかねないとの思いもあり、情報の提供、共有化は積極的に行う必要があります。
  県としても、私自身、6月県議会でお示ししましたように可能な限り情報をお伝えしてきておりますが、また、常任委員会においても、ご説明させていただいたとおりでございます。
  これからも、さまざまな機会を作り、より一層積極的に、県民の皆様に情報を提供し、理解していただけるよう努力してまいります。
 今後、県のホームページ等でも情報の公開に努める計画であります。また、既に公社においては、ホームページにおいて、経営改革の必要性について情報発信をしており、更に内容の充実を図り、適宜適切な情報提供が実現できるよう指導してまいります。
 6点目のご質問ですが、再建策にあたっては失敗は許されず、取り返しがつかないと考えるが、どのように考えているか。とのご指摘でございます。
  再建計画を策定する場合は、議員ご指摘のとおり、収入は厳しく、支出については予想外の出費に見舞われても吸収できるよう金利負担などのリスクを織り込んだ計画とすることが一般的であると認識しております。
  公社の経営改善計画においても、現在公社で取り組んでいる事業団地毎の資産査定結果を元に、確かな資産価値を把握して収入を見通す一方で、支出については公社の管理コストの縮減を図った上で、一定の金利負担などを織り込むことで、収益面において、大きくブレることのない堅実な計画として取りまとめる方針と聞いております。
 また、経営改善計画は公社理事会等により審議、決定される見込みであり、その後公表されることになりますが、県としてこれを受けてどのように評価し、対応するかについては、計画内容をつぶさに検証した上で、議会でもご審議いただき、県民の皆さんのご理解をいただきたいと考えております。

安心して子どもを出産できる環境について

次に、「安心して子どもを出産できる環境について」健康福祉部長にお伺いします。
 先月、奈良県で女性が下腹部の痛みを訴え、119番し救急車が出動しましたが、県立医大病院など奈良県や大阪府の9施設に受け入れてもらえず、救急車搬送、約2時間後に破水、病院到着まで約3時間かかり胎児の死亡が確認されました。
 同県は、昨年の8月にも病院で分娩中に意識不明になった女性が約20カ所の病院に受け入れを断られた末に死亡してしまったという悲しい事実は、記憶に新しいところでありますが、救急にもかかわらず複数の病院に受け入れを断られる「たらい回し」や地域によっては、離れた医療機関まで時間をかけて運ばざるを得ないという事は、今、妊娠中の女性や将来子どもを産もうとしている女性に不安をもたらす大きな問題であります。
 本県の昨年度の妊婦救急搬送事例件数が9月19日付の新聞で報道されました。その内容は、最初の医療機関とは別の病院に転送された妊婦が290人、このうち大津赤十字病院の調査で5つ目の病院で受け入れられた妊婦が1人、4つ目が1人、3つ目が4人、2つ目は12人いた事や5人が京都府内の病院に搬送されたという報道でした。
 また、9月12日の中日新聞では、「今年7月に本県東近江市で20代前半の妊婦が陣痛を訴えて救急車を呼び、救急車が妊婦宅に到着したものの、妊婦を乗せ停止したまま約15分間、救急隊員が4カ所の病院や開業医に電話で受け入れを要請したが、この妊婦の場合、「かかりつけ医でない」「妊婦の経過が分からない」などの理由で次々と断られ、5カ所めの電話でようやく24キロ離れた甲賀市の公立甲賀病院が受け入れを承諾、到着した時は、すでに1時間16分かかっていた」と報道されました。
  いずれも母体や新生児に異常はなかったとの事のようですが、奈良県のような事故になり得る危険性はなかったのでしょうか。 
  こうしたことを踏まえ、こうした妊婦と胎児の命にかかわる緊急の事態にスムーズに対応するために、救急搬送時のシステム構築、空きベッドなどの情報の共有、隣県自治体との連携が必要だと思われますが、本県の妊婦救急搬送についての現況と今後の取り組みについてお伺いします。 
 次に助産師の役割と活用についてお伺いします。
 分娩を取り扱う施設の減少や産科医不足の現実、今なお、安心・安全なお産が出来ない現実が広がりつつあり、身近な地域で安心して産みたいとの願いがあるなか、県の取り組みとして、滋賀医科大学産婦人科で、日常の妊婦検診や相談など地域の診療所や助産所と連携し、妊婦に異常が見受けられる場合は医師と助産師の医療スタッフ協力のもとで出産を行う産科オープンシステムをモデル実施中であります。
 周産期母子医療センターとして大津赤十字病院を指定され、産科と新生児科が一つになって危険度の高いお産、重病の妊産婦を受け入れ、お産の医療ネットワークとしての重要な役割を果たしています。
 一方、県のモデル事業として産科を持つ県内の15病院に募集をかけて選考し、院内助産所の開設に向けて、まずは助産師外来が今年11月頃に大津市民病院で開設、来年4月には市立長浜病院で開設予定されています。
  これらのシステムに大いに期待するところでありますが、高島市を中心とする湖西地区や彦根市を中心とする湖東地区の整備がなされていません。これらの地域の整備について、どのように考えておられるのかお伺いします。
  また、出産・育児支援のためにもさらなる助産師の活躍の場の確保、体制づくりをすることついて積極的な取り組みと支援が必要と思われますが、どのような具体策を考えておられるかお伺いします。
 次に総務省が、厚生労働省の「人口動態統計」を基に、乳児及び新生児の死亡率について平成8年から平成17年までの10年間における国全体及び47都道府県別の状況を調査した結果を発表しました。国全体の死亡率は減少傾向にあるなかで、本県は、平成17年の乳児の死亡率が出生千人あたり3.5で全国平均の2.8を上回り、最も低い佐賀県の1.7の約2倍という調査結果となりました。また本県は、この10年間の内9年、全国平均を上回っているとの結果も出ています。
  平成17年の新生児の死亡率も本県は2.1と全国平均の1.4を上回り、最も低い佐賀県の0.7の約3倍で、この10年間の内8年、全国平均を上回っている結果が出ました。このワースト結果となった数値の詳細並びに、常態化したといわれることに対しての原因究明と死亡率改善の方策についてどのように考えておられるのかお伺いいたします。

   
  

[健康福祉部長答弁]
「安心して子どもを 出産できる環境について」の3点のご質問に、お答えいたします。
  まず、一点目の妊婦救急搬送についての現状と今後の取り組みについてでございますが、妊婦の救急搬送についての依頼を消防が受けた場合には、救急医療機関となっております、また産科のある病院に搬送の受入れを要請しておりまして、本県では、救急隊員と医療機関が連携を図り、調整の上、搬送が行われております。
  しかしながら、最近の医師不足の中で、奈良県のような事態が起こらないとは言い切れないことから、9月10日に開催いたしました救命救急センター、各消防本部、医師会、病院協会等が参加する滋賀県メディカルコントロール協議会において、妊婦の救急搬送状況等について確認を行いましたとともに、今後の各関係機関のより一層の連携強化について要請を行ったところでございます。
 また、搬送された医療機関で、受入れが困難なハイリスク妊婦と判断した場合には、周産期医療ネットワークを活用して、受け入れ医療機関を探し、適切な医療機関に搬送されることとなっており、このため、周産期医療ネットワークでは、ハイリスク妊婦や新生児を受け入れる12病院が連携を図っております。
 また、総合周産期母子医療センターとなっている大津赤十字病院に情報センターを設置し、医療施設等に対し、空床情報の提供を行っております。
 こうした対応の中で、県内の周産期医療機関において受入れが困難な場合には、医師の判断のもと安全性を確保した上で近隣府県へ搬送するため、病院間での連携を図っていただいております。
 さらに、今回、広域搬送の拡充を図りますため、近畿府県で搬送医療機関を円滑に確保できる広域医療体制を整備し、安全・安心な周産期緊急医療体制を確立いたしますため、近畿2府7県で概ね合意をいたしまして、その体制の確保に向けて、医療機関との調整を行っているところでございます。
 次に、二点目の助産師の役割と活用についてでございますが、現状を、出産場所と助産師の状況で申しあげますと、産科診療所での出産が、最も多く全体の56%を占めている中にありまして、助産師の勤務されている場所は、診療所が、24%と少なくなっており、一方、病院は、概ね59%を占め、最も多い状況となっております。
  こうしたことから、病院勤務の助産師の方々に本来の助産師として役割を担って頂くことによって、産科医の負担軽減を図るとともに、県民の皆さんが多様な出産環境を選択できるようにするため、今年度、全国初の取り組みといたしまして「院内助産所モデル事業」を県単独事業として立ち上げ、産科を有する県内全病院を対象に広く公募を行い、実施病院を選定することとしたところでございます。
 そして、モデル事業に、各病院が積極的に参加をいただきたいとの思いから、年度当初に開催の病院長を対象とした会議や看護部長等を対象とした看護管理者会議の場で、事業の趣旨、内容を詳しくご説明し、早くから、対応を依頼してきたところでございます。
  こうした上で、6月には募集を行い、5病院から、応募いただきましたが、この中に産科医の不足が課題となっている湖西、湖東地域からの応募がなかったことから、両地域の病院に、働きかけを行いましたが、残念ながら病院側での体制が整わない等の理由で応募頂けなかったところであります。
 このような経過を経た上で、応募いただきました病院での正常分娩数や勤務助産師の数、さらには地域のバランス等を考慮し、湖北の市立長浜病院と南部の大津市民病院の2病院を選定したところでございます。
 現在、両病院においては、モデル事業として、「助産師外来、院内助産所」の開設に向けての具体的なタイムスケジュールを定め、医師、助産師等の関係者が一丸となって、事業の実施に向け、具体的な検討、協議、研修等を行って頂いているところでございます。
 県と致しましては、このモデル事業の展開、成果等を踏まえ、その効果等の検証を行ないまして、県内の地域の病院において、「助産師外来、院内助産所」の開設といった積極的な対応がなされ、助産師の皆さんが、さらに活躍いただけるように、医療機関や、関係者に広く、情報を提供してまいります。
 また、国においても、来年度予算の概算要求に、「院内助産所、助産師外来開設のための事業」が盛り込まれ、全国的な展開が予定されておりますことから、これらの動向を注視しながら、予算の確保を要望し、各病院での取り組みにあたって、国からの支援が得られますよう、努めてまいりたいと考えております。
 また、助産師の方々には、妊娠から分娩、さらに産後の適切な育児にかかる母子および家族への援助、思春期から更年期に至るまで女性のライフスタイルを巡る健康問題全般について保健指導を行う役割を担っていただいております。
 こうしたことから、すでに、周産期医療協議会および検討部会に、助産師会から委員として加わっていただいており、本県の安心・安全な出産環境についてご意見をいただいております。
 また、子育て・女性健康支援センターでは、核家族や少子化が進行し、家族や地域の人間関係が希薄化している中で、母親や子どもにより身近な地域において、気軽に相談できる体制を整備し、出産・育児支援の専門家として相談や健康教育など幅広い活動をしていただいております。
 さらに、妊産婦健康支援推進事業では妊産婦の健康管理の徹底を図りますため、妊産婦生活実態調査や妊産婦への支援のためのマニュアル作成を行う予定をいたしておりまして、助産師の方々の専門的知識や技術を生かしていただく中で、すすめてまいりたいと考えております。このように、今後とも、様々な機会や事業を行う中で、ご活躍いただきたいと考えております。
 次に、乳児および新生児死亡率についてでございますが、本県の平成17年の出生数12,899人に対し死亡数は45人で、出生1,000人あたりの死亡率は3.5となっているところでございまして、全国に比し高いことまた、こうした状況が、続いていることを重く受け止めております。
 本県では、死亡45人のうちの27人、約6割が生後1ヶ月未満の新生児死亡であり、乳児死亡に占める新生児死亡の割合が全国では5割となっているのと比べて多くなっている状況でございます。
 乳児死亡の死因につきましては、全国と同様に1位が先天性異常、2位が周産期の呼吸器障害、3位が乳幼児突然死症候群の順となっております。
  こうした状況もと、乳児死亡率が高いことの原因等につきましては、現在、周産期医療ネットワークに参加していただいております病院の医師を中心に、周産期医療協議会で、死亡事例についての検証作業を行っております。
  さらに、今後、滋賀医科大学に開設いたしました寄付講座においても、人口動態統計に基づく分析および死亡事例についてのより専門的な分析を行っていただく計画でありまして、こうした検証や分析の結果を医療機関等に情報提供し共有することにより、関係機関での、今後の対応に生かしていただくよう、努めますとともに、県民の皆さんへの啓発や、関係者の資質向上に生かしていくことにより、妊娠・出産・新生児期・乳幼児期を通して母子の心身の健康が確保されますよう環境づくりを推進してまいりたいと考えております。

中小企業振興対策について

最後に中小企業振興対策について知事にお尋ねします。
 滋賀県では「滋賀県産業振興新指針」に基づき「滋賀3KBI」つまり健康福祉、環境、観光、バイオ、ITの分野における新産業の創出、地域産業の高度化・体質強化、若者、女性、障害者の雇用と多文化共生の推進の3点を重点目標に取り組んでおられます。
  現在、滋賀県産業振興新指針の見直し作業が行われておりますが、新しい産業振興指針の策定に当たっては、現行の指針が本県の産業振興策として的確であったのかどうかを踏まえる必要があると考えます。
  本県には、県内事業所数の99パーセントを超え、また総従業者の86パーセントを超え宇中小企業があります。中小企業は地域に根ざした産業であり、この中小企業の自立的な活性化を図ることが地域社会の元気を取り戻す大きな原動力になると思います。
  しかし、本県の中小企業はいま元気な状況に置かれているとは思えません。
  例えば、新たに開業した事業所数並びに廃業あるいは倒産した事業所数の最近の変化はどうなのでしょうか。
  意欲的な事業者が次々と生まれ、開業率が廃業率を上回るという環境をつくることが産業振興の目安の一つになると思います。
  元気な中小企業を生み出すには、総花的でなく、滋賀県の特性を踏まえた重点戦略を持つことが必要だと考えます。これまでの産業振興の理念、施策をしっかりと総括することが必要だと思われますが、ご所見をお伺い致します。
  次に、中小企業振興対策を考えるに当たって、中小企業の実態、中小企業者の思いを十分把握しておられるのでしょうか、お尋ねいたします。
 先進的な都道府県では、個々の中小企業にヒヤリング調査を行い、中小企業の抱えている苦労を共有するところから、中小企業のもつ課題の解決策を考えていこうとしています。
 まさに、現場に足をつけた産業振興策を模索しようという取り組みです。
 中小企業家のモチベーションを高めるためには、政策担当者が現場を訪れ、その実態を調査することからはじまり、そのヒヤリング調査をもとに、産業振興の戦略や施策を構築していくことが大切だと考えますが、知事のご所見をお伺い致します。
 最後に、中小企業振興対策の主体についてのご認識をお伺いします。
 経済・産業活動は民間活力がもっともその能力を発揮する分野であることを考えると、産業振興の主体は民間であるはずです。行政はその主体がダイナミックな活動を行う上での支援をするという役割を果たすべきと思います。
 例えば「産業振興会議」という場を用意し、そこに意欲ある経営者に集まってもらい、中小企業が抱えている問題をお互いに検討し、研究者と一緒になって課題解決に向けた取り組みを行い、行政はその活動に支援を行うといったことが大事かと思います。
 同じ額の補助金を使うに当たっても、「単年度執行の補助金は使い勝手が悪いので複数年度のシステムにして欲しい」という声がありますが、こうした場で行政も一緒になってその改善策を考えるべきです。
 また、中小企業振興のためには、従来の商工観光労働部の所管だけでない多様な連携が必要です。例えば、障害を持った人たちを雇用するなど福祉との連携、地場で生産された農作物の直販事業のような農林漁業との連携、琵琶湖をはじめとする環境保全活動との連携、あるいは地場産業振興など幅広い取り組みが、すでに生まれております。
 主体を中小企業におくことで、行政も各部にまたがる施策を有機的に、また体系的に進めることに通じると考えますが、知事のご所見をお伺いします。
 以上、民主党・県民ネットワークの代表質問を終わります。
  ご清聴ありがとうございました。

   

[知事答弁]
次に、中小企業振興対策についての3点のご質問にお答えさせていただきます。
元気な中小企業を生み出すためには、滋賀県の特性を踏まえた重点戦略を持つことが必要とのご意見でございますが、
  平成15年3月に策定した「滋賀県産業振興新指針」に基づき、中小企業振興対策を含む産業振興対策を実施してまいりました。新指針を検討した平成13年度当時は、デフレの進行や長引く景気の低迷を受け、産業や雇用を取り巻く環境が深刻化するなど、大変厳しい経済情勢でございました。
  また、経済のグローバル化の急激な進展、IT・バイオ・ナノテク等のハイテク分野での急速な技術革新、さらには、産業空洞化の高まりや雇用問題の深刻化など、様々な課題が存在しておりました。
  こうした状況の中で、本県経済を活性化するには、県内企業の大半を占める中小企業が、厳しい競争に勝ち抜く足腰の強さと活力を持つことが不可欠であり、企業自らが、これからの時代の変革を読み取り、それに即応する形で意欲的に取り組んでいただくことが重要と認識しております。
  このため、成熟化する日本経済のなかで県内中小企業が、琵琶湖を抱える滋賀県の特性などを踏まえて、環境、バイオ、ITなど、将来的に優位な産業分野に取り組みの重点をおき、活力ある成長発展を遂げられるよう、新規創業や経営革新による体質強化に向けた施策を中心に力強く推進してきたところでございます。
  その結果、例えば、中小企業経営革新計画の認定数は、平成11度から平成14年度までの4年間で85件であったものが、平成15年度から18年度までの間では、318件と大幅に増加するなど、新たな取り組みによる経営の向上を目指す中小企業は着実に増加してきております。
 また、本県では、大学誘致を政策的に進めてきたことにより、平成18年度の人口10万人あたりの学生数は全国第4位となっており、中小企業の新事業展開に効果的な産学官連携基盤が整ってまいりました。こうした研究基盤を活用することで共同研究数は、平成13年度の約260件に対し、平成17年度では400件を超え、競争力向上が図られております。
  今年度で新指針策定後、4年余りが経過し、経済全体が回復基調にあるものの、長期にわたり消費が低迷している、あるいは、事業転換ができない等、企業規模、地域、業種により回復感には差があり、中小企業を取り巻く環境には厳しい側面もございます。
  そのような状況も踏まえ、新指針の計画期間の終盤となる来年度以降は、「産学官ネットワークにより持続発展を促す自律型産業構造」、「高付加価値の新しい技術や新しいサービス等が絶えず創造される産業構造」への転換をさらに加速し、重点的な戦略構築を図るため、新指針の改訂を検討願っているところでございます。
 なお、本県の開業率ならびに、廃業率についてですが、総務省の統計調査によると、直近の平成13年度から平成16年度は、開業率が3.9%、廃業率が5.4%、その前の平成11年度から平成13年度は、開業率が4.7%、廃業率が5.0%となっおります。
 次に、政策担当者が現場を訪れ、その実態を調査し、ヒアリング調査などをもとに、産業振興の戦略や施策を構築していくことが大切とのご指摘でございます。
  県職員をはじめ、中小企業振興に携わる者が、地域や事業者のニーズや思いを現場で受け止め、産業振興の戦略や施策を構築していくことは、大変重要でございます。
  事業者のニーズを捉える機会については、日頃、中小企業に直接接している財団法人滋賀県産業支援プラザのマネージャーや、商工会議所・商工会の経営指導員、さらには、工業技術総合センター等の職員を通じ、事業者のニーズや課題を把握し、政策に反映してきおります。
 また、企業経営者をはじめ、事業所長や支援機関など産業活動に直接関わっておられる方々30名に「産業新指針ウォッチャー」として就任いただき、ヒアリング、意見交換等を通じて、中小企業と大手企業とのパートナー構築やネットワーク形成への助言など、本県の産業振興施策や産業を取り巻く環境に関わる意見・提言を賜り、政策立案の参考としております。
 新指針見直しにあたっても、県内の企業約1,000社へのアンケートや、企業、団体等にヒアリングを実施し、県内企業の実態やアンケートでの要望が多い人材育成・確保に対する支援や、新たな市場開拓への支援等を政策ニーズとして反映できればと考えております。
 このように、県では、施策の検証や立案にあたり、あらゆる手段を通じ、中小企業の意見やニーズを把握し、施策展開に活用させていただいております。
 今後も、様々な機会を捉えてニーズの把握やご意見を賜りながら施策展開を努めて参りたいと思っております。
  3点目の中小企業振興のためには、行政も各部にまたがる施策を有機的に多様な連携が必要とのご意見でございますが、
 県内企業の大半を占める中小企業が、本県経済の活性化や県民の雇用創出の原動力として、重要な役割を担っていただいております。
 中小企業が、主体的、自律的な活動を展開することができるような環境を整備することが、行政の役割と考えております。
 そのような考えから、平成16年度に、経済団体、学識者、行政のメンバーによる「滋賀県産業振興推進会議」を設置し、産業・雇用に係る地域戦略について検討するとともに、産学官がそれぞれの役割を十分認識しながら、効果的な連携を深め、それぞれの主体的な実践を推進しているところでございます。
 併せて、推進会議から提起された課題について専門的見地から取り組み方策を検討する「推進検討部会」や、「新指針」に掲げるプロジェクト等についての進捗状況や課題等を検討する「新指針フォローアップ部会」を設置し、県内企業経営者から実践的なご意見を賜り、施策推進に反映しております。
 補助制度についても、このような機会での意見等も参考にし、新商品や新技術の研究開発に係る補助金では、複数年度にわたる事業計画を承認の上、補助を行うなど、効果が最大に発揮できるよう工夫しております。
 また、関係部局との連携につきましては、既に具体化を進めているところでございます。議員のご指摘のところと重複いたしますが、
 例えば、労働と福祉部局との連携については、障害者の企業等への就労に関して、「働き・暮らし応援センター」や「障害者雇用支援センター」等で取り組みを進めております。
 また、農林水産業との連携については、今年度、農協や森林組合等との連携・協力により地域の強みとなる地域資源を選定し、中小企業がこれらの地域資源を活用して行う事業に支援する予定でございます。
 さらに、県と経済界との連携については、例えば、地球温暖化防止と持続的に発展できる経済社会の実現を検討・推進するため、エコ・エコノミープロジェクトを立ち上げたところでございます。
  県としては、中小企業が、主体的に地域課題を解決する役割を担っていただけるよう応援をさせていただき、期待もさせていただいております。





  6月県議会定例会は6月4日(月)に開会され、6月6日(水)に会派代表による質問が行われました。民主党・県民ネットワークは西川勝彦代表が以下の内容で嘉田知事を始め各部長に質問を行いました。その内容についてご報告いたします。

[前文]
  民主党・県民ネットワークを代表して質問をします。
4月に行われました滋賀県議会議員選挙では、時代の流れとしての「大きなうねり」を感じさせられることとなりました。
いわゆる「対話の会」から公認、推薦を受けた方々の当選や、私たち「民主党」公認・推薦候補の躍進が県政の流れを大きく変えました。
滋賀県民の思いが、それを望み、投票行動につながったのだと思います。
そして、5月11日の臨時議会では、長い県政の歴史の中で初めて「自民党系」ではなく、「民主党」籍をもつ出原議長を誕生させることができました。
出原新議長におかれては、わずか一票差で当選した議長ということで、心労も大きいかとお察ししますが、県民にわかりやすい政治、開かれた議会を目指し「議会改革」をしていくという初心を忘れず頑張っていただきたいものです。
滋賀県や、滋賀県議会が抱える諸課題については、一生懸命訴え、議論をすることによって、必ず道は開け、解決するものと確信しています。
議長選出のあと、図らずも「会派代表」を仰せつかることになった、不肖、私、西川勝彦はもちろんですが、議長出身会派の一員として、わが会派のメンバーは全員一丸となって議長を支える決意です。
  さて、民主党公認・推薦で選挙を戦った私たちは、まず「議会改革」を訴えてきました。
この任期の間、県民にわかりやすい政治、開かれた議会を目指し「議会改革」に取り組んでいきます。
また同時に、「子育て環境日本一宣言」と銘打ったマニフェストを提示し、県民皆さんに訴え、支持をお願いしてきました。
  この4年間に、それらの施策を実現すべく、県当局に対して「政策提案」を重ねながら頑張ってまいります。
  そういう観点から、また二元代表制の中で、知事や県当局とは「是は是、非は非」の立場で、子や孫の時代を見越した県民福祉の向上に努めてまいります。
そのことこそが議会を活性化し、滋賀県を滋賀県らしくするものと考えます。
  今後とも、ご理解、ご協力、ご支援をお願いし、質問に移ります。

行財政改革への取り組みについて

まず、行財政改革への取り組みについて、知事及び関係各部長に質問します。
  平成19年度県政運営の基本方針の中で、「開発を基本として量的な拡大を目指す社会から、生活の質的な向上に重きをおいた成熟社会へ移ってきている」との認識が示されています。
  「量から質へ」「成長から成熟へ」ということは、かねてから言われてきましたが、環境や資源エネルギーの面から、人類の生存のための地球の限界が実感される時代を迎え、従来の成長路線からの大きな転換が余儀なくされています。
  県民が、知事選挙において、「もったいない」という生活哲学を掲げた嘉田知事に多くの共感を示し、また、今回の統一地方選挙においてもその方向性に対して支持が集まりました。
まさに、時代の大きな転換期にいることを多くの県民が実感していることを示しているものと考えます。
今こそ、国も地方も行財政運営のあり方について、大きく変革することを迫られており、そのことを改めて感じさせられたところであります。
  さて、本県では、今年度「新しい行政改革の方針」策定と「新しい財政構造改革プログラム」の策定が予定され、来年度からの新たな行財政改革の推進を実施するとされています。
  質的な豊かさを求め、高度化、多様化する行政への県民ニーズが拡大する一方で、国も地方もそれに答えるための財政事情は極めて厳しい状況におかれています。
  こうした中で、知事は、任期中において目指している本県の行財政はどのような姿であるべきと想定されておられるのかをまず伺います。
  江戸時代が260年以上続いた要因のひとつは徹底した地方分権、住民自治という、小さな政府とも言うべき制度にあったと言われています。こうした「小さな政府、そして自立型社会」により、政府に頼らず、自分たちの力で身の丈にあった豊かさを求めるというのもひとつの選択です。
他方、人々に必要な負担を求めながら、政府が積極的に人々の求める豊かさの実現のために機能するという姿もひとつの選択です。
  いずれの方向を選択するにしても、現状を変えることには非常に大きなエネルギーを必要とします。
  転換期にふさわしい思い切った行財政改革を進めるためには、知事が明確な目標を指し示すことと強いリーダーシップ、そして、地方政府の役割と行財政の現実の姿を県民と共有することが必要であると思いますが、知事に新たな行財政改革への基本的考えについてお伺いします。
  さて、鳴り物入りで行われた今回の施策・事業仕分けですが、目標を掲げないまま要・不要の検討をしたため、期待されただけの結果が出なかったように感じます。
本来ならば歳入を常に念頭に置きながら、望ましい施策の優先順位を考えるべきであると思いますが、知事のお考えをお伺いします。
  先にも申しましたが、行財政改革を進めるためには、地方自治の現状、現在の滋賀県の行財政の事情を県民と共有することが大事です。また、新たな行財政改革においては、これまで以上に大胆な取り組み方策についての検討も必要と考えます。
  そのためには県下各地での住民討論会やインターネット等を活用した電子会議室の活用、また大胆な改革案を積極的に採用するなど県内外の知識や見識の結集を図り、改革に向けて県民を巻き込んだ思い切った取り組みを進める覚悟が必要と思われますが、知事のご所見をお伺いします。

   
   [知事答弁]
民主党・県民ネットワークの西川議員の代表質問にお答えさせていただきます。
まず、行財政改革の取り組みについての5点の質問にお答えいたします。
  1点目の目指すべき行財政の姿についてであります。今後とも厳しい財政状況が見込まれる中ではありますが、福祉や教育、子どもの幸せといった県民のみなさんの生活や暮らしをしっかりと支えていける安定的な財政基盤を確立することがまず大切です。それと同時に社会経済情勢の変化に即応した新たな発想と工夫で滋賀のさらなる活力を創出していけるような行政運営のしくみを確立していかなければならないと認識しています。
  次に、2点目の新たな行財政改革の基本的な考えについてでございますが、市町村合併の進展や地方分権改革に向けた動きなど、本県を取り巻く状況は大きく変化してきており、こうした時代の変化に的確に対応していくためには、地域や個人が自らの役割を認識し、主体的に行動するとともに、様々な協働を図っていくことが重要であると認識しております。
  そのためには、県といたしましては、これまでの「お任せ型県政」から、過程が見え、関わりが持てる「参加協働型県政」に転換し、県民の皆さんの思いを十分に受けとめることのできる「対話と共感」の自治を築いてまいりたいと考えております。
  このため、今後の新しい行政課題に的確に対応するには、安定的な行財政基盤の確立が不可欠であります。
  そうした意味で、公債費という形で将来の世代の負担となる県債残高の増加を極力抑制することが重要であると考えております。
  次に、3点目の事業仕分けに関するご質問にお答えさせていただきます。
  今回実施をいたしました「施策・事業の仕分け」につきましては、個別の事業自体の趣旨や目的、内容に着目し、事業の必要性や適切な実施主体、効果的な実施手法等の観点から整理していただいたもので、県の政策方針や実施主体の財政状況等からの施策の優先順位付けまでは、ご判断いただいておりません。
  仕分けの結果とともに、いただいたコメントや検討過程での意見については、予算編成や新しい財政構造改革プログラムの策定の中で、職員の気づきに活かし、県としての見直しを行ってまいりたいと考えております。
  次に、4点目の行財政改革を進めるに当たって、県民を巻き込んだ思い切った取り組みが必要との点でございます。
  厳しい財政状況が今後も予想される中、将来を見据えた大胆な行財政改革に取り組んでいくに当たっては、県民の皆さんや市町への影響も考えられますことから、その過程において、何よりも県民の皆さんのご理解とご協力が必要であると考えております。
  こうしたことから、ご質問の中でいただきました住民討論会やインターネットの活用などのご提案の内容も参考にさせていただきながら、今後、県民の皆さんや市町との情報の共有化を図り、本県行財政の現状についてご理解いただくとともに、今後の方向について共に知恵を絞れるような努力をしてまいりたいと考えております。
  次に、5点目の財政構造改革プログラムの策定における歳出削減についての基本的な考え方でございます。
  新たな財政構造改革プログラムを策定する際の前提であります今後の収支の見通しにつきましては、経済情勢等さまざまな変動要因が複雑に影響し合いますことから、明確な見通しを立てることは非常に難しいところであります。しかしながら、現下の国および地方の財政状況を勘案しますと、歳入面では、地方交付税の抑制基調が続くことが考えられますとともに、歳出面では、社会保障関係経費や公債費、退職金の増加などが見込まれますことから、引き続き、大きな財源不足が生じる大変厳しい財政状況が続くものと認識しているところでございます。
  こうした認識のもと、今後は、収支を見極めたうえで財源不足に対応するため、経常的な内部事務費の見直しや人件費の削減による行政のスリム化はもちろん、先ほども申し上げました「施策・事業の仕分け」の成果を活かしながら、福祉や教育関係経費なども含めたすべての事務事業につきまして、その必要性あるいは効率性、効果性などの面についてゼロベースでの見直しを行います。
  また、提案説明の冒頭に申し上げましたように、今後の行政運営に当たりましては、補完性・近接性の原理に従い、「基礎自治体を優先」するとともに、より一層の「受益と負担の明確化」により、県民の皆さんが主体的に施策の選択と決定に参画することができるよう努めてまいります。さらに、情報公開を徹底し、行政の透明性を向上させることにより住民本位の行政を実現してまいります。
  今回の新たな財政構造改革プログラムの策定に当たりましては、子や孫にツケを残さないよう財政の健全化を目指すことは、今の私たちに課されている責務であるとの認識のもとに、私を先頭に全職員が一丸となって、取り組む覚悟でございます。
  量的拡大から質的向上へと変化する中での基本構想の役割についてとのご質問でございます。これまでの基本構想とはどのような違いがあるべきと考えるかということでございます。
  先日発表された国立社会保障・人口問題研究所の都道府県別将来人口では、滋賀県も2015年から2020年の間に人口減少に転じること、今後急速に高齢化が進むことを予測しています。
  また、地球環境問題の深刻化や厳しい財政状況といった要素も加わり、様々な制約の中でこれまでの暮らしぶりや社会のしくみの見直しを迫られています。
  さらに、地方分権が進展する中で、地域のことは地域自らが考え、自らの責任で地域づくりを進めていかなければなりません。
  これからの基本構想の役割は、これまで滋賀の豊かな自然や歴史の中で培われてきた知恵や文化を活かし、また、これまで整備してきた社会資本を有効に活用することによって、生活の質の向上を大切にし、将来にわたって豊かさや幸せを県民の皆様自身が実感できる社会を目指していくことだと考えております。
  また、厳しい財政状況等様々な制約を受ける中で、県民のニーズや価値観の多様化とともに社会参加の意識の高まってきていることを踏まえ、多様な地域の担い手が行政とともに地域づくりに参画し、自立した地域社会づくりを目指していくための、県、市町、県民の共通の指針として役割を果たすものでありたいと考えております。
  次に、これまでの基本構想との違いについてですが、かつての長期計画や基本構想においては、事業の量的な拡大による生活の質の向上を目指すものであり、行政が事業を積み上げ、その着実な推進を図ることを主眼に策定するものでありました。しかし、今日、いわば、ハードの時代からソフトの時代に転換しつつある中にあっては、今まで以上に県民の皆さんの暮らしの視点に立って、県民の参加と協働を前提に、皆でともにつくり上げていかなければならないと考えております。また、コーディネータとして県の役割を踏まえながら、県全体の施策や計画を統合して県政全体としての方向性をより鮮明に示すものとしなければならないと考えております。
  そこで、今回の基本構想の策定にあたりましては、県民の皆さんや各種団体、民間企業などと共有する指針となるよう、皆さんからの意見募集、様々なところで活躍されている方によるワークショップ、職員による訪問対話、あるいは、自治創造会議において市町長の方々から意見をいただきながら進めてまいりました。
  構想の枠組みについては、2030年の長期的な展望に立って、「明日を拓く共生社会へ」という理念を掲げ、今、何が大切かを考える中で、「人の力を活かす」、「自然の力を活かす」、「地と知の力を活かす」という方向性を打ち出し、これを戦略として基本構想の柱に位置付けるとともに、今後4年間に重点的に取り組む施策や政策について審議会で議論をいただいているところです。
  今後も、県議会の皆さんはもちろん、広く県民の皆さんと情報を共有し、対話の機会を設けることなどによりまして、皆さんとともに滋賀の未来を拓いていくための構想を策定してまいります。

新財政構造改革プログラムの策定について

次に、新財政構造改革プログラムの策定について伺います。
  平成19年度予算は、県税収入は伸びているものの、非常に厳しい歳入の状況となっています。そのような中で、かろうじてプライマリーバランスは確保したものの、退職手当債や建設中の施設整備にかかる事業費、また義務的経費などの増加により、予算規模も前年度を上回り、県債残高も増加する結果になっています。
  来年度以降、県税収入が今年度と同様の伸びが期待できる保証はなく、ここ当分の退職手当の増加などを考えると、本県の財政状況はあまり明るい展望が見いだせないと考えられます。
  そこで、本県の財政状況の認識について、総務部長に伺います。
  財政構造改革プログラムは今年度中に策定し、平成20年度から新たな行財政改革の推進をはじめることとされていますが、通常、次年度の予算編成は、毎年10月ごろの予算編成の方針によりその作業が始まります。
  となると、10月までには新しい財政構造改革プログラムの策定の目途がついている必要があると考えられ、現時点からですと作業期間は4ヶ月程度しかありません。
  このような短期間のうちに、抜本的な財政構造改革プログラムの策定が可能なのでしょうか。
その策定スケジュールおよび作業内容について総務部長に伺います。
  「入りを図り、出るを制す」というのは財政運営の基本でありますが、「入るを図る」には困難が多い中で、まず「出るを制す」ことに全力を傾注しなければなりません。
  本県においても、今日まで、さまざまな歳出の見直しの努力が重ねてこられました。しかし、今まで以上の改革を進めようとすれば、むしろ歳出削減に向けた具体的な目標数値や歳出削減の方策についての明確な戦略を提示するという、従来のボトムアップ型の歳出見直しのやり方ではなく、トップダウン型の見直しが不可欠ではないかと考えます。
知事の歳出削減についての基本的な考え方をお尋ねします。
  また、「入るを図る」ことは難しいとは言え、これからの地方自治体が必死に知恵を出す必要のあるテーマであると考えます。平成19年度においても、歳入確保のための企業誘致策の取り組みが予算化されていますが、新たな歳入確保の戦略づくりをどのように進めておられるのか、総務部長にお尋ねします。
  滋賀県においては、県税収入は伸びているものの、地方財政計画による地方交付税の減少により、結果的に厳しい歳入状況になっています。地方交付税が歳入に締める割合が高いというわが国の地方財政において、地方交付税をどのように財政構造改革プログラムの中に組み入れるかは非常に難しい問題ですが、総務部長の考えを伺います。

   
   [総務部長答弁]
行財政改革の取り組みのうち新しい財政構造改革プログラムの策定に係る4点のご質問にお答えします。
  まず1点目の本県の財政状況についての認識でありますが、本県では、これまでから「歳入に見合った歳出」の原則のもと、財政構造改革に積極的に取り組んできたところでございます。
  しかしながら、バブル経済崩壊後の国の経済対策等に呼応し、補正予算債を活用して社会資本整備を進めてきたこと、さらには近年は地方交付税の振替である臨時財政対策債を発行していることなどによりまして、一般会計の県債残高は、平成
18年度末で約8,929億円と、過去最高の残高見込みとなったところでございます。
このうち半分以上は後年度に地方交付税で措置されることとなりますものの、その償還費である公債費が増加傾向にあり、県財政の圧迫要因となっております。
さらに、平成10年度以降の財政構造改革の取り組みを進める中にあっても、県民福祉の向上に必要な行政需要に応えるため、不足する財源を財政調整基金や県債管理基金の取り崩しにより対応してきたことから、基金残高は大幅に減少しております。
  平成19年度におきましても財源調整のための取り崩しを予定しておりますことから、これら財政調整的な二つの基金の現時点における平成19年度末残高見込は、約116億円と、残りわずかになるなど、今後の財政運営が大きく制約される状況となっております。
また、県の歳入におきまして、県税と合わせて大きなウエイトを占めております地方交付税でございますが、「三位一体の改革」前の平成15年度決算額と平成
19年度当初予算額を比べてみますと、地方交付税とこれの振替である臨時財政対策債を合わせた額は、約680億円の大幅な減少となっておりまして、この間、県税収入が税源移譲分を除きまして約291億円しか増えておりませんので、差し引き約389億円の一般財源の削減という厳しい現実が残されました。
  今後とも、地方交付税の抑制基調が見込まれる一方で扶助費等の義務的経費は増加しており、県財政の置かれている状況は大変厳しい状況にありますことから、より一層、行財政の改革を進めていかなければならないとの認識をいたしておるところでございます。
  次に2点目の財政構造改革プログラムの策定スケジュールおよび作業内容でございます。
  現在、プログラム策定の前提となります平成20年度以降の収支見通しについて、内閣府が試算している名目成長率や過去の伸び率等を参考に作業を進めているところであります。
  今後は、収支を見極めたうえで、全事業についてゼロベースでの見直しを進め、来年度予算編成作業に入る秋頃には、取り組みの方向性などについて明らかにしてまいりたいと考えております。
次に3点目の新たな歳入確保の戦略づくりについてでございます。
  歳入の確保対策といたしましては、特に歳入の太宗を占めます県税収入について、企業誘致等産業の振興策を適切に講じるなどにより、将来にわたって安定的な税収確保につなげていくことが不可欠であります。
本県では、産学官の連携等による新商品開発や高付加価値化など、新事業の創出の支援に力を注いでおりますが、今後とも企業の主体的な取り組みを適切にサポートする施策や本県の魅力を十分に発信できる施策の推進に努めてまいります。
しかしながら、こうした取り組みは、すぐにその効果が現れるものではないため、これらに併せて、早期に効果が期待できる歳入確保策として、平成17年度から滞納整理特別対策室を設置し、県税収入未済額の縮減に努めるとともに、将来にわたって利用計画のない県有地について、市町や民間に有効活用していただくよう計画的な売却に努めているところでございます。今後は、県有施設のネーミングライツ販売の導入可能性などについても検討を進めますとともに、考えられるあらゆる方策を講じながら、歳入確保に向けて最大限の取り組みを進め、歳入・歳出、一体としての改革をしてまいりたいと考えております。
  次に4点目の地方交付税をどのように財政構造改革プログラムに組み入れるかについてでございます。
  先ほども申し上げましたように、「三位一体の改革」などにより地方交付税の大幅な削減という厳しい現実が残され、地方財政を取り巻く状況は一層厳しさを増しております。
そのような中、今後の地方交付税の推計をどのように見込むかについてであります。議員ご指摘のように非常に難しい問題でございますが、今般、国において地方交付税総額の予見可能性を高めるため、地方交付税の算定基礎であります基準財政需要額の全国平均伸び率を試算されましたので、こういった伸び率等も参考にして、本県の地方交付税を推計してまいりたいと考えております。
  現時点では内容的には相当厳しくなるものと予想しておりますが、県財政の大きな財源でありますことから、できる限り高い精度での推計を行い、財政構造改革プログラムに反映してまいりたいと考えております。

財政健全化と新たな基本構想について

次に、財政健全化と新たな基本構想についてお伺いします。
  滋賀県の長期計画は、高度経済成長が始まった頃の「全国総合開発計画」を受ける形で策定されてきました。この全国総合開発計画がひとつの時代的役割を終える中で、長期計画、基本構想と呼ばれるものもその役割を変化させつつあると思います。
  生活インフラや生産インフラの整備に重点が置かれた時代にあっては、計画の方向も大規模な公共投資に向けられがちでした。しかも、形あるものを作るということで、その政策効果の判定も分かりやすいものがありましたが、人々のニーズの多様化する時代における基本構想に対しては、今までとは違った形でのさまざまな期待があります。
  こうした中で、量的拡大から質的向上へと変化する中での基本構想の役割というものを知事はどのようにとらえておられるのか。これまでの基本構想とはどのような違いがあるべきとお考えなのか、お伺いします。
  基本構想はすでに昨年11月に審議会が設置され、今年度後半の策定に向けて作業が進められていると伺っています。一方で、総務部長にお尋ねをしたように、新しい財政構造改革プログラムの策定は、まだ策定スケジュールが公表されていない状況です。
しかし、財源的裏付け、財源の見通しを伴わない基本構想というものは考えらません。どれほど魅力的な構想であっても、それを実現していくためには、予算的裏付け、財源見通しが必要です。基本構想策定において、財政とのリンクはどのように考えておられるのか、基本構想の進捗状況と合わせて政策調整部長に伺います。

   
  

[政策調整部長答弁]
行財政改革の取組についてのご質問のうち、基本構想策定における財政とのリンクと基本構想策定の進捗状況についてお答えします。
  まず1点目の、基本構想の策定における財政とのリンクについてであります。
  今般の基本構想は、従来のような事業を積み上げる計画ではなく、県政全体としての方向性を示すものであり、また、今後4年間の重点的な政策・施策を戦略として示すという県行政の指針を考えております。
  また、多様な地域の担い手が県とともに参画しながら地域づくりをしていくための、県民や事業者、団体、市町が共有する指針でありたいと考えております。
  こうしたことから、この基本構想は、その方針に基づいて、県の各分野の計画や施策を点検、見直し、再構築しながら、実現していきたいこと、また、地方分権をはじめとした情勢の変化や、地域づくりへの多様な担い手との協働のあり方に応じて、柔軟に対応できるものにしたいと思います。
  一方で、議員ご指摘のとおり財政的な裏付けも重要なことでありますので、この構想の実現には、今後の厳しい財政フレームの中で、政策・施策の優先度に応じ、選択的、重点的に進めて参りたいと思います。
  このため、今後策定される財政改革を含む新しい行政改革の方針に沿って、毎年度の予算編成の中でその具体化を図って参りますとともに、重要な政策・施策につきましては、財政面での見通しを立てながら、これをしっかりと進めるためのしくみを検討したいと考えております。
次に、2点目の基本構想策定の進捗状況についてであります。
  昨年11月に滋賀県基本構想審議会に諮問して以来、5回にわたって審議をいただいてきました。この間、現状と時代の潮流、基本理念、2030年頃の将来の望ましい姿、今後4年間の戦略について個別に審議いただき、先般の第5回審議会では、それら全体をまとめた基本構想の骨格案についてもご意見をいただきました。
  今後の予定でありますが、今月下旬に第6回の審議会を開催し、基本構想全体についてご議論の上、答申をいただこうと思っております。
  この基本構想は、議決案件でございますし、また、今年度からを計画期間としておりますことから、この答申を早急に議会にご説明し、ご議論をいただきながら、県民政策コメントの実施、9月議会には策定経過を報告し、12月議会に上程、ご審議のうえ、策定したいと考えております。

新幹線新駅問題について

次に、新幹線新駅問題について、知事に質問します。
昨年の7月議会で知事は、次のように述べておられます。
「新幹線新駅につきましては、限りなく中止に近い凍結の方向に県民の意志が示されたという選挙結果を厳粛に受け止め、その実行に向けて取り組ませていただきます。」と表明されるとともに、関係者との対話を尽くし、凍結に向けて合意を図るという方向性を示されました。
9月には地元栗東市への現地訪問や関係者との話し合いを経て、促進協議会正副会長会議を設置されました。
さらに新駅の需要予測や経済波及効果、税収予測、「法的責任の範囲」等について、具体的な数値を示されました。
また、昨年末には、本年3月末までに今後の進め方について地元合意に至らない場合、または新駅設置工事を中止することとなった場合は、平成19年3月末をもって工事費の清算を行うという条項が盛り込まれた覚書について合意がなされました。ただし、本年2月に、栗東市長の要望もあって、地元の最終判断の期限を10月末までJR東海に延期してもらうようになりました。
平成19年度滋賀県当初予算には新幹線新駅設置工事費負担金が盛り込まれず、またJR東海が3月末をもって現地の工事体制を解除された今、県として栗東市や周辺関係市、土地区画整理事業に関係する238名の地権者、県民はじめ多くの関係者に対する説明責任を果たす必要があります。
去る4月23日の正副会長会議において
『地元での「協定類の履行の諾否の期限」は10月末』
『協定類を履行することで合意すれば、開業時期や費用について協定を修正する』
『中断や凍結を含む、いわゆる中止で合意した場合はその時点で、協定類履行の合意に至らなければ10月末で協定類は終了する』
という覚書の内容について合意し、翌24日に締結されています。
しかし、地元栗東市では現在も推進の立場を崩さず、来る6月9日には「新幹線(仮称)南びわ湖駅早期開業推進協議会」の通常総会が予定されており、同時に若手経営者を中心に新駅誘致に向けての寄付金募集を続けておられます。
一方、昨年10月の栗東市長選挙、この4月に行われた滋賀県議会議員選挙、栗東市議会議員選挙の結果を見た時、地元ですら市民の民意は二分されているようで、凍結・中止を望む人と、推進を掲げる人がほぼ拮抗した状況にあります。
現実問題として、起債に対する裁判の流れなども「推進」側には向かっておらず、今後は凍結への決断を誰がいつするかにかかっているように感じます。
このことを見る時、知事の『あくまでも関係者の合意による凍結を実現する』の一言のみで軟着陸ができるのか懸念されるところであり、促進協議会会長として、どのようにこの問題に対応していかれるおつもりなのか、知事に伺います。
最後に、地元栗東市民および地権者のいろいろな経済的損失と精神的不安を払拭する必要があります。
10月末を待つだけでなく、1日も早く解決することが関係者にとってもよりよい対応となるはずです。
そのためにも県は、栗東市とともに早急に地域振興策を含めた新駅凍結後の具体的利用方法を検討し、あわせて新駅に代わる県南部地域の活性化への「中・長期的ビジョン」などを示すことが必要です。
現段階での具体的対応について知事に伺います。

   
  

[知事答弁]
次に、新幹線新駅問題についてのご質問にお答えいたします。
  まず、一点目の、「促進協議会会長として、どのようにこの問題に対応していくつもりか」とのご質問でございます。
  私は、これまで、新駅問題については県民にとって最もよい解決方法を、関係者の皆さんと議論しながら結論を出すことが重要であると考えてまいりました。そのため、「対話と共感」を基本姿勢として、「新駅設置の凍結」という立場をしっかりと主張させていただきながら、合意による結論を目指して、東海道新幹線(仮称)南びわ湖駅設置促進協議会正・副会長会議において議論を重ねてきたところでございます。
  そうした中で、正・副会長会議は虚心坦懐に「凍結を含む幅広い議論」をする場であることを踏まえまして、県の方から「新幹線新駅の需要予測・波及効果の再検証調査結果」や、「新駅凍結に伴う県の法的責任の範囲」など検討に必要な材料を提供し、ご議論いただいてきたところでございます。
  現時点において、栗東市は依然、現行協定の履行を主張されており、正・副会長会議における結論まで至らない状況にあります。新駅をめぐる世論の動きなど諸般の状況はありますものの、促進協議会の会長として、関係者の合意のもと最終結論が得られるよう努力することが私の使命であり、期限である10月末を必ずしも待つことなく、引き続き促進協議会で議論を進めていきたいと考えております。あわせて、栗東市とこれからの諸課題への対応について協議が必要と考えているところでございます。
  二点目の、「地域振興策を含めた新駅凍結後の具体的な利用方法と、新駅に代わる県南部地域の活性化への『中・長期的ビジョン』など具体的な対応について」のご質問でございます。
  新駅の凍結を、関係者の合意により実現するためには、凍結にともなう諸課題への対応や、県南部地域の振興策の検討が重要でありますが、新駅凍結にともなう具体の対応策を県が一方的に示すものではなく、地元、関係市との十分な調整が必要であると考えられます。
  また、新駅に期待され、新駅の設置にご協力いただいてきた地元自治会や地権者の皆様からは、凍結によって発生する様々な課題、あるいは現下における問題等についての不安やご心配の声をうかがっております。
  こうした新駅凍結にともなう、土地区画整理事業に係わる様々な課題への対応につきましては、県としても大変重要と考えており、もとより第一義的には事業主体である栗東市の判断ではありますが、県としても、市が講ずる対応策に対して適切な支援を検討する必要があると考えております。今後、栗東市と十分に協議してまいりたいと考えているところでございます。
  また、県南部地域の活性化への「中・長期ビジョン」についてでございますが、県南部地域の振興については、促進協議会の幹事会において、対象を土地区画整理事業区域とするのか、より広い県南部地域とするのか、また計画の具体性などについて、県と関係市で考え方の違いがあり、県として、これを正・副会長会議に提案することを見送った経緯がございます。
  県南部地域は製造業が多く集まり、近年、大学が集積するなど県内でも最もポテンシャルの高い地域であり、その振興は本県経済の活性化のためにも重要な課題であると認識しております。県南部地域の振興について促進協議会正・副会長会議でも議論し、関係市とも十分話し合って、長期的な視点も含めた効果的な振興策を見い出すなど、努力してまいりたいと考えております。
  さらに、県北部、西部を含め県下全域の交通体系や企業立地など、バランスある地域振興を同時に進めるべきことは言うまでもございません。

農政問題について

次に、農政問題について、農政水産部長に質問します。
  戦後60年あまりが経過し、国民の豊かさは、食の面にも及んできています。
世界では食にありつけない飢餓状態の国がある中で、日本では飽食の時代となり、食べ残しによる食品廃棄物も年々増大してきています。
これこそまさに「もったいない」ということではないでしょうか。
一方で、中国からの基準値を超える残留農薬が検出される野菜の輸入や今も安全性についての議論がある遺伝子組み換え作物の輸入など、海外からの食糧の安全性に対する消費者の不安がさらに拡大している状況にあります。
加えて、中国が食糧輸出国から輸入国に変わった今、国際的にも大きな変化が起こり、日本の食糧事情は今後深刻になっていくことが予測されます。
現在の日本の食料自給率40%の状況では、将来世代における食糧の確保の点からも、安心できる状況ではありません。今後ますます日本の農業は大きな方針の転換を余儀なくされることとなります。
農業政策の抜本的転換といわれる「品目横断的経営安定対策」の運用が今年度から始まりました。この品目横断的経営安定対策の最大のポイントは面積要件によって担い手を絞り込み、経営規模拡大、構造改革を強力に推進しようとするところにあります。
しかしながら、担い手の対象からはずれた小規模農家などを考えたとき、補助金の対象外となることから、今以上に耕作放棄地が増えるのではないかとの懸念もあります。
このことについての認識を農政水産部長に伺います。
また、集落営農は将来的に法人化を目指すこととなっています。
今回の集落営農組織の発足では、品目横断的経営安定対策に対応するために、急作りともいえる状況となっています。
また、その多くが集落に従来から存続している農業組合組織が母体となっており、そのリーダーの多くは兼業農家の方々が担っています。
ボランティアとして経理の一元化等に対応しているのが現状で、法人化に向けて中心的に担っていくはずの後継者の不足が現実問題としてあります。
集落営農の組織化とあわせ、法人化に向けてのリーダー養成への県の対応について農政水産部長に伺います。
品目横断的経営安定対策は、担い手を認定農家や集落営農に絞込み、農地の集積化を進めるもので、そのことが結果として、農業従事者を減少させることとなります。
このことから経営安定対策と車の両輪として、国では、農地・水・環境保全向上対策を進めており、本県では、さらに、環境保全活動に子ども達が参加することを奨励するなど「世代をつなぐ農村まるごと保全向上対策」として進めており、農地や農業用水等の維持保全を集落ぐるみで行っていこうという趣旨です。
  しかしながら、農業従事者が減少する中で思いは理解できるものの、事務手続きの煩雑さもあり、非農家の協力が不可欠であります。
さらに用排水路の改修など多額の費用を必要とする時期を迎えている施設も多くあります。
大規模な改修となれば、耕作者と地権者に費用負担をお願いしていくなど、多くの理解と協力が必要になります。
こうしたことへの対応について、県としてどのように考えておられるのか、農政水産部長に伺います。

   
  

[農政水産部長答弁]
農政問題についてのご質問にお答えいたします。
  まず、1点目の、小規模農家が担い手の対象からはずれることにより、耕作放棄地が増えるのではないかとの懸念についてでございます。
  もとより農業は、安全・安心な食料を将来にわたって安定的に供給するという使命を担っておりまして、そのためには優良農地の適正な管理と意欲ある担い手の育成が重要であります。
  本県では、今般の国の品目横断的経営安定対策の実施をにらんで、認定農業者や特定農業団体などの担い手の育成に努めてきたところであります。平成22年度には水田の約7割を、これらの担い手がカバーできますように、精力的に関係団体とともに取り組みを進めているところであります。
  こうした中、小規模農家や兼業農家が耕作している農地の保全対策について将来どうしていくのかという課題があるということも事実でございます。
  国の施策が公表されて以来、多くの集落では、将来を見据えた幅広い議論をしていただいてきたところでございますが、それぞれに複雑な事情を抱え、合意形成があと一歩進まず、集落営農としてまとまらなかったという実情がございます。
  したがいまして、こうした集落の営農を継続し、農地などを維持していくためには、当面、次の2つの方面からの支援を考えております。
  まず一つには、集落の中で、5年後あるいは10年後の集落の姿を見据え、改めて幅広く議論をしていただきまして、合意形成を図っていただくこと、そして認定農業者への農地の集積や小規模な農家を含めた集落営農への組織化の可能性など引き続き検討をしていただくことであります。
  二つには、認定農業者などの担い手が不足する地域では、小規模な農家や高齢化した農業従事者の農作業をサポートする受託組織などを設立し、営農活動の維持、継続を図ることであります。
  幸い、本県の耕作放棄率は全国で2番目に低い4.3%でありますことから、こうした対策によりまして、認定農業者などの担い手との連携、協力を図りながら、農地の有効利用に向けた取り組みの裾野を広げていくことが、本県の農業・農村の維持発展とともに耕作放棄地の発生防止にも役立つものと考えております。
  2点目の、集落営農組織の法人化に向けてのリーダー養成への対応についてであります。
  営農組織の法人化は、社会的信用度の向上とともに、経営体としての永続性が確保されるものであり、これを担うリーダーの養成が大変重要なことと認識をしております。
  このため、現在、県下各地域では、普及指導員が中心になり、法人化や簿記経理の研修会・相談会等を開催するとともに、法人化が具体化した場合には、公認会計士や税理士など現地に派遣いたしまして、また個別の相談活動を行い、県内のJAにおける経理支援相談員の設置と併せまして、集落営農組織の法人化を着実に進められるよう支援して参りたいと考えております。
  次に、3点目の農業従事者が減少する中での農地や土地改良施設の維持保全への対応についてお答えをいたします。
  本年度から始まりました「世代をつなぐ農村まるごと保全向上対策」の実施率は、全国でもトップクラスと見込まれていますが、この対策が持続的でより効果的な取り組みとなるためには、ご指摘のとおり、まず非農家の参加や事務手続きへの支援をより一層進めることが必要であると考えております。
  県といたしましては、様々な機会を活用して、事務手続きを含めた日々の普及活動や個別相談を実施したり、一連の事務作業が簡単にできるように、ひな形を示すなど、各集落に対して引き続き支援して参りたいと思っております。
  また、本県における用排水路などの土地改良施設は、老朽化が進んでおりますことから、その保全や更新を農家の皆さんの負担軽減を図りながら、円滑に行うことが大変重要であります。
このため、琵琶湖からの逆水かんがい施設や幹線的な用排水路などの基幹水利施設につきましては、今年度から、「ストックマネジメント手法」の考え方を取り入れた機能診断等の調査を開始することとしております。
  この考え方は、機能診断結果に基づき、それぞれの施設について、いつ補修や補強、あるいは全面的な改修を行うのが最も適しているのか、また施設の管理や対策にかかる費用はいくらかなど総合的に検討し、経済的に最も有利となる方法を選択して実施するものであります。
  こうした手法によりまして、大規模な改修にあたっては、農家負担の軽減を図り、農家の皆さんにご理解とご協力をいただけるよう努めてまいります。
  こうした対策と、末端施設を維持保全する「世代をつなぐ農村まるごと保全向上対策」をうまく組み合わせまして、農家と地域の皆さんと連携を図りながら、今後も農地や用排水路など、土地改良施設の機能を適切に維持保全し、農業、農村を支える基盤として、健全な姿で次の世代に引き継いでいく所存であります。

RD最終処分場問題について

次に、RD最終処分場問題について知事ならびに琵琶湖環境部長に質問します。
知事は昨年7月の県議会所信表明で廃棄物行政について、「私は、21世紀のこれからの大きな課題である環境問題、ごみ問題については、ごみゼロ社会を目指して取り組んでまいりたいと考えております。物を大切にし、廃棄物の排出を少なくするような行動が実践される社会、言いかえると、『もったいない』を生かす社会に変えていきたいと思います。栗東市の民間処分場につきましては、県としての役割を踏まえ、国の支援を得ながら、栗東市や地元住民の皆さんと十分協議を進めつつ、地元の皆さんのご了解の得られるような問題の解決に当たります。」
と述べられました。
現在の廃棄物処理計画に、新たに資源化のための施策を位置づけた大いなる見直しと、循環型社会の構築に向けての宣言は、7年半にも亘ってRD最終処分場問題に関わった多くの県民や栗東市民を中心に近隣住民、地域住民にとって解決に向けての一筋の光が見えた瞬間でした。
以来、最終処分場特別対策室を設置し、専門部会を含めた対策委員会を中心にご苦労いただいており、そのことに関しては一定評価をしています。
ただ、現在にいたっても処分場の管理主体を含めた根本的な解決に向けての対応策が見えてきません。
そのような中、先月には、国の基準の280倍もの総水銀や鉛、ヒ素などが検出され、住民の不安は日々募るばかりです。
このことに対し、緊急対策と同時平行的に恒久対策についての議論を至急に進めるべきであると考えますが、現段階での現場での対応状況も含め、琵琶湖環境部長に伺います。
  対策委員会で明らかになったPCB検出の問題について、処分場の土壌が汚染されていると判断されれば、改善計画の策定から実作業まで、それに要する時間と労力、そしてその費用は莫大なものが予想されます。
県として現時点でこの問題について、どのように考えておられるのか琵琶湖環境部長に伺います。
RD最終処分場問題は、問題の発生から現在にいたるまで様々な課題を抱え、これらの課題を早急に解決していかなくてはなりませんが、どのように対応しようとされているのか、知事に伺います。
また、我々が、周辺住民に聴き取り調査をしたところ、「問題を起こしたRD社の責任は明確化されていない」という意見が寄せられています。県は、企業責任を追求する際に、当時の排出業者や元従業員からの聴き取りを含めて、その内容について、住民に明らかにしていくべきだと考えますが、知事のお考えを伺います。

   
  

[知事答弁]
次に、RD最終処分場問題についての2点のご質問にお答えします。
  1点目の「早急な解決のための今後の対応」についてですが、昨年10月に公表しました「RD最終処分場問題の解決に向けた県の対応方針」で、RD最終処分場問題対策委員会や行政対応検証委員会の報告書をもとに、県として、住民の方々を始め皆さんのご理解やご協力を得て、対策実施計画書を策定し、着実に対応いたします。
  この対策実施計画書には、次の三つの内容を盛り込むこととしております。
  一つには、生活環境保全上の支障を除去するための効果的、合理的、かつ、経済的にも優れた対応策
  二つめには、事業者等に対する責任追及の措置
  三つめは、行政対応の検証評価と再発防止策
でございます。
  RD問題は発生から7年が経過し、1日も早い解決が強く求められており、平成20年度中には、対策実施計画書に基づく対応策に着手したいと考えております。
  2点目の「企業責任を追及する際の内容を住民に明らかにすべき」との質問についてでございますが、RD社や同社元社長は自己破産の申立てを行っているという大変困難な状況にありますが、企業や個人事業主などの責任追及につきましては、不適正な処分等を行った者を可能な限り特定することにより、廃棄物処理法に定める措置命令を発し、是正を命じます。万一その是正命令に従わず、是正が行われない場合は代執行を行った上で、その経費を求めることになります。
  こうした一連の手続きによって、責任の所在を明らかすることになりますが、その結果、住民の皆さんには情報を十分お伝えできることになると考えております。

[琵琶湖環境部長答弁]
RD最終処分場問題についてのご質問にお答えいたします。
  第1点目の「RD問題の緊急対策や恒久対策の議論を至急に進めることについて」でありますが、的確な対応策を1日も早く講じ、RD最終処分場から生活環境保全上の支障を除去していくことが、住民の皆さんの心配に応える県の責務と考えております。
  RD最終処分場の対応策につきましては、これまで改善命令に基づく是正工事をRD社に実施させるとともに、緊急的な対応として、硫化水素ガスの監視、地下水汚染の影響が心配される処分場下流域の家庭用井戸の飲用使用の自粛などを栗東市とともに行ってまいりました。
  今後の対応につきましては、知事から答弁がありましたように、地元市・住民の代表・学識経験者などで構成するRD最終処分場問題対策委員会の議論を経て、恒久的な観点からの対策を含む対策実施計画書を今年度内に策定し、平成20年度中には、この計画に基づく対応策に着手したいと考えております。
  次に、現場での対応についてでありますが、県と栗東市で設置していますRD問題対策県・市連絡協議会で緊密な連携を確保して、課題解決にあたっております。
  また、対応策に必要となるデータを把握するため、先月から処分場および周辺におけるボーリング調査などの追加調査を実施し、その調査結果については8月中にとりまとめた上で対策委員会で議論いただく予定です。
  2点目のRD最終処分場のPCBにつきましては、すでに平成12年度以降の調査の結果判明したその都度、公表してきております。
  具体的には、廃棄物土中の濃度を測るための含有試験では、処分場敷地内の概ね40箇所で採取した、49検体中27検体から1kgあたり0.02〜1.2mgの範囲で微量に検出されております。
  しかし、廃棄物土中に含まれているPCBがどの程度溶け出しているかを測るための溶出試験では、PCBは検出されておりません。
  また、処分場の周辺の定期的な地下水モニタリング調査においても、検出されていない状況であります。
  そこで、ご質問にあります5月17日の対策委員会でご報告したPCBにつきましても、ただ今申し上げた溶出試験の結果から、PCBが検出されていないため、これまでと同様、現在のところ周辺への生活環境保全上の支障はないものと考えているところでございます。
  しかしながら、PCBが低濃度ながら含有されておりますことから、今後、対策工を検討する上で課題となる可能性があるため、対策委員会においてその必要性が認められれば、対策実施計画書において対応策を盛り込んでいきたいと考えております。 

医師の確保対策について

次に、医師の確保対策について、健康福祉部長に質問します。
過疎地をはじめとした地方での医師不足は以前から深刻な問題でした。加えて、数年前から地方中核地域や都市部でも医師不足が指摘されてきました。ただし、それも全ての診療科に関してではなく、小児科と産科に限ったものでした。その原因として、子どもの病気や分娩などには不測の事態が発生しやすく、医療事故につながりやすいことなどから、そのリスクを避けたいという意識がある一方で、十分な診療報酬を受けにくいという現実があります。つまり小児科や産科は、わずらわしくリスクも大きいのに報われにくいということになります。
さらに、ここ2、3年で急速に医師不足が深刻化してきた理由として指摘されているのが、2004年に改正されスタートした大学医学部の研修制度です。
それまで、医学部を卒業した研修医は各大学医学部に所属して、まず付属病院で研修を受けた後に、一般医療機関に派遣される形でした。研修医を管理する医局・教授などの権限で、批判はあったものの、各地域の医療システムを破綻させない役割を担ってきました。
ところが、医師研修制度が改正され、研修医は自分の意思で研修場所を選択することが可能となり、大学病院だけでなく一般の医療機関でも研修が受けられることとなりました。
そうなると当然ながら、研修医の多くは収入が多く、医療環境の良いといわれる中央の有名病院に集中し、収入も少ない大学の付属病院で研修を受ける医師が減ってしまいました。
その結果、大学病院の医療が成り立たなくなるところも出始め、大学が各地の派遣先病院から医師を呼び戻すという現象が起こり、たちまち地域の中核病院での医師不足が顕在化し、残された中堅の医師に負荷がかかりすぎることとなりました。
開業などの形で医療機関から医師が離れ、結果的に中核病院は次々と診療科を減らし、病院自体が閉鎖に追い込まれる例も全国的にはいくつかあります。
医師不足によって、実質、稼働していない診療科をもつ病院も増えてきているようですが、本県の実態について健康福祉部長に伺います。
こうした背景から、国では「診療報酬の見直し」や「拠点病院からの医師派遣」「医師確保法の制定」など具体的な検討が行われています。
一方、滋賀県においても「滋賀県地域医療対策協議会」において種々検討がおこなわれ「総合的な医師確保対策」として、
「医師確保システムの構築」、「魅力ある病院づくり」、「女性医師の働きやすい環境づくり」、「積極的な医師の養成」、「働く意欲を引き出す職場環境整備」
などの事業が予定されており、今6月定例議会に「医師確保総合対策事業費」の補正予算が提出されたところです。
医師の養成ならびに確保は、一朝一夕にできるものではなく、相当の時間を必要とするものであることは十分理解できますし、そうだからこそ、一日も早い対応が求められることになります。
病気やケガは、いつ、どこで発生するのか予見することは難しく、発生してからの時間経過が生死を分け、あるいは回復への勝負だといわれています。
今回の対策は何れも相当の時間を要するものであり、医師の減少傾向が著しい地域の県民にとっては実に深刻な問題であります。命にかかわる地域格差は絶対にあってはならず、即効ある対応策を講じる必要があると考えます。
今回、県が医師確保のための対応策をとられることについて、県の特徴的な対策も含め、健康福祉部長の所見を伺います。

   
  

[健康副支部長答弁]
医師の確保対策につきまして2点のご質問にお答え申し上げます。
  まず一点目の本県における実態についてですが、二次医療圏7つのうち、大津地域、湖南地域を除きます5つの地域で医師の地域偏在の傾向が強まっております。
  特に湖西地域、伊香郡を初め、湖東地域などでは、周産期医療や救急医療への影響がでている状況でございます。また、特定診療科の偏在も進んでおりまして、産科ではこの4年間に分娩を取り扱う病院が20から15病院に減少し、小児科では、この4年間に3病院で常勤医がいなくなってきております。
  全国にみられますような病院の閉鎖といった状況はないものの県内の医師不足は大変厳しい状況にあると認識をいたしているところでございます。
  次に、2点目の医師確保総合対策事業についてでございますが、県では、昨年9月に各方面の委員からなります滋賀県地域医療対策協議会を設置いたしまして、地域特性を踏まえた医師確保対策についてのまとめをいただき、それをもとに医師確保総合対策事業として、即効性がありかつ確実性の高い事業から順次取り組みを進めてきているところでございます。
  具体の展開に当たりましては、地域の状況などを考慮しながら、医師確保システムの構築などの5項目の総合的な取り組みを進めることとしておりまして、中でも、本県としての特色のある事業の一つといたしまして、臨床研修医の県内定着を目的といたしまして、研修医確保定着事業の一環事業とする、一年目の研修医を対象に「先輩医師が後輩医師を育てる」をテーマにいたしました、県医師会と共同での研修会を今月初めに開催したところでございます。この取り組みにつきましては、全国的にも初めてとなる研修会でございまして、県内の他の病院で研修中の研修医とのつながりができ、連携が密になったことや滋賀県で働きたいなどの感想を寄せていただく研修医もあり、特色を出せたと考えているところでございます。
  二つめには、平成18年度2月補正予算におきまして設置をいただきました、3億円の「滋賀県医師確保対策基金」でございます。全国でも初めてでございまして、関係者からの高い評価を得ているところでございます。
  三つめといたしまして、女性医師の離職防止を図りますための女性医師保育支援事業でございます。休日・夜間の出勤時に子供の保育費の一部を補助する事業でございまして、ベビーシッターの活用を含んでおりまして極めてユニークな取り組みとなっております。
  四つめに、働く意欲を引き出す職場環境づくり事業でございます。医師確保および離職防止を図りますため、病院での医師が働きやすい職場環境づくりなどの取り組みを支援するものでございまして、病院サイドの自主的な取り組みを引き出すユニークな取り組みでございます。
  こうした事業を早期に具体的に展開することによりまして、県民の皆さんが、安心して暮らしていただける医療体制の確保に、県といたしまして、精一杯の取り組みを進めて参りたいと考えております。

教育問題について

次に、教育問題について、教育長に質問します。
教育関連3法案が衆議院を通過し、現在、参議院で審議中ですが、政府案は教育再生とは名ばかりであり、この法案で教育現場がよくなるとは決して思えません。
とりわけ、3法案の中の「教育職員免許法改正案」は、もっとも大切な教員の資質や能力の向上をはかる養成過程には手をつけず、教員免許に10年間の有効期限を設け10年ごとに30時間の免許更新のための講習を行うだけの内容であり、免許所持者のデータの維持管理など事務的負担だけでなく、講習の間の教師のやりくりなど学校現場が疲弊する恐れがあります。
教育長も先月の定例記者会見でこのことに対する懸念を示されました。
また、他の2法案についてもその内容は地方の教育現場を萎縮させ、国の統制だけを強めようとするものであり、地方分権時代に逆行しているのではないかという印象があります。
今、教育格差の問題をはじめ、いじめや不登校、中途退学、未履修問題、学力低下など学校現場には様々な課題がありますが、こうした問題解決のためには、教員の資質、能力向上をはかるための教員の養成課程や研修制度の充実をはかることが必要であると考えます。
さて、滋賀県では「未来をつくる心豊かでたくましい人づくり」――みんなで支えあい自らを高める教育の推進――をテーマに学校教育の推進や安全安心な学校・地域づくりなど7つの分野で重点施策を推進されているところですが、学校現場を活性化し学校教育力の向上をめざすためには、教職員に質の高い人材を確保するとともに、教職員の資質の向上を図るため研修の一層の充実を図る必要があります。
そして、心豊かな人づくりを進めるためには教職員としての専門的な知識だけでなく、子どもの関心や保護者のニーズなどを敏感に感じ取れる能力が必要と考えます。 
こうした教職員の資質向上のために県として、具体的にどのような取り組みをされているのか、また、現在の教育改革の議論を踏まえて今後どのような取り組みをされるのか、さらに今後、教職員の退職補充や35人学級の実施に伴い、新規に採用する教職員の数も多くなることが予想されますが、そのことも踏まえて教育長の所見を伺います。
また、最近の傾向として、義務教育の期間中に多くの児童生徒が塾通いをしているという現状があります。
その結果、学習塾に通わせることができる家庭の子どもと、通わせられない家庭の子どもの間に学力の差ができる、つまり所得の格差が教育の格差につながるようなことがあってはならないと思います。
塾通いをしなくても全ての子どもに確かな学力が身につくように、教育の機会均等を保障できる質の高い公的な教育体制の整備が必要です。
  通塾の状況が子ども達の学力を大きく左右しないために、どのような取り組みが必要であると思われるのか、教育長に伺います。
また、学校の教育力とあわせて家庭の教育力の向上が重要であるのは言うまでもありません。
家庭は社会の基本的構成単位であり、親や保護者は家庭の中で基本的な生活習慣やしつけを身につけさせるとともに、思いやりの心、社会的なマナー、コミュニケーション能力などを育んでいかなければなりません
  しかし、家族形態の多様化やライフスタイルの変化により家庭の教育力が低下し、個々の家庭だけで家庭教育を担うことは難しくなっているという現実があります。
  また、昨今ライフスタイルが夜型になっている傾向があることから、子どもが朝食を食べずに登校したり、就寝時間が異常に遅い子どもが増えているなど、子どもたちの望ましい基本的な生活習慣を育成し生活リズムを向上させることが急務となっています。
  これらの状況を踏まえ、家庭教育についてどのように考え、今後どのような取り組みをされていくのか、伺います。
  学校の教育力、家庭の教育力に加え、地域の教育力の向上も大きな課題です。
昨今、子どもたちが地域の大人から伝統文化を学んだり、生活習慣や社会のルールを学ぶといった機会も少なくなってきているように思います。
  このような状況の中で、子ども達が豊かに育つためには、地域の強力な支えが必要であり、それぞれの地域で大人から子ども達が学べる場や機会を増すことが大切であると考えていますが、このことについての認識と具体的な取り組みについて、教育長に伺います。

   

[教育長答弁]
教育問題についての御質問の内、先ず、1点目の教職員の資質向上についてでありますが、学校現場を活性化し、学校の教育力を向上させるためには、教職員の資質の向上を図ることがなによりも重要でございます。
  そこで、具体的な取組みとして、法律で定められている初任者研修、10年経験者研修の他、本県独自の2年次研修、5年経験者研修などにより、指導力の向上に努めているところでございます。5年経験者研修におきましては、昨年度から、専門的な知識だけでなく、社会の一員としての視野を広げ、児童生徒への指導に反映させることができるよう5日間の職場体験研修を設けております。
  また、今年度から総合教育センターにおいては、自主研修として土曜セミナーを設けまして、様々な今日的課題について教員自らが積極的に学ぶことができる取組みを始めております。
  また、昨年度よりすべての公立小中学校、県立学校におきまして試行しております
新しい人事評価制度によって、各学校の教育目標の達成に向け、それぞれの教職員が、自ら目標を設定し、自己評価や校長との面談を通じ、自らの力量を自覚し、授業力を始めとする能力のさらなる向上を図っております。
  また、「頑張っている教員」を評価するため、昨年度から、日頃の教育活動で優れた実績を上げた教員を表彰する制度を創設致しました。
また、「不適格教員は教壇に立たせない」という方針のもとで、平成14年度から、指導力に課題を有する教員につきましては、総合教育センターでの長期研修を命じ、研修を受けてもなお指導力の回復が認められない教員に対しましては、分限免職等の措置をもって対処しているところでございます。
  次に、今後の取組みについてでございますが、人材の育成に加え、多様な人材の確保もまた、学校教育の質を高めるため、非常に重要な要素でございます。
  小学校教員の来年度の採用予定数につきましては、35人学級の拡大への対応や、退職者の増加に伴い、大幅に増やしたところでございますが、優秀な教員を幅広く確保するため、県内外の教員養成系の大学に直接出向いて採用説明会を開催するなど受験者の確保に努めているところでございます。
  さらに、即戦力として活躍してもらう優秀な人材を確保するため、教諭経験者には受験年齢の上限を引き上げることや、現職教員には試験の一部を免除するなどの工夫を図っているところであります。
  また、将来教師をめざす大学生や大学院生を対象に、その実践的指導力や教師観を育成するため、今年度から新たに滋賀の教師塾を開設し、10月の開講に向けて、準備を進めております。
  今後とも、滋賀の教員としてふさわしい優秀な人材を十分見極めて確保するとともに、教職員研修のさらなる充実など、教員の資質向上に取り組んで参る所存でございます。
次に「通塾の状況が子どもたちの学力を左右しないための取組みについて」お答えいたします。
   今日、塾に通う子どもたちは決して少なくない状況にありますが、議員ご指摘のとおり、私も、家庭の経済状況によって、子どもたちに学力の差がつくようなことは望ましいことではないと考えております。
  公教育を担っております県教育委員会としましては、知・徳・体のバランスのとれた人づくりを目指すことが重要でありますことから、塾通いをしなくても、どの子にも確かな学力が身につけられることが大切であると考えております。
  そのため、少人数学級編制や複数教員による指導、あるいは少人数指導を取り入れ、子どもたちの学習状況に応じたきめ細かい指導が重要でありますことから、本年度は、35人学級編制を小学校の3年生まで拡大したところでございます。
  なかでも、子どもたちの習熟の程度に応じた指導を工夫し、学習の理解に時間のかかる子どもたちに対しては、具体的な物を利用した指導や体験的な学習、あるいは反復学習を行うなどして、基礎・基本の確実な定着を図っているところであります。
  また、理解ができている子どもたちに対しては、自ら探究的に取り組む学習を組み込むなどして、思考力や創造力を重視し、発展的な学習に取り組むなどの工夫も必要であると考えております。今後も、引き続き、習熟度に応じた指導の拡充を図るなどの取り組みをしてまいりたいと存じます。
  そして、公教育が、保護者や県民の皆様の期待や信頼にきちんとこたえていけるよう、すべての子どもたちが確かな学力を身につけることができるよう、県教育委員会といたしましてもしっかりと責任を持って取り組んでまいりたいと考えております。
  次に、家庭教育について、どのように考え、今後どのような取組をしていくのかについてでありますが、ご指摘のとおり、今の時代は、かつて我々が育ってきた社会とは様変わりし、特に子どもを取り巻く家庭や地域の環境が大きく変わってきております。
  そこで本県では、「家庭教育はすべての教育の原点」であるとの認識をもち、市町はもとより、PTA、学校、地域、企業などと連携し、社会全体で子どもの育ちを支え合う環境づくりに取り組んでいるところであります。
  例えば、市町では、公民館など身近な施設で、紙芝居や絵本の読み聞かせなど親子がふれあう活動を実施し、子育ての不安や悩みを一人で抱え込まずに相談しあい、親同士が支えあうという関係づくりを進めております。
  さらに、幼稚園や学校では、PTA活動において子育ての悩みや喜びなどの経験を気軽に語り合い、支えあう親同士のネットワークづくりを目指し、子育て学習会などを開催しております。
  そうした学習支援のほか、県教育委員会では、子どもたちが、学習や読書、外遊び、スポーツなど様々な活動に生き生きと取り組めるよう、「早寝・早起き・朝ごはん」県民運動を展開し、家庭やPTA、学校、地域が一体となってこの運動を進めることによって、子どもを取り巻く課題の解決に向けたひとつのきっかけにしたいと考えております。
  一方、昨年度より「家庭教育に企業の力を」というスローガンのもと「家庭教育協力企業協定制度」を設け、参観日や学校行事等へ参加しやすい職場づくり、また従業員の方が家庭教育について学ぶ家庭教育講座の職場での開催、中学生・高校生の職場体験の受け入れなどにご協力いただけるように働きかけ、これまでに170社を超える企業や事業所に協定を結んでいただいております。
  県教育委員会としましては、今後ともこうした取組をさらに充実し、市町やPTA、学校、企業と連携し、家庭の教育力の向上に取り組んでまいりたいと考えております。
  次に、子どもたちが地域で学ぶことについてでありますが、子どもたちにとって地域が育ちの場、学びの場、活動の場として大きな役割を担っていると認識しております。
  そこで本県では、各市町にPTAや自治会、団体など地域で活躍している方々をメンバーとした、子どもたちの体験活動を企画、推進する地域教育協議会の設置を働きかけているところであります。
  この地域教育協議会におきましては、例えば、自治会館や公民館等で、地元の小学生、中学生の異年齢の子どもたちが一緒に、一定期間寝泊まりし、学校に通う「通学合宿」を実施し、子どもたちが夕食づくりや洗濯など自ら行うなどの活動を通して基本的な生活習慣や社会のルールやマナーを身につける取組を進めております。
  そのほか、地域の大人の人たちとともに琵琶湖の水生生物調査や里山体験などの自然に親しむ活動やヨシ細工、和太鼓など伝統文化を学ぶ活動など幅広い活動を展開しております。
  また、今年度から「地域の力を学校へ」という事業を立ち上げ、学校支援ディレクターを1名採用し、地域の方々が学校での授業や学校の活動を支援するしくみづくりに取り組んでおるところでございます。
  県教育委員会といたしましては、学校、家庭、地域、企業等との連携のもと、引き続き地域の教育力の向上に取り組みますとともに、県民の皆様一人ひとりが教育に関心を持っていただき、それぞれの立場で、子どもたちの育ちを支える気運を高め、体制整備を図ってまいりたいと考えております。


銃犯罪について

次に、銃犯罪について警察本部長に質問します。
この4月には東京都町田市で暴力団員が仲間の組員を射殺し、都営住宅に立てこもった事件がありました。
また、選挙運動中の長崎市長が暴力団幹部に背後から銃撃され死亡するという衝撃的な事件も発生しました。
そして、その恐怖がさめやらぬ中、5月には、愛知県長久手町の住宅街で元暴力団組員が元妻を人質にとって自宅に立てこもり、自分の子ども二人と警察官を撃ち、愛知県警特殊部隊員の巡査部長が銃弾を浴び、死亡するという残念な事件が起きたばかりです。
いずれも庶民が普通に生活している街中で、銃口を向ける事件であり、まさに安心・安全を根底から揺るがす事件です。
去る4月25日、政府は銃器対策推進本部会議を開催し、本年度の銃器対策推進計画では銃器摘発体制の強化や取締り機関の連携強化、そして水際対策としての的確な対応を掲げています。
一方、銃器は国内で5万丁が違法に保管されていると推計されており、その実態が年々見えにくくなってきている現状にあります。
警察庁からの取締りの徹底の通達にもかかわらず、銃器の押収量は減ってきているようで、このことは、潜在する拳銃による脅威の高まりに繋がっているものといえます。
以下、警察本部長に伺います。
まず、本県における銃器による犯罪の実態ならびに違法に保管されていると予測される銃器などの状況について、伺います。
また、潜在化、巧妙化、分散化する銃の取り締まりについては大きなご苦労があるかと推察しますが、こうした銃器の犯罪から県民を守るためにも徹底した取締りを望むものです。
警察庁の通達を受けての本県での今後の対応について伺います。
一方、去る5月24日、宇都宮市内で2002年に起きた散弾銃殺傷事件を巡る訴訟で、銃の所持許可の業務の不備が問われ、県への損害賠償の支払い命令がありました。
猟銃による殺人事件も毎年起こっている中、全国で所持が許可されている猟銃は2006年末現在で30万5,179丁となっております。
法のもとにしっかりと判断され許される猟銃であっても許可業務においては一層、厳しい目を持つ必要があると考えます。
本県の実態並びに猟銃の所持許可についてどのような対策を取られているのかを伺います。

   

[警察本部長答弁]
銃犯罪に対する三点の質問についてお答えします。
  一点目の、銃器犯罪の実態ならびに違法に保管されていると予測される銃器などの状況についてお答えします。 まず始めに銃器犯罪の実態につきましては、県内では、過去10年間で14件発生しておりまして、そのうち、けん銃の発砲事件が8件で、うち7件を検挙しており、いずれも暴力団員によるものであります。近年では平成15年が一番多く、暴力団同士のトラブルから発砲事件が3件発生しております。その後、平成16年4月の暴力団員によるけん銃発砲事件を最後に発生はしておりません。
  また、本県の過去10年間のけん銃押収数は58丁でありますが、このうち暴力団関係者からの押収は42丁でございまして、全押収けん銃の約72%を占めています。
  次に違法に保管されていると予測される銃器などの状況についてお答えします。
  県内の、違法に所持、隠匿されている銃器の数については、予測することは困難な状況でございますが、過去の摘発事例をみますと、海外から港や空港を経由するなどして密輸されているものが殆どで、その密輸には暴力団等の犯罪組織が関与して国内に拡散しているものと考えられます。
これらの銃器が暴力団関係者等の親族が経営する会社や倉庫等さまざまな場所に巧妙に隠匿され、ますます潜在化している状況にあり、こうした暴力団等が組織的に管理している銃器の実態解明に努めたいと考えています。
  二点目の警察庁の通達を受けての本県の今後の対応についてお答えします。
  長崎をはじめ東京や愛知県において暴力団組員らによる殺人事件や立てこもり発砲事件等の銃器犯罪が連続して発生し、国民に大きな不安感を与えたことから、警察庁の指示を踏まえ、本県警察も銃器対策及び暴力団対策の徹底を図っているところであります。今後の対応につきましては、暴力団の交友者、関係者等に対する幅広い情報収集を強化するとともに、クリーン・コントロールド・デリバリー、通信傍受等あらゆる捜査手法を駆使して、銃器の発見押収に努めてまいるほか、引き続き暴力団関係者による違法事案を徹底して検挙し、幹部組員への突き上げ捜査を強力に推進していく所存であります。
  更に、暴力団排除活動を積極的に推進するとともに平成11年に設置しております、知事を本部長とする「滋賀県銃器対策推進本部」の関係機関・団体と連携を密にして、広報・啓発活動を推進し、県民ぐるみの銃器撲滅運動を展開してまいりたいと考えています。
三点目の許可猟銃の実態並びに所持許可に対する対策についてお答えします。
本県における許可猟銃は平成18年末で、2,905丁になっております。
  その内訳は、散弾銃が2,178丁、ライフル銃が727丁でございます。
  10年前と比較しますと、猟銃の所持を許可されている人数が減少したことに伴い、339丁減少になっております。
  また、猟銃の所持許可者は平成18年末で、1,360人、男女別で申し上げますと男性が1,338人、女性が22人、平均年齢が56.6歳となっております。
  こうした猟銃の所持許可にかかる対策につきましては、銃砲刀剣類所持等取締法第5条に「許可の基準」が規定されてます。
  例えば、
○ 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為等を行う  おそれがある者
○ アルコール、覚せい剤等の中毒者
等11項目に該当する人については、許可しないこととされております。
  具体的には、猟銃を初めて所持しようとする人が受ける猟銃初心者講習受講時の考査や所持許可申請時における調査を厳正に行い、不適格者を排除することとしております。
  また、所持許可後におきましても
  ○ 年に1回警察署で実施する許可証に記載されてい  る銃と所持猟銃の照合検査
を実施しているほか、
○ 3年以上、許可の用途目的に使用していない猟銃  の廃棄や譲渡の指導
等を行い、平成18年中は95人の所持許可証の返納、許可銃138丁を廃棄又は銃砲店等に譲渡させているところでございます。
今後も、銃器犯罪根絶のため総合的な対策を推進して、県民の安全・安心の確保に努めてまいりたいと考えております。


議員の「口利き」の文書化について

最後に、議員の「口利き」の文書化について、知事に質問します。
  私たち民主党・県民ネットワークに所属している議員は、先の県議会議員選挙において、びわこマニフェスト2007「子育て環境日本一宣言」と銘打って県民の皆さまに政策を提示し、子どもを産み育てるなら滋賀県が一番、と言っていただけるような滋賀県を目指したいと訴えてきました。
  このマニフェストの10の政策の中で、信頼される政治を目指し、議会改革の中でも、議員の口利きの文書化を掲げました。
議会と行政の不透明な関係に不信感が高まっている現状から、議員と行政との癒着や不正な「口利き」を排除することにより、議場外での議員と職員とのやりとりをガラス張りにし、閉ざされた議会を「見える議会」に変え、議会改革の一歩としたいと考えています。
  本県では、平成15年8月に前県議と当時の現職県議が、パチンコ店増改築の建築確認にからむあっせん収賄の容疑で逮捕され、建築確認を不正に許可した県職員ら5人も都市計画法違反容疑などで書類送検されるという事件が発生しました。
  職員は、職務の遂行に当たり、公正な職務の遂行を損なうおそれのある行為を求める要求に応じてはならないことは職員倫理規定に定められていますが、この事件の反省に立ち、適正な行政判断等を妨げるおそれのある外部からの執拗な要求等があった場合の対応方法についてルール化し、組織として公平、公正な事務処理ができるようにとの趣旨から、平成16年4月に「職務に関する働きかけについての対応要領」が施行されました。
  この要領では、対象者については特に限定するものではなく「職員以外の者」としており、対象行為は、長時間にわたるもの、繰り返し行われるもの、威圧的な言動を伴うものとなっています。記録については要求の内容を文書化し、原則として相手方の確認を求めるものになっており、この記録は情報公開条例にいう「公文書」として公開請求の対象となるものです。
  この要領施行以来3年が経過していますが、今日まで記録票が発行された実績はゼロのようです。この実態についてどのように考えておられるのか、知事にお伺いします。
  私たちは議員から県職員への働きかけ、いわゆる「口利き」は全て文書として記録・保管し、公開すべきだと考えています。「口利き」すべてが悪いとは考えていませんし、「よい口利き」すなわち建設的な提言もあることも事実です。鳥取県では全国に先駆けて4年前から口利きの公開を始めています。その結果、やましい口利きはなくなり、よい口利きはどんどん議場でやるようになり、議会の議論が活発になったとも言われています。
  滋賀県の現在の「職務に関する働きかけについての対応要領」には、対象行為を限定することや、文書化に際しては相手方の確認を求めるなど、現場の職員にとって非常に使いにくい内容になっており、抜本的に改善すべき課題があるものと考えますが、知事の所見をお伺いし、質問を終わります。

 

[知事答弁]
次に、議員の「口利き」の文書化についてのご質問でございます。
  県民に信頼される県政を実現する上で、議会と行政との関係には、常に緊張感が必要であります。議会におかれては、平成15年10月に「議員の政治倫理に関する条例」を制定され、議員自らがその使命と高い倫理的義務を自覚されて議会活動をしておられると認識しております。一方、行政においては、過去の苦い経験をもとに、平成9年10月に「職員倫理規程」を、また、平成16年4月に「職務に関する働きかけについての対応要領」を定めて、公平、公正な職務遂行に努めてきたところでございます。
  まず第1点目の質問についてですが、この3年間に、対応要領に基づいて、職員への働きかけを記録した文書が1件もないということについてであります。要領の施行以降、職員に義務のない行為を要求したり、公正な職務遂行を損なわせるような働きかけはなかった、あるいは本人から取り消す旨の申し出があって記録には残らなかったということであると解釈をしております。つまり、この要領がいわゆる「働きかけ」に対する大きな抑止力になっているものと理解しております。
  次に、現行要領について、対象行為の限定や相手方の確認行為など現場で使いにくい内容を抜本的に改善すべきとのご提案であります。確かに、議員から職員への働きかけのすべてを文書化して公開するというのも、不当な働きかけを防止するうえで有効な方法の一つかと存じます。しかしながら、議員と職員との日常のやりとりにおける働きかけのとらえ方や文書化の作業など具体の課題もありますし、逆に議員活動を制約することにならないか、そのような懸念もございます。
  一方、議員の働きかけに関しましては、本県には「議員の政治倫理に関する条例」がすでに制定されております。その中で、議員は「財産上の利益を得ることを目的として」、許認可や建設工事等の請負契約等に関し、「特定の者に有利または不利になるような働きかけをしてはならない」、あるいは「その権限または地位による影響力を及ぼすことにより、公務員の公正な職務の執行を妨げる等不正な行為をしてはならない」と議員自らの行動について厳しく律していただいております。このように、議員側、職員側双方の行動基準が整備されることによって、滋賀県独自の不当な働きかけへの対応制度となっているものと理解しております。
  こうしたことから、まずは議会、行政それぞれが条例や規程を設けて取り組んでいることを念頭に置いて、お互いにその適正な運用を心がけることが大切であると考えております。とはいえ、今後、これらを運用する中において、必要があれば議員の皆様のご意見をお聴きしながら対応要領等の改正も検討すべきものと考えております。





可決された意見書(案)
意見書第6号
産科医、小児科医等の招聘対策の推進を求める意見書(案)
 地域や診療科における医師の偏在については、かねてより全国的に大きな問題として認識されてきたところであるが、とりわけ産科医および小児科医の不足は一層深刻さを増す状況が見られる。
  本県においても、この4年間で小児科にあっては2病院、産科にあっては3病院が廃科され、5病院で分娩の取り扱いができなくなっている。さらには、地域医療の中核を担う病院においても、勤務医の不足により診療体制を制限せざるを得なくなるなど、医師の不足は、地域における適切な周産期医療体制や小児救急医療体制の維持に深刻な影響を及ぼしている。
  本県を初めとする地方公共団体や医療機関においても、医師招聘のためのさまざまな取り組みを進めているところであるが、これには限界があり、医師総数の確保について責任と権限を有する国において抜本的な対策が早急に講じられる必要がある。
  よって、政府ならびに国会におかれては、以上の現状を踏まえ、下記の事項について適切な措置を講じられるよう強く要望する。

1.医師の地域偏在と診療科偏在を早急に解消するとともに、特に産科医および小児科医を充足させるための仕組みを整備すること。
2.過重労働や高い医療訴訟リスクが、医学生が産科、小児科を敬遠する一因になっているという状況にかんがみ、就業環境の改善や訴訟対応を初めとする病院勤務医の負担軽減のための対策を早急に講ずるとともに、労働条件の厳しさや訴訟リスクの高さに見合う診療報酬上の適切な配慮を行うこと。

  以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成19年3月13日
滋賀県議会議長  赤 堀 義 次
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣
あて

可決された意見書(案)
意見書第7号
申請すれば1割負担に戻る「現役並み」所得者とされた
70歳以上の人への医療費改善策を求める意見書(案)
 医療保険改革関連法の成立により、平成18年10月から70歳以上の「現役並み」所得者とされた人の医療費窓口負担は、3割となり、大幅に引き上げられた。増大する高齢者の医療費を抑制することが理由にあったと思われるが、税制改正により、平成18年8月から「現役並み」の水準が引き下げられたため、新たに「現役並み」となった人が全国で90万人も増加した。これまで1割負担であった人が3倍の3割負担になるのは大変な出費である。
  3割負担となる70歳以上の「現役並み」所得者は、145万円以上の課税所得、および一定以上の年収(高齢者夫婦は520万円以上、単身世帯は383万円以上)の両方を満たすことを条件としている。
  しかし、地方公共団体においては、年収が基準を満たしていなくとも、課税所得が145万円以上の70歳以上の人に対しては一律に3割負担の医療受給者証を発行し、1割負担に戻れそうな人には申請書を同封しているのが実態である。すなわち、本人が市町に申請をしなければ、1割負担の受給者証は発行されない状況である。
  平成19年1月に実施された滋賀県下の地方公共団体の調査によれば、回答した23市町において「現役並み」所得者は9,428人であり、そのうち、申請すれば1割負担に戻る人が2,262人もあった。すなわち、24%の人は、実際は1割負担で済むのに3割負担の医療受給者証が送られていることになる。全員が申請を行っているとは到底考えられず、知らずに3割負担を続けている人も多いと考えられる。一たん支払った3割負担分は、実際は1割負担であったとしても返還されない。
  よって、政府ならびに国会におかれては、以上の現状を踏まえ、申請主義によって多くの高齢者が申請のないまま3割負担を続けることのないよう、申請主義の制度を改善し、その上で、1割負担となる対象者には地方公共団体の責任で1割負担の受給者証を発行するよう地方公共団体に対して指導するなど、適切な措置を講じられるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成19年3月13日
滋賀県議会議長  赤 堀 義 次
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣
あて

否決された意見書(案)
意見書第4号
リハビリテーション算定日数制限の撤廃を求める意見書(案)
 昨年4月の診療報酬改定によって、新たに4つの疾患別の評価体系に基づくリハビリテーション料に再編されるとともに、それぞれに算定日数制限が設けられたところである。脳血管疾患などでリハビリテーション打ち切りとなった患者が自費診療で継続しているという深刻な例や、通所リハビリテーションなど介護保険に移行するケースでも専門技術者による個別リハビリテーションは保障されていない実情がある。
  また、難病患者など算定日数制限の除外対象となっている場合であっても、状態の改善が期待できることが条件となっているために、生活を維持するために必要なリハビリテーションの継続は認められていない。
  短期間で状態が改善されなくても数年をかけて機能が向上する人もおり、リハビリテーションが打ち切られたことによって状態が悪化し、再度受診したくても受け入れる医療機関がない状況も既に生まれている。
  よって、政府ならびに国会におかれては、以上の現状を踏まえ、個々の患者に対して必要かつ十分なリハビリテーションが提供できるよう、下記の事項について適切な措置を講じられるよう強く要望する。
1.リハビリテーションの診療報酬上の算定日数制限を撤廃すること。
2.当面、リハビリテーション算定日数制限の適用除外規定の周知徹底と活用促進の対策を講じること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成19年3月13日
滋賀県議会議長  赤 堀 義 次
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣
あて

否決された意見書(案)
意見書第3号
国の療養病床の廃止・削減計画の中止を求める意見書(案)
 国の療養病床の廃止・削減計画により、今後6年間において、現在38万床ある療養病床のうち6割の23万床が削減されることになった。滋賀県における療養病床についても、現在3,138床ある介護療養病床および医療療養病床のうち相当部分が削減の対象となっている。
  平成18年10月から、医療療養病床に入院する70歳以上の患者のうち、医療の必要度が低いとみなされる患者については、従来の食材料費相当の負担だけでなく、新たに調理コストや光熱水費に相当する金額を負担することとなった。該当の入院患者は、大幅な負担増を強いられ、入院継続が困難となり、やむなく退院する者が多数出ると予想される。また、平成18年7月1日から、削減計画を先取りする形で療養病床の入院基本料が大幅に削減され、特に入院患者の5割を占めると言われる、医療の必要度が低い患者の入院基本料が大幅に引き下げられた。療養病床、老人保健施設、特別養護老人ホームの3施設においては待機者が多く、入院または入所までに数カ月から数年かかると言われ、特に特別養護老人ホームの待機者は、平成18年3月の厚生労働省調査では全国で約38万5,000人と報告され、多くの療養病床を持つ医療機関が経営破綻に追い込まれる一方、どこにも行き場のない、いわゆる医療難民または介護難民が各地であふれることは明らかである。
  地域住民がいつでも、どこでも安心して医療や介護を受けられるようにするため、地域における医療や介護について重要な役割を担っている中小病院や有床診療所の入院機能をより充実、拡大させる必要がある。
  よって、政府ならびに国会におかれては、以上の現状を踏まえ、県民が安心して暮らせるように、医療・介護・福祉制度や施設等の基盤を充実させるため、療養病床の廃止・削減計画を中止されるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成19年3月13日
滋賀県議会議長  赤 堀 義 次
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣
あて


 2月19日(月)に民主党・県民ネットワークを代表してとくなが久志議員が9項目にわたって質問をいたしました。その内容を以下報告します。

[枕詞]
 冒頭から恐縮ですが、昨年の12月5日の新聞記事を引用します。
 滋賀県甲良町の駐車場で、4日夜、停めてあった乗用車から3人の死体が見つかった。父親43歳と、いずれも養護学校に通う長女14歳と次女10歳。死因は一酸化炭素中毒で、無理心中とみられる。
 母親は3年前に他界し、父親は在宅支援サービスを活用しながら、1人で愛娘を懸命に育てていた。その生活を一変させたのは、4月からの障害者自立支援法。過重な負担が父の背中にのしかかった。
 生活が苦しい、娘の将来が不安、車内に残された遺書には絶望の言葉がつづられ、自宅からは消費者金融の督促状が見つかった。
 娘2人は2003年から養護学校に通学していた。11月、母親が病死。子どもは自宅から通っていたが、平日には養護学校の寄宿舎で過ごすこととなった。
 4月に施行された障害者自立支援法がじわりと父親を追い込む。ヘルパー利用は、本人負担がこれまでの月千円程度だったのが、月6千円に増え、受けた短所入所費も、千円程度だったのが2万円に膨れ上がった。
 父親は、5年前から勤めている製造業の工場で、平日の朝9時から夕方5時まで、月給は20数万円ほど。まじめで無口。同僚に家族の事を話す事はなかった。
 父親は、仕事帰りに、役場の福祉課を訪れたが、そのとき12月1日のサービスをキャンセルした。週末明けの月曜日。3人の遺体は車の中で折り重なって見つかった。
 この記事をどう読むかは人それぞれでしょうが、私たちは、政治が決して人の生命を奪う事のないように、そして、生活を守り、暮らしを守ることを第一とした政治を実現していくことをお誓いし、「民主党・県民ネットワーク」を代表して、県政の諸課題に対して知事並びに関係部長に質問いたします。

平成19年度予算編成について

平成19年度予算編成について、知事に質問いたします。
  今日の社会状況を見てみると、確かに明るい材料が見え隠れしています。国内経済が全体的には堅調にあり、景気拡大は一応、戦後最長を更新中と言われております。大学生や高校生の新卒採用率が高まったことは喜ばしく思います。
  一方で、景気低迷期に正規採用から締め出され、パートや派遣で暮らす人たちは割を食ったままであります。いったんレールからはずれた人の再挑戦や再復帰が極端に困難な状況は変わってはおりません。
  実際、所得、雇用、教育、福祉など、あらゆる面で格差が拡大し、地域間、企業間、個人間の格差はもはや、個人の努力ではどうしようもないほど広がってしまいました。
  勤労者の3分の1は非正規雇用であり、また、4人に1人は年収200万円以下、4世帯のうち1世帯は預貯金が全くないという惨状であります。生活保護を受けている人たちは、昨年までの5年間で32%も急増し、100万世帯を突破いたしました。
  今日の日本社会の変容ぶりというべきものは、世界の超高級ブランド店が東京に次々とオープンする一方で、満足な食事ができない勤労者や、十分な医療が受けられない地域の増加をみれば、歴然としているわけであります。
  知事がマニフェストに掲げた5つの基本目標の1つに、「格差社会を感じない滋賀県政にする」があがっていますが、まずは、今の社会の状況をどのように認識して予算編成に臨まれたのかをお伺いいたします。
  さて、私たち「民主党・県民ネットワーク」では、例年通り、昨年の夏以降、新年度に幅広い県民の声を反映させるために、県下26市町や各種団体と意見交換を積み重ねてまいりました。厳しい社会状況の中、それだからこそ、県への期待の大きさ、県行政への多様なニーズの高まりを改めて実感したところであります。
  今回の予算編成にあたっての最大の関心事は、昨年7月に就任された嘉田知事にとって最初の予算編成ということもあり、嘉田カラーとでも言うべきものがどのように打ち出されるのかという点に尽きようかと存じます。
  平成19年度滋賀県予算案は、まずは、当初予算ベースで私たちの元来の主張通り、前年度に続き、プライマリーバランスがプラスになったことは大いに評価したいと存じます。
  そして、一般会計当初予算で5073億1千万円、対前年度比でプラスの0.5%となっていて、平成13年以来、6年ぶりの増額予算であります。当初は、知事が積極型予算に転じたと目を見張りましたが、よくよく見ると、やむをえず増額となってしまったという感じでありましょうか。
  つまり、行政経費は対前年度比マイナス0.8%であるのに対して、人件費は1.5%のプラス、公債費も2.6%のプラスとなっています。団塊世代の県職員の大量退職に対応するとともに、過去の借金のツケに苦しむ県財政の苦しさが見て取れます。
  また、県税収入が22.6%の増額となったものの、地方交付税の減額が8.7%と極めて大きく、財政調整基金や県債管理基金等の取り崩しや県有地の売却などで対応をはかるなど、苦しいやりくりがあったものと推察いたします。
   しかしながら、マニフェストで大々的に掲げた、「予算を100億円削減」「県債発行額を580億円程度に抑制」という大枠部分の公約が、一般会計は前年度比0.5%の増額、県債発行額も2.7%の増加と、その目標が達成されませんでした。
  私たちは、嘉田知事の最初の予算編成だからこそ、こういった大枠の部分はマニフェスト通りに断行してほしかったと残念に感じています。
  今なお、県民の多くが嘉田知事の新鮮な感覚と芯の強さに期待を寄せています。だからこそ、自己採点して「60点」という予算案ではなく、堂々と「百点満点」と言えるものを作って欲しかったと思います。
  知事は、平成19年度滋賀県予算案をどのように説明され、どのようなメッセージを県民に送ろうとされているのかをお伺いいたします。
  今回の予算案について、特に、歳入面で注目すべきことは、初めて退職手当債55億円が発行が見込まれるとのことであります。平成19年度に退職が見込まれている教員や警察官を含めた職員は、定年退職前の退職を含め、県全体で、670人、本年度に比べて150人ほど増加する上、退職金の額も30億円ほど増えて、153億円になるとのことであります。退職金総額153億円のうち、55億円が退職手当債で工面される格好となります。
  私たちは、一般論として、県債を発行して事業や政策を実施することを全否定しているわけではありません。借金して行った事業や政策が、後の世代まで有効かつ優良な資産として残るのであるならば、それは世代間の負担の公平性という観点からも、決して間違ったやり方ではないと考えています。もちろん、限度というものがありますが・・・。
  退職手当債は、文字通り、職員の退職金のみに使われるわけであり、後の世代に何の資産も残すことはありません。特例的な県債であり、いわゆる、赤字県債であります。
  職員の退職は、ある程度予測がつくものであります。平成20年度以降にも同様の傾向がうかがえるものと考えます。こうした予測可能な事柄については、事前にしっかりと準備をしておくことが政治の重要な役割かと存じます。
  そこで、これまでに退職金の支払いについてどのように準備されてこられたのか、そして、退職手当債の発行そのものをどう認識されておられるのか、また、来年度以降も同様に考えておられるのかどうか、をお伺いいたします。
  やはり、滋賀県にとっての最重要課題は財政再建であります。知事は、事業仕分けによって、その成果を反映させた新しい財政構造改革プログラムを平成19年度中に策定するとのことであります。
  税財源の移譲などの分権改革は遅々として進まず、新たな財源確保も困難な状況にあっては、現行事業を厳しく見直し、「県がやるべきこと」「やらなくてもよいこと」「やってはいけないこと」の観点から抜本的に県行政全体に、聖域を設けることなく、大胆にメスを入れるべきであります。
  現在の県行政の延長線上には未来はありません。財政再建に取り組む知事の決意と方針をお伺いいたします。

   
   [知事答弁]
徳永議員の民主党・県民ネットワークの代表質問にお答えさせていただきます。まず、平成19年度予算編成についての4点の質問にお答えさせていただきます。
 1点目の、今の社会の状況をどのように認識して予算編成に臨んだのか、とのお尋ねでございます。
 わが国全体で見ますと景気は回復傾向にありますが、地域間や企業間でのバラツキがあり、また、個人レベルでは景気の回復が十分に波及しておりません。議員ご指摘のとおりでございます。
  今、「格差社会」という言葉で語られる内容は、このような状況を背景とした、都市への一極集中という地域レベルの問題や、また、非正規雇用やニート、フリーター、ワーキングプアといった個人レベルの雇用の問題、これが短期的なものから社会の構造になりつつあることを示していると考えております。
  今後のグローバル化に伴う競争の激化や、少子化・高齢化の急速な進行を踏まえますと、このような傾向が世代を越えて続いてしまうのではないのかとさらにより一層心配しております。
  こうしたことは社会の閉塞感や活力の低下につながるものですが、私は、将来の世代を見据え、誰もが同じ出発点に立つことができる自由な競争の中で、セーフティネットはしっかりと対応し、私たちの子や孫が未来に希望を持てる社会にしなければならない、地域や若者などの本来の力を活かして、子や孫の未来を可能にする社会を目指していかなければならないと改めて強く感じている次第でございます。そのような覚悟をもとに予算編成に臨ませていただきました。
 2点目の、平成19年度予算案をどのように説明し、どのようなメッセージを県民の皆さんに送ろうとされているのか、とのお尋ねでございます。
“「もったいない」で拓く滋賀の未来”という表現に集約させていただきました。節約しながらも、しっかりとよいもの、よい「芽」は未来へ残す、そして、未来に繋ぐ、これがこの言葉に集約されております。
  平成19年度の予算編成に当たりましては、現行の「財政危機回避のための改革プログラム」の最終年度として、事業見直し等のこれまでの取り組みを踏まえながら、改革プログラムに沿った予算編成を行うことといたしました。
これは、巨額の財源不足が続き、また、活用できる基金残高が残りわずかであるという大変厳しい財政状況の下では、県債発行額を抑制する必要性を十分認識しつつ、まずは「財政収支の均衡」を優先させなければならないと考えました。
  また、既にこの2年間、改革プログラムに基づく計画的な取り組みがなされてきたことから、私といたしましては、最終年度に当たる19年度予算編成に当たりましての、その取り組みを着実に成し遂げるべきと考えたことによるものでございます。
  しかしながら、結果としては総額が増え、また、県債発行額も増加するなど、大変厳しい予算編成となったことは否めないところでございます。
  ただ、内容を見ていただくとわかりますように、人件費の増につきましては、団塊の世代の大量退職が始まったことが大きな要因ですし、公債費につきましても、過去に発行した県債を計画的に償還していくため、増加したものでございます。
  老人医療や介護保険の給付費などの社会保障関係経費につきましても、年々増加傾向にあり、これらのいわゆる義務的経費の大幅増が予算総額の増につながったものと考えております。
  一方で、投資的経費やそれ以外の経費はマイナスであり、実質的には、緊縮型の予算になったものと考えております。また、持続可能な財政運営をしていけるかどうかを測る指標であります基礎的財政収支、いわゆるプライマリーバランスにつきましては、なんとか黒字を確保できたところでございます。
  このように、厳しい財政状況の中でございますが、むしろそうであればこそ、将来を見通し、そのために今、何をなすべきか、何をしてはいけないのか、をしっかりと峻別し、そうした考え方を県民の皆さんにお示しさせていただくことが、大変重要であろうと考えております。
  来年度予算の中では、特に、滋賀県らしい子育て支援策、すなわち「子育て三方よし」に積極的に取り組むほか、琵琶湖の保全・再生、県民の安心・安全な暮らしを守る様々な取り組み、さらには地域活力を維持、発展させる経済振興策などに力を入れたところであり、滋賀の未来を可能にする、次世代育成型の県政実現に向けて、「芽」を出せたものと考えております。
  3点目の、退職金および退職手当債についてのお尋ねでございます。
  まず、退職金の支払いの準備についてでございますが、本県の将来の見込みでは、団塊の世代の退職とこれに続く小中学校教員の退職増から、今後徐々に増加し、平成29年度に退職者数および退職手当負担のピークを迎えるということが見込まれております。
  こうしたことから、退職手当の平準化を図るとともに、職員の新陳代謝による給与費の削減を行うため、平成11年度および12年度、さらに14年度から16年度にかけて都合5年間、職員数の多い年齢層を対象とした早期希望退職制度を実施してまいりました。
  こうした施策によりまして、将来の定年退職見込みは、各年度ごとに数名から20名程度減少しており、退職手当負担の一定の平準化と給与費の削減に効果があったものと考えております。
  さらに、退職手当制度につきましても、平成15年度および本年度に制度の改正を行っておりまして、将来の退職手当負担の軽減が図られているものと考えております。
  また、議員ご指摘の退職手当債についてでございますが、今後、全国の地方公共団体において、団塊の世代の大量退職に伴う退職手当が大幅に増加することが見込まれますことから、世代間の均衡を図るため、今年度より向こう10年間に限って、平年度ベースを上回る退職手当額がある場合、将来の人件費の削減により償還財源が確保できると認められる範囲内で、発行が認められるように国の制度が改められたところでございます。 
  退職手当債は、次の世代に負担をかけることのないよう、将来の人件費の削減、その額により生み出される一般財源によって償還をしていく仕組みとなっております。逆に、退職手当債を発行しないといたしますと、限られた財源の中で、退職手当の一時的な増により、現在の行政サービスが低下し、行政サービスの世代間均衡が図れないのではないか、という課題がございます。
  こうした観点に立って、来年度55億円の退職手当債を計上したところであり、次年度以降につきましても、現在の世代と将来の世代の負担のバランスを十分勘案しながら、その発行も視野に入れてまいりたいと考えております。
  4点目の、財政再建に取り組む知事としての決意と方針についてのお尋ねでございます。
本県の財政状況が依然として厳しい中で、子や孫にツケを残さない健全財政を実現していくことは極めて重要であり、また、今の私達に課されている責務であると認識しております。
  そのためには、将来、この滋賀の地で暮らす人々に、活気と魅力にあふれた豊かな地域を残していけるような施策の選択が大切であり、県政のあり方や運営そのものを含めて抜本的に改革していく必要があります。
  こうした考え方に立って、現在進めております「施策・事業の仕分け」の成果も活かしながら、歳出・歳入の両面からの行財政改革に取り組む覚悟でございます。
  具体的には、来年度秋頃をめどに策定を予定しております「新しい行政改革の方針」においてその基本的な考え方をお示しするとともに、「新しい財政構造改革プログラム」を策定し、全庁挙げてこれを着実に実行していくことにより、財政の健全化に精一杯取り組んでまいる覚悟でございます。

新幹線新駅について

次に、新幹線新駅について知事に質問いたします。
  昨年の7月県議会における答弁において、新幹線新駅については「限りなく中止に近い凍結」と、選挙公約の実現に向けて力強く決意のほどを述べられてから、半年以上が過ぎようとしています。
  私たちは会派として、「凍結」という知事の公約を支持し、これまで知事の「凍結」に向けた様々な取り組みに理解を示し、精一杯支えてきたつもりであります。
  そして、その間、成果というべきものもあります。新駅の建設工事が全く進んでいないこと、10月に請求のあった工事費の支払いが猶予されたことと今年3月末までに地元が合意に至らない場合は、事実上工事が進まない内容を含む覚書をJRと締結したこと、平成19年度予算案には工事費の負担分が計上されていないこと、であります。この3つの事実によって、凍結に向けての前提が整いつつあると、一定の評価をさせていただいておりました。
  また、新聞報道などによって、凍結の実現に向けて「胸突き八丁を超えた」、「2月中旬までに結論を得たい」との知事の発言に接して、県民の多くが大いなる期待を持って事の推移を見守っていたものと推察します。
  ところが、1月19日に開催された促進協議会正副会長会議において、新駅の工事費を大幅に削減する案を事務局で検討の上、JR東海に要請することに合意されました。そして、JRがこの提案を受け入れた場合には、凍結の方針を変えることも「可能性として否定できない」とも述べられました。
  その一方で、「凍結の姿勢に変わりはない」とも述べられています。おそらく、滋賀県知事としては凍結に揺るぎはないものの、促進協議会会長としては協議会で合意された提案は実施に移すという具合に、立場を使い分けて何とか軟着陸の道を模索しておられるのかと想像をしています。
  ともかく、こうした手法というものは、政治的には理解は可能でも、一般の社会的には理解するには余りにもわかりにくく、ややこしく感じられるのではないでしょうか。
  そこで、1月19日の促進協議会正副会長会議以降の知事の言動に対して、わかりやすくご説明を願いたいと存じます。また、工事費の2月分負担金1億800万円については、期限までに支払う方針とのことですが、その真意をお伺いいたします。
  2月14日、知事は栗東市長と共に名古屋のJR東海本社を訪問し、松本社長に面会されました。そこで、工事費の大幅削減案について「アドバイスをお願いしたい」旨をJR側にされたところ、「現行の計画がある以上、関与できない」と拒絶されたとのことであります。
  そして、このJR側の返答を受けて、促進協議会で時間をかけて議論をするために、今年の3月末までに結論を出すとしていたのを10月末まで期間を延長することになるとのことであります。
  JR東海の松本社長は、「別の案を提案することは、現行の協定を実施しないことであり、延長線上の話ではない。まったくゼロからの扱いになる」旨の発言をされたようです。この発言を伺う限りにおいて、工事費の削減案は議論の俎上から完全に消えたと解釈していいのかどうかを伺います。
  また、結論を出す時期が、3月末から10月末に延期された意味についてであります。何か日本政治に特有の問題先送りという感じがしないではないですが、時期を延長されたこと、および、期限を10月末とされた理由について伺います。
  先日の中日新聞に、「新駅問題」有権者100人に聞くと題するアンケート調査の結果が掲載されていました。
  まず、現行の新駅計画について、推進は100人中12人、中止が63人、凍結が25人でありました。「工事費減額なら賛成か」の問いに対しては、凍結や中止と答えた88人のうち、減額を条件に賛成にまわった人は10人。あとの78人は「安くても必要ない」と否定的でありました。さらに、「嘉田知事が減額要望に行くのは公約違反か」の問いに、ほぼ半数の49人が「違反」と答えていました。
  この調査結果を見る限り、現在もなお、県民の大多数が凍結ないし中止を求めており、例え工事費が減額されたとしても、その多くが考えを変えることはなく、知事が減額要望を行うこと自体を「公約違反」と受け止める人が半数近くを占めるということであります。
  この結果は民意を如実に反映されたものと考えていいものと思いますが、こうした県民の声、思いというものをどのように受け止めておられるのかをお伺いいたします。
  私たちは、まずは明確に凍結に向けてまっすぐに進むべきだと考えます。工事費負担金が計上されていない平成19年度予算案の可決成立に向けて努力を行うとともに、工事協定を白紙に戻す。そして、賠償その他、法的問題を一つずつ丁寧に解決していくことであります。
  それがしっかりと出来たならば、すなわち、完全に凍結された状態になったのならば、新駅建設の是非からもう一度、県民とともに大いに議論すればいいと考えています。その際に、工事費の削減案についても選択肢の1つとして議論することを否定はいたしません。
  したがって、例え、促進協議会会長という立場を使ったとしても、現段階において工事費削減についてJR東海に要請に行くことは時期尚早であったと考えます。その前に、滋賀県知事としても促進協議会会長としても、双方の立場において、凍結に向けてまっしぐらに取り組んでいただきたいと存じます。そうした姿勢が見られる限りにおいて、私たちは全力で支援することを申し上げておきたいと思います。
  知事の新幹線問題についてのご所見と凍結に向けた決意のほどを改めてお伺います。

   
   [知事答弁]
次に、新幹線新駅についてのご質問にお答えします。
  まず、1点目の「1月19日の促進協議会正・副会長会議以降の知事の言動について」のご質問ですが、この1月19日の正・副会長会議では、「大幅なコストダウンの方策について、事務局で検討の上、JR東海へ要請すること」を確認いたしました。
  私としては、「凍結」の方針に変わりはありませんが、正・副会長会議は虚心坦懐に「凍結を含む幅広い議論」をする場であることを踏まえ、県と市とのパートナーシップを大切にしたいとの思いから、関係市長の皆さんの御意見を考慮し、栗東市が中心となって大幅なコストダウンの可能性について検討することまでも否定するべきではないと判断させていただきました。
  また、このことを受けて、去る2月14日には、JR東海に対して、促進協議会の会長としての立場で栗東市長さんに同行して、コストダウン案の検討に助言いただけるよう、要請に伺ったところであります。
  このように、正・副会長会議で関係市長の皆さんのご意見を伺いながら合意形成を図り、その合意事項を誠実に履行するということが促進協議会の会長としての務めであると考えており、こうした点について御理解いただきたいと考えております。
  2点目の「工事費の2月分の負担金1億800万円については、期限までに支払う方針とのことだが、その真意を伺う。」とのご質問でございます。
  10月期の工事費負担金については、地元で議論する間、工事の進捗を止めることによって、凍結された場合の県民の負担を少しでも少なくしたいとの思いから、昨年12月18日に締結した覚書により、本年3月末まで特例的に支払いを猶予していただいております。
  2月期の負担金については、工事の進捗が止まっており、年度協定書に基づいて、既に請求書も届いておりますので、支払い期限の2月末までにJR東海に支払えるよう、手続きを進めたいと考えております。
なお、この2月期の負担金を含め、本年度に支払った負担金は、一旦支払いはいたしますが、年度終了後、3月末には、工事の出来形に応じて精算されることとなります。
  3点目の「JR東海の松本社長の発言で、工事費の削減案は議論の俎上から完全に消えたと解釈していいのか」とのご質問であります。
  先日の要請の際、JR東海からは、「現行の協定がある以上、コストダウン案については関与しない」と伺っております。
  つまり、今の状態のままでは、コストダウン案の検討について、JR東海の協力は得られないという趣旨だと理解しております。
  4点目の「結論を出す時期を延長されたこと、および期限を10月末とされた理由について」のご質問ですが、JR東海との会談の中で、栗東市長から「今回の要請結果を持ち帰って、促進協議会で議論する必要があることから、その結論を出すまでの時間的な猶予をいただきたい」旨の提案があり、JR東海からは、地元での結論を10月末まで猶予することを了承いただいたものであります。
  なお、今回の要請結果につきましては、正・副会長会議の場で説明し、今後の対応について引き続き議論していきたいと考えております。
  5点目の「中日新聞のアンケート調査結果から、県民の声、思いというものをどのように受け止めているのか」とのご質問でございますが、今回のアンケート調査は一つの結果であると思いますが、「新駅は必要ない」との県民の声は大変根強いものがあると改めて実感したところであります。
  今後とも、幅広い県民の皆さんの思いを受け止め、新駅問題の解決に向けて、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
  最後に、「新幹線新駅問題についての知事の所見と凍結に向けた決意のほどを伺う。」とのご質問ですが、繰り返し申し上げておりますように、県の財政状況が厳しいこと、利便性が低く必要性も低いこと、他の請願駅に比べて著しくコストが高いことから、現行の新駅の計画につきましては「凍結」すべきと判断させていただいているところでございます。
  今後、正・副会長会議でさらに議論を重ねる中で、滋賀県と県民の皆さんの将来に責任を持つ知事として、「凍結」の立場をしっかりと主張させていただきながら、関係者の合意の下に最終的な結論を得ることが出来ますよう、精一杯、努力させていただく所存でございます。

琵琶湖の水質浄化について

次に、琵琶湖の水質浄化について知事および琵琶湖環境部長に質問いたします。
  6年前、滋賀県で世界湖沼会議が開催された際、開会式にご臨席を賜りました秋篠宮殿下が、「湖沼に住む生き物にとって、そこが終の棲家として相応しい環境なのかどうかという視点からの議論を期待します」と述べられたことが、大変印象的でありました。
  元来、琵琶湖の水を守るために、昭和52年から石鹸の使用推進運動が県民の自主的な盛り上がりによって積極的に展開されるとともに、毎回約20万人もの人々が「びわ湖を美しくする運動」に参加するなど、琵琶湖の保全に誇りを持った人々の主体的な取り組みが続いてきました。
  県においても、当時の国の関係6省庁の共同実施による計画調査の成果を踏まえて、県民総ぐるみによる琵琶湖総合保全の指針として、平成12年3月、『マザーレイク21計画 琵琶湖総合保全整備計画』を策定し、様々な施策を講じてまいりました。
  しかしながら、周辺地域土地利用や産業活動の変遷、生活様式の変化等によって、これまでの県や県民の多くの取組みにもかかわらず、アオコの発生など富栄養化を原因とする現象が続き、有機物質による汚濁も改善が見られないなど、琵琶湖の水環境はまだまだ厳しい状況にあるものと言わざるをえません。
  知事も、新聞のインタビューのなかで、「琵琶湖の現状は悪化している。特に、湖底。硫黄酸化菌のチオプローカの出現や低酸素化。30年前から琵琶湖の危機は湖底からと議論してきたが、その状態に近づいており危険だ。」と述べられています。
  マザーレイク21計画では、第1期目標として、2010年度までに昭和40年代の前半レベルの流入負荷とすることが定められています。琵琶湖の現状を考えると、この第1期目標の達成は非常に難しい局面にきているのではないでしょうか。
  そこで、琵琶湖の水質の現状をどのように認識されているのか、マザーレイク21計画の目標達成についてのお考えを知事にお伺いいたします。
  湖沼の水質汚濁は、生活廃水、工場等からの排水の特定汚染源(点源)や、面的な広がりを持つ市街地、農地等の非特定汚染源(面源)からの汚濁物質が降雨によって湖沼に流入する外部的な汚濁要因と、湖中における植物プランクトンの増殖による内部生産や汚濁物質が蓄積した底泥からの溶出による内部的な汚濁要因とが合わさって起こる現象とされています。
  ただ、湖沼の汚濁メカニズムは定性的には把握されているものの、様々な要因が複雑に相互に作用しているため、定量的には十分に解明されていないと「中央環境審議会」の答申に述べられています。
  私たちは会派として、琵琶湖の水質浄化を効果的かつ効率的に進めるためには、まずは、水質汚濁メカニズムの解明が重要であり、県の一大プロジェクトとして取り組むべきだと提言し続けてまいりました。
  そして、この度、平成19年度予算案において、「水質汚濁メカニズム解明調査事業」が新規事業として盛り込まれたことは、大いに評価したいと存じます。
  そこで、この事業の概要について琵琶湖環境部長にお伺いいたします。
  水質汚濁メカニズムが解明された暁には、それに対応した新たな施策に立案・実施が必要なことは言うまでもありません。また、従来の水質浄化の数値目標などの基準となるべきものにも変更が生じることになるかもしれません。
  こうした場合、マザーレイク21計画や湖沼水質保全計画の変更を含め、どのように反映しようとされるのかを琵琶湖環境部長にお伺いいたします。

   
  

[知事答弁]
次に、琵琶湖の水質浄化についてお答えさせていただきます。
  まず、琵琶湖の水質の現状をどのように認識しているかでございますが、県ではこれまで、湖沼水質保全計画に基づき、下水道の整備などの生活排水対策や工場排水規制など様々な流入負荷削減のための取り組みを総合的かつ計画的に実施し、琵琶湖の水質改善を進めてまいりました。
  この結果、窒素やリンといった水質指標は、全般的に横ばい若しくは改善傾向にあることから、富栄養化の進行は一定抑制されているものと考えています。また、有機汚濁の一つの指標でありますBODも減少傾向にあります。
  しかしながら、同じ有機汚濁の指標であるCODは、長期的な傾向を見ると漸増傾向にあり、BODとの乖離現象というこれまでにない現象の原因究明がさしあたっての大きな課題であると認識しております。
  また、マザーレイク21計画の目標達成についてでありますが、本県では、平成12年に「琵琶湖総合保全整備計画」いわゆるマザーレイク21計画を策定し、水質保全、水源かん養、自然的環境・景観保全の3分野において、琵琶湖の総合保全の取り組みを鋭意進めてきたところでございます。
  このうち、水質保全につきましては、平成22年までの第1期計画の目標を昭和40年代前半レベルの流入負荷に削減することにおき、これまで発生源対策、流出過程対策、湖内対策等の区分のもとに58の施策を展開してまいりました。
  この結果、CODの流入負荷量を例にとりますと、平成16年度で目標値に対して約84%まで削減できたものと考えており、引き続き、面源負荷削減対策の充実を図りながら、目標達成に向けて努力してまいります。
  このように、水質指標や流入負荷量の数値からしますと、これまでの取り組みの成果が現れていると見られますものの、琵琶湖の水環境を把握するうえで大変気がかりな要素として、北湖底層の低酸素化傾向があります。
  琵琶湖・環境科学研究センターの前身であります琵琶湖研究所は、平成3年に、北湖60mの底泥からイオウ酸化細菌であるチオプローカを発見しました。このチオプローカは、硫化水素を酸化して得られるエネルギーを使って生存し、その存在は底層の低酸素化に関連するものと考えられています。
  その後の調査でも、平成14年には北湖89mの深層部において溶存酸素の飽和度が8%と近年にない低酸素状態が観測されております。
  また、先ほど地球温暖化問題のときにもご指摘いたしましたけれども、今年の冬のような状態、雪がなく周辺の流入する水温が高い、また、湖の表層の温度が下がらないというようなところで、湖底の低酸素化が一層推進されているのではないのか、という心配もございます。
  このような現象は、極めて気がかりなところでありまして、琵琶湖からの警鐘として、引き続き実態の把握に努めながらその動向を十分に注視していかなければならないと考えております。
  琵琶湖は、本県を含む、まさに、近畿1400万人の命の水源でありまして、1千種を超えるといわれている多種多様な生き物を育む場でもあります。この琵琶湖の水質を保全・回復し、健全な姿で次世代に引き継いでいけるよう、私自身、全力を挙げて取り組んでまいる覚悟でございます。

[琵琶湖環境部長答弁
琵琶湖の水質浄化についてのご質問のうち、まず、水質汚濁メカニズム解明調査事業についてお答えします。
  近年の琵琶湖では、水質の面で見ますと、琵琶湖への流入負荷量は、一定削減されておりますものの、有機物質の指標でありますCODの漸増傾向といった傾向があり、また、生態系の面では、水草の異常繁茂や湖底の泥質化などの現象が生じてきております。
  琵琶湖の総合保全を進めますためには、こうした新しい課題について、総合的・学際的な調査検討によるメカニズムの解明が不可欠であると考え、平成19年度から水質汚濁メカニズムや生態系メカニズムの解明に向けた取り組みを計画いたしております。
  この取り組みに当たりましては、まず、琵琶湖に関わる多分野の研究者の方々で構成する調査研究検討チームを設置し、調査研究テーマや推進のフレーム、成果の評価手法等全体の枠組みづくりの検討を行うことといたしております。
水質汚濁解明調査の、全体的な枠組はこの検討チームのご議論をいただくことになりますが、一方で、CODの漸増傾向の原因と言われている難分解性有機物の実態把握等は、急ぐべき課題であり、優先的に取り組むべきテーマであると考えております。
  このため、次年度から琵琶湖・環境科学研究センターを中心として、難分解性有機物の特定とその発生源、湖内での挙動など様々な角度からの調査・研究を先駆的に実施し、必要な対策を見いだして参りたいと考えております。
  次に水質汚濁メカニズム解明調査を受けて、マザーレイク21計画や湖沼水質保全計画へどう反映していくかについてであります。
  琵琶湖の水質保持に当たりましては、マザーレイク21計画を基本方針に、湖沼水質保全計画を実施計画と位置づけて推進をいたしております。
  このマザーレイク21計画は、第1期計画が平成22年度に終了し、平成23年度から第2期の10年計画をスタートさせることが予定されております。
  また、湖沼水質保全計画につきましては、現在、国と協議を進めております第5期計画が平成22年度で終了し、平成23年度から第6期の計画をスタートさせることが予定されております。
こうしたことから、平成19年度から実施を計画しております水質汚濁メカニズム解明調査の結果について、平成22年度までに成果を得、この成果を基に政策立案等の検討を行い、いずれも平成23年度からスタートするマザーレイク21計画の第2期計画や第6期湖沼水質保全計画にしっかりと反映させてまいりたいと考えております。
なお、環境省では、平成18年度からは「水環境保全施策枠組み再構築事業」が実施され、平成19年度からは「琵琶湖等湖沼水質保全対策高度化推進調査」を計画されております。
  この調査の中では、水質汚濁指標の見直し検討や琵琶湖も対象とした水質汚濁メカニズムの解明なども取り組まれると聞いております。
  このため、県といたしましては、相互に連携して調査研究を進めますとともに、得られた成果についても共有化を図りながら政策立案の議論を進めたいと考えておりまして、現在、環境省と協議を進めているところでございます。


造林公社について

次に、12月議会の一般質問でも触れられましたが、改めて造林公社について、知事に質問いたします。
  滋賀県造林公社は、滋賀県や県内市町村だけではなく、大阪府、大阪市、兵庫県、神戸市、尼崎市、西宮市、伊丹市の下流7自治体も出資をして1965年に設立されました。また、1974年には、滋賀県の単独出資で、びわ湖造林公社も設立されました。
  公社は苗木を植えて針葉樹を育成し、販売することを主たる目的としています。事業が軌道に乗るまでは、農林漁業金融公庫の制度資金からの調達と自治体からの借入れで資金を手当てし、将来の伐採収入で投下資本を回収し、借入金の返済を行うことをスキームとしていました。
  しかし、国の木材輸入の自由化措置等の政策転換により、安価な外材が大量に輸入され、国産材の価格の下落を招きました。実際、1立方メートルあたりの全国平均価格では、1980年代と2005年とを比較すると、ヒノキが42,947円から11,988円と約4分の1に、スギは22,707円から3,628円と約6分の1へと驚くべき下落ぶりでありました。
  こうした木材価格の下落に加えて、森林整備にかかわる人件費の上昇などによって公社の経営は著しく悪化し、今や長期債務残高は1000億円を超し、金利だけでも毎年18億円という惨状であります。
  公社が植えた樹木は2016年ごろから本格的に伐採が始まるとのことですが、これまでの目論見通りに伐採収入だけで、1000億円を超す債務の償還が可能なのか、甚だ疑問であります。
  また、県の包括外部監査によって、「2公社は存続できる状態にない」との指摘がなされ、実際、一昨年からは新規の借り入れをせず、すべての借入先に対する返済も止まっております。
  知事は、現在の公社の経営状況について、「破綻状態であるとまでは言えない」と答弁されていますが、今後の伐採収入の見込みを含めて、経営改善をどのようにはかっていこうとされているのかを伺います。
  知事の答弁通り、「破綻状態であるとまでは言えない」までも、破綻寸前であることには間違いありません。企業会計的手法だと、破綻寸前の企業を立て直すには、資産の厚みを増すか、負債を圧縮するか、その両方とも行うか、であります。
  県は、公社に出資した自治体と「経営改善検討会議」を設立して打開策の協議を行っているとのことですが、県の本音としては、農林漁業金融公庫と下流自治体に対して、一定の債権放棄を求めたいところだと思います。
  しかしながら、大口債権者である大阪府は、公社の運営主体の滋賀県に特定調停で債務の処理を急ぐよう申し入れを行ったとのことであります。いわば、特定調停などの法的処理に持ち込み、問題の早期解決をはかることを意図したものと受け取れます。
  そこで、農林漁業金融公庫や大阪府などの下流自治体との協議はどの程度進んでいるのか、解決策を見出すことのできる可能性について伺います。
  そもそも、公社の営林地は、国の指導にそって、主として森林所有者の自力では造林が困難な奥地などの条件が不利な所で展開することとされたことに加え、国の木材輸入の自由化政策によって国産材の価格の下落・低迷につながり、それらの結果、破綻寸前にまで追い込まれたわけであります。
  したがって、国にも責任の一端はあるものと考えるべきであります。もちろん、公社が独自の改善努力を怠ってはなりませんが、国にも相応の支援を求めてしかるべきであります。少なくとも、伐採時期に合わせた償還と利息の軽減を国がすべきと考えますが、国との協議などがどのようになっているのかを伺います。
  そして、もし、公社の債務処理が円滑に進んだと仮定して、これからも公社という形式を存続させて、県の森林行政の一翼を担わせようとされているのか、ご見解をお尋ねいたします。

   
  

[知事答弁]
次に、造林公社に関するご質問にお答えさせていただきます。
  本県が設立しておりますびわ湖造林公社および滋賀県造林公社は、琵琶湖の水源かん養を大きな目的に、大阪府や兵庫県など下流自治体の参画をいただきながら、分収造林事業による水源林整備を積極的に推進して参りました。
  その結果、両公社合計で約2万ヘクタールの森林を整備管理し、森林資源の充実はもとより、琵琶湖の水源かん養や県土の保全をはじめとする、森林の持つ公益的機能の発揮などに、大変大きな役割を果たして来たところでございます。
  そこで、1点目の今後の伐採収入の見込みも含めた、経営改善の考え方についてでございますが、造林公社は、議員のご指摘にもありますように、公社経営を巡る構造的な要因、国の森林・林業政策に翻弄されながら、結果的に多額の累積債務を抱え、現在の木材価格の水準では、将来の伐採収入で、到底債務全体を償還することが、極めて困難であると見込まれ、厳しい経営状態に立ち至ったものと認識しております。
こうした状況を踏まえ、造林公社の経営改善の視点といたしましては、借入金の償還のために新たな借入を行うといった、これまでの仕組みから脱却し、造林公社自らの収入で債務を償還していくという、本来あるべき姿を念頭に置くべきであると考えておりまして、そのためには国の支援を含めまして、あらゆる改善策について検討していく必要があると思っております。
  しかし一方で、森林の果たす社会的役割は、木材生産重視から、水源かん養など森林の持つ公益的機能重視に変化していることを踏まえ、経済的な側面だけでなく、森林の多面的機能が、より高度に発揮されるような経営方針も求められているところであり、伐採収入の確保と併せてこの2点をうまく調和させていく必要があると考えております。先程、地球温暖化CO2削減に対する森林の役割などもここに含まれる大きな課題であろうと考えております。
  また、公社営林は、水源かん養を主たる目的にされたことから、湖北、湖西の積雪地域での造林地も多く、木材生産に適さないところも存在しております。こうした様々な要素を加味しながら、今後の抜本的な経営改善策について、関係機関と協議・調整を進めているところでございます。
  こうした検討を進める中で、伐採収入が債務残高に満たない場合には、関係者が痛みを分かつ必要も出てくるものと認識しております。
  2点目の農林漁業金融公庫や下流自治体との協議の進捗状況と、解決策を見いだすことができる可能性についてでありますが、造林公社の抜本改革を図るため、債務の償還スキームも含めた経営改善計画の策定に向けて、滋賀県造林公社では、経営改善検討会議を開催し、下流社員の皆さんと精力的に協議・調整を進めているところでございます。また、農林漁業金融公庫につきましては、公庫のご理解を得て、平成17年度から償還猶予をいただきながら、債務の取扱いにつきまして、鋭意協議を進めているところでございます。
  この協議では、木材価格が低迷を続ける中で、将来の伐採収入をどう見積もることが合理的か、また、伐採時期と償還時期との不一致をどのように解消していくか、などが大きな課題としてあり、関係機関と議論を重ねているところでございます。
しかしながら、公社問題はこれ以上先送りすることができない最重要の課題であり、今後、これら関係機関とこれまで以上に精力的な協議・調整を行い、より良い解決策を早急に見出せるよう、最大限努力して参る所存でございます。
  3点目の国への支援要請と国との協議等の状況についてでございますが、造林公社の厳しい経営状況は、本県のみならず全国共通の課題でありまして、全国38都道府県42公社の累積債務残高は、今や1兆2千億円を超える巨額に達し、極めて深刻な経営状況にあるものと認識しております。
  こうした背景には、既にご指摘のように、木材輸入の自由化など、国の森林・林業政策に起因する構造的な課題が内在しており、各府県、各公社におかれても様々な改革への取り組みを行っていると伺っておりますが、もはや個々の府県や公社の自助努力だけでは到底解決が困難な、まさに国家的課題であると考えておりまして、国にはこうした事態を招いた背景や責任を率直に認識し、国の責任において、抜本的な支援策を講じていただく必要があると考えております。
こうしたことから、本県では、公社問題の解決を図るためには、関係府県が連携し、一丸となって国に働きかけることが極めて重要であるとの考えのもと、全国知事会をはじめ近畿ブロック知事会や中部圏知事会議などから、国に対して、公社の抜本的な経営改善を推進するための積極的な支援措置について、再三にわたり提案・要望を行って来たところでございます。
また、平成17年11月には、農林漁業金融公庫と本県をはじめ関係20府県が、貸し手と借り手という立場の違いを越えて連携して、「林業公社等にかかる金融問題検討会」を設置し、農林漁業金融公庫資金について、現行制度の大きな課題である、伐採時期と借入金の償還時期との不一致を解消し、伐採収入が得られるまでの県等による償還財源の負担を軽減するため、「伐採時期に合わせた償還ができる資金制度の創設」と、これによって償還期間が延びた場合でも、利子負担総額が増加しないよう、「金利負担の軽減措置」を柱とする政策提言をとりまとめたところであり、平成19年度の国の予算編成時に積極的な要望を行って参りました。
  しかし、残念ながら、平成19年度の国予算では、政策提言は実現しませんでした。国としても提言内容の必要性について検討を行うということであり、この提案は、本県はもとより全国の公社が経営する森林を、健全に維持するうえで重要な内容でありますことから、関係府県や農林漁業金融公庫と連携しながら、引き続き実現を図って参りたいと考えております。
なお、国では、平成18年度予算におきまして、造林補助制度や地方交付税措置の拡充が行われたところであり、これまでの全国的な取り組みの成果が一定実ったものと評価しておりますが、本県造林公社の経営改善を図る上では、不十分であると認識しており、さらなる制度改善が必要と考えております。
 最後に、公社の債務処理が円滑に進んだ場合には、今後も公社という形式を存続させ、県の森林行政の一翼を担わせるのかというご質問についてでございますが、造林公社は、これまで、本県の民有人工林面積の約25%に相当する2万ヘクタール近い森林を整備管理し、琵琶湖の水源かん養をはじめ、県土の保全や森林資源の充実などに、極めて重要な役割を果たして参りました。
  今後とも、琵琶湖や私たちの暮らしに大きな恵みをもたらす公社営林の役割は、極めて高い公共性・公益性を有するものと考えておりまして、この森林を適切に管理し、健全な姿で琵琶湖とともに将来の世代へ引き継いでいかなければならないと考えております。
こうしたことから、お尋ねのように造林公社の債務処理が円滑に進んだ場合には、土地所有者の信託にお応えしながら、公的な森林管理を推進する機関として、公社の役割を存続させることが、本県の森林行政にとって望ましいものと理解しております。

児童虐待について

次に、児童虐待の防止について知事および健康福祉部長に質問いたします。
  昨年、一昨年と滋賀県においても、虐待によって幼い生命が奪われるという事件が相次いでおこりました。また、他府県での児童虐待のニュースに接する度に、「なぜ」と本当に胸が詰まる思いがしているのは私だけではないと思います。
  平成17年度、県内2ヶ所の「子ども家庭相談センター」における児童虐待相談の受付件数は645件と過去最高となりました。これは、児童虐待防止法が施行される前の平成11年度の211件に比べて3倍以上増加していることになり、大変憂慮すべき状況となっております。
  私たちは、こうした現状を重く受け止め、子どもが虐待によって生命を落とすことがない、虐待ゼロの社会とすることはもちろん、児童虐待が子どもの人格をゆがめ、次世代にまで影響を及ぼすという視点から、子どもが安全で安心して育っていける社会づくりに邁進していかなければなりません。
  県では、こうした現状を捉えながら、「滋賀県子ども条例第12条」に基づき、児童虐待防止対策を総合的に推進していくため、平成19年度から23年度までの5年間を期間とした 『滋賀県児童虐待防止計画(案)』をとりまとめたところであります。
  そこで、同計画案の策定にあたって、どのような基本的方針を立てられたのかを知事に伺います。
  さて、子ども家庭相談センターは、虐待についての相談を受け、また、事例の通告を受ける専門機関として大変重要な役割を果たしています。児童虐待防止法では、通告があれば、速やかに子どもの安全確認や一時保護を行うことと定められています。
  『滋賀県児童虐待防止計画(案)』でも、夜間・休日に電話相談指導員を配置し、24時間体制で県民からの通告や相談に対応するとともに、48時間以内に立入り調査等によって子どもの安全確認を行うなどの機能強化策が盛り込まれていることは、大いに評価したいと思います。
  ただ、滋賀県児童虐待死亡事例検証委員会の報告によれば、平成17年度の子ども家庭相談センターの児童福祉司の数は全国平均と同様の23名に対し、児童虐待相談件数が645件と人口比で全国平均の約2倍となっており、児童福祉司が不足していると指摘されています。
  また、児童福祉司の人事異動に伴うケース引継ぎの組織体制、児童福祉司と児童心理司の連携、および専門性を保持し向上させるための研修体制など、子ども家庭相談センターにおける課題が指摘されてもいます。
  今後ともますますその果たすべき役割が大きくなるであろう子ども家庭相談センターの課題について、どのように対応されようとしているのかを健康福祉部長にお伺いいたします。
  県では、児童福祉施設である乳児院、児童養護施設、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設の合計7施設あり、309名の定員に対して301名の子どもが入所しています。そして、こうした施設においては、虐待を受けた子どもが約60%を占めているのが現状でもあります。
  入所している子どもたちは、その大半が、個別のきめ細かな対応を必要としており、傷ついた心のケアを十分に行えるだけの専門職員の体制の強化がはかられなければなりません。
  また、施設に入所している子どもたちにとって一番の楽しみは、職員と一緒に外出したり、買い物に出かけたりすることだと聞いたことがあります。十分な愛情を注がれることのなかった子どもたちにとって、職員との1対1の時間が、この上もない癒しと愛情を感じるようであります。
  高齢者福祉の分野においては、大規模施設よりもグループホームのような小規模ケアや家庭的なグループケアへというのが1つの流れとなってきています。同じことが児童福祉施設にも言えるのではないかと考えます。
  今後の児童福祉施設の整備の方向性と、施設での子どもたちへのケアの充実について健康福祉部長にお伺いいたします
  市町や他の関係機関との関係強化をさらにはかっていく必要があります。平成17年から、新たに市町が児童家庭相談業務を行うこととなり、子ども家庭相談センターと市町のどちらが主たる支援機関であるのかが明確ではないとの指摘がされています。
  未然防止、早期発見・早期対応、子どもの保護とケア、家族の再統合とそれぞれの局面において、子ども家庭相談センターと市町とが効果的な連携を行うための役割分担を明らかにする必要性があるものと存じます。
  また、関係機関、特に医療機関との連携の強化は急務であります。平成17年度の医療機関から子ども家庭相談センターへの虐待相談件数は25件で、全体の3.9%となっています。
  厚生労働省の調査では、医師の約半数が通告に抵抗を感じているとのことです。その主な理由としては、虐待の判断に自信が持てないことや、保護者とのトラブルを避けたいことをあげていることから、医療機関が通告しやすい体制の整備が求められます。
  市町や関係機関、特に医療機関との連携を深めていく方策について健康福祉部長にお伺いいたします。

   
  

[健康福祉部長]
児童虐待についての3点のご質問にお答えいたします。
  まず、1点目の、子ども家庭相談センターの課題への対応について、でございます。
  子ども家庭相談センターは、議員ご指摘のとおり、児童虐待の防止にとって、大変重要な役割を担っております。
  このため、これまでから、24時間相談体制の確立や、市町間の転出転入時の情報提供のルール化、さらには県下全ての市町での児童虐待防止ネットワークの設置など、専門相談機関としての機能の強化などに取り組んできたところでございます。
  しかしながら、児童虐待相談件数が増加の一途をたどり、2年続けて虐待死亡事件が発生するなど大変厳しい状況から、子ども家庭相談センターのより一層の体制強化が喫緊の重要課題と考えております。
  このため、児童福祉司や児童心理司の充実、遠隔地に対する対応の強化など、現在、精一杯努力をしているところでございます。
  また、ケースの確実な引き継ぎのため、引継表の作成、児童心理司を含めたチーム制や複数でのケースワークの実施、スーパーバイザーによる進行管理の徹底などを図ってまいりたいと考えております。
さらに、職員の専門性を確保するため所内での研修体制の充実や、国が実施する研修などへの受講を積極的に進め、専門性の向上に努めてまいることといたしております。
このような対応によりまして、子ども家庭相談センターの機能強化を図り、児童虐待防止に、より一層、積極的に対応できる体制づくりを進めてまいりたいと考えております。
  次に、2点目の、今後の児童福祉施設の整備の方向性と施設での子どもへのケアの充実について、でございます。
  児童養護施設等の整備につきましては、近年、施設などに保護を必要とする子どもが急増し、各施設はほぼ定員一杯の状況にありますことから、施設の定員増が必要と考えております。
このため、児童養護施設等の増設と併せて、地域の中で子どもが家庭的な環境のもと、生活体験を積むことにより社会的自立を図っていくことが必要でありますことから、今後、少人数による地域小規模児童養護施設の設置の促進を図ってまいりたいと考えております。
  次に、施設での子どものケアにつきましては、児童虐待により傷ついた心を癒すきめ細やかなケアは大切でありますことから、各施設に心理療法担当職員、被虐待児個別対応職員を配置し、また、子どもの感性を引き出し自立を促すグループ活動を推進するなど、様々な角度から子どもへのケアの充実に努めているところでございまして、今後とも各施設の取り組みを支援してまいりたいと考えております。
  3点目の市町や関係機関、特に、医療機関との連携を深めていく方策について、でございます。
  まず、市町との連携についてでございますが、市町や関係機関と情報を共有するために、昨年の11月から、県内統一のアセスメントシートの活用を図ったところであり、今後は、各種記録様式の標準化を進めてまいることとしております。
  さらに、市町相談担当職員に対する児童福祉司の任用資格の取得に向けた研修の実施や専門家の派遣による児童虐待防止ネットワークの機能強化、また、子ども家庭相談センターと市町との役割分担を明確にするため、指針の作成を行ってまいりたいと考えております。
関係機関との連携につきましては、小中学校では児童虐待対応教員を定めており、来年度には、県立学校でも実施することといたしております。
  今後、幼稚園、保育所におきましても同様の取り組みを働きかけますとともに、警察署につきましては、全ての市町の児童虐待防止ネットワークに参加いただくことといたしているところでございます。
特に、医療機関との連携につきましては、医師会、歯科医師会、病院に対しまして、市町の児童虐待防止ネットワークへの参加や、病院内ネットワークの構築を働きかけているところでございます。
  また、医療機関から通告しやすい体制の整備として、医療従事者向けの研修会を開催いたしますとともに、新たに県内医科大学との連携により、虐待の診断などにより法医学の医師の助言指導が得られるシステムの構築を図ってまいることと致しております。 
児童虐待防止につきましては、今後とも、県民、市町や関係機関との一層の連携を図りながら、虐待死ゼロを目指すという強い思いを持って、取り組んでまいりたいと考えております。

医師の確保について

次に、医師の確保について健康福祉部長に質問いたします。
  これまで多くの医師は、大学の卒業とともに大学医局に入り、教授の指示の下、医局の影響下にある病院を回ったり、留学したりしてきました。地方の診療所などに赴任する医師を確保できたのも、次の赴任先として条件の良い病院を用意するなど、「ご褒美」をあげることができたからだと言われています。
  しかし、2000年頃から病床数の制限などにより、中堅層以上の医師に対して医局が十分な病院のポストを用意できなくなり、求心力が低下してきました。その結果、医局の影響力は一気に低下し、医師は医局の用意した地方への派遣を受け入れることなく、自ら条件の良い就職先を探し始めたとのことであります。
  また、2004年4月から始まった新しい医師の臨床研修制度では、大学を卒業した医師の約半数が、一般の市中病院での研修を選択しました。そのため、大学では人手が足りなくなり、地方に派遣していた医師を大学に引上げざるを得なくなりました。
  また、人手が十分でない病院では、24時間365日拘束され、徹夜で仕事をした後にそのまま診察室に入るケースも少なくないとのことであります。自分で診察時間をコントロールできる開業医は、そんな労働条件の改善を求める医師の選択肢の1つとなっています。
  こうした医師を取り巻く環境の変化は、全国的な医師不足となってあらわれ、今や大きな社会問題となっています。これは離島などの診療所だけではなく、地域の中核病院でも医師が足りなくなり、お産の取り扱いや、救急患者の受入れをやめる医療機関も珍しくなくなっています。
  そこでまず、県内の医師の状況はどのようになっているのかをお伺いいたします。
  全国的に見てみると、全都道府県の約8割38都道県が産科医不足を課題としており、続いて小児科医不足を約7割(32都道府県)が、麻酔科医不足を(11道県)が最も大きな課題だと感じているとのことであります。
  厚生労働省の調査によると、2002年の産婦人科・産科を掲げていた医療施設は6398ヶ所、2004年に主な診療科目が産婦人科・産科をしていた医師が10,594人となっています。
  しかし、その調査結果と実態とが乖離しているのではないかということで、日本産婦人科学会が2005年に行った調査によると、分娩取り扱いの施設数は3063ヶ所と、前述の2002年の調査と比べると、20床以上の病院が470ヶ所、診療所が2865ヶ所少なくなっている。また、赤ちゃんを取り上げる医師数は7985人で、2609人少なくなっています。まさに、出産現場の危機的な状況が報告されているわけであります。
  産科では、ハイリスク分娩、出産を扱うため常時緊張を強いられ過重労働になっていることや、無過失であっても訴訟が多いことから敬遠する向きが強いようです。
  また、小児科では、夜間休日の救急医療や時間外の呼び出しなどによる過重労働と処遇への不満から、これも敬遠される傾向にあるとのことです。
  先日、滋賀県地域医療対策協議会の中間とりまとめ「滋賀県における医師確保の方策について」の中間まとめが出されました。
  そこでは、安定した医師確保システムの構築、滋賀県で働きたいと思える魅力ある病院づくり、女性医師の働きやすい環境づくり、積極的な医師の養成、働く意欲を引き出す職場環境づくりの5項目の提案がされました。
  そこで、滋賀県全体としての医師の確保、特に小児科医・産科医の確保に向けた方針と具体的な取り組みをお伺いいたします。
  医師確保に向けた総合的な取り組みに努力していくことは当然ですが、その一方で個別に今現在、早急な対策が求められていることがあります。
  彦根市では市立病院の産婦人科医が1人になり、存続が危ぶまれ、今年の4月からは彦根市立病院では出産やガン、婦人科系の手術が出来なくなるのではと言われています。
  また、湖西地域では平成18年度には、とうとう産婦人科医がゼロになるという最悪の状況に陥ってしまいました。
  こうしたケースでは、それぞれ市町が中心となって、必死の努力を行うことはもちろんのことですが、県としての有効な支援策を早急に講じる必要性もあると存じます。
  彦根市や湖西地域のようなケースが今後、どこで発生するかもしれないわけであり、県としての支援のスキームを準備しておくべきだと考えますが、ご見解を伺います。そして、具体的には、彦根市と湖西地域の産婦人科医の問題の解決に向けて、どのような支援策を考えておられるのかを伺います。

   
  

[健康福祉部長答弁]
次に、医師の確保についての3点のご質問にお答えします。
  まず1点目の県内の医師の状況についてでございます。
  7つの二次医療圏のうち、大津、湖南地域を除く5つの医療圏で地域偏在の傾向が強まっておりまして、特に、湖西、伊香郡をはじめ湖東地域などでは、周産期医療や小児救急医療への影響がでている状況にあります。
  また、特定診療科の偏在も進んでおり、産科では、この4年間に分娩を取扱う病院が20から14病院に減少しており、また、小児科では、この4年間に、3病院で常勤医がいなくなってきております。
  今後、産科・小児科にとどまらず一部の病院では麻酔科、精神科、呼吸器内科などの医師が不足する状況にあり、県内の医師不足は大変厳しい状況であると認識をしております。
  次に、2点目の滋賀県全体としての医師確保の方針と具体的な取り組みについてでございます。
  まず、医師確保の方針といたしましては、医師不足がいろいろな要因により引き起こされておりますことから、医療機関、大学、行政などの関係機関がそれぞれの役割を持って、積極的に対応すべき課題であると考えております。
  主体である病院や設置主体の取り組みに対し、県全体で応援していくための体制が必要であると考えております。
  このため、昨年9月には、滋賀県医師会をはじめ各方面の委員から構成いたします滋賀県地域医療対策協議会を設置し、ご協議いただきますとともに、昨年11月、国に対し医師確保対策の早期の対応の要請を行ったところでございます。
  県といたしましては、医師確保のため可能な施策を、総合的に実施していくことが重要であると考えております。
  このため、本年1月、滋賀県地域医療対策協議会からの「中間まとめ」の報告を踏まえ、即効性のある施策に順次取り組みたいと考えており、次年度予算では、医師確保総合対策事業として、ご質問にもございます5項目にわたって編成を行ったところでございます。
  特に、ご質問にあります産科、小児科等の医師の確保につきましては、この医師確保総合対策事業において確保困難診療科として位置づけ、優先的に対応することとしたところでごさいます。
  その具体的な取り組みといたしましては、医師を県職員として採用し医療機関に派遣することや、地域医療に目を向けた医師を養成するための大学寄付講座の設置、産科・小児科等を目指す専門研修医に対し修学資金を貸与し、研修終了後一定期間指定する医療機関へ勤務する制度の創設などであります。
  また、これに併せまして、医師を発掘するための医師確保支援センターの設置や、女性医師の占める割合の高い産科や小児科において、出産・育児等で一旦職場を離れた医師の臨床復帰のための研修支援や、働きやすい環境づくりのための環境整備などの事業については、産科、小児科の医師確保を優先した事業としての対応を取っていきたいと考えております。
  医師不足は当分厳しい状況が続くものと予想されますことから、今年度中に医師確保のための基金の造成など財源の安定的な確保に努め、状況の変化に応じた的確な確保対策に取り組んで参りたいと考えております。
  次に、3点目の個別病院への支援スキームと支援策についてでございます。
  支援スキームといたしましては、当面は、今回の医師確保総合対策事業の活用により支援を行うこととしており、医師の離職防止や医師の採用のために最も重要であります働きがいのある病院づくりのため、地域や病院の実情に応じて事業を組み合わせて支援して参りたいと考えております。
  今後、地域医療対策協議会のご意見を伺いながら、更なる支援策の検討も進めて参りたいと考えております。
  次に、彦根市と湖西地域の産科医師の課題につきましては、県といたしましても関係大学への派遣要請や周辺医療機関への協力要請を行ってまいりましたが、産科医の確保については大変厳しい状況にございます。
  このようなことから、これらの地域についても、医師確保総合対策事業を積極的に活用し支援いたしますとともに、対応が急がれております未熟児などを出産する可能性のあるハイリスク妊婦の受け入れ体制の強化について、周産期医療ネットワークを通じて関係病院と協議しており、今後各病院の取り組みを支援して参りたいと考えております。
  また、地域における地域医療対策協議会にも、県としても積極的に参画してまいりたいと考えております。
  なお、去る1月31日、彦根市に設置されました湖東地域医療対策協議会に県としても参画し、今後の対応について関係機関とともに協議をしているところでございます。
  県民が安心して暮らしていける医療提供体制を確保するために、医師確保対策は、大変重要で差し迫った課題と認識しており、大学、医師会、医療機関、設置者とも連携を深め、今後とも精一杯、取り組んで参りたいと考えております。

勤労者の均等待遇の推進について

次に、勤労者の均等待遇の推進について商工観光労働部長に質問いたします。
  みんなが幸せになるためには、いわゆる「負け組」の犠牲の上に「勝ち組」がいる、勤労者を犠牲にして企業が成長するというWIN−LOSEの関係から、不安や不幸からの脱出を支えあい、豊かさを分かち合うWIN−WINの関係へと変えていく必要があります。
  「働く」ということは、単なる金儲けの手段ではありません。言い古されてきた事ですが、労働は生身の人間から切り離すことが出来ず、また、人間はお互いの痛みや喜びに共感する社会的存在であります。生き生きと働き、その働きにふさわしい分配を受け、人間らしい生活ができることこそが、幸せの必要条件であります。
  「一生懸命に働いても生活が成り立たない」「働く事に希望とやりがいを持てない」といった状態は、そのどこかに歪みが生じていると言わざるを得ません。それは、本人にとって不幸であるばかりではなく、周りの人も不幸にします。不幸の蔓延する社会、他人の不幸に目もくれない社会に住みたいと思う人はいないでありましょう。
  NHKの番組『ワーキングプア(働く貧困層)』では、生活保護以下で働いている勤労者が増加していることを伝えていました。失業者の数は減少傾向にあるものの、新たに増えた雇用は、賃金をはじめとする労働条件が極めて低く、かつ不安定となっています。
  その結果、年間2千時間以上働いても、100万から200万円台の収入しか得られない層が急増しています。そして、その80%が、いわゆる正社員以外のパートや派遣、契約社員などに集中しているのが実態であります。
  特に、20〜35歳において、非正規社員の割合の増加が著しいことは、この年代層で二極化が進行し、ひいては格差が固定してしまい、結婚を望んでも、あるいは子どもが欲しくてもその希望が叶えられないという状況が容易に予想されます。
  そこで、滋賀県は、製造業を中心に中小企業が多く存在していますが、働き方や雇用形態の違いによる待遇面の格差について、その実態をどのように分析されておられるのかをお伺いいたします。
  ここ10年間のパートなどの非正規社員の増加は、単なる量的拡大にとどまらず、質的にも従来の補助的役割ではなく、正社員と同様の位置づけがなされる傾向が強まっています。それにもかかわらず、非正規社員の賃金をはじめとする処遇や雇用保障が働きに見合ったものになっていない現実があるわけであります。
  「およそ、人はその労働に対して等しく報われなければならないという、均等待遇の理念が存在していると考えられる。それは、いわば、人格の価値を平等とみる市民法の普遍的な原理と考えるべきものである。」と、平成8年、長野地裁上田支部における丸子警報機事件判決のなかで述べられております。
  「働けど、わが暮らし楽にならず」という今日の格差の状況から、「まじめに働けば、必ず報われる」という、ごく普通の勤労観が成り立つ社会にしていかなければなりません。
  こうした事の実現のためには、国レベルでの法整備はもちろんのこと、各企業における先進的な取り組みが大いに求められるところではあります。ただ、県としては、全国に先駆ける意味も込めて、同一価値労働同一賃金を基本とする均等待遇原則を尊重することを理念として定めた基本条例の制定を検討すべきだと考えるものですが、ご見解をお尋ねいたします。

   
  

[商工観光労働部長]
勤労者の均等待遇の推進につきまして2点のご質問にお答えします。
  まず最初に本県の実態についてですが、平成18年11月に実施しました毎月勤労統計調査の結果では、本県におけるパートタイム労働者数は、事業所規模5人以上の事業所では11万8千人で、労働者総数に占める割合は27.4%となっており、3年前の同時期に比べますと3.6ポイント増加をしております。
  同調査における一般労働者とパートタイム労働者の所得については、就労の形態や雇用条件等により給与が異なることから単純には比較できませんが、所定内給与を所定内労働時間で割り戻した時間単価に置き直した推計値では、1時間あたり一般労働者では1,855円、パートタイム労働者は1,012円となっており、差が生じているものと考えております。
  次に、均等待遇に関する基本条例の制定についてですが、現在、国においては、募集・採用に関わる年齢制限の禁止や、雇用管理の改善を図るなどの雇用対策法の一部改正案が、また、パートタイム労働者について、正社員との均衡のとれた待遇の確保や正社員への転換の推進を図るためのパートタイム労働法の一部改正案がそれぞれ今国会に上程をされております。
  このうち、パートタイム労働法の改正案では、正社員と同じ働き方をしているパートタイム労働者については、正社員並の待遇を義務化し、同一労働・同一賃金の確立を図るなど、均衡待遇をめざすことを主な内容としております。
  こうした改正案の内容は、本県においても、少子高齢化の進展等に伴い、パートタイム労働の果たす役割の重要性が増大していることなどから、公正な待遇の実現や労働意欲の向上に寄与するものと考えております。
したがいまして、条例の制定につきましては、県としては、今回の法律改正等がなされた場合、滋賀労働局と連携を図りつつ、まずは法改正の理念・趣旨等も含め積極的に周知・啓発に努める方針であり、その成果も見ながら県として果たすべき役割等について研究をしてまいりたいというふうに考えております。

確かな学力について

次に、確かな学力について教育委員会委員長および教育長に質問いたします。
  先日、旧知の学習塾の先生から、中学3年生の国語の模擬試験の答案をみせてもらいました。試験問題の1つに、「『焼け石に水』という言葉を使って短い文章をつくりなさい」というのがありました。そして、その答えとしてあったのが、「『焼け石に水』をかけたらジュウと音がした」
  「今の中学校では、こんな簡単なことも教えないんですねえ」と、その先生はなかば呆れ顔で語っていました。
  経済協力開発機構(OECD)の学習到達度調査において日本が大きく順位を下げたことを契機として、日本の子どもの学力低下が大きな社会問題にまでなっています。
  文部科学省は、日本の子どもの学力は、判断力や表現力が十分に身についていないこと、勉強が好きだと思う子が少ないこと、学校の授業以外の勉強時間が少ないこと、などの課題があると分析しているようであります。
  滋賀県の子どもの学力は、教育長が本議会で何度も答弁していますが、過去に行ってきた「基礎学力定着リサーチ」の結果等によって、一定水準をキープしているとのことです。
  しかしながら、特に受験を意識しているわけでもないのに、しっかりとした学力は学校では身につかないということで、小学校入学と同時に学習塾に通わせている例が私の周囲には増えてきているのもまた現実であります。
  さて、平成19年度予算案の主な事業概要のなかに、「確かな学力」という言葉が多く見受けられます。昨今、やたらと耳にする言葉となりましたが、ほんの少し前までは「生きる力」という言葉もありました。
  文部科学省の説明によれば、「生きる力」というのは、変化の激しいこれからの社会を生きる子ども達に身につけさせたい「確かな学力」、「豊かな人間性」、「健康と体力」の3つの要素からなる力を言うのだそうです。
  また、「確かな学力」とは、知識や技能はもちろんのこと、これに加えて、学ぶ意欲や自分で課題を見つけ、自ら学び、主体的に判断し、行動し、よりよく問題解決する資質や能力等まで含めたものを言うのだそうです。
  「確かな学力」とは、「生きる力」を構成する1つの要素だとは理解できましたが、その説明は、いわゆる「ゆとり教育」の説明とほぼ同じことのように思えます。だとすれば、「確かな学力」とは「ゆとり教育」の結果、得られる学力のことを言うと理解して良いのでしょうか。
  「確かな学力」についての教育委員会委員長のご見解をお伺いいたします。
  また、「確かな学力」を向上させるための取組みとして、少人数学級編制の拡大、中高一貫教育、小中一貫教育、「滋賀の教師塾」開設事業があがっております。これらの取り組みが、「確かな学力」を子どもたちに身につけさせるために必要だとされる理由について、教育長にお伺いいたします。

   

[教育委員長答弁]
確かな学力についての見解についてお答えいたします。
  「確かな学力」とは、ご指摘のとおり、「豊かな人間性」、「健康と体力」とともに、「生きる力」の重要な構成要素であることを認識しております。
  子どもたちの学びの中には、「知識・技能などを得る習得型の教育」と「自ら学び自ら考える力などを育成する探究型の教育」があり、それらを総合的にバランスよく行うことが大切であります。
  私自身は、確かな学力の「確かな」という言葉の中には、学んだことが自分自身で使いこなせるように、しっかりと「身についていく」という意味が重要であると考えております。
  発達段階に応じて学習してきたことを、自分が社会で生活していく上で必要な、例えば、問題発見力や論理的思考力、行動力などとして生かしていくことができ、将来の職業を選択する力やよりよい人間関係を作っていく力につながるように、じっくり育んでいくことが「確かな学力」の目標であると思います。
  一方では、社会の変化とともに、子どもたちの興味・関心のありようも多様化してきており、能力を発揮する範囲も広がってきていると考えますことから、大人が画一的な評価のみに頼らず、目の前の子どもとしっかり向かい合い、その子の力を引き出していく姿勢が必要であると考えております。
  学校において、しっかりと基礎学力の定着をはかるとともに、子どもたちが学ぶことへの意欲を持ち、夢を実現することの喜びや、そのための克己心を育んでいくためには、家庭の教育や地域の環境も重要でありますので、全体的な教育を推進してまいりたいと考えております。

[教育長答弁]

確かな学力を身につけさせるための取り組みについてのご質問にお答えします。
ご質問の4つの事業につきましては、平成19年度予算案の新規拡大事業の中で、確かな学力の向上に寄与するものとして、掲げさせていただいたものでございます。
  まず、少人数学級編制の小学3年生への拡大につきましては、これまでの小学校1、2年生や中学1年生の35人学級編制、あるいは複数指導によりまして、学習指導と生徒指導などの側面から、よりきめ細かな対応を進め、活力ある学級づくりにより、子どもたちの学習意欲が向上し、学力向上にもつながっているものと受け止めております。
  小学校3年生への拡大が図れることになれば、その点について、さらに充実が期せるものと考えます。
二つ目の、中高一貫教育は、平成15年から3校において、中学、高校の6年間の一貫したカリキュラムによる計画的な指導のもと、子どもたちの個性を伸ばしながら、学力を高めることで、成果をあげております。
  中学、高校を通して、部活動や学園祭での合同活動や交流の中で、人間関係や社会性を育み、行動力や適応力も身に付くということで、それらの成果も見まして、さらに2校の開校にむけ、取り組ませていただきたいという思いでございます。
  三つ目の、小中一貫教育においては、義務教育9年間をまとまりとして捉えたカリキュラムによる授業展開が可能となりますので、小中学校の教師陣が力を合わせて、子どもの学力向上に取り組むことができます。
  さらに、中学校教師が小学校で教えるなど、教科の専門知識や技能を生かし、各教科において、多様で親しみやすい授業づくりにより、学習意欲を高める上での効果も期待しております。
  四つ目の、「滋賀の教師塾」でありますが、確かな学力は、まさに教師の力にかかるものであります。
  そこで、滋賀の教職につきたいという熱い思いをもつ学生を一堂に集め、教師としての使命感を培い、指導力を身につけてもらうため、いわゆる座学だけではなく、学校現場の中に入って、現役教員の実践的な指導法を直に学ぶことにより、いち早く即戦力となれるよう研さんする、その場づくりが教師塾でございます。
  確かな学力を育むためには、これら4つの事業以外にも、さまざまに取り組んでおりますが、子どもたち自らが学力を身につけられたか、また、その身につけた学力を使いこなせているのかどうか、常に問いかけ、検証もしながら進めてまいりたいと存じます。


子育て支援について

最後に、子育て支援について知事に質問いたします。
  民主党滋賀県連と「民主党・県民ネットワーク」の所属議員を中心に、このほど、「びわこマニフェスト2007 『子育て環境日本一宣言』」を策定しました。来るべき戦いには、全員がこのマニフェストを全面に掲げ、県民に信を問う決意を新たにしているところであります。
  私たちは、滋賀県を「子育て環境日本一」にしたいと考えています。「子どもを産み育てるなら、滋賀県が一番」と多くの人に言っていただけるような滋賀県を目指していきたいと決意しています。
  私たちが、「子育て環境日本一」を目指す、その理由は、
  1つは、「子どもを産み育てたい」という願いが叶えられる滋賀県をつくるためです。
「子どもが欲しい」というのは人間らしい自然で素朴な願いです。子どもを産み育てたいと願っているのに、いろいろな理由や障害によって出産を躊躇されている例が多くみられます。
  子どもを産み育てたいと願った人がその望みが叶えられるよう、その障害となるものを一つずつ丁寧に取り除いていくことによって、安心して子どもを産み育てられる地域をつくっていくことが必要です。
  「うちの子」「よその子」と区別するのではなく、「地域の子」として社会全体で子育てを応援することは、失われつつある地域の教育力の回復にもつながります。子どもは地域の宝。子どもたちの笑顔と笑い声があふれた滋賀県をつくっていきます。
  2つめの理由は、誰にもやさしい滋賀県をつくるためです。
「子どもだけではなく、高齢者も大事にしろ」とはよく耳にする声です。しかし、子育てのしやすい環境、子どもにやさしい環境はすなわち、高齢者の方はもちろん、障害を持った方にもやさしい環境であるはずです。
  身長100cmの子どもの目線で建設されたディズニーランドが、子どもからお年寄りまですべての人が楽しめるように、子育てのしやすい環境は、誰にとっても快適で暮らしやすい環境だと思います。子育て環境を整えることを通して、誰にもやさしい滋賀県をつくっていきます。
  3つめの理由は、新しい政治が実践される滋賀県をつくるためです。
  国の社会保障給付費のうち、子育てに向けられた予算は全体で4%にすぎません。滋賀県においても、少子化関連予算は全体の3.5%です。先進国は概ね10%を超えている状況にもかかわらず、です。
  これは、これまでの政治が、道路や橋、ハコモノの建設に力点を置いてきたあかしだと言えます。こういった政治のすべてを否定するわけではありませんが、公的投資の重点をコンクリートからヒトへと転換をはかることが重要です。
  今までの政治が光をあててこなかった分野――その代表が子育て――に、しっかりと光をあてる、新しい政治を実践する滋賀県をつくっていきます。
  こうした基本的な考え方のもと、「TRY10」と題する10項目の事後検証可能な具体的施策を掲げております。
  そこで、私たちのマニフェストの基本的な考え方についてのご所見と知事独自のお考えがあれば合わせてご披露いただきたいと存じます。

   

知事答弁]
最後に、子育て支援についての私自身の考えはどうかとのご質問にお答えさせていただきます。
  「『子育て環境日本一』宣言!!」を合い言葉に、社会資本整備や経済的基盤の充実など幅広い視野に立って子育てを多角的に支援していこうという考え方は、私の提唱する「子育て三方よし」と理念を同じくするものであり、大変心強く感じております。
本県では、すべての子どもが人権を尊重され夢を持って健やかに育ち、子どもを安心して育てることのできる環境づくりをすすめているところであります。
  そのことから、私は、次の時代を担う子どもが、いきいきとした日々を送り、その未来が輝くものとなるよう、滋賀の強みである地域資源を活かしながら、「子によし」「親によし」そして「世間によし」という「子育て三方よし」を推進してまいりたいと思っております。
  「子によし」としては、子どもが自ら育つ力をはぐくみ、幸せになるための施策をすすめ、また、「親によし」としては、子どもを生み、育てる人たちが幸せであり、そして、その人たちを支援するための施策をすすめ、子どもにやさしく、「子どもを生み育てたい」という願いが叶えられる滋賀県をつくってまいりたいと考えております。
  また、社会全体で子どもの育ちや子育てを支援する気運を高めながら、子どもや子育てに、よりしっかり光をあて、子どもたちが健やかに育ち、安心して子どもを生み育てられる社会にしてまいります。
  そのことが、「世間によし」として、結果的に地域、経済などあらゆる面において活力に溢れ、安心で暮らしやすい未来の滋賀へとつながっていくものと考えております。
  このため、子ども・青少年の育成に関する施策を一元的に推進する体制の整備を図るとともに、来年度の重点施策として、この「子育て三方よし」をすすめ、また、新たに「小学校3年生の少人数学級編制の実施」や、乳幼児のいる家庭の子育てを支援する「子育て家庭訪問事業」、また、「仕事と家庭の両立が可能な職場環境整備の推進」などに取り組み、本県の子育て支援をさらに充実させてまいりたいと考えております。



 12月14日(木)一般質問(4日間)の最終日に登壇し今回から導入された一問一答方式で「労働者のゆとりある生活の確保について」知事、総務部長及び教育長に質問をしました。その内容について以下報告します。

[出原いつみの質問]
  労働者のゆとりある生活の実現について一問一答で知事、総務部長及び教育長に質問します。
  わが国は国民の勤勉さ等によって経済大国といわれるまでの地位を築いてきました。しかし、国民がその経済大国にふさわしいゆとりと豊かさを感じているかといえば、そうではなく、労働時間が長く、生活のゆとりが感じられないという課題を常に抱えてきました。
  そのため、労働条件の改善ということで労働基準法も改正が重ねられ、週40時間、年間総実労働時間1,800時間を目標に、労働時間の短縮が促進されてきました。その結果、厚生労働省のデーターによると全国平均では総実労働時間が平成4年1,972時間であったものが、平成17年には1,829時間となり13年間で143時間短縮されました。一方、滋賀県においては平成4年に総実労働時間が1,946時間であったものが、平成17年度では1,853時間になり93時間短縮されてきています。
  しかし、全労働者の平均の労働時間が短縮した原因は主に短時間労働者の割合が増加した結果であり、正社員については労働時間が短縮しておらず、逆に増加していると言われています。ということは、労働時間においても長短二極化が進んでいるといえます。
  このような状況の中、国においては全労働者を平均しての年間総実労働時間1,800時間という目標を用いることは時宜にあわなくなったとの認識のもと、むしろ、経済社会を持続可能なものとしていくためには、家庭生活、自発的な職業能力開発、地域活動等に必要とされる時間と労働時間を柔軟に組み合わせ、心身ともに充実した状態で意欲と能力を十分に発揮できる環境を整備していくことが必要とされています。
  その趣旨を踏まえ、平成4年9月に施行された「労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法」(時短促進法)を改正し、今年4月1日から「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」(労働時間等設定改善法)が施行されているところであります。
  そこで、先ず知事は労働者が今日まで経済、社会活動に果たしてきた役割と功績をどのように評価されているのかお伺いいたします。

   
   [知事答弁]
 労働者の皆さまが今日まで経済、社会活動に果たしてきた役割・功績についてでありますが、我が国が戦後60年あの荒廃した国土から立ち上がり高度経済成長期を経て、経済大国としてこのように発展してきた要因の一つとして、労働者のみなさんの勤勉性、向上心などに支えられてきたたまものであると思っております。
  さらに、労働者の皆さまが地域社会を構成する一員として、家庭や地域社会においてさまざまな活動に携わることにより、今日の我が国社会の基本的な形成に大きな役割を果たしてこられたものと強く認識しております。
   
[出原いつみの質問]
  続いて、知事は今日の労働者を取り巻く環境と課題をどのように認識されているのかお伺いいたします。
   
[知事答弁]
  今日の労働者を取り巻く環境と課題に関する認識についてでございますが、景気が回復傾向にあることなど、提案説明でもさせていただきました戦後最長のいざなぎ景気に匹敵するかといわれるような形で全体的には経済は上向きにあがり、また、雇用・労働情勢は徐々に改善の傾向が見られております。
しかしながら、全体の経済の回復に見合うだけの労働環境あるいは雇用環境は改善されておりません。
  とくに近年、成果主義の広まりや労働力の流動化、就業形態の多様化など、労働者を取り巻く環境は大きく変化してきております。
  とりわけ就業形態の多様化によって、今や非正規雇用労働者が全体の3割を占めるという一方、正規雇用労働者の壮年層を中心として長時間労働者の割合が高まるなど大きな課題があると強く認識しております。
   
[出原いつみの質問]
  同じ認識で安心しました。そこで、「国は『労働時間等の設定の改善に関する特別措置法』を制定し、労働時間等の設定を労働者の健康と生活に配慮するとともに多様な働き方に対応したものにすることとし、その中でも年次有給休暇を取得しやすい環境の整備に努めるように求めていますが、知事は有給休暇の取得についてどのような認識をされているのかお伺いいたします。
   
[知事答弁]
  有給休暇の取得についての認識でございますが、有給休暇は労働者の皆さんの心身の疲労を回復させ、労働力の維持を図るための制度であり、労働基準法で規定されております。
  また、「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」では、企業において有給休暇を取得しやすい環境の整備などがうたわれております。
  なお、有給休暇の取得については、労働者が心身の健康の保持のほか個人の自由時間や家族とふれあう時間、また社会と関わる時間など、仕事と生活のバランスいわゆるワーク・ライフ・バランスを図り、ゆとりと豊かさの中で、生活の満足度や質を高めていけることがたいへん大切ではないかと考えております。
  次世代育成型の県政の中においては、まさに労働をなさる皆さまお一人ずつの生活と仕事がともにうまく遂行され、そして、ワーク・ライフ・バランスを保てるような労働環境の形成が何よりも大切であると考えております。
   
[出原いつみの質問]
  滋賀県は全国に先駆けて平成12年8月に「滋賀ベンチマーク」を導入し、1年間に県内の勤労者が取得する有給休暇の取得率を平成22年度に100%とすることを目標に定めていますが平成17年度においては全国平均46.6%に比較し高いというものの53.8%であります。まして平成12年に60.1%であったことからすると後退しています。そこで知事は、今日までの取得率の推移をどのように見ているのかお伺いいたします。
   
[知事答弁]
  有給休暇の取得率の推移をどのように見ているかのご質問でございますが、本県では平成12年度以降徐々に低下し、50%台前半で推移していると理解しております。
  こうした背景には、企業の合理化による正規社員の減少や、最近の景気回復状況における企業活動の活発化による業務量の増加などにより、労働者が有給休暇を取りにくい状況が続いているものと推測しております。
また、民間研究所における調査では、労働者の約7割が有給休暇の取得にためらいを感じており、その主な理由としては、「みんなに迷惑がかかる」「職場の雰囲気が取りにくい」などとなっていると理解をしております。
   
[出原いつみの質問
  国は、年次有給休暇を取得しやすい環境の整備や所定外労働の削減に取り組むとなれば援助をする制度、具体的には労働時間等設定改善推進助成金制度ならびに労働時間等設定改善援助事業を発足しましたが、県として目標としている100%取得を目指し、特に中小企業に対する独自の支援策は考えられないのか、知事にお伺いいたします。
   
[知事答弁]
  ベンチマークでの目標達成のための方策でございますが、この有給休暇取得率の向上に向けて具体的に県としての支援策として考えておりますことは、県では次世代育成支援を進めるため、企業において、育児休業制度の普及や有給休暇の取得促進、労働時間の短縮などを盛り込んだ一般事業主行動計画の策定が促進されるよう、セミナーの開催あるいはパンフレットの発行などにより、積極的に啓発させていただいております。
  また、行動計画を策定し、仕事と家庭生活などの両立支援に積極的に取り組んでいる企業を認証させていただき、その先進的な取り組み事例を紹介するなど、企業の意欲を喚起させていただく方策についても、今後検討してまいりたいと考えております。
  こうした取り組みを通じまして、企業において有給休暇の取得などがより一層進み、労働者のワーク・ライフ・バランス、仕事と暮らしの程良い釣り合いが図られ、ゆとりある生活が実現していけるよう、滋賀労働局や経済団体などと連携を図りながらしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
   
[出原いつみの質問]
  ただいま知事のほうから、啓発だけでなく、次世代育成の支援計画というそういったものを含めながら、優秀な企業があればそういったものも公表、いわゆる認証制度なんだろうと思うんですが、そういったことについて私は是非とも実施していただきたい、このことを申し上げておきたい。
  さらに、そういったものだけでなくて財政的な支援をできないものか、このようなことを思っているわけでありまして、そのことを提案させていただきたいと思っておりますが、例えば、有給休暇を取得するにあたって、特に中小企業は一杯一杯で先程言われたように仕事をしている現状だろうと思います。人が抜けると仕事が進まないといった時に予備要員、補充要員を当て込んで、そしてそういったものに対しては、いくらか援助をしていくという財政的な支援ができないものか再度知事にお伺いしたいと思います。
   
[知事答弁]
  有給休暇取得向上のための財政的支援ということでございますご提案をいただきましたが、今後、研究させていただきたいと思います。
   
[出原いつみの質問]
  検討していただくということなんですが、私が提案した背景にはこういったこともあるということを、今後、検討される段階で、思い起こして欲しいと思いますが、例えば、滋賀県は知事もよく言われているように豊かな自然、素晴らしい自然があって、さらに歴史・文化的な財産というのを多く抱えているわけであります。
  そういったことからしますと「ふるさと再発見の旅」というかこんなキャンペーンでもはって、そして長期有給休暇を働く仲間が取って、ふるさとを見直していくということをしていく、有給休暇は働く者の健康というんですか、病気だったからちょっと休んでこうしようというものでなくて、もっと前向きな使い方ということを考えたときに、私は有給休暇の取得というのは、これは消費拡大につながるものだということを思うわけであります。
  先程のような、例えば、使い方をしていくと消費ということで、また、県の方に返ってくるわけですから中小企業に通して、ものがまわりまわってまた県に返ってくるこういったことも考えられると思いますのでそういったことを含めて、どうであるのか今一度ご答弁をいただけたらと思います。
   
[知事答弁]
  議員にご指摘いただきました「ふるさと再発見の旅」あるいは「地域を発見する旅」、それが観光を促し、また、経済のいわば振興につながっていく、地域の元気な振興につながっていくというご提案でございます。そのようなご提案も含めて前向きに研究させていただきたいと思います。
   
[出原いつみの質問]
  次に、総務部長にお伺いいたします。労働者の総実労働時間の削減に取り組むとしたときは時間外勤務時間の削減と有給休暇の取得を推進することが必要であります。
  そこで、まず、知事部局の時間外勤務時間数は平成14年度以降、毎年1ヶ月平均17時間程度で横ばいとなっていますが、総務部長はここ数年間の時間外勤務の実態をどのように受け止めておられるのか、また、時間外勤務の管理をどのようにされてきたのかお伺いいたします。
   
[総務部長答弁]
  お答えいたします。
  知事部局の時間外勤務の状況は、平成14年度から平成17年度までを見てみますと、1人当たりの月平均時間数では、16、7時間でだいたい推移しております。
総時間数では、平成15年度以降は、平成14年度の64万3千時間を下回ってきておりますものの、この間の対象職員数の変動もございまして、一人当たりの時間数では、ほぼ同水準ということになっております。
  これまで「時間外勤務等の縮減に関する指針」を平成11年度に作成し、各部で時間外勤務の縮減に取り組んできておりますが、一方で、台風とか大雪などの警報発令、あるいは感染症、食中毒といった突発的な事象への対応、また、国での各種の制度改正への一時的な対応など、ある意味では避けられない時間外勤務も生じているところでございます。
  私といたしましても、時間外勤務のさらなる縮減が必要と考えているところでございまして、特に長時間の時間外勤務が続く職員もございます。こういう職員の時間外勤務の縮減や、健康上の対応が課題であると思っております。
  次に、時間外勤務の管理についてでございますが、これまでの時間外勤務の管理につきましては、まず年度当初には各部局ごとに時間数の目標数値を定め、これを実行できるよう各所属単位で時間外勤務の計画を作成し、進行管理を行っております。
  また、年度の途中にも、その時点での時間外勤務の状況に応じて、必要な指導、助言を行っているところでございます。
  個々の職員が時間外勤務を行う場合につきましても、事前に所属長やグループリーダーなどの監督者が業務内容と終了時間を承認し、翌日にはその時間外勤務の内容と実績時間を確認することを徹底するよう指導いたしているところでございます。
  しかしながら、事後の確認が形式的であったり、時間外勤務中の業務管理が不十分といった面も見られますので、メリハリのある、また、適切な管理のもとでの時間外勤務が行われるよう、毎月の個別の実績を把握する中で必要な指導、助言を行いますとともに、時間外勤務が連続して行われる実態がある場合には、各所属長に対し、その原因の分析と、その解消のための対応を求めているところでございます。
   
[出原いつみの質問]
  知事部局職員の平成14年度から平成17年度までの月平均の時間外勤務時間数は個人によっては差があったと思っていますが、それぞれ最も多く時間外勤務をした職員の時間数はどのくらいであったのかお伺いいたします。
   
[総務部長]
  お答えいたします。
  最も多くの時間外をした職員の時間数でございますが、平成14年度は年間で1,230時間で月平均では103時間、平成15年度は年間1,059時間で月平均88時間、平成16年度は年間1,235時間で月平均103時間、平成17年度は年間1,319時間で月平均110時間となっております。
これらにつきましては、県の重要課題への取り組みとか、困難な大規模事業に従事した職員で、なかなか他の職員が代わることができないとか、応援をするといった対応が困難な業務に従事した職員であります。いずれも、個別にはピークを過ぎた時点では、時間外勤務が大幅に減少していることを確認いたしております。
   
[出原いつみの質問]
  異常な時間ではないですか。なぜ、そのような時間外勤務になったのか、時間外勤務は個人の判断でできるものですか?総務部長にお伺いいたします。
   
〔総務部長答弁〕
  お答えいたします。
  時間外勤務ができるということは、まず所属長の管理のもとで承認を得て行うということが原則になります。そういった中で管理職は、時間外勤務を行わせるべきか行わせるべきでないかといったことを判断をまずしていただくことが大事だと思ってます。
  また、公務という職場でございますので緊急のあるいは非常事態のときとか、また急な災害対策用務とかたくさんございますので、そういった時はやはり時間外勤務によることとなりますが、きちんとそこのところは所属長が押さえていくことが大切であると思っております。
   
[出原いつみの質問]
  滋賀県職員の勤務時間、休日及び休暇に関する条例第8条によると任命権者が命ずるとなっており、また規則によると部下の健康管理もしなければならないことになっているが、その管理はどうなっているか、総務部長にお伺いいたします。
   
[総務部長答弁]
  先ほどもお答えいたしましたように事前に所属長、グループリーダーの管理のもとでやるということが原則でございます。先ほどもお答えしましたが、そういった中でやっぱり事後の確認が形式的であったということ、あるいは日々の勤務時間中の業務管理が不十分でないかといった疑問点、そういった部分のご指摘も否めないところというふうに思っております。そういったところでよりメリハリのある適切な管理を行っていきたいと思っております。
  また、当然、健康管理についてのご質問もあったわけでございますが、健康管理につきましてもやはりこれは重要な問題でございます。現在のところは月80時間を超えた場合は産業医が呼び出して、そして、健康指導をすると、こういうシステムにさせていただいているところでございます。
   
[出原いつみの質問]
  管理職には、部下の仕事の進捗管理はもちろんのこと、時間外勤務管理、健康管理を含めたマネジメントをしっかりやっていただきたい。次に、有給休暇取得に関して知事部局は平成14年度からの4年間を見ると、50%台で推移していますが、総務部長はこの取得率50%台をどのように受け止めておられるのかお伺いいたします。
   
[総務部長答弁]
  お答えいたします。
  年次有給休暇につきましては、やはり働く者が、ゆとりある豊かな生活を送る上で、欠くことのできない制度というふうに認識を持っております。
  そこで、ご質問の知事部局における年次有給休暇の取得率でございますけれども、14年度は58.4%、15年度は55.6%、16年度は53.5%、17年度は53.9%と、ここ数年、50%台の中盤から後半で推移しておりまして、先ほどご質問でありました本県の民間の企業と同水準と思っております。しかしながら、これでは十分ではないと思っておりまして、さらに年次有給休暇の取得を促進していかなければならないものと思っております。
す。
   
[出原いつみの質問]
  残念なことに先ほど知事も言われましたが、まだ有給休暇は気軽に取れないとの声も聞きます。ということはもっと取得したいと思っていても、これ以上取得すると周囲から色眼鏡で見られるとか、評価が落ちるとかの思いが働いているのではと思います。
  そこで、庁内の管理職の有給休暇の取得についての認識はどうか、偏見はないのか?総務部長にお伺いいたします。
   
[総務部長答弁]
  お答えいたします。
  管理職の有給休暇取得についての認識ということでございますが、毎年、年度当初に「年次有給休暇の計画的な取得の促進」についての要領を定めて、各所属長に対しまして、仕事のスケジュールを常に把握して、繁閑調整を行うとか、まとめ取りや、また上司や同僚に気兼ねなく有給休暇が取得できる雰囲気づくりをしていただきたい、ということでお願いをしているところであります。
  緊急とか、突発事態が起こった場合、また公務上どうしても必要な場合は別といたしまして、その理由の如何を問わず年次有給休暇を取得できるということでございますので、管理職の意識も労務管理の一つとして、また、労働者の権利として十分理解しているものと思っておりますけれども、より一層取得しやすい職場環境づくりとなるように、毎年指導していきたい思っております。
   
[出原いつみの質問]
  有給休暇の取得問題は職場のマネジメントの問題だと思っています。
  そこで、先ほど言いましたように滋賀ベンチマークでは平成22年度には100%取得と目標を掲げていますが、その目標達成に向けて知事部局としてはどのような具体策を持っておられるのか、総務部長にお伺いいたします。
   
[総務部長答弁]
お答えいたします。
  10日といいますとそこが歯止めになるような感覚もありますが、「最低10日」ということで、やはり今、平均10日前後ですので、その平均を下げている層に特に取っていただきたいという思いもございます。
  そういった中で、今後の取得策という部分でございますが、現在、お盆の集中休暇といったこともやっているわけでございますけれども、ベンチマークとの関係では、100%の取得はなかなか難しいわけでございます。現実の問題として、職員一人ひとりにとりましては、やはり何かあった時に、一つのセーフティーネットとして休暇を残しておきたいという意識が非常に強くある、これは組合交渉等を通じて感じているところであります。そういったことを考えれば、なかなか100%という部分については、非常に高い目標かなとも思っておりますけれども、やはりあらためて、年間の最低取得日数を示しながら、例えば個人の記念日となるメモリアルな時に連続休暇を取っていただくなど、いろいろ工夫しながら、年次有給休暇の促進に努めていくということでやって参りたいと思います。
   
[出原いつみの質問]
  有給休暇を計画的に取得することによって、・精神的、身体的健康の回復・増進を図ることができる。・仕事の創造性、生産性、計画性が高まる。・職場の連帯感、協調性が高まる。・情報の共有化がはかれる。・経済の活性化が図れる。家庭崩壊や地域力を高めることができる。そして、先ほど知事も言われたように新しいワークスタイル、ライフスタイルへ転換できるので長期有給休暇取得運動を展開していただきたい。また労使による取得状況のチェックとフォローを行うことにより、有給休暇取得運動を徹底する。例えば年度途中ならびに年度末に評価する仕組みをつくっていただきたい。
   
[出原いつみの質問]
  次に、教育長にお伺いいたします。
  文部科学省の教員勤務実態調査(11月24日発表)によると、7月の時間外勤務は小学校の場合週9時間、中学校の場合週12時間5分という結果で、過去からすると増加傾向にあります。また先日、同僚西川議員が取り上げました(財)労働科学研究所の「教職員の健康調査結果」によると時間外勤務(超過勤務時間+持ち帰り仕事時間)について小学校では19.7%、中学校では22.5%が過労死基準の月80時間を超えていると報告されています。そのことから、強い抑うつ感は男性教職員で、11.5%と一般労働者の1.8倍になっているとも報告されています。また、滋賀県が行った本年度の県立学校の全教職員を対象にしたストレス調査でも、78%の教職員がストレスが「非常に気になる」又は「気になる」と答えておられます。
  そこで平成18年12月1日現在の県職員のうち休職者と特別休暇者を合わせた人数138人のうち、教職員が110人で80%を占めています。その110人のうち60%の65人の方がメンタルヘルス疾患で休んでいます。このことは看過できないものだと思っていますが、教育長はこの実態をどのように受け止めておられるのかお伺いいたします。ます。
   
[教育長答弁]
  ただ今、出原議員からご指摘ございましたとおり、本年12月現在、知事部局等を含む県全体の病気休暇者138人のうち、教職員が80%近くを占めているということで、そのうち、精神疾患が59%を占めているということでございます。
  一方、文部科学省の調査では、平成16年度の数値になりますが、教職員の中で精神疾患による休職者の割合が、全国平均が0.39%、本県は0.4%とほぼ同様でございます。全国も同じような傾向ではないかと受け止めております。
  近年、教職員の職務が、子どもたちの指導や保護者の方々との対応をはじめ、質・量ともに、負担がかかっている中で、ストレスが重なって、メンタル面でのバランスを崩すことにつながっているように考えております。
  学校は活力がないといけませんし、それを支える教職員は心身ともに元気でなくてはなりません。
かねてから、メンタルヘルス対策には力を入れておりますけれども、さらに、本年度からは「滋賀県教育委員会職員メンタルヘルス対策指針」を策定し、一次予防として啓発・教育を、二次予防として早期発見・早期対応、三次予防として円滑な職場復帰と再発予防というように各段階に応じたケアの体制のもとで、個々の教員に対応してまいっております。
  本年4月の改正労働安全衛生法の施行を受け、長時間労働対策として、平成19年度からは、月80時間を超える時間外労働に携わった教職員については、健康管理医が面接して健康指導を受けられるよう、現在、準備を進めているところでもございます。
   
[出原いつみの質問
  メンタルヘルス対策については過日の西川議員への答弁で「学校運営の責任者である校長や教頭に対しまして勤務時間に対する意識改革や会議運営の効率化、部活指導の点検、長期休業期間の活用など超過勤務の縮減などについて指導しております。」とのことでしたが、それを受けて学校現場では具体的にどのような展開がされ、変化しているのか教育長にお伺いいたします。
   
[教育長答弁]
  メンタルヘルスということにつきましては、大変重要なことでございますし、学校の教職員一人ひとりが、自らの問題として、それを捉えてやっていくということが大事だと思っております。特に、管理職であります校長や教頭が、リーダーシップをもって実効性のある取り組みを進めるよう指導してきているところでございます。
  具体的には、県教育委員会の人事主事が、学校を訪問した際に、その学校の状況、勤務時間の状況とか、超過勤務についてどのような対策をとっているかとか、そういったものをヒアリングをさせていただきながら、さらに、様々なかたちでの創意工夫をこらしながら、現場での超過勤務縮減に向けての取組みを進めていってもらえるように、指導しているところです。
  とはいえ、なかなか、先生方の仕事というのは、ここからここまでがどうというような線を引きにくい職場でもございますし、勤務の特殊性ということから、なかなか難しい訳でございますけれども、先ほど、文部科学省による教員の勤務実態の調査のお話もございました。こうした全国的な状況というものを分析されて、国の方としても、これからどういうふうにやっていくかという方向性が出てくると思います。
  そういったことももちろんありますけれども、まずは、職場、学校現場で、先生方一人ひとりが自らの問題として、また、校長が一人ひとりの先生方の健康状況というものにしっかりと目を届かせて、管理といいますか、職場づくり、風土づくりということをしっかりやっていくことが大切ではないかと思っております。
   
[出原いつみの質問]
  学校現場では今日まで、教師は特殊性があるために、教職員調整額4%の手当てが出されているということから、時間外勤務の時間管理はしなくても責任を問われることはない。との感覚もあったのではないか。そこで、今後は学校教育の担い手である教職員の健康の保持増進という観点から各学校現場で教職員がいつ出勤し、いつ退勤したかという時間管理を徹底して欲しい。日々の時間管理(時間外勤務時間及び持ち帰りの仕事時間)をもとに、管理職と一般教師のコミュニケーションを充実させることにより教師のストレス解消につながっているとの声を聞く。また、学校現場はややもすると個人プレーに陥りやすいだけに、チームプレーで学校運営がされるよう改善するようにしていただきたい。そして
現在100人以上の学校では教頭を複数制にしているが、50人以上の学校では複数制にできないものか、教育長にお伺いいたします。
   
[教育長答弁]
  ただ今、学校の現場でこういう取り組みをしているところもあるということでお話がありました。それを全県的に広げたらどうかということでございます。
  さきほど私がコメントさせていただきましたように、どこからどこまでというような線引きですね、それから、仕事の持ち帰りというのも現実にございます。先生方は、やはり生徒に向き合っている訳でございますので、その対応というのは、突発的なことが起こりえますし、なかなか計画的にというのは難しうございます。そういった意味から、先ほど言われましたように4パーセントといった給与面での対応ということがあるわけでございます。
  一方、先ほど議員がお話しされました文部科学省が、今、全国的に教職員の勤務状態を仕事の持ち帰りなども含めて詳しく、どのような勤務状況であるかということを全国的に調査をしているところでございます。中間報告として先ほど7月のところが発表されたわけでございますけれども、それが一定まとめが出まして、それが出た段階で、さらに文科省としては、それを踏まえて、どういうふうに先生方の勤務時間を把握するかとか、管理をどうするか、給与面でどうしていくかといった議論が進んでまいると思います。我々としては、そういった動向というものを見ながら、今後の時間の管理の仕方ということについても研究して参りたいというふうに思っております。
  また、先ほど言われました教頭先生が、100人以上ではなく50人以上のところでも置けないのか、そういった面は、非常にもちろん要望もございますけれども、定数という問題、費用という面、様々なことがございますし、学校の実状というものもございます。そういった意味では、状況をしっかり把握して適切な手を打って参りたいと考えております。
   
[出原いつみの質問]
  次に、教職員の健康管理ということからすると、安全衛生委員会活動の充実が求められますが、県内の各学校における安全衛生委員会の設置状況とその活動状況はどのようになっているのか教育長にお伺いいたします。
   
[教育長答弁]
  教職員の健康管理を図るためには、安全衛生委員会の役割が、非常に重要でございます。
  労働安全衛生法では、常時50人以上の労働者を使用する事業場は、安全衛生委員会を設置しなければならないという定めがございます。県立学校では、教職員50人未満の学校も含めまして62校全ての学校ごとに設置され、学校長や教職員、健康管理医など9名の委員により構成されております。
  その活動状況でございますが、平成17年度の実績では、年間で4〜5回、委員会が開催され、教職員の定期健康診断の結果を受けての対応とか、職場環境の改善、また、安全点検結果の状況、さらには、教職員研修の企画など、職場の安全への課題や、健康管理全般に関する検討を行い、安全で健康な職場づくりに努めております。
一方、市、町立の学校や園の状況でございますが、法に基づいて安全衛生委員会の設置が求められる教職員数50人以上の学校が11校あります。その内、委員会を設置済の学校は7校ということで、あと4校は未設置でございます。
  設置をしております7校では、年1回程度、委員会を開いており、活発な活動状況にはまだございません。
  市町立の学校につきましては、県教育委員会からの指導権限はございませんけれども、法に基づいた対応をとっていただくよう促してまいりたいと存じます。
   
[出原いつみの質問]
  労働安全衛生委員会は、50人以上は設置しなければならないこと。また、開催 回数が、県立で年4〜5回、市・町立について1回程度ということでしたが、法的に許されるのか、教育長にお伺いいたします。
   
[教育長答弁]
  許されるがどうかということとは別に、これは、罰金とか罰ということはないという規定でございます。ただ、そういうことをする定めとしてありますので、決して好ましい状況ではないと思います。
   

[出原いつみの質問]
  法的には月1回ということになっているのではないか、教育長にお伺いいたします。

   
[教育長答弁]
  法的には月1回ということになっています。また、制度としてはそういうふうに書いています。
   
[出原いつみの質問]
  次に、教職員が生き生きと働き続けられる環境づくりの一つの方策として有給休暇取得があります。しかし、教職員の場合、子どもとの関係もあり授業があるときは病気になったときぐらいしか取得できず、ほとんどが夏休みとか冬休みに長期的に取得されていると思います。
  しかし、教職員であっても計画的にまたタイムリーに有給休暇が取得できるようにしていかなければならないと思っています。タイムリーに有給休暇を取得することによって教職員が心身ともに生き生きとした中で子どもの教育に携わることができます。そのことからすると有給休暇取得について学校運営のなかにしっかりと位置づけて取り組むことが必要だと考えますが、教育長は有給休暇取得問題についてどのような考えを持っておられるのかお伺いいたします。
   
[教育長答弁]
  有給休暇を取るということは、心身をリフレッシュさせ、生活にも張りがでて、明日の元気にもつながります。また、議員も指摘されましたように、先生方が活き活きと教壇に立てるということにもつながるものと思っております。
  また、一方、先生方の家庭の生活という面におきましても充実させ、地域との関わりの活動にも使っていただいたり、また、自己啓発といったものにも使われたり、様々な面で、非常に大切なものであると認識しております。
   
[出原いつみの質問]
  教職員の有給休暇の100%取得の目標に向けてどのような具体策を持っておられるのか、教育長にお伺いいたします。
   
[教育長答弁]
  「平成22年度、有給休暇の100パーセント取得を目指している」ということにつきましては、教職員も同じように掲げられております。ただ、確かに、現代は、有給休暇の約6割を取っているというのが現状でございます。
  先生という仕事柄、課業期間中、子どもたちを目の前にしておりますので、なかなか取りにくいという状況がございまして、私もそう思っております。
  しかしながら、やはり健康面とか家庭とのバランスといったものを考えますと、非常に大事なものでありますので、例えば、夏・冬の休業期間中にまとめて取るとか、あるいは計画的にお互いに学校の中で先生方が相談しながら協力し合いながら取るというかたちで進めていっていただければというふうに、呼び掛けているところでございます。
   
[出原いつみの質問]
  100%取得に向けては、有給休暇の取得期間の見直しをしたらどうか。例えば比較的有給休暇がとりやすい時期が有給取得期間の終了近くにあれば、病気等に備えて残しておいた有給休暇を集中的に取得することができます。そのことからすると教職員の有給休暇の取得期間の開始を9月とか10月にすることもひとつの案と考えられますが、教育長のご見解をお伺いいたします。
   
[教育長答弁]
  そういった考えのもとで検討するということでありますけれども、外の全国的な状況を見てみますと、ほとんどが、滋賀県がとっているように暦年で1月から12月の間で年間の有給休暇取得というかたちで設定をされているところがほとんどでございます。
  9月または10月からスタートということでございますけれども、今のところでは、非常に困難かなと…、ただ、先ほど申し上げましたように、そこで開始したとすると、どういうメリットがあり、どういうデメリットがあるかということを、さらに研究して参りたいというふうに思っております。
   
[出原いつみの最後の言葉]
  最後に、今回は労働者のゆとりある生活の実現ということで総労働時間の削減ならびに有給休暇の取得について知事部局ならびに教育委員会に向かって展開しました。その他の部門については今日、論議しましたことを汲み取っていただき、それぞれの職場で職員が気持ちよく働き、生活できるように取り組んでいただきたいと思います。とくに、警察本部については他の部署より時間外勤務数は多く、逆に有給休暇の取得率は低い状況だけによろしくお願いいたしまして、私の質問を終わります。



  12月1日(金)から県議会12月定例会が始まり、6日(水)会派代表質問が行われました。民主党・県民ネットワークを代表して朝倉克己議員(彦根市選挙区)が質問を行ないました。その内容を以下報告します。

   嘉田知事の登場は、まさに、中国の唐時代の初頭の皇帝「太宗」に終生仕えた名将にして文人であった「魏(ぎ)徴(ちょう)」が残した‘述懐(じゅっかい)‘と題する漢詩の一節

  「中原(ちゅうげん)に還(ま)た鹿を追い・・・筆を投じて戎(じゅう)軒(けん)を事とす・・・」・・・「人生意気に感ず・・・」「功名、誰か復(ま)た論ぜん」

の名句の世界を想起させられるものであります。
  群雄割拠、組織戦線のなか、知事は、単騎でもって現職に闘いを挑み、見事「鹿」を仕留められ、県政の旧弊を打破すべく、歴史的転換の入り口に立たれたのであります。そこに多くの県民は新しい県政の門出を祝し、転換への大いなる期待を寄せているものと受け止めているところであります。
  今、知事に求められていることは、新幹線新駅の建設は断固として「凍結」を貫き、ずるずると解決に向けての日程を先延ばしするのではなく、早期決着を目指して取り組まれること、人間尊重と環境重視を基点とする新年度の事業計画を推進する予算編成に着手されることであります。
  これからの街づくり、地域づくりは、従来の箱物を中心とする政策展開や補助金のばらまき、それに頼る行政手法、新幹線新駅建設等、環境破壊を伴う大型プロジェクト中心の政策展開はすでに過去の政治手法であって、新しい政治展開は住民の叡智を結集して創造性に富む取り組みが求められます。
  地方、地域を大切にし、社会的弱者をつくらない公正にして公平な社会づくりをめざすべきであると考えます。知事は「人生意気に感じ」て、研究者、学究者という「筆を投じ」、「戎(じゅう)軒(けん)」ならぬ街宣車に乗って「選挙」の手法をもって「中原(ちゅうげん)に鹿を逐った」その志を今こそ生かされることを強くのぞむものであります。

 以上、中国の唐代の名将と謳われた「魏(ぎ)徴(ちょう)」の漢詩の一節を引用して、その思いと期待を寄せて、以下の各項目について、民主党・県民ネットワーク会派を代表して知事ならびに関係部長に質問いたします。

平成19年度予算編成について

まず始めに、平成19年度予算編成について、知事にお伺いします。
 我が国の景気拡大は11月時点で4年10ヶ月と、景気拡大期間でみると、戦後最長の「いざなぎ景気」を超えたと言われています。今後についても、先頃OECDから、前提条件があるものの「日本経済は2007年2008年と2%の実質成長率を保ち、息の長い成長を持続する」との発表がありました。
 しかし、今回の景気の特徴には、多くの人々に多くの地域でその好況感がほとんど感じられていない状況があるようです。先日のある新聞で「景気回復を実感していますか」とのアンケートの問いに「いいえ」と答えた人が74%を占めました。その第一の理由は「いざなぎ景気超え」について「給料は増えず、実感なし」でした。
 そこには、グローバル競争の対応で賃金を抑えているためか、「伸びる企業利益」と「伸びない賃金」という構図や若者、特に派遣等の不安定な立場のまま出産や子育て期を迎える就職氷河期世代の経済的に苦しい実態があります。
 アンケートでは、企業の採用が増えたとはいえ、新卒でちゃんと就職できなかった世代の雇用は依然厳しい状況です。これで「働く気がない」「子どもを産みたがらない」と言われてはたまらない等の言葉もあります。
  所得だけでなく、地域間の格差の拡大も深刻な状況にあります。特に国による地方交付税の削減は自治体間に貧富の差の更なる拡大を生み、当然の事ながら住民サービスにも大きな差が生じてきているとの新聞報道があります。
 例えば、法人二税の住民1人あたりの税収は、東京都は青森県の7倍、地方分権が進展すれば更にその格差は広がる可能性があるとの事です。近い将来、故郷を離れる県民の姿が容易に想像できます。何処よりも誰よりも、とまでは言えなくても知事には県民の豊かな生活を守る義務があり、県民に求めることが可能な我慢には限りがあります。いつまでも住み続けたい滋賀県であって欲しいものです。
 以上のような社会情勢を背景に、知事として初の予算編成に取り組まれるところです。「もったいない」を掲げ、多くの支持を集め、知事の座につかれた嘉田知事には、当然、嘉田色を出した予算編成に大きな期待が寄せられている筈です。
  知事は、先の提案説明の中で「来年度の予算編成に当たり『もったいない』を生かす滋賀県政を基本方針に据え、魅力ある地域づくりに取り組んでまいりたい」と述べられました。
  知事が県民に約束されたマニフェストの中で実現を図る事は当然であります。マニフェストについては、緊急提言や中・長期的な内容のもの等また中期計画との整合性が課題のもの等、多様な内容が見られます。
 そこで、「もったいない」を生かした滋賀県政を基本方針とするならば、実質、嘉田県政のスタート台とも言えるこの予算編成を通じ、どのようなメッセージを県民へ出そうとされるのか、お伺いします。
 また、嘉田マニフェストをどの程度予算に盛り込まれようとされるのか伺います。
 格差社会の進行や雇用形態等と問題点も数多く見られるものの、今日の景気の回復は平成17年度一般会計決算においては、対前年度比、県税全体で5.6%増(76億4866万円増)ながら、地方交付税や国庫支出金等の合計対前年度比6.1%減(132億682万円減)を補うものとはならず、国の歳出抑制策と相まって、今後、更に、厳しい財源不足が予想され、19年度は560億円の財源不足を見込まれる、とのことであります。その状況と財源不足対策についてお伺いします。
 今、第二、第三の夕張市の出現が懸念されています。子や孫につけを残さない、子や孫が生きる時代にも、豊かさと幸せを実感できる「次世代育成型」の社会を目指す事が、今を生きる我々の責務との事ですが、約9000億の県債残高とそれに伴う19.8%の公債費負担比率、ゼロに限りなく近づいた基金等の状況が心配されます。
 マニフェストに掲げられた「借金を増やさない。貯金を取り崩さない」ことへの見通しと現況を踏まえ、起債、基金に対する知事の考えをお伺いします。

   
   [知事答弁]
朝倉議員の民主党・県民ネットワークの代表質問にお答えさせていただきます。
  まず、平成19年度予算編成についての4点の質問にお答えいたします。
  来年度当初予算は、私が知事に就任させていただいて初めての当初予算であり、滋賀が持つ魅力と資源を最大限活用しながら、本県の未来につながるよう、しっかりとした布石を打てるものにしてまいりたいと考えております。
  そこで、まず、1点目の、「もったいない」を活かした滋賀県政を基本方針とするならば、実質、嘉田県政のスタート台とも言えるこの予算編成を通じ、どのようなメッセージを県民に出そうとするのか、とのお尋ねでございます。
  来年度予算を編成するに当たり、既に申し上げましたけれども、「もったいない」を活かす滋賀県政、をその基本方針に据えました。「もったいない」は滋賀県に根付く素晴らしい生活哲学であります。ものや人の本来の価値を損なうことが「もったいない」ことであり、事物の本来の力を引き出していくこと、そして、それが未来の世代に配慮した政策、施策であることが重要であると考えております。
  滋賀県には、琵琶湖を始めとする豊かな自然や、人々の暮らしの中で積み上げられてきた知恵や歴史など、魅力ある素材がたくさんございます。これらの貴重な素材を最大限に生かせる方策に知恵を絞っていきたいと考えております。
  また、「もったいない」に通じることですが、施策構築に当たっては、次の世代を意識し、滋賀の未来を可能にするということ、すなわち「次世代育成型」の予算としていきたいと考えています。これは、何も子どもや若者を対象とした施策に限られるわけではありません。優先順位を見極めつつ、教育や福祉といった、将来の人づくりという観点はもとより、環境や文化、産業、県土づくりなど、行政のあらゆる分野で、次の世代のために今何が求められ、どのような準備が必要か、そして何をすべきか、あるいは、逆に次の世代のために何をしてはいけないのか、を見定めることが重要だと考えています。
  さらに、こうした考え方を活かしていく基本的な姿勢として、「県民本位」ということを掲げていきたいと思っています。県の様々な施策が、時間の経過とともに、県民の皆さんの暮らしの場や暮らしの意識から乖離していないかどうかについて、職員一人ひとりから各部局のレベルに至るまで、予算編成過程を通してしっかりと振り返り、点検しながら、生活者の視点、生活現場の実践的発想に基づく施策構築に当たってまいりたいと考えております。
  まとめますと、このように、私の初めての当初予算は、「もったいない」を活かす滋賀県政を基本方針とし、基本政策は、滋賀の未来を可能にする「次世代育成型」である、というメッセージを県民の皆さんにお届けしたいと思っております。そして、その際の基本姿勢を「県民本位」と位置づけ、これらを縦糸、横糸として織り込みながら、県民の幸せづくりにつながる予算としてまいりたいと考えております。
  2点目は、嘉田マニフェストをどの程度予算に盛り込もうとするのか、とのお尋ねですが、私が提示しましたマニフェストを、財政状況を踏まえつつ、今後4年間で実現していくための方策等について、8月から庁内の各部局と協議を重ねてまいったところでございます。
  こうした協議を踏まえ、9月には「平成19年度県政運営の基本的考え方について」を定め、これに基づき、平成19年度の施策構築については、私が提示したマニフェストの緊急提言や政策提案の目標を実現するための施策化を優先課題とし、全庁を挙げて重点的に推進することといたしました。
  さらに、災害対応など他の重点課題への対応とあわせて、一般財源ベースで概ね10億円の予算特別枠を設けることにより、マニフェストを出来る限り、県の施策として具体化することとしましたほか、各部局の既存の予算枠の中でも、その実現に向けて工夫してまいりたいと存じます。
  予算編成作業は、まだ緒についたばかりでありますが、私として、精一杯の努力をしてまいる所存でございます。
  3点目は、平成19年度の財源不足の状況と財源不足対策についてのお尋ねでございます。
  平成16年度に「財政危機回避のための改革プログラム」を策定した時点では、平成19年度の財源不足額を約560億円と見込んでおりました。
  その後、景気回復により、県税収入が増加する一方で、一連の国の制度改革によって地方交付税が減少傾向を辿ってきておりますが、現時点におきましては、来年度の税収見込みや、年末の地方財政対策の焦点である地方交付税の動向など不確定な要素はありますものの、当初の見込み程度の財源不足を想定しているところでございます。
  この巨額の財源不足の縮減に向けましては、現行の「財政危機回避のための改革プログラム」の最終年度として予め計画をされておりましたものを始め、歳出・歳入両面にわたる取り組みを着実に実行することにより、プログラムに掲げる収支改善目標の達成に向け、全力で努めてまいります。
  4点目は、マニフェストに掲げられた「借金を増やさない。貯金を取り崩さない」ことへの見通しと現況を踏まえた起債、基金に対する考え方についてのお尋ねでございます。
  一般会計の県債残高が9,000億円に近づこうとしている現在の財政状況の中で、これ以上県債残高を増やすことは、未来の世代に大きなツケを残すことになりますことから、増え続ける県債残高を、極力増やさない方向に持っていくべき、というのが私の基本的な姿勢でございます。
  したがって、極めて大きな財源不足を解消し、収支の均衡を図ることは当然のことではございますが、今後は、さらにその上で、プライマリーバランスの均衡および黒字を確保する中で、県債残高の削減に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
  また、県の基金につきましても、財源対策として活用できる財政調整基金と県債管理基金を合わせても100億円を切っておりまして、財政運営上、誠に心許ない状況と言わざるを得ません。平成19年度の予算編成では、残り少ないこれらの基金の活用もやむを得ないものと考えておりますが、今後は、財政調整的な基金に極力頼らない堅実な財政運営に努める必要があるものと認識いたしております。

新幹線新駅について

次に、新幹線新駅について知事にお伺いします。
  先の滋賀県議会9月定例会以後、様々な動きがありました。
まず、10月下旬には、栗東市長選挙が行われました。
三つ巴の戦いであったために、得票率が約41.5%にもかかわらず「新幹線新駅推進派」の国松現職市長が勝つという結果になりました。
  県知事選挙の結果と、栗東市長選挙の結果が異なった状況で表れることになりましたが、「民意」は、依然として「凍結」にあるものと受け止めています。
  10月28日及び30日には「新幹線新駅設置促進協議会の正副会長会議」が開催され、 
・ 今後も協議を続けていく。  
・ 来年3月末までに結論を得る。
などの合意がなされました。
  同時に、10月末に期限が設定されていたJR東海への工事費支払いを凍結するとの表明もありました。
  一方、10月に新しく設置された県庁内の特命チームによって、対話のためのツールづくりが鋭意進められ、まず、需要予測や経済波及効果についての再検証が行われ、公表されました。
  また、凍結にともなう法的課題や経済的損失、財政的負担などについての検討もなされ、11月28日の県議会の連合審査会や「新幹線新駅設置促進協議会の正副会長会議」の場で、県の負うべき金銭的な責任額は10億円から数十億円になると発表されました。
  さて、一連の動きの中で、正直なところ、県民の多くはそろそろ「痺(しび)れ」を切らしているのでは、と感じられます。
  その理由の一つには、知事は精力的に対応しておられるのかもしれませんが、知事就任後4ヶ月以上経っているにもかかわらず、現実問題として「凍結への道筋」が見えてこない、知事自らの主導権によってつくるべき流れをつくり切っていないのではないか、との不安が芽生えてきていること。
  また一つには、情報公開も含めて、県民への「説明責任」が十分に果たされていないのではないか。
などの不安感が原因と思われます。
  時代は変わり、今までのような大型公共工事最優先ではなく、「コンクリートから人へ」の投資を優先する時代に入ったことを肌身で感じている県民が、今まさに正念場にいる「もったいない精神」のシンボルである嘉田知事へ、今後も力強いエールを送り続けることができる状況にしていかなければなりません。
  そういった経過や県民の思いを念頭において、知事に以下3点の質問をします。
  1点目、9月定例会以降の一連の動きについて、知事ご本人はどのように評価されているのか、お伺いします。
  2点目、平成14年の基本協定や平成17年の工事協定の扱いによっては補償額も変わっていくと思われます。協定の扱いも含めて、今後とるべき「凍結への道筋」についてお伺いするとともに、それらの内容を平成19年度予算にいかに反映されるのか、お伺いします。
  3点目、具体的に凍結を向けた取り組みが、本格的になると、よりしっかりと説明責任を果たすことが求められます。今後のそのための方法などについてのお考えをお伺いいたします。

   
   [知事答弁]
次に新幹線新駅についてのご質問にお答えさせていただきます。
まず1点目の、「9月議会以降の一連の動きについての評価」についてでありますが、去る9月27日の東海道新幹線(仮称)南びわ湖駅設置促進協議会臨時総会におきまして、凍結を含めた幅広い議論をする場として、新たに正副会長会議を正式に設置することを承認いただき、新駅問題の議論のフレームをつくったところでございます。
  この正副会長会議を10月28日と31日の両日に開催し、県から需要予測・経済波及効果の再検証結果を報告するとともに10月期工事費負担金の取扱いについて議論いただきました。両会議では、それぞれの立場の方々が虚心坦懐に、凍結を含む幅広い議論を進める場であることを再確認し、遅くとも来年3月末までに結論を出すことを確認・合意できたところです。
  また、懸案となった10月期の工事費負担金の支払いにつきましては、私としましては、県民の皆さんの負担を少しでも軽減するため、工事協定の関係者が議論する間は工事が進捗しないよう、工事を一時的に中断することについてJR東海に申し入れることを提案したところです。会議での合意は得られませんでしたが、支払いの猶予をJR東海に申し入れることの合意をいただいたことにより、その後、JR東海からの提案も受けて、支払いの猶予について具体的な協議を現在行っているところでございます。
  11月28日の正副会長会議においては、県、栗東市双方が凍結の場合の経済的損失等について議論したところであり、いよいよ本格的な議論に入ることができました。私としては、当初から申し上げてきたとおり、凍結に向けて工事協定などを一方的に解除するのではなく、関係当事者の皆さんの合意を得るため、対話を尽くすことを基本としており、促進協議会の場で、関係の皆さんと真摯に議論してきたところであり、一定の成果があったものと考えております。今後とも関係者の合意が得られるよう精一杯努力してまいる所存でございます。
  次に、2点目の「今後とるべき「凍結への道筋」と、平成19年度予算にいかに反映するのか。」との質問についてでございますが、現行の約240億円を必要とする新駅設置計画の推進に際しては、県の財政状況に加え、経済波及効果が当初見込みを大幅に減少したことなど様々な課題がございます。
また、経済波及効果の結果の解釈につきましては、これは費用便益分析、いわゆるコストベネフィットと異なるという点についてもご指摘をさせていただきたいと思っております。
  一方、凍結に伴う経済的損失などの一定のリスクがあり、推進する場合および凍結する場合の諸課題が明らかになってまいりました。私としては、引き続き促進協議会の正副会長会議での議論を通じて、関係者や県民の皆さんにとって納得の得られる解決策を見いだしていくことが大切だと考えております。
  予算編成手続きを考慮しますと、来年3月まで待たずできるだけ早く方向性を見いだす必要があると考えておりますが、その検討のなかでも基本協定や工事協定の取り扱いについても、その方針を固めたいと考えております。
  本事業の平成19年度予算については、先の9月県議会で申し上げましたように、凍結の方向で取り組むこととしております。
  次に、3点目の「よりしっかりとした説明責任を果たすための方法」のご質問についてでございます。
  私は、かねがね知事の責任とは、2つの側面があると考えております。一つは、行政の執行者であり、法制度面や手続き面での適正さが求められると思います。一方で、時代の変化を認識し、県民の皆さんの思いを受け止めて着実に政策に反映していくという政治家としての責任があります。県民の皆さんへの説明責任は、こうした両面性を十分踏まえ、一方に偏るのではなく、両方の立場をあわせて、皆さんにきちんと説明することが重要であると考えているところでございます。
  現在、正副会長会議においてそれぞれの立場から、凍結も含む幅広い議論を行っているところでございます。新駅問題には様々な課題があり、また、議論の中途の段階でさまざまな立場からの意見が表明され、報道されたりすることによって、具体的な合意に向けて議論の行方が見えにくいという部分があろうかと思います。
  私といたしましては、県民にとって最もよい解決方法を関係者の皆さんと議論しながら結論を出すことが重要であると考えており、その議論の過程を、できる限り県民の皆様にも見える形で、説明責任を果たしていきたいと考えております。

入札制度について

次に、入札制度について、知事ならびに土木交通部長にお伺いします。
  最近の新聞やテレビで「談合」という言葉を見ない日、聞かない日はありません。国民は今や怒り心頭に達しています。防衛施設庁、道路公団などに始まり、各自治体などで事件が発覚してきましたが、ここしばらくは福島県、和歌山県、宮崎県と立て続けに知事が絡んだ「官製談合」と、それにまつわる「賄賂」や「やみ献金」が問題になっています。
  実際のところ、今回のように検挙されて悪事が白日のもとにさらされるのは、ほんの氷山の一角で、露見せずにホッと胸をなでおろしたり、ニンマリしている者も全国にはかなりあるのではと推察します。なぜそう考えるのかと言うと、日本人の「談合」に対する認識や考え方が世界の常識とは全く違うことと、今までその流れで経済活動が行われてきたという経過があるからです。もちろん皆さんご承知のことですが、談合とは工事・コンサルタント・物品など、落札業者を仲間内で決め、高値受注し、競争の排除によって超過利益を手にする古典的で単純なやり口のことです。特に公共事業の場合、結果的には税金を不法に収奪(しゅうだつ)し、納税者に大きな損害を与えることになり、まさに異常な反社会的行為、れっきとした「犯罪」であります。関係者は言い訳がましく、「公共事業と談合は切り離せない関係にあり、根絶できない」とか、「談合は企業が生き残る上での必要悪である」、「地元業者を育成するための一手法」などと言います。残念ながら、当事者はもちろん、多くの国民にも犯罪行為だとの認識がないという情けない状況です。こういった背景を受けて、最近では関係法令の改正や整備が行われるようになりました。例えば、独占禁止法の改正によって「公正取引委員会の権限強化」、「内部告発の推奨」、「課徴金の引き上げ」などがなされ、その流れの中で、検察庁による摘発、住民監査請求や損害賠償訴訟、マスコミ等による大々的な報道などが続き、国民の関心は徐々に高まってきています。また、一連の官製談合事件の続発を受けて、11月30日には「官製談合防止法改正案」が衆議院を通過し、参議院へ送付され、今国会中に成立する見通しとなっています。 そんな動きにもかかわらず、本当に残念なことですが「業者談合」はもちろん「官製談合」も減りませんし、あってはならないことですが「政治家談合」や「不当介入」がまかり通っていると言われています。まさに「浜の真砂(まさご)は尽きるとも…」の例えの通りで、後進性を暴露していて、なんとも恥ずかしい思いになります。
  今後とも犯罪行為である「談合」を根絶するためには大きく、継続的なエネルギーが必要と考えます。発注者、受注者双方の精神論も大切ですが、それだけでは「談合撲滅」は不可能です。「談合は損」とはっきりわかる制度、システム、罰則強化などによっての対応が不可欠だと考えます。
そこで知事にお伺いします。一連の知事による官製談合の報道に対してどのように感じ、考えておられますか。また、談合そのものについてどのように認識しておられるのか、お伺いします。次に、発注額も発注件数も多く、関係する業者数も非常に多い土木交通部長に以下2点の質問をします。
  1点目、滋賀県も入札制度の改革を進めてきていますが、それによって談合排除、談合撲滅が達成できているのか、その効果についての見解をお聞きします。
  2点目、非常に残念なことですが、以前の委員会における質疑で、「電子入札を実施しても談合はなくならない」との答弁がありました。すなわち電子入札は談合防止に対する必要条件であるけれど、十分条件ではないということになります。
  ならば、現状をどのように改善すれば、談合排除が可能なのか、今後とるべき方策についての考えをお聞きします。

   
  

[知事答弁]
入札制度についてのご質問にお答えさせていただきます。
知事による官製談合の報道に対してどのように感じ、考えているか。また、談合そのものについてどのように認識しているのか、とのご質問でございますが、
入札談合は、入札参加者間の公正で自由な競争を通じて受注者や受注価格を決定しようとする入札システムの根幹を否定するものであって、公共工事にあっては、予算の適正な執行を阻害し、納税者である県民の利益を損ねるとともに、発注者の信用を失墜させる許し難い行為であると認識しています。
  特に税金で賄われる公共工事にあっては、地方公共団体の財政が厳しい中、談合を容認することは、子や孫の代までそのつけを回すことになり、自治体経営の破綻を招く一因ともなりかねません。
  自治体経営のトップである知事はもちろんのこと、公共工事に関わる現場の職員まで、そのことを重く受け止め、納税者の目線で日々の業務を進めることが重要であると強く認識しています。
  滋賀県においては、制度面において一般競争入札の導入や予定価格の公表など、官製談合が起きにくい透明で競争性の高い入札制度の改革にも取り組んでおります。と同時に、知事や職員の個人の資質にも関わってくるのではないかと考えていますことから、日頃から公務員倫理の徹底を強く図っているところです。
  また、知事である私自身としても、「”もったいない”を活かす滋賀県政」をスローガンに掲げているところであり、まさに今後とも県民の皆さんの付託に応えるため、常日頃から自らの行動を厳しく律し、県民の皆様が納めていただいた税金を大切に使わせていただくことを肝に銘じながら、地方自治の根本にある最少の費用で最大の効果を実現する公正かつ健全な県政運営に取り組んでまいりたいと考えております。

[土木交通部長答弁]
入札制度についてのご質問にお答えいたします。
まず一点目の入札制度の改革による談合排除の効果についてでございますが、県発注工事の入札にありましては、これまでも入札談合を防止する観点から、その時々の情勢に応じ様々な談合防止策を講じてまいりました。
  例えば、入札の際に談合などの不正行為が起こしにくくさせる工夫といたしまして、平成14年度から、入札参加業者が適正な積算をしたうえで入札金額を入れるよう、入札時に積算内訳書の提出を義務づけております。
  平成15年度には、予定価格を探ろうとする不正な動きを無くするため、予定価格を事前に公表するとともに、どの業者が参加しているか分からなくするため、業者名を入札後に公表する改正を行っております。
また、談合があった場合のペナルティーといたしましても、平成16年度には指名停止措置において、贈賄、談合、競売入札妨害、独禁法違反に対しまして指名停止の期間を県独自に強化しており、例えば、県発注工事について競売入札妨害罪で逮捕された場合、従来の指名停止期間は12月でございましたが、これを24月としているところでございます。
  更に、今年度実施した入札制度の改正の中では、発注者の恣意的な指名が無く、透明性が高いといわれております制限付き一般競争入札の対象を、この10月から1億円以上の工事に拡大したところでございます。
  また、この9月から試行している総合評価方式にありましても、価格以外の要素の評価が加味されて落札者が決定されることや、技術評価のための簡易な施工計画などを提出しなければならないことから、談合がしにくくなると言われております。
こうした入札制度の改革の効果につきましては、例えば県発注工事の落札状況を見てみますと、平成17年度の土木交通部発注工事と下水道工事を合わせた平均落札率が85.2%と近畿各府県の中でも一番低く、ここ数年そういう状況が続いていますことなどを考えますと、全体的には十分競争原理が働いているものと認識をいたしております。
  しかしながら、談合が撲滅できたのかと問われますと、現に、今年度に入ってからも、談合を裏付けるメモが書かれているような積算内訳書が発見されるなど、談合と認められる事例も確かにあったわけでございます。
そこで、2点目の談合排除に向けた今後取るべき方策についてのご質問でございますが、公正取引委員会が実施した発注機関への調査によりますと、入札談合を防止するために必要な措置としては、「事業者における企業コンプライアンスの向上」を揚げるところが多く、次いで「入札制度の更なる改革」が続いております。
  また、入札制度改革を行う上で必要な取り組みにつきましては、「一般競争入札の拡大」と「品質確保法への対応など品質確保のための施策の更なる徹底」が多くなっております。
  本県におきましても、入札制度面では少しでも談合の余地をなくするように工夫することが重要と考えておりまして、これまでから実施してまいりました一般競争入札や総合評価方式の対象の拡大、電子入札システムやインターネットを使った入札関係情報の公開など、談合が起きにくい入札制度の構築に向け、より一層努力してまいりたいと考えております


地球温暖化対策について

次に、地球温暖化対策について琵琶湖環境部長に質問いたします。
  今、世界有数の食料輸出国であるオーストラリアで干ばつが深刻化しており、年明けには穀物飼料の輸入に踏み切ることも検討されているとのことです。同国では、干ばつは既に5年以上続いており、オーストラリアの農地の半分以上に被害が出ているとのことです。この干ばつは過去1000年で最悪の規模になる可能性があると指摘しています。オーストラリアは、日本の小麦輸入の5分の1を支えており、日本への影響が心配されるところであります。
  この干ばつの原因として地球温暖化が指摘され、温暖化防止を定めた京都議定書の批准を拒否し続けているオーストラリア政府への批判が高まっていることから、これを受けて、風力発電所の建設計画など化石燃料抑制策の検討が始まっている様であります。
  さて、昨年2月の京都議定書の発効に伴い、地球温暖化対策の推進に関する法律の改正法が施行され、国家的責務として、温暖化対策を進めることとなりました。国では、同年4月、6%の削減の約束を達成するために「京都議定書目標達成計画」を閣議決定し、取組が進められております。この目標達成計画では、我が国の温室効果ガス排出量が平成22年(2010年)度で基準年である1990年度に比べて6%増になると見込まれ、削減約束6%と合わせて12%削減に向けた対策が示されています。基本的な考え方として、「環境と経済の両立」「技術革新の促進」「全ての主体の参加・連携の促進」「多様な政策手段の活用」「評価・見直しプロセスの重視」「国際的連携の確保」が挙げられています。
  さらに、この計画では、当然、地方公共団体に対しても取組が示されており、削減義務は課せられないものの、住民への教育、普及啓発、地球温暖化防止活動推進センター、地球温暖化防止活動推進員との協力・協働などが期待されているところであります。
  また、国では、クール・ビズなどを含む「チーム・マイナス6%」という国民運動も展開されています。これに関しては、先頃環境省は「今度は冬中、暖房切ります。」と発表し、地球温暖化の原因になる二酸化炭素削減のため、霞ヶ関本庁舎で12月1日から来年3月末までの4ヶ月間、終日原則暖房中止にすると公表しています。
  県では、先頃「滋賀県地球温暖化対策推進計画(改訂版)」の案を公表し、パブリックコメントにもかけられたところであります。この計画案では、削減目標を1990年比マイナス9%としておられますが、その根拠と、計画の基本的考え方はどの様なものか。そのパブリックコメントでは、どのような意見が寄せられ、どのようにとりまとめているのか。また、京都議定書目標達成計画に掲げられた地方公共団体の役割を踏まえ、どの様な取組が有効と考えておられるのかお尋ねします。

   
  

[琵琶湖環境部長答弁]
地球温暖化対策の推進についての3点のご質問にお答えします。
  第1点目の、計画の削減目標をマイナス9%としている根拠と、計画の基本的な考え方についてであります。本県の地球温暖化対策推進計画は、国の地球温暖化対策推進大綱にあわせまして、平成15年3月に策定をいたしております。
  この計画におきましては、温室効果ガスの排出量が、目標年の2010年には、基準年の1990年に比べて259万トン増加すると予測し、これを基準年の1990年と同じ排出レベルに抑えることを目標としたところでございます。
  その後、昨年の平成17年4月に、国において京都議定書目標達成計画を閣議決定されましたことから、県におきましては、これにあわせて地球温暖化対策推進計画を改定することといたしました。この改定作業におきましては、近年の社会経済情勢を踏まえ、2010年の温室効果ガス排出量を基準年の1990年に比べて、140万トンの増加にとどまると予測したところであります。
  このように、現計画に比べ排出量が減少すると見込みましたものの、削減目標の設定におきましては、我が国に課せられた温室効果ガスの削減目標に寄与することや、環境審議会の答申も踏まえまして、現計画の目標としております削減量とほぼ同量の262万トンの削減を目標としたところでございます。
  この結果、改定計画における2010年の排出量は1220万トンとなり、基準年の1990年の排出量1342万トンを下回り、マイナス9%となるものでございます。
  また、こうした目標を達成するための基本的な考え方についてでありますが、今回の地球温暖化対策推進計画案では、一つには、「温室効果ガスの排出量を早期に減少基調に転換させること。」、二つには「京都議定書目標達成計画が着実に推進されるよう地域の役割を認識し、滋賀県でできる取り組みを推進すること。」、この2点を基本方向として、県民、事業者、行政などが、それぞれの役割に応じて協働しながら、総力を挙げて取り組むこととしております。
  次に、2点目の県民政策コメントでは、どのような意見が寄せられ、どのようにとりまとめているのかとのご質問でございますが、県民政策コメントは、去る10月16日より11月15日の1ヶ月間実施し、34件のご意見をいただきました。その主なご意見としては「地球温暖化問題は、すべての主体がそれぞれの役割において取り組む必要があること」、あるいは「事業者に対しては規制的取り組みではなく、自主的取り組みを促進させるような施策を講じてほしい」、さらには「社会人への環境教育に特に重点をおいてほしい」などがあり、県としましては、これらのご意見を十分反映しながら、議会にもご説明申し上げ、計画をできるだけ早期に取りまとめたいと考えております。
  次に、3点目の京都議定書目標達成計画に掲げられた地方公共団体の役割を踏まえてどのような取り組みが有効と考えているのかについてでありますが、国の目標達成計画では、地方公共団体に期待する事項として3点挙げられております。
  一つは地域の自然的社会的条件に応じた総合的かつ計画的な施策を策定し、実施すること、二つ目には、都道府県は、広域的な地球温暖化対策を進めるとともに地球温暖化防止活動推進センターと協力・協働することや、市町の取組を支援すること、三つ目には、市町村の取り組みとして、教育・普及啓発といった、地域の特性に応じた効果的な施策を、国や都道府県、地域の事業者等と連携して進めることが挙げられております。
  そこで、本県の対応でございますが、1点目の期待事項につきましては、平成15年3月に策定しました滋賀県地球温暖化対策推進計画を京都議定書目標達成計画に沿って改定することとし、現在、作業を進めているところでございます。
  2点目の期待事項につきましては、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づき設置しております滋賀県地球温暖化防止活動推進センターの運用や、地球温暖化防止活動推進員の活動支援を行いますとともに、県民や事業者の参加のもと、主体的な取り組みを進める温暖化対策地域協議会の設立・運営を支援する等の取り組みを計画いたしております。
  彦根地方気象台のデータでは、彦根の平均気温が100年間で、1.1度の割合で上昇しているとされております。また気象台構内の桜の開花が早まったり、イチョウの色づきが遅くなるなどの観測結果も報告されております。
  地球温暖化は着実に進行しているとの認識のもと、県としましても、県民の皆さん、事業者の皆さん、さらには市町と連携しながら、より一層の温暖化対策に取り組んで参りたいと考えております。

品目横断的経営安定対策について

次に、「品目横断的経営安定対策」について、知事および農政水産部長に質問致します。
  日本の農村の姿は、戦後大きく変わってしまいました。かつて国民の大半が暮らしていた農村は変貌し、若者が都市へ流出し、過疎と高齢化が深刻になっています。そして、その背景にあるのは、農業の低迷といっても過言ではありません。戦後の農地改革で自作農が創設され、地主・小作の身分関係は解消されたものの、自作農の大半が零細農家となってしまいました。
  さらに、輸入自由化が進み、国際競争が激化する中、農業経営は厳しさを増しております。国の農政も時代の波に振り回されてめまぐるしく変わり、農家に混乱をもたらしました。いまや食料自給率は、供給熱量ベースで約40%にまで落ち込み、主要先進国で最低レベルになっております。
  農業は、食料生産という側面を持つ一方で、国土の保全、環境の維持保全、地域文化の継承、コミュニティの維持、バイオマスエネルギーの確保など、多面的な機能を持っていることは、常々指摘されております。日本という国家の屋台(やたい)骨(ぼね)を支える、こうした多面的な機能の低下は、農業の低迷とともに、ますます深刻になってきていると思われます。
  私たちは、この農の持つ多面的な機能を支える農政を、農業振興の基本に据えなければならないと思います。農業は、まさに国を支える営みであり、我々の生存を心身共に確保し、美しい国土をつくるためには、猫の目行政と言われる国の農政ではなく、長期的な視野に立った取り組みを進めていくことが、極めて重要ではないかと考えます。
  昨年10月に決定された品目横断的経営安定対策は、今後、着実に担い手の育成が進まなければ、我が国の農業の将来はないという認識に立ち、これまでの全農家を対象にした品目ごとの対策から大きく転換し、やる気と能力のある担い手に集中して実施するものであり、「農政の大転換」と言われております。
  こうした方向で農業の振興が図られるのかどうか、不安な点はありますが、滋賀県の農業を元気づけるために、農業を支える人々との対話を踏まえながら、農業・農村振興の誤りのない方策を展開しなければなりません。
  琵琶湖を農地が取り囲み、その周囲を山が取り囲み、分水嶺が県境となっている特異な小宇宙を形成している滋賀県において、琵琶湖の持つ経済的、文化的、社会的意味を踏まえて、農業・農地・農村・農民という存在は大変大きいものがあります。
  さらに、琵琶湖という滋賀県のシンボルを、持続可能な状態で未来世代に引き継いでいくためにも、農業が果たすべき役割は強調されてしかるべきであります。
  そこで、知事は、今後の滋賀県農政はどのような視点に立って展開していくべきとお考えなのかをお聞き致します。
  今回の「品目横断的経営安定対策」は、農業の構造改革を加速化させるとともに、WTOにおける国際規律の強化にも対応しうるよう、現在、品目別に講じられている経営安定対策を見直し、施策の対象となる担い手を明確化した上で、その経営の安定を図る対策に転換するというものであります。
  特に、対象となる担い手が、認定農業者と一定の要件を満たす集落営農とされたことから、認定農業者の確保・育成と集落営農組織の特定農業団体等への移行の加速化が大きな課題となってきています。
  そこで、今回の「品目横断的経営安定対策」が滋賀県農政の今後にどのような影響を与えると考えておられるのか、また、今回の対策で、国が期待する担い手の育成についての現状と今後の見通しを農政水産部長にお伺いいたします。

   
  

[知事答弁]
次に、農林水産行政の品目横断的経営安定対策についてのご質問のうち、今後の農政を展開していく上での視点についてお答えさせていただきます。
  議員もご指摘のように、本県は、古くから、周囲の山々と中央に豊かな水をたたえる琵琶湖との間に広がる水田地帯におきまして、稲作を中心とした農業が綿々と営まれ、私たちの「くらしといのち」の根幹に関わる食料を生産するという重要な役割を担ってきました。
  こうした生産活動が営々と行われることにより、農村における生産と生活をつなぐ地域の豊かな水循環が創り出されるとともに、さまざまな生き物を育み、四季折々の美しい田園景観を形作り、そうした営みの中で、地域固有の農村社会が築かれてきました。農業・農村の持つこうした機能を健全でかつ持続可能な姿で次の世代に引き継いでいくことが、私たちに課せられた責務であると考えています。
  現在、国におきましては、担い手に施策を集中するという品目横断的経営安定対策が導入されるなど、農政の大きな転換が図られたところであります。本県におきましては、この政策転換に的確に対応し、国の施策を活用しながら、認定農業者と併せて、これまで重点的に進めてまいりました集落営農を特定農業団体等へ発展させることによりまして、担い手の確保・育成を図り、しっかりとした農業生産の維持発展に努めてまいりたいと考えております。 そのような生産基盤の上に立って、私は、次の3つの視点が今後の農業・農村政策を進めていく上で大切であると考えています。
  一つには、農業生産に、本来、自然の持っている力を最大限生かすことであります。作物を育てる主体は、太陽エネルギーと水と大地からなる自然であり、そして人はそのお手伝いをしているものでありまして、自然の営みに沿って作物の持っている力を十分に引き出しながら、環境と調和した生産活動を促進することによって、豊かな生態系が保全され、琵琶湖と共存する持続的な農業を確立することが何よりも大切であります。このため、環境こだわり農業など、自然の力を引き出した環境保全を重視した農業をこれからも進めてまいりたいと思っております。自然の本来の力、引き出さないともったいないという姿勢でございます。
  二つ目には、農業を地域の産業として位置づけ、持続的な発展を図ることであります。もともとであった農業は、単に農作物を作るだけでなく、とれた物を加工し売ることまでが農業でありましたし、各地域にある朝市や直売所はその象徴であります。第1次産業、2次産業、3次産業を合わせ、第6次産業といわれる農業の側面、このような総合的な取組を発展させ、地域の農業を活性化し、このことがバネとなって地域社会の豊かさにつながるものと考えております。
  三つ目は、農業生産の場であり、生活の場である農村社会を守り育てていくことであります。このためには、高齢者や若者、子どもなどさまざまな世代が農業を通じて交わり、農村のコミュニティを活性化することで、地域で受け継がれてきた祭りや高齢者の知恵、食文化などが次世代に継承されるようにしたいと考えております。この取組の一環として、国の農地・水・環境保全向上対策を、本県としては「世代をつなぐ農村まるごと保全向上対策」と名付け、集落の共同活動の活性化につなげてまいりたいと思っております。
  今後とも、より安全な食を安定的に提供するといった消費者重視の視点を踏まえ、農政を推進し、農業・農村のすばらしい営みを私たちの子や孫に伝えていけるよう、滋賀ならではの農業・農村の振興に努めてまいりたいと考えておりますります。

[農政水産部長答弁]
目横断的経営安定対策についてのご質問にお答えします。
  まず、品目横断的経営安定対策が滋賀県農政に今後どのような影響を与えるかについてであります。
  本県農業は米や麦・大豆などの土地利用型の作物が中心でありまして、19年産からの麦や大豆を対象とする国のこの対策は、農家経営や集落ぐるみ農業におよぼす影響が極めて大きいことから、今後の滋賀の農業・農村の維持発展につなげていくための重要な対策として、県・市町・農業団体が一体となって、国の支援が受けられる担い手の確保・育成に取り組んでいるところでございます。
  この対策が打ち出された当初は、直接支払いが受けられない農家・集落が多くでてくるのではないか、西日本有数である麦の生産量が減少しないか、さらには、麦・大豆が中心の生産調整の維持ができるのかといったことを懸念しておりました。
  昨年10月、本対策の具体的な内容が明らかになりましたが、それ以降、地域や集落におきまして、担い手の確保や営農体制について熱心な話し合いが重ねられました。こうしたことを契機に新たな営農組織が立ち上がったり、これまでの農業機械の共同利用から協業経営や法人化へ発展するなど、集落営農の一層のステップアップが図られているところであります。
  また、新たな認定農業者の誕生やJAを核にした広域の生産法人の設立も進み、集落営農組織と認定農業者がお互いに補完・連携する生産体制の整備など各地で新たな担い手づくりが進んでおりまして、このような動きは、これまで進めてまいりました県の農政をより一歩進めることになり、地域農業の強化や生産活動の活性化につながっていくものと思っております。
  次に、担い手の育成についての現状と今後の見通しについてであります。
  昨年10月以降、県、市町および農業団体で組織する担い手育成総合支援協議会を中心に担い手の育成・確保の加速化を進めてまいりました。
  農業者の方々の大変なご努力によりまして、この11月末現在、認定農業者が1,660経営体、一定の要件を満たす集落営農が413団体まで増えてきておりまして、「しがの農業・水産業新戦略プラン」の平成22年の目標値でございます、認定農業者1,630、特定農業団体等400団体を達成している状況であります。
  また、平成19年産の品目横断的経営安定対策の申請状況につきましては、申請者は認定農業者が667経営体、一定の要件を満たす集落営農が364団体であり、これらの担い手が昨年の麦の生産量とほぼ同程度、約6,900haを担う現状でありまして、一安心しているところであります。
  しかしながら滋賀が目指す農業・農村の将来を考えますと、担い手のより一層の経営改善や生産性の向上が重要であります。認定農業者では、より効率的・安定的な経営をめざして、規模拡大、流通・販売面の強化など経営改善を進めること、特定農業団体等の集落営農では、水稲も含めた経営の拡大、法人化などの質的強化が必要であります。
  県としましても、関係団体と一丸となりまして、こうした取り組みに対する支援活動を強め、平成22年には担い手が県の農地面積の7割を担うという、しっかりとした農業構造を目指して努力してまいりたいと考えております。

県立成人病センターの経営について

県立成人病センターの経営について、知事および病院事業庁長にお伺いいたします。
  県立成人病センターは昭和45年12月1日に集団検診、施設検診を業務として開設され36年が経過しました。そして今日では基本方針として「心のふれあいを大切にして安心と満足と信頼の得られる医療の提供」を掲げ、行動指針としてはトップに「県民の健康の保持および増進に寄与します。」ということで、「がん、脳神経疾患および循環器疾患等を中心とした、急性期病院として、高度医療、先駆的医療、政策的医療を担い、県民が健康でQOL(生活の質)の高い生活が送れるよう努めます。」と謳っています。また今年4月からは地方公営企業法を全部適用されるなど新たな局面を迎えております。
  しかし、今日の県立成人病センターの実態を見たとき、その理念なり、行動指針に合った運営がされているのか疑問を持たざるを得ません。今年2月から西館6階の40床を閉鎖してもなお年度途中の退職や産休、育休等で看護師の欠員が生じ、その結果一人当たりの夜勤回数の増加、夜勤入り、日勤・夜勤を問わず超過勤務の激増等で看護師も疲弊している状態であり、このような状態が続けば高度先端医療を担う「県立成人病センターで働いている」という誇りさえ失いかねず、医療現場としては危機的状況に至っているといっても過言ではありません。
  先に述べた県立成人病センターの5つの行動指針の中には「職員は、お互いを尊重し、協力し、働きがいのある医療環境を築きます。」とし、「現代の医療はチームアプローチが求められており、職員相互の連携、協力が不可欠です。このため、職員相互の人格、立場を尊重し、日ごろのコミュニケーションを大切にしながら、働きがいのある職場を築き、明るくやさしい医療環境の提供に努めます。」と謳っていますが、実態はその域を超え、ぎすぎすした関係になっているのではと心配しています。
  このような状態が続けば患者に悪影響を与えることになり、一方では医師や看護師は職場や仕事に誇りがもてなくなり職場を去っていくという悪循環に陥る可能性もあります。
  そこで、県立成人病センターの現状をどのように受け止めておられるのか、また当面の看護師の充足に向けてどのように考えておられるのか、知事にお伺いいたします。
  つぎに、病院事業庁長にお伺いします。先ほど看護師の過酷な勤務状態について述べましたが、病院事業庁長は先ず、現状をどのように認識されているのかお伺いいたします。このままでいくと新人スタッフへの配慮が欠け例年以上に退職者が発生している中、健康被害により、また職場と仕事に誇りがもてなくなり退職により欠員がさらに生じ、医療機関としての機能を失っていくのではと心配します。さらに実習生への対応にも欠け来年度以降の採用への影響も出てくるなど、悪循環を危惧します。
  そこで、現在の具体的な状況と今後の確保への見通しについてお伺いいたします。
  また、病院経営の権限と責任を持つ病院事業庁長として、現在の医師や看護師の定着をはかり新たに優秀な人材の確保を考えたときどのようなことを改善しなければならないのか、率直なところをお伺いいたします。

   
  

[知事答弁]
次に、県立成人病センターの経営についてのご質問にお答えさせていただきます。
  成人病センターは、「心のふれあいを大切にして、安心と満足と信頼の得られる医療を行う。」という理念のもと、「がん」「心臓疾患」「脳血管疾患」などの3大生活習慣病に対する高度専門医療を提供するとともに、民間医療機関では対応が困難な政策医療を実施するなど、県民の医療と福祉の向上に大いに貢献してまいりました。そうした中で、医師、看護師をはじめとする医療スタッフについても、誇りと意欲を持って働いてきていただいたものと考えております。
しかしながら、在院日数の短縮に伴い、看護度の高い患者さん、とりわけ高齢の患者さんが増加していることや、医療安全対策を充実したことから、看護師の皆さんへの負担が増大するなど、看護職場の環境が変化してきております。
このような中、成人病センターでは、看護職場における業務量が増大し、職場全体に余裕がない状態に陥り、看護師の皆さんには大変なご苦労をいただいているところであります。
  このことにつきましては、138枚にのぼる知事への手紙も1枚ずつ全て読ませていただき、現状を理解し、思いを受け止めさせていただきました。
  このような状況に対応するため、本年度は5月以降、毎月、採用試験を実施したところでありますが、厚生労働省の調査でも、全国で約41,500人もの看護職員が不足していると言われている上に、7対1看護体制への移行という全国的な看護師を取り巻く状況の変化も相まって、看護師確保が大変困難な状況となっております。
  こうした成人病センターにおける看護師不足を早急に解消することは、職員の負担軽減を図る上ではもとより、患者さんに対する手厚い看護を図る上でも大変重要であります。
  成人病センターでは、看護師確保対策プロジェクトチームが設置され、実効ある確保対策を進めていると聞いておりますが、看護師をはじめとする病院医療従事者の給与面での処遇改善や、働きながら安心して子育てができる条件整備のための支援策、さらに看護師のキャリアアップのための研修制度の充実等、魅力ある病院現場づくりのための具体的対策について、来年度予算編成作業の中で、病院事業庁と十分協議をし、最大限努力してまいりたいと考えております。


[病院事業庁長答弁]
県立成人病センターの経営についてのご質問のうち、看護師の状況やその確保対策等3点のご質問にお答えを申し上げます。
先ず、一点目の看護師の大変な状況をどう認識しているかについてでありますが、
成人病センターでは、患者の高齢化や在院日数の短縮、さらには手術件数の増加等によりまして看護度の高い患者が多くなったことに加え、病院情報システムの充実に伴います新システムへの対応等が重なり、看護師の負担がこれまでになく大きくなり、大変ご苦労をいただいていると認識をいたしております。
こうした状況が続けば、「ふれあう心で確かな医療」をモットーに、病院で働く職員はもちろんのこと、病院をご利用いただく患者の皆さんにも影響が生じる恐れがありますことから、成人病センター内に看護師確保対策プロジェクトチームを設置し、課題や問題点の抽出とその対応策の検討を行い、解決に向けた取組みを進めているところでございます。
次に、看護師の現在の具体的な状況と今後の確保見通しについてでありますが、
12月1日現在、成人病センターには322人の看護師が勤務し、その他産前産後の休暇や育児休業者は35人、病気による休職や休暇の取得者は6人、また、今年の4月から11月末までの退職者は20人となっております。
  こうした状況に対応するため、正規職員の途中採用や、パート看護師、看護助手等の募集を行い、現在、パート看護師を主体に52人配置をしておりますものの、勤務が3交替制という特殊性から夜間の看護業務につきましては、負担の軽減が十分図れていない状況であります。
また、平成19年4月の採用に向けた看護師募集につきましては、従来より試験実施時期を早め、あるいは試験回数を増やすとともに、受験から採用決定までの期間を短縮するために、人事委員会から一部権限の委譲を受けるなど、これまでにない取組みを行ってまいったところであります。
  しかしながら、平成18年4月の診療報酬の改定により、高い入院基本料が得られる新たな看護体制が設けられ、看護師の獲得競争が激しくなりましたことや、看護師の全国的な供給不足ということも重なりまして、看護師の確保は非常に厳しい状況が続いておりますが、成人病センター内に看護師確保対策室を設けまして、引き続き募集活動に努めているところでございます。
3点目の、医師や看護師の定着を図り、新たに優秀な人材を確保するために、どのようなことを改善しなければならないかについてでございますが、
医師や看護師の定着・確保のためには、医療従事者が働きがいや魅力を感じ、高いモチベーションを持ち続けられる病院であることがまずは重要であります。
  このことを裏返せば、患者の皆さんに選ばれる病院であり続けることでもあろうと思います。
その中心的役割を果たします医師につきまして、全国的に勤務医はオーバーワークであると言われており、このオーバーワークとなっている業務を見直し、患者の要請に応えられるよう、負担の軽減を図りますとともに、日進月歩する医療技術等医師の専門性が培える機会を確保し、サポートしながら、専門性が発揮できるよう病院機能を高めていく必要があろうと考えております。
また、看護師につきましては、厳しさを増す看護業務に応えるための処遇の改善や、子育て支援のための24時間保育の実施、さらには認定看護師育成研修などのキャリアアップのための研修機会の確保とこれを支援する取組のほか、再就労を希望する看護師のための研修会の開催など、定着・確保のための取組みを進め、人間愛に基づく快適で安全な看護の提供を通じて充実感が得られる勤務環境の整備に取り組んでまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、患者の皆さんに満足のいく医療サービスを提供するためには、医師、看護師をはじめとする医療従事者の安定した確保が何よりも大切であります。
  これら病院職員の心の琴線にふれる病院経営に、病院運営に、関係者が一体となって、取り組んでまいりたいと考えております。

滋賀県認定こども園の認定に関する条例案について

次に、今議会に上程されている「滋賀県認定こども園の認定に関する条例案」について、知事ならびに健康福祉部長に質問いたします。
  近年、出生率の低下とあいまって、子どもと子育てを取り巻く状況が大きく変化してきています。こうした急速な社会の変化がより一層「子どもを生み、育てにくい社会」をつくりだしているのではないかと指摘されています。
  これまで、国や県では、子育て支援の各種施策や少子化対策の総合的かつ計画的な取り組みを進めてきましたが、子ども施策関連に関していえば、国の社会保障給付費全体に占める児童・家庭関係給付費の割合は3.6%と、欧米先進諸国の10%前後に比べて、まだまだ低い現状にあります。
  子どもは未来の希望であり、活力であり、貴重な財産です。今日の厳しい社会経済状況下においても、子ども施策の充実は、将来の滋賀を担う子どもを育てるための基礎となるものであります。
  さて、教育施設としての幼稚園と児童福祉施設としての保育園は、両者とも就学前の子どもを預かる施設としては変わりはなく、統一するべきだという「幼保一元化」の考えは古くからあり、戦前から議論がなされてきました。
  本年6月、国において「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」が成立し、認定こども園が制度化されました。幼稚園と保育所の一体化を可能としたものでありますが、幼稚園は文部科学省、保育園は厚生労働省という所管は変わらず、それが国庫補助にも影響するなど、幼保一元化とはいえないようであります。
  ただ、幼稚園でも保育園でもない、就学前の子どもへの総合的な幼児教育・保育と地域における子育て支援の提供施設が新たに設けられると前向きに捉えたいと考えます。
  認定こども園は、ゼロ歳児から就学前の子どもすべてを対象とした施設で、保護者の就労状況を問うことはなく、保育と教育の一体的な提供や地域の子育て支援を条件に、都道府県が認定するものであります。
  そこで今議会には「滋賀県認定こども園の認定に関する条例案」が提案されているわけでありますが、この認定こども園の制度に対する知事の基本的な認識についてお伺いいたします。
  また、県では、昨年3月に「次世代育成支援対策推進法」にもとづき、少子化対策および子育て支援策をまとめた次世代育成支援行動計画「子どもの世紀 しがプラン」を策定し、現在進行中であります。本条例案が成立すれば、認定こども園は県の少子化対策および子育て支援策にどのように位置づけられるのか、また現在進行中の行動計画のなかに組み込まれていくのかどうかについて、知事にお伺いいたします。
  今回、提案されている条例案では、滋賀県の特徴点として3つあげられています。認定こども園は、幼保連携型、幼稚園型、保育所型、地方裁量型の4類型がありますが、地方裁量型についても保育所型と同じく調理室を設置し、自園調理を必須とすること、苦情処理体制については、すべての類型で必須とすること、市町立以外の認定にあたっては、市町の意見を聴取すること、であります。
  そこで、これら県独自の特徴点は、どのような意図で設定されたのかについて健康福祉部長にお伺いいたします。
  全国的に見ると、少子化の進行によって定員割れが進む幼稚園と、働く親の増加に伴う保育所の待機児童などの問題が目立っています。また、地域によっては幼稚園や保育所が単独では成り立つのは難しいが、廃止するわけにはいかないという事情を抱えています。
  滋賀県全体では、239ヶ所の保育所と187ヶ所の幼稚園を合わせて、就学前の子ども全体の約5割が通園しています。保育所と幼稚園との利用比率をみると、大津、中部地域では幼稚園の利用比率が保育所の比率を超えており、甲賀、湖西では保育所の方が比率が高くなっています。
  また、県南部地域を中心に保育所の待機児童が約300人いるとのことでありますし、湖北地域では多くの幼稚園や保育所が定員割れとなっている現状であります。
  認定こども園制度の創設によって、入園や入所を待機している児童の受け皿となることが期待されますし、定員割れの幼稚園と保育所が施設を一体化して運営の効率化がはかられることが期待されるところであります。
  そこで、現在のところ、どの程度の施設が認定こども園として発足する見込みなのか、また今後の整備目標をお伺いいたします。

   
  

[知事答弁]
次に、認定こども園に関する2点のご質問にお答えさせていただきます。
1点目の認定こども園の制度に対する基本的な認識についてでありますが、認定こども園は、急速な少子化の進行、家庭や地域を取り巻く環境の変化に伴い、小学校就学前の子どもの教育・保育に関わるニーズが多様化するなど、現行の保育所・幼稚園制度では対応できない状況が顕在化してきていることから、制度化されたものと理解しております。
  この認定こども園制度は、親の就労の有無に関わらず施設が利用できること、また、子どもの数が減少している地域にとっては、子どもの健やかな育ちにとって大切な適切な規模の子ども集団による指導が確保できること、さらに、地域によっては保育所や幼稚園の空き教室の利用によって待機児童の解消が期待できること、さらには専業主婦家庭への子育て相談や親子の集いの場の提供等の地域の子育て支援が充実することなど、これまで以上に保護者のニーズに応えられる制度として、新たな一歩を踏み出したものであります。今まで以上に子どもをしっかりと産み育てられる次世代育成型の社会づくりにつながるものと期待しております。
  次に、2点目の認定こども園が県の少子化対策および子育て支援策にどのように位置付けられるのか、また、現在進行中の次世代育成支援行動計画に組み込まれていくのかどうかについてのご質問でございますが、認定こども園は、幼稚園や保育所といった既存の制度の枠組みをベースにしながらも、その機能に着目し、柔軟に多様な教育・保育ニーズに応えようとするものであり、これまでの少子化や子育て支援策の幅を広げる新たな施策として位置付けられるものと考えております。
  県の次世代育成支援行動計画の中での位置付けにつきましては、平成17年3月に策定しました行動計画「子どもの世紀しがプラン」において、「子どもが心豊かで健やかに成長していける教育環境の整備」の中で保育所と幼稚園を一体として捉えた総合施設として位置付けておりますが、今回、認定こども園として制度化されたことを受けまして、今後の制度の定着状況を見つめつつ、保育の実施主体である市町の考えをお聞きしながら、行動計画の中での位置付けを明確にしてまいりたいと考えております。
議員ご指摘のように、子どもは未来の希望であり、活力であり、社会の宝です。未来可能社会を柱に据えた県政の今後の推進の上で、この方策に前向きに、積極的に取り組ませていただく覚悟でございます。
  以上、民主党・県民ネットワーク朝倉議員への答弁とさせていただきます.

[健康福祉部長答弁]
認定こども園についての2点のご質問にお答えします。
1点目の県独自の特徴点はどのような意図で設定したのかについてであります。
認定こども園制度は、親の就労の有無に関わらず施設利用が可能になることや、地域における子育て支援が充実するなど、これまで以上に保護者のニーズに応えることができる制度であります。
  その目的が達成されるためには、施設の運営について保護者の信頼が得られること、また、県と保育の実施主体であります市町との密接な連携が必要であります。
  こうしたことから、既存施設からのスムーズな移行に配慮しながらも、施設としての一定の水準の確保、利用者への適切なサービスの提供、また、市町との連携という視点から3点の独自規定を設けることとしたものでございます。
  1つは、保育所型のほか地方裁量型についても調理室を設置し、自園調理を必須としたところでございます。
  これは、地方裁量型の場合は認可外保育施設としての運営ということになりますが、この場合も、認可保育所と同じく0歳児から5歳児までを対象に保育されることや、保育における近年の食育重視の観点をも踏まえ、保育所型と同様の施設水準を求めることとしたところでございます。
  2つ目の、苦情処理体制の整備についてでございます。保育所などの児童福祉施設の場合は、社会福祉法で苦情処理体制の整備が義務付けられております。
  新たな制度として設置されます認定こども園においても、保育所と同様に保護者の信頼が得られるよう、適切な運営がなされることが大変重要であると考えております。
このようなことから、保護者等の苦情や様々な意見を受けて、処理する体制を整備することによりまして、適切な運営を確保するため、全ての類型で必須としたところでございます。
  3つ目の、市町立以外の認定にあたっての市町からの意見聴取につきましては、市町において保育の実施という役割を担っていただいていること、さらには、事業の推進にあたっては、市町との密接な連携が必要なことから、市町の意見も十分踏まえて認定をしていこうとするものでございます。
次に、2点目の、現時点での認定こども園の発足見込みと今後の整備目標についてでございます。
  まず、発足見込みでございます。本年10月に取りまとめました施設や市町へのアンケート結果によりますと、来年4月に2か所の施設が発足を予定いたしております。
  また、平成19年度末までに10か所程度、さらに平成20年度には新たに20か所程度が実施希望がございます。
今後の整備目標につきましては、関係者の方々にこの制度の理解を進め、定着状況を見つめつつ、保育の実施主体でございます市町と十分協議し、その意向も踏まえながら、数値目標を設定してまいりたいと考えております。

教育の今日的課題について

[質問]次に、教育の今日的課題について教育委員会委員長ならびに教育長にお伺いします。
  過去の日本人は勤勉で規律正しいと言われてきました。他人に迷惑をかけるような恥ずかしいことはしない、困った人はみんなで助けていくという「恥」と「共生」の文化などの伝統的規範を大切にしてきた国民でありました。
  戦後、日本の教育は、豊かな経済社会や安心な生活を実現するなど、多くの成果をあげてきました。しかしながら現在の社会の現状を見ますと、これまでの教育が時代に適応し切れてない面も多く現れているように思えます。
  拝金主義の蔓延、仕事があるのに働こうとしない若者の出現、家庭で子どもをしつけ、先人が守ってきた社会規範を教え込みながら地域社会で温かく子どもを育む雰囲気も、核家族化と共働きという自然な変化の中で、やむを得ずなくなってきているのが現実であります。
  今、教育現場では学力の低下、不登校、校内暴力、いじめなど多くの課題が山積しています。とりわけ今年大きくクローズアップされたのが高等学校における必修科目未履修問題といじめによる児童生徒の自殺問題とであります。
  高等学校の未履修問題は全国の都道府県におよび大きな問題となりました。本県におきましても残念ながら公立高校7校、私立高校2校が判明しました。判明した経緯は教育委員会が必修教科・科目の取り扱いに関する調査を10月26日に実施し、全ての県立高等学校から適正に実施しているとの報告を受けたものの、その後、外部からの電話やメールの指摘により、再度、全ての県立高等学校に電話による聴き取り調査を行った結果、10月27日に2校が10月29日に1校が判明しました。さらに、10月30日には全ての県立高校の現地調査を実施し、新たに5つの高校で未履修が判明するという状況であります。
  限られた授業時間数の中で大学受験に配慮したことが原因であることは考えられますが、学校側には学習指導要領への認識不足が見られ、教育委員会にも長年是正できなかったことは責任があるものと考えます。また、判明した経緯を見ますと学校現場から正確な情報が教育委員会へ伝わらない現状があります。これらを含めてこの未履修問題を教育委員会としてどのように総括されたのか、教育長に伺うものであります。
  次にいじめにより児童生徒が自らその命を絶つという痛ましい事件が相次いで発生していることは極めて深刻な事態と受け止めなければなりません。これらの事件では、子どもを守るべき学校・教職員の認識や対応に問題ある例や自殺という最悪の事態に至った後の教育委員会の対応が不適切であった例が見られ、保護者をはじめ国民の信頼を損なっている現状であります。
  11月29日政府の教育再生会議はいじめ問題への緊急提言を取りまとめました。提言では、「すべての子どもにとって学校は安心、安全で楽しい場所でなければならない。保護者にとっても、大切な子どもを預ける学校で、子どもの心身が守られ、笑顔で子どもが学校から帰宅することが、何より重要なことであるとし、いじめをした子どもに対する指導、懲戒の基準を明確にし、社会奉仕や別教室での教育など毅然とした対応を取るよう、学校に求めた。「いじめを見て見ぬふりをする者も加害者」との指導を学校が子どもに徹底することも促し、いじめに加担するだけでなく放置・助長した教員も懲戒処分の対象とすることを明記したところであります。
  いじめはどの子にもどの学校でも起こりうるものと考えます。本県の不登校の児童生徒の数は全国でも多い実態があります。その中にはいじめが原因の子どもたちが多くいるものと考えられますが、教育委員会として実態把握やいじめに対する対策をどのようにされているのか、教育長に伺います。
  最後に、高校の未履修の問題でも一部触れましたが、学校現場の実態が正確な情報として教育委員会に入ってこない現実があります。いじめの問題でもはたして正確な情報が教育委員会に入るのかはなはだ疑問が残るところあります。教育委員会と学校現場との連携不足があらゆる問題が放置される要因とも考えられますが教育委員会委員長の見解を伺います。

   

[教育委員長答弁]
  教育の今日的課題についてのご質問にお答えいたします。
  教育委員会と学校現場の連携についてでございますが、
  今回の県立高校における未履修問題につきましては、ご指摘のとおり、各学校からの報告が後手後手にまわりまして、県教育委員会の訪問調査によって、初めてその実態が明らかとなりました。
  このことを私自身、大変重大な看過できない問題であると認識しております。
  常日頃、通達や報告など様々な文書が「形式」になってしまっていないか、それぞれの学校の状況をしっかりと受け止められる相互の関係ができているのか、など、原点に戻り、あらゆる角度から精査、検討して参りたいと考えております。
  教育委員会は、どこよりも学校現場を熟知し、問題があるとすれば、その背景をも受け止めて、その対応や解決方策について知恵を出し、ともに汗する存在でなくてはなりません。
  また、私たち教育委員は、常に社会の動きを認識し、教育現場の実情にも沿いながら、委員会の場においてそれぞれの経験や信念をもとに議論し、滋賀の教育行政の推進につなげていくという大きな責任を担っております。
  その議論の中心には、常に子ども達の姿が描かれていなくてはならず、土台となる情報が正確であることが、その前提となります。
  今回、原因を浮き彫りにした上で、早急に学校現場と教育委員会の連携の強化に向けての対策を執って参りたいと考えております.


[教育長答弁]

教育の今日的課題についてのご質問にお答えいたします。
  最初に、この度の本県の県立高等学校の7校で判明いたしました未履修問題につきまして、改めまして、皆様にお詫びを申し上げます。
  ご質問の、1点目の、この未履修の問題をどのように総括しているかについてのお尋ねであります。
  学校側に、学習指導要領への認識不足が見られ、教育委員会にも長年是正できていなかったことへの責任についてどうかというご指摘をいただきました。
  いかなる理由や事情があるにせよ、学校教育の現場で基本とすべきルールが無視されることがあってはなりません。
  今回の問題は、校長や教員が学習指導要領の趣旨やねらいを十分認識せず、定められたルールを守っていなかったものであり、それらの学校を指導する立場にある県教育委員会としての責任があるものと受け止めております。
  また、学校現場から正確な情報が教育委員会に伝わらない現状があるというご指摘がございましたが、今回の問題では、正直な姿が学校側から届くことのないまま、外部の方からの電話やメールによる情報により問題が発覚したという点で、誠に遺憾であり、残念な事態でございました。
  その点をどう打開していくか、この際しっかり考えたいと存じます。文書のやりとりだけでは実態をつかみきれない、正しい情報は得られないという、その実例を教訓にして、まず、学校現場に足を運んで、自らの目でしっかりと見届けをする、そのことを徹底して参りたいと存じます。
  未履修問題の総括ということでありますが、今回の事態をとおして、ことの根深さを実感しております。
  学習指導要領による教育課程、そして必履修教科・科目の設定は、法的拘束力をもつ定めであります。そのルールを逸脱すれば生徒が卒業ができない、それほどに重大な結果を招くものであります。
  その一方では、大学入試との大きなギャップということも指摘されております。
  したがいまして、高校教育の根幹に関わる基本問題として、真剣に議論すべき大きな課題だと考えております。
  同時に、今回の未履修問題は、学校と県教育委員会との連携のあり方が厳しく問いただされたものと受け止めております。その点についても信頼を回復すべく取り組んで参る所存でございます。
2点目の、いじめの問題について、教育委員会としての実態把握やいじめの対策についてのご質問でありますが、いじめの実態把握については、いじめの定義を「自分より弱いものに対して一方的に、身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているもの」という全国共通のとらまえ方で調査をして参りましたが、個々のケースに当てはめる際に、それが、「いじめ」としてあげるのかどうか、教員ごとにまちまちの判断となり、ややもすると、学校の中だけで収めたいという意識も働く中で、県教育委員会への報告につながりにくいという実情がございました。
  そこで、この際改めまして、公立学校全ての教員にいじめ問題への自らの取組の再点検を行い、同時に、児童生徒の状況を個別にチェックし、「いじめと捉えた」ものから「いじめが心配される」という状況まで幅を広げて報告するよう求め、その結果、小・中・県立学校、合わせて1207件という数字があがってまいりました。
  お尋ねの、いじめに対する対策でございますが、今回の調査結果を踏まえて、県教育委員会から、まず指導主事を各県立学校に派遣し、いかにいじめを把握しているかの実態を確認するとともに、そこで明らかになった「いじめ」に対する対応と、子どもの様子を聞き取り、指導主事の立場からアドバイスするという形で進めておりますが、その中にはご指摘のように、いじめで不登校につながっているというケースも見つかっております。
  同時に、市町教育委員会に対しては、管内の小中学校を訪問し、同様の指導を行うよう求めておりますが、各学校においても「心のオアシス相談員」や「スクールカウンセラー」が、いじめに焦点をあてた相談体制をとるようにしております。
  さらに、いじめの相談窓口となる、滋賀県子ども子育て応援センターの「こころんだいやる」の電話番号を記載したカードを今回改めて子どもたちに配布し、また、誰にも相談できずに悩みを抱えている子どもたちの声が届けられるよう、切手を貼らずに投函できる手紙の準備も、現在、進めております。
  また、子どもたちとともに、いじめの問題を考えることが対策の重要なカギを握るという思いのもとに、児童・生徒も加わる形で「いじめ対策チーム」を立ち上げました。
  今月の19日に予定している2回目の会合では、学校、保護者、そして子どもたちからのアクションプランを、それぞれから提案いただくことにしており、
それらをもとに「いじめ対策プログラム」を作り上げたいと考えております。
  いじめの実態はなかなか見えにくいものでございます。教師が気付かないままにいじめが続けられているというケースが多くございます。
  子どもどうしが、力を合わせていじめに立ち向かうという姿を目指しまして、児童会・生徒会による活動を、いじめ対策チームが支援策を講じることといたしております。
  そして、同時に大切なことは、教員が教育者としての力量を高めることであります。
  子どもたちが、コミュニケーションの力をつけ、人間関係を築いていく、その力を教育の場でしっかりと育てていかなければ、根本的な解決にはつながりません。
  その思いのもとに、教員が研修、研鑽できる場づくりについても、その方策を打ち出し、力を注いで参る所存でございます。


 

9月27日(水)に開催された会派代表質問において、民主党・県民ネットワークを代表して河部哲幸議員(大津市選挙区)が質問をしました。その内容について以下報告を行います。
  まず初めに、9月6日皇室に秋篠宮(あきしののみや)さま以来41年ぶりに親王殿下が誕生されました。悠(ひさ)仁(ひと)さまの健やかな成長をお祈りしますとともに、国民の1人として、謹んで心からお祝いを申し上げます。
  また、国会では、各政党の新代表も誕生し、先日は臨時国会が開会されました。日本の将来像が論議されます。そして滋賀県においても新知事が誕生しました。今後の日本、滋賀県を担う新しいリーダーのもとに、公平・公正でそして国民・県民が主役となる政策を期待するものであります。
  特に、知事におかれましては、いろいろな課題に接し、ご苦労も多いことと存じます。
今、滋賀県が抱えている諸課題に対し、対話を重視される中で、色々な意見に謙虚に耳を傾け、問題の解決に取り組んでいただくことを願うものであります。
  ロシアの文豪トルストイの言葉があります。「苦しみを経験しない者は、真の楽しみを知ることが出来ない」、苦しい時期でありますが、滋民の真の幸せを目指して頑張っていただきたいと思います。
  そして私たちは、地方分権が進む中で、地域の主体性と魅力あるまちづくり、安全で安心して暮らせる県政を目指すとともに、生活者、勤労者の立場にたった、政策の実現に向けて取り組んでまいります。
  それでは、民主党・県民ネットワークを代表して質問をい賀県たします。

新たな基本構想の策定と将来の県の役割について

 始めに、新たな基本構想の策定と将来の県の役割について、知事にお伺いします。
  20世紀の科学技術と産業の発展は、私達に多くの成果を与えてくれたように考えてきました。しかし、今、その代償として、支払わされる事となった自然破壊という「つけ」は大きく、人類の生存さえ脅かす事態に到っています。
  今後の私達にとって、「自然との共生という課題への取組み」は避けて通れないものとなっています。
  滋賀県では、こうした変革を求める時代の要請に応える長期構想として、2003年(平成15年)に「自然と人間が共に輝くモデル創造立県、滋賀」を基本目標に中期計画を策定しました。
  この中で、一つめは「琵琶湖をはじめとする豊かな自然が美しい状態で保たれています」
  二つめは「環境と調和した持続可能な発展を目指す経済活動が展開されています」
  三つめは「誰もが老後や子育ての不安・犯罪や災害に対する不安を感じることなく、安心出来る生活を送っています」
  四つめは「次代を担う創造性と行動力に満ちた心豊かで魅力ある人が育っています」
  五つめは「一人ひとりがその個性と能力を発揮し、活動の場を拡大させて自己実現を図っています」
などと、目指す2010年の滋賀の姿を現し、その実現に向けて10の基本戦略を掲げました。
  しかし、その後も、長引く景気の低迷や三位一体改革により県の財政は危機的な状況にあると表現されるまでになり、抜本的改革は避けられないものとなっています。
  近年、ようやく上向きと言われる経済状況も格差という深刻な社会状況を生み出しています。
  また市町村合併の進展による、基礎的自治体の自立やその規模・能力の拡大は、対等の立場に立って地方的事務を分担し合う広域自治体としての県の役割や存在意義を改めて問い直すものとなっています。
  こうした状況は、今後の滋賀の将来を考えた時、少子高齢社会への対応等と共に避けて通れない重要課題と言えます。
  このように大きないくつかの課題をかかえた現在、これまでの中期計画に表された滋賀の将来像の実現は非常に厳しいものと言わざるを得ません。
  こうした中、知事は現中期計画に代わる新たな基本構想を策定すると述べておられます。
  そこで、お伺いします。先の諸課題への対応も含め、知事が描かれる滋賀県の将来像、子や孫が生きる10年、20年、あるいは30年後の姿をお示しください。
  また、基本構想は県政運営の最上位に位置し、全ての政策、施策、事業の基本となるものであり、かつ平成19年度からの政策等の方向を示すものであります。策定スケジュールと併せて基本的枠組みについてお聞かせください。
  先にも述べましたように、市町村合併の進展は、県の将来計画にも大きな影響を及ぼします。
  本県においても平成11年の「市町村の合併の特例に関する法律」の改正以後、地域間競争に勝ち、個性ある多様な行政施策を展開するための規模や能力の拡大を求める必要にかられ、また、少子高齢化の進展や財政の逼迫等の要因が合併への決断を促しました。
  その結果、平成15年に50市町村であった自治体数が17年度末には13市13町、合わせて26市町になったところです。
  しかし、様々な事情により人口1万人未満の町が8つ存在することは、確かに地域の多様性や自主性が尊重されなければならないとする一方で、今後の自治体運営についていくつかの心配があります。
  つい先だっての県外調査で、1,000人以下の村がそのまま残り合併の進展が見られない県を見てきました。町村の事業への県の係わりの姿勢が強く、権限移譲の困難さを感じさせられました。こうした地域での県の役割はより大きなものとなっており、住民の声や願いを反映したと評される市町村独自の事業にまで、特に財政面においての県の関与、あるいは県への依存度が大きなものとなっている皮肉も感じさせられました。
  平成17年施行の合併新法の中で「都道府県は自主的な市町村の合併を推進する必要があると認められる市町村を対象として、当該都道府県における自主的な市町村の合併の推進に関する構想を定めるものとする。」とあります。
  今日まで、県は市町村合併については、積極的に取り組んでこられましたが、今後の県内の市町合併に対する県の考えをお伺いします。

   
   [知事答弁]
民主党・県民ネットワークの河部議員の代表質問にお答えいたします。
  まず、新たな基本構想の策定と将来の県の役割についての3点の質問でございます。
  1点目の、滋賀県の将来像、子や孫が生きる10年、20年、あるいは30年後の姿についてお答えします。
  私たちは、これまで物質的な豊かさを追い求めてきましたが、その豊かさにはかげりが見え始め、開発を基調とした量的拡大から、生活の質的向上を重視する成熟社会へと移っております。
  また、人、もの、情報のグローバル化の中で、地球温暖化やエネルギー不足など地球規模の環境問題など様々な課題に直面しております。
  現在、我が国では他の先進国よりはるかに早いスピードで少子化・高齢化が進んでおり、日本の総人口が減少に転じている中、未だ人口が増加している本県においても確実に少子化、高齢化の影響が出ております。
  その中で、本格的な分権型社会に向け、三位一体の改革や市町村合併などが進む一方、地方財政は大変厳しい状況を迎えております。
  こうした時代の大きな潮流に適切に対応し、将来にわたり県民の皆さんの幸せを形づくるために、私は、滋賀県の将来の姿として、琵琶湖を中心とする自然や文化を大切にするとともに、女性や若者、高齢者が活躍し、人々の横のつながりが大切にされ、安心して暮らせる、しなやかで、社会的格差を感じさせない、そして、経済的にも豊かな社会を思い描いております。
  その実現に向けては、県民の参加と提案をいただきながら、次の世代を育成するという視点から、これまで滋賀県で生み育てられたすばらしいものを、時代時代に合った形で活かしていくことが重要であると考えております。
  次に、2点目の、基本構想の策定スケジュールとその枠組みでございます。
  新たな基本構想につきましては、その透明性を確保するとともに現場の思いや願いを汲み取るという観点から、県民参加型の策定過程を経ることが重要であると考えております。
  その中で、議会の皆さんと議論させていただくことはもちろん、職員自身が直接現場に出向き、NPOや経済団体、民間企業、市町、県政モニター等様々な方と意見交換を行うとともに、県民の皆様から具体的な提言を募集するなど幅広い意見を汲み取っていきたいと考えております。
  また、本年11月に学識経験者や民間企業関係者、NPO関係者などで構成する基本構想審議会を設置し、新たな基本構想の策定に関して審議していただき、来年度前半には審議会の答申を得たいと考えております。
  この答申を踏まえ県民政策コメント等を実施し、最終的には来年度末までには議会の議決をいただきたいと考えております。
  基本的枠組みについては、まずは、私たちの子どもや孫の世代を見据え、
2030年、すなわち平成42年頃の滋賀の目指すべき姿を描いた上で、その実現に向けた長期的かつ大局的な方向性を示すとともに、厳しい財政状況を十分踏まえつつ、平成19年度から平成22年度までの4年間に行うべき政策や地域の個性を活かした施策の方向を示してまいりたいと考えております。
  また、時代の潮流はもとより、社会経済状況や財政状況を踏まえ、選択と集中により特に重点的かつ優先的に行うべき戦略も示してまいりたいと考えています。
いずれにしましても、まさにこれから、議会の皆さんをはじめ様々な方々と議論して創り上げていくところでありまして、県政運営の基本となる最上位計画として、県民の皆様にわかりやすい形で策定してまいります。
  次に、3点目の、今後の県内の市町合併に対する県の考えについてであります。 本県におきましては、旧合併特例法の下での取組にもかかわらず、様々な事情から合併に至らなかった市町もあり、結果として市町間の行財政基盤に大きな違いが生じております。
少子高齢化の進行や地方分権の進展など、地方自治体を取り巻く環境が大きく変化する中で、基礎自治体である市町の行財政基盤の充実・強化は、大変大事な課題であり、市町合併は、そのための有効な手段であると考えております。
他方、地方自治におきましては、団体自治と住民自治という2つの側面を持っておりまして、市町合併は、団体自治の側面からみますと、団体として行財政の力をつける、また、組織力を高める手段として重要でありますが、住民自治の側面からみますと、行政区域が拡大することによって生じる様々な課題もあります。
  こうしたことから、それぞれの地域において、住民の皆さんを交えた議論をしていただく中で、各市町がこれまでに築きあげてきた個性豊かなまちづくりを継承・